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2-3.嵐襲来?
69.しばしの休息
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リルが『設定終わったよー。内容はイサムがトラップにかかった時に説明するね! 僕、これから魔物狩りしてくるよ』と言って出かけた。
え、俺、自分のダンジョンの設定を知らないまま、攻略の鑑賞をするのか?
……それはそれで面白いかもしれない。
『マスターはリルに甘々にゃー』
「自覚はある」
やれやれ、と言いたげにミーシャが尻尾を揺らしながら言うので、俺はちょっとキリッとした顔を作って答えた。
親バカは伊達じゃないんだよ。もふもふ可愛いは正義!
なんならリルだけじゃなく、ミーシャにも影兎たちにも甘々な自覚があるぞ。
『マスター、ボクたちはすることないの~?』
俺の足元でじゃれあっていた影兎たちの中の一体が、ぴょこんと耳を立てて見上げてくる。
『ボクもイサムをベシッとしたい~』
『マスターをたおそうとしたバツをあたえてやる~』
『しゅんさつしちゃうよ~』
ワラワラと影兎たちが集まってきた。
期待に満ちた目を向けられてるけど……困ったなぁ。影兎なら、本当にイサムを瞬殺しちゃいそう。インクがやる気いっぱいだし、その邪魔をしたらさすがに可哀想だ。
それに、リルが仕掛けたトラップの発動を見てみたい気もする。
「あー、じゃあ、イサムが四階層まで来ることがあったら、影兎たちが全力で相手をしてやってくれ」
99%ありえないと思うけど、保険は必要だもんな。
俺が頼むと、影兎たちは『つまんない~……』としょんぼりとしながらも納得してくれた。
苦笑しながら、ふとインクのことが気になった。今、何をしてるんだろう?
『影兎、インクの居場所は知ってるか?』
一番インクのことをわかってそうな影兎たちに聞いてみる。
『しってる~』
『ヤミまほうのじゅんびをしてるんだよ~』
『ヤミヤミ~。いま、みつりんのとこにいるよ~』
「闇魔法の準備……? そんなものがあるのか」
男夢魔の能力に〈闇魔法〉があることは知ってる。でも、それが具体的にどういうものかは把握してない。
アリーが使う闇魔法とは違うらしいけど。
「——八階層な。見てみるか」
漫然と一・二階層を映していたモニターを八階層に切り替える。
ダン街以外は昼夜の設定をしていないので、夜の時間でも八階層は明るい。
でも、冒険者たちは朝と昼の時間しかダンジョンの攻略をしないんだよな。夜に活動すると、時間感覚が乱れて怪我や病に繋がりやすいかららしい。
見た目は粗暴な人が多いのに、意外とそういうところは真面目で堅実なんだよなぁ。
そんなことを考えながらインクの姿を探す。
『そこそこ~』
「お、いたな……あれは何してるんだ?」
影兎に教えられて見つけたインクの姿をズームアップする。
なんか黒くて丸い石のようなものを地面に埋めたり、木の上に仕掛けたりしてる。
いや、マジで何してんの? あの石はなんだ?
『魔石を埋めてるにゃ? あれを何に使うにゃ?』
「魔石? ……ああ、あれ、魔石か」
久々にダンジョンマスターとして詰め込まれた情報を検索した。
それによると、魔石とは高濃度の魔力が集まり石になったもので、魔物の中に生成されたり、地中深くから採掘されたりするらしい。
このダンジョンではドロップアイテムに設定してなかったけど、魔物を狩ったら魔石を入手できる可能性があるというのは、この世界の常識のようだ。
冒険者ギルドなどで買い取られた魔石は、魔導具などのエネルギー源として利用される。
ピエモの山奥にあった小屋に張られていた結界も、魔石を利用していた。
「魔石を用意してどうするんだ? 魔導具とかがあるわけじゃないよな」
俺が首を傾げると、ミーシャも『わからないにゃー』とこてりと頭を傾ける。
あー、可愛い。にゃんこのこういうポーズは卑怯なくらい可愛い。
『まほうのこうかぞうふくとかにつかえるんだよ~』
『いりょくましまし~』
「へぇ、そうなのか。知らなかったな」
自称神のジジイから得ていた情報にもなかったけど、案外魔石はいろんなものに使えるのかも。
「——ん? ということは、インクは効果増幅が必要な魔法を使うつもりなのか?」
『わかんない~』
『たぶん~?』
『ちがうつかいかたかも~?』
影兎たちがこてんと首を傾げる。
それをお互いに見て面白くなったのか、こてんこてんと右に左に頭を傾けて、『あはは~みみがゆれてる~』と笑った。
さらに一体が二本足で立ち『ゆらゆら~』とフラダンスのように揺れると、他の影兎たちも真似して揺れる。
謎のダンス兎集団が誕生した。ちょっと海中の昆布みたいに見えてシュール。
「くはっ、ふ、くふ、っ」
押し殺しきれなかった笑いが漏れる。
影兎たち、可愛いすぎでは?
『ミーシャもするにゃー』
俺が面白がっているのが伝わったのか、ミーシャが謎の対抗意識を燃やした。
お座りして、ふにゃふにゃと手や体を動かしている。
「昆布増殖……! あははっ!」
俺の周囲が変。
衝動を抑えきれなくなって、お腹を抱えて笑ってしまった。
『え、これ、何やってるんです?』
下準備を終えたのか、戻ってきたインクがドン引きしてるのさえも笑えた。
え、俺、自分のダンジョンの設定を知らないまま、攻略の鑑賞をするのか?
……それはそれで面白いかもしれない。
『マスターはリルに甘々にゃー』
「自覚はある」
やれやれ、と言いたげにミーシャが尻尾を揺らしながら言うので、俺はちょっとキリッとした顔を作って答えた。
親バカは伊達じゃないんだよ。もふもふ可愛いは正義!
なんならリルだけじゃなく、ミーシャにも影兎たちにも甘々な自覚があるぞ。
『マスター、ボクたちはすることないの~?』
俺の足元でじゃれあっていた影兎たちの中の一体が、ぴょこんと耳を立てて見上げてくる。
『ボクもイサムをベシッとしたい~』
『マスターをたおそうとしたバツをあたえてやる~』
『しゅんさつしちゃうよ~』
ワラワラと影兎たちが集まってきた。
期待に満ちた目を向けられてるけど……困ったなぁ。影兎なら、本当にイサムを瞬殺しちゃいそう。インクがやる気いっぱいだし、その邪魔をしたらさすがに可哀想だ。
それに、リルが仕掛けたトラップの発動を見てみたい気もする。
「あー、じゃあ、イサムが四階層まで来ることがあったら、影兎たちが全力で相手をしてやってくれ」
99%ありえないと思うけど、保険は必要だもんな。
俺が頼むと、影兎たちは『つまんない~……』としょんぼりとしながらも納得してくれた。
苦笑しながら、ふとインクのことが気になった。今、何をしてるんだろう?
『影兎、インクの居場所は知ってるか?』
一番インクのことをわかってそうな影兎たちに聞いてみる。
『しってる~』
『ヤミまほうのじゅんびをしてるんだよ~』
『ヤミヤミ~。いま、みつりんのとこにいるよ~』
「闇魔法の準備……? そんなものがあるのか」
男夢魔の能力に〈闇魔法〉があることは知ってる。でも、それが具体的にどういうものかは把握してない。
アリーが使う闇魔法とは違うらしいけど。
「——八階層な。見てみるか」
漫然と一・二階層を映していたモニターを八階層に切り替える。
ダン街以外は昼夜の設定をしていないので、夜の時間でも八階層は明るい。
でも、冒険者たちは朝と昼の時間しかダンジョンの攻略をしないんだよな。夜に活動すると、時間感覚が乱れて怪我や病に繋がりやすいかららしい。
見た目は粗暴な人が多いのに、意外とそういうところは真面目で堅実なんだよなぁ。
そんなことを考えながらインクの姿を探す。
『そこそこ~』
「お、いたな……あれは何してるんだ?」
影兎に教えられて見つけたインクの姿をズームアップする。
なんか黒くて丸い石のようなものを地面に埋めたり、木の上に仕掛けたりしてる。
いや、マジで何してんの? あの石はなんだ?
『魔石を埋めてるにゃ? あれを何に使うにゃ?』
「魔石? ……ああ、あれ、魔石か」
久々にダンジョンマスターとして詰め込まれた情報を検索した。
それによると、魔石とは高濃度の魔力が集まり石になったもので、魔物の中に生成されたり、地中深くから採掘されたりするらしい。
このダンジョンではドロップアイテムに設定してなかったけど、魔物を狩ったら魔石を入手できる可能性があるというのは、この世界の常識のようだ。
冒険者ギルドなどで買い取られた魔石は、魔導具などのエネルギー源として利用される。
ピエモの山奥にあった小屋に張られていた結界も、魔石を利用していた。
「魔石を用意してどうするんだ? 魔導具とかがあるわけじゃないよな」
俺が首を傾げると、ミーシャも『わからないにゃー』とこてりと頭を傾ける。
あー、可愛い。にゃんこのこういうポーズは卑怯なくらい可愛い。
『まほうのこうかぞうふくとかにつかえるんだよ~』
『いりょくましまし~』
「へぇ、そうなのか。知らなかったな」
自称神のジジイから得ていた情報にもなかったけど、案外魔石はいろんなものに使えるのかも。
「——ん? ということは、インクは効果増幅が必要な魔法を使うつもりなのか?」
『わかんない~』
『たぶん~?』
『ちがうつかいかたかも~?』
影兎たちがこてんと首を傾げる。
それをお互いに見て面白くなったのか、こてんこてんと右に左に頭を傾けて、『あはは~みみがゆれてる~』と笑った。
さらに一体が二本足で立ち『ゆらゆら~』とフラダンスのように揺れると、他の影兎たちも真似して揺れる。
謎のダンス兎集団が誕生した。ちょっと海中の昆布みたいに見えてシュール。
「くはっ、ふ、くふ、っ」
押し殺しきれなかった笑いが漏れる。
影兎たち、可愛いすぎでは?
『ミーシャもするにゃー』
俺が面白がっているのが伝わったのか、ミーシャが謎の対抗意識を燃やした。
お座りして、ふにゃふにゃと手や体を動かしている。
「昆布増殖……! あははっ!」
俺の周囲が変。
衝動を抑えきれなくなって、お腹を抱えて笑ってしまった。
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下準備を終えたのか、戻ってきたインクがドン引きしてるのさえも笑えた。
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