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デート
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「最近オープンして、前から気になっていたんだ。なかなか行く機会も無かったからついでだ」
「へえ~、こんな所にできてたんだ……」
遊園地を出た後、俺達はプラネタリウムにやって来た。外はもう暗くなっていたが、お互いの行きたい所に行くという事だったので、今度は俺の番だ。
「……お前絶対変な事するなよ」
「え~変な事って何?あ、さっき観覧車でキ」
「黙れ黙れ!」
さっきの事もあるので本当は一刻も早く帰りたいが、明日見だけ楽しい思いをして帰るのは癪だったので結局プラネタリウムも行くことにした。席もゆったりとしており、熱くなった顔を冷ますのにはピッタリだ。
「うわーすご……」
最新の投影機で映し出される星空を前にして、明日見も口を開けて見ている。もちろん実際の星を見るのが好きだが、美しい映像とゆったりとした解説を聞きながら星座の事を知るというのも楽しいのだ。星を見ている時だけは何もかもを忘れられて良い。隣に明日見が居る事だけは癪だが。
思い返せば、お見合いでの計画が狂ったきっかけは明日見がプラネタリウムに行こうと言い出したことだ。「星見るの好きでしょ?」という言葉で最初から俺に向けて言っていることに気付くべきだったのだ。あの時の自分を殴ってやりたい……。あれ、ということは明日見は前から俺が星を見るのが好きだと知っていたのか。なぜ知っていたのだろう。
「プラネタリウムって初めて来たけど凄かったね!俺見入っちゃったよ」
明日見はとても満足したようで楽しそうに感想を話していた。さすが最新のプラネタリウムだ、映像のクオリティも没入感もこれまで見た中でもトップクラスだった。今日は来て良かった。
「双樹くんは何で星を見るのが好きなの?」
「始めは家族で天体観測に出かけたことだな。山で見た夜空はそれはもう綺麗で子供の頃の俺には衝撃的だったんだ」
「へえ、家族で天体観測に出かけるって凄い仲良しだね」
帰り掛けの道でふと思ったことを口にした。
「そういえば、明日見家は山奥に別荘とか持ってないのか?」
「え?うーん、俺は把握してないけど……まああるんじゃないのかな」
「本当か!?星が良く見えるかもしれないぞ!是非行……」
言いかけたところで、自分一人だけで盛り上がっていたと気付いた。気持ちが昂るとどうしても一人で喋ってしまうのは俺の悪い癖だ。
「……あ、いや悪い何でも無い……」
「……うん、今度二人で行こうね」
「えっ」
こいつと初対面の奴なら一発で落ちてしまいそうな笑顔を浮かべて答えてきた。普段のからかうような顔でもなく、他人に対してやる貼り付けたような笑顔でもない。それに今までに無いくらい優しい声だったので、俺は少し動揺してしまった。
「バッバカ言え双葉と行くんだよ!」
「え~?じゃあ三人で行っても良いよ。二人でイチャイチャするのは夜でも良いもんね」
「~~っ!!」
こいつまた調子の良いことを言いやがって!
「俺さ、双樹くんが楽しそうに話してるの見るの好きなんだよね。昔から」
「……?お前やっぱり変な奴だな」
俺なんかの事が好きなんて。
「お兄ちゃんお帰りなさい!今日は遅かったね?」
「会いたかったぞ双葉!ほらお土産だ!」
出迎えてくれた双葉に癒されつつ、遊園地で買ってきたお土産を渡した。双葉の為ならと二袋分ほど買おうとしていたが明日見に止められてしまったので仕方なくぬいぐるみだけを買った。
「うわぁかわいい~!ありがとうお兄ちゃん!」
「ふふ、そうだろう!大事にするんだぞ!」
「うん!ところで、麟太郎さんとのデートは楽しかった?」
「へ」
双葉が弾ける笑顔で聞いてきたのはまさかのデートについてだった。なぜ双葉がそんな事を?
「べ、別にデートという訳では、いやデートという名目ではあるが……」
「麟太郎さんから写真送られてきたの!」
「は、写真?というか双葉、あいつと連絡を取り合ってるのか?今すぐやめなさい、変なことを吹き込まれるぞ」
焦る俺のことを気にせず、双葉が送られてきたという写真を見せてきた。これは、観覧車の中で撮った俺が明日見にキスされている写真じゃないか!明日見の奴は何でこれを双葉に送ってるんだ!?混乱やら怒りやらがこみ上げて顔に熱が集中していくのが分かる。それに、双葉にこんな写真を見られてしまったことが恥ずかしすぎる。
「心配だったけど二人がラブラブそうで安心した!良かったねお兄ちゃん!」
ゆ、許さんぞ明日見ーーーーーーッ!!
「へえ~、こんな所にできてたんだ……」
遊園地を出た後、俺達はプラネタリウムにやって来た。外はもう暗くなっていたが、お互いの行きたい所に行くという事だったので、今度は俺の番だ。
「……お前絶対変な事するなよ」
「え~変な事って何?あ、さっき観覧車でキ」
「黙れ黙れ!」
さっきの事もあるので本当は一刻も早く帰りたいが、明日見だけ楽しい思いをして帰るのは癪だったので結局プラネタリウムも行くことにした。席もゆったりとしており、熱くなった顔を冷ますのにはピッタリだ。
「うわーすご……」
最新の投影機で映し出される星空を前にして、明日見も口を開けて見ている。もちろん実際の星を見るのが好きだが、美しい映像とゆったりとした解説を聞きながら星座の事を知るというのも楽しいのだ。星を見ている時だけは何もかもを忘れられて良い。隣に明日見が居る事だけは癪だが。
思い返せば、お見合いでの計画が狂ったきっかけは明日見がプラネタリウムに行こうと言い出したことだ。「星見るの好きでしょ?」という言葉で最初から俺に向けて言っていることに気付くべきだったのだ。あの時の自分を殴ってやりたい……。あれ、ということは明日見は前から俺が星を見るのが好きだと知っていたのか。なぜ知っていたのだろう。
「プラネタリウムって初めて来たけど凄かったね!俺見入っちゃったよ」
明日見はとても満足したようで楽しそうに感想を話していた。さすが最新のプラネタリウムだ、映像のクオリティも没入感もこれまで見た中でもトップクラスだった。今日は来て良かった。
「双樹くんは何で星を見るのが好きなの?」
「始めは家族で天体観測に出かけたことだな。山で見た夜空はそれはもう綺麗で子供の頃の俺には衝撃的だったんだ」
「へえ、家族で天体観測に出かけるって凄い仲良しだね」
帰り掛けの道でふと思ったことを口にした。
「そういえば、明日見家は山奥に別荘とか持ってないのか?」
「え?うーん、俺は把握してないけど……まああるんじゃないのかな」
「本当か!?星が良く見えるかもしれないぞ!是非行……」
言いかけたところで、自分一人だけで盛り上がっていたと気付いた。気持ちが昂るとどうしても一人で喋ってしまうのは俺の悪い癖だ。
「……あ、いや悪い何でも無い……」
「……うん、今度二人で行こうね」
「えっ」
こいつと初対面の奴なら一発で落ちてしまいそうな笑顔を浮かべて答えてきた。普段のからかうような顔でもなく、他人に対してやる貼り付けたような笑顔でもない。それに今までに無いくらい優しい声だったので、俺は少し動揺してしまった。
「バッバカ言え双葉と行くんだよ!」
「え~?じゃあ三人で行っても良いよ。二人でイチャイチャするのは夜でも良いもんね」
「~~っ!!」
こいつまた調子の良いことを言いやがって!
「俺さ、双樹くんが楽しそうに話してるの見るの好きなんだよね。昔から」
「……?お前やっぱり変な奴だな」
俺なんかの事が好きなんて。
「お兄ちゃんお帰りなさい!今日は遅かったね?」
「会いたかったぞ双葉!ほらお土産だ!」
出迎えてくれた双葉に癒されつつ、遊園地で買ってきたお土産を渡した。双葉の為ならと二袋分ほど買おうとしていたが明日見に止められてしまったので仕方なくぬいぐるみだけを買った。
「うわぁかわいい~!ありがとうお兄ちゃん!」
「ふふ、そうだろう!大事にするんだぞ!」
「うん!ところで、麟太郎さんとのデートは楽しかった?」
「へ」
双葉が弾ける笑顔で聞いてきたのはまさかのデートについてだった。なぜ双葉がそんな事を?
「べ、別にデートという訳では、いやデートという名目ではあるが……」
「麟太郎さんから写真送られてきたの!」
「は、写真?というか双葉、あいつと連絡を取り合ってるのか?今すぐやめなさい、変なことを吹き込まれるぞ」
焦る俺のことを気にせず、双葉が送られてきたという写真を見せてきた。これは、観覧車の中で撮った俺が明日見にキスされている写真じゃないか!明日見の奴は何でこれを双葉に送ってるんだ!?混乱やら怒りやらがこみ上げて顔に熱が集中していくのが分かる。それに、双葉にこんな写真を見られてしまったことが恥ずかしすぎる。
「心配だったけど二人がラブラブそうで安心した!良かったねお兄ちゃん!」
ゆ、許さんぞ明日見ーーーーーーッ!!
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