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デート
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「遊園地の醍醐味といえば観覧車だよ!最後にあれ乗ろう!」
アトラクションをいくつか回ってそろそろ出ようかと思っていた頃、明日見が奥にある巨大な観覧車を指差した。あの観覧車は一周20分もする最大級の観覧車だとパンフレットに書いてあった。再びノリノリになった明日見とは反対に今度は俺のテンションが下がっていく。こいつと二人きりで密室の観覧車なんて間違いなく間違いが起こるだろ。不満を顔に出して明日見を睨みつけたが、明日見は動じずに反論してきた。
「さっき嫌がる俺を無理やり連れてったのは誰ですかー?」
「ぐ……」
「お互い様って事で、行こ!」
クソ……自分の行動がここで仇となってしまうとは。結局観覧車について行く羽目になってしまった。ゴンドラに向かい合うように座ったにも関わらず、明日見は俺の隣に座ってきた。こんな狭い空間で横に座られると圧迫感があるのでやめて欲しいが、こいつはどうせ離れてもまた隣に座ってくるだろう。俺は諦めて外を眺める事にした。さすが巨大観覧車なだけあって遊園地全体を見渡す事ができるな。おい明日見、当たり前のように手を握ってくるな。
「実はこの遊園地に来たのはね、ここの運営会社が新しく取引先になるかもしれなくて、その下見もしておこうかと思ってね。俺は遊園地に行ってみたかったし丁度いいかなって」
「え!?大企業じゃないか、よく取り込めたな」
「まあね、頑張ったのは父さんだけど」
「……俺とのデートは仕事なのか?」
「へ、いやそんな訳無いでしょ。俺はいつだって双樹くんとデートしたいと思ってるんだから」
「……」
あれ、俺は今何を心配していた?今この状況を悔しがるべきなのに、安心しようとしていたのはどうしてだ。外はもう陽が落ちかけていた。俺たちは結構な時間遊園地に居たようだ。
「あ、俺完全に忘れてた。写真撮らないといけないんだった」
明日見がふと呟いた。そうだった、そもそも目的はデートではなくデートの証拠写真じゃないか。完全に忘れて普通に遊園地を回っていたな……。
「もう帰る時に撮れば良いだろ、この観覧車をバックにでも」
「えー?せっかく観覧車乗ったんだし今撮ろうよ!」
「いや誰かに頼んで撮って貰った方が……うわっ」
ゴンドラが丁度一番上まで行った時だった。明日見は俺の肩を抱き寄せ、頬にキスをしてきた。その瞬間シャッター音が響いた。こ、こいつ、とんでもない瞬間の写真を撮りやがった!
「う……ぁ……な、な!お、お前急にっ……!」
「……ふふ、双樹くん顔真っ赤」
咄嗟に頬に手を当て体を仰け反らせるオーバーリアクションをしてしまった。明日見は嬉しそうな笑みを浮かべて言葉に詰まる俺を見つめてきた。確かにデート写真は親密そうなものを撮った方が良いだろうが、ここまでする必要無いだろ!
「後でこの写真送ってあげるね」
「いらん!」
何だこの甘ったるい空気は……これで後15分このままなんて気まずいのだが。明日見が熱の籠った目で顔を近付けてくる。
「ねえ双樹くん、もう一回ちゃんとキスしよ」
「え……いや、ん……んぅっ……!」
今度は唇を重ねてきた。角度を変えながら、何度も啄ばむようにちゅ、と柔らかい感触が伝わってくる。明日見と視線を合わせると、みるみる顔が熱くなっていくのが分かった。
ああもう、結局またこいつのペースだ!
アトラクションをいくつか回ってそろそろ出ようかと思っていた頃、明日見が奥にある巨大な観覧車を指差した。あの観覧車は一周20分もする最大級の観覧車だとパンフレットに書いてあった。再びノリノリになった明日見とは反対に今度は俺のテンションが下がっていく。こいつと二人きりで密室の観覧車なんて間違いなく間違いが起こるだろ。不満を顔に出して明日見を睨みつけたが、明日見は動じずに反論してきた。
「さっき嫌がる俺を無理やり連れてったのは誰ですかー?」
「ぐ……」
「お互い様って事で、行こ!」
クソ……自分の行動がここで仇となってしまうとは。結局観覧車について行く羽目になってしまった。ゴンドラに向かい合うように座ったにも関わらず、明日見は俺の隣に座ってきた。こんな狭い空間で横に座られると圧迫感があるのでやめて欲しいが、こいつはどうせ離れてもまた隣に座ってくるだろう。俺は諦めて外を眺める事にした。さすが巨大観覧車なだけあって遊園地全体を見渡す事ができるな。おい明日見、当たり前のように手を握ってくるな。
「実はこの遊園地に来たのはね、ここの運営会社が新しく取引先になるかもしれなくて、その下見もしておこうかと思ってね。俺は遊園地に行ってみたかったし丁度いいかなって」
「え!?大企業じゃないか、よく取り込めたな」
「まあね、頑張ったのは父さんだけど」
「……俺とのデートは仕事なのか?」
「へ、いやそんな訳無いでしょ。俺はいつだって双樹くんとデートしたいと思ってるんだから」
「……」
あれ、俺は今何を心配していた?今この状況を悔しがるべきなのに、安心しようとしていたのはどうしてだ。外はもう陽が落ちかけていた。俺たちは結構な時間遊園地に居たようだ。
「あ、俺完全に忘れてた。写真撮らないといけないんだった」
明日見がふと呟いた。そうだった、そもそも目的はデートではなくデートの証拠写真じゃないか。完全に忘れて普通に遊園地を回っていたな……。
「もう帰る時に撮れば良いだろ、この観覧車をバックにでも」
「えー?せっかく観覧車乗ったんだし今撮ろうよ!」
「いや誰かに頼んで撮って貰った方が……うわっ」
ゴンドラが丁度一番上まで行った時だった。明日見は俺の肩を抱き寄せ、頬にキスをしてきた。その瞬間シャッター音が響いた。こ、こいつ、とんでもない瞬間の写真を撮りやがった!
「う……ぁ……な、な!お、お前急にっ……!」
「……ふふ、双樹くん顔真っ赤」
咄嗟に頬に手を当て体を仰け反らせるオーバーリアクションをしてしまった。明日見は嬉しそうな笑みを浮かべて言葉に詰まる俺を見つめてきた。確かにデート写真は親密そうなものを撮った方が良いだろうが、ここまでする必要無いだろ!
「後でこの写真送ってあげるね」
「いらん!」
何だこの甘ったるい空気は……これで後15分このままなんて気まずいのだが。明日見が熱の籠った目で顔を近付けてくる。
「ねえ双樹くん、もう一回ちゃんとキスしよ」
「え……いや、ん……んぅっ……!」
今度は唇を重ねてきた。角度を変えながら、何度も啄ばむようにちゅ、と柔らかい感触が伝わってくる。明日見と視線を合わせると、みるみる顔が熱くなっていくのが分かった。
ああもう、結局またこいつのペースだ!
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