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碧の邂逅
第三百八十五話 林間学校③
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カレンが元の場所に戻る頃には四時間が経過していた。
「ふぅ。なんとか一匹だけでも捕まえられて良かったわ」
それでも一匹だけ捕まえている。
突発的に生じたコットンラビットの捕獲。巻き込まれる様な形で参加したのだが、一匹捕まえるだけでも相当な疲労。
「あれ? サナさん?」
ヨハンがいる場所に戻れば、ニコニコとしているサナとは対照的にむすっとしているのはモニカとエレナ。
「どうかしたの?」
「いえ、なんでもありませんわ」
「サナが一番最初に捕まえたんですって」
「へぇ」
ヨハンの力によるものだったとはいえ、運も実力だとばかりに言っているサナ。
「どうでもいいよあたしは」
「多いわねニーナ!?」
ホクホク顔のニーナは両手に縄で足を縛ったコットンラビットを四匹。
「早く食べようよ!」
「……そうね」
コットンラビットはただ焼くだけでも相当に美味しいという話。
「ヨハンさん?」
「なに?」
「どうせならより美味しい方が良いですよね?」
「え?」
不意の質問の意図がよくわからないのだが、可能であれば美味しいに越したことはない。誰に聞いても同じだろうと思うので小さく頷く。
「でしたら次は料理勝負ですわ!」
ビシッとサナに指を差すエレナ。
「え?」
思わずヨハンが声を漏らして見る視線の先にはカレンの姿。
(りょ、料理勝負って)
口をあんぐりと開けているカレン。
「そんなのダメに決まってるじゃない!」
エレナの提案に声を荒げたのはサナ。
「あら? 負けるのが怖いのかしら?」
「違うわよ! 言っておくけど、私料理は得意なんだから!」
「ではどうして? わたくしに遠慮など今さらでしょう?」
「もちろんよ。でもエレナさんじゃなくて、カレン先生がいるじゃないの!」
サナが指を差した先にはカレンがおり、釣られてエレナとモニカもカレンを見た。
「そんなのヨハンくん、カレン先生を婚約者にしているんだから先生のを美味しいって言うに決まってるじゃない!」
通常であれば婚約者の料理を美味しいということなど普通のこと。しかしヨハンに至っては違う。
(うん。だからサナ。そのまま料理勝負なんてしないようにお願い)
絶対にして欲しくなかった。
エレナやモニカにサナがどれだけ料理ができるのかということは詳しくは知らない。
以前エレナがクッキーをモニカと焼いた時のこと。王族らしい上品な味付けのエレナのクッキーに対して素朴だけども親しみを感じるモニカのクッキーを食べたことを思い出す。
そこからみても、二人は料理を苦手としてはいないということが見て取れた。
(たぶんサナも本当に得意なんだろうけど)
サナにしても同じで、先程二人で話している時のこと。家にいた頃のサナはよく母親の手伝いをしていたのだと。嬉しそうに料理のあれこれを話すことからしてもなんとなくわかる。
「ですのでその勝負はできません」
ハッキリと断言した。
「……確かにその通りですわね」
エレナは顎に手を送り、思案する。
(ヨハンさんだったら……――)
ヨハンであれば仮に自分の方が美味しいと思っていても、婚約者であるカレンに気を遣うかも知れない可能性があったことを失念していた。
「――……仕方ありませんわね」
小さく息を吐いて内心で同時にホッと安堵するヨハンとカレン。
「だから」
「でしたら」
同時に口を開くサナとエレナ。
「「目隠しして食べてもらわないと」いけませんわね」
二つの声が重なり、同時にニヤリと笑みを浮かべる。
「え!?」
二人の提案に思わず目を丸くさせるヨハンと口をあんぐりと開け呆けるカレン。その後ろではモニカがポンと手を叩いていた。ニーナは既に枯れ枝を集めて魔法で火を付け、コットンラビットの丸焼きを作り始め、涎を垂らしそうになりながら眺めている。
「ちょ、ちょっとそれはさすがに……――」
慌てて止めようとしたのだが、ギンッと睨みつけるサナとエレナ。
「どうして止められるのでしょうか?」
「カレン先生のを選べないかもしれないことが困るの?」
「――……い、いや、そういうわけじゃないんだけど…………」
カレンの調理したものであれば例え目隠しをしていようが当てられる自信は確実にあった。問題はそこではない。
むしろその逆。
「でしたらどうして止められるのでしょうか?」
「いや、あの、その……」
口籠りカレンを見るのだが、明らかにカレンも頭を悩ませている。
「じゃあ早くしないとニーナが全部焼いちゃうわよ?」
サナとエレナのコットンラビットを持ち出して火にかけようとしているニーナをモニカが指差した。
「「あっ!」」
慌ててニーナを止めにいくサナとエレナ。
「でしたら、調理時間は準備も併せて一時間ということで」
「望むところよ」
「しょうがないわね。私も付き合うわよ。ほらっ、いくわよニーナ」
「あっ、ちょっとお姉ちゃん!」
モニカがニーナをずるずると引っ張っていき、バチバチと睨み合いながら視線を交差させているサナとエレナ。
「え、えっとカレンさん?」
最後の希望はカレンがこれに参加しないこと。恐る恐るカレンを見る。
「だ、大丈夫よ! 言ったでしょ、コットンラビットは調理が簡単だって。わたしが参加しないとまた変な空気になっちゃうから」
「そうかもしれないですけど」
「だから任せておいて!」
苦笑いしながらカレンも調理の為に姿を消していった。
「……どうしよう」
不意に訪れた事態にヨハンは思わず頬を引き攣らせる。
「ふぅ。なんとか一匹だけでも捕まえられて良かったわ」
それでも一匹だけ捕まえている。
突発的に生じたコットンラビットの捕獲。巻き込まれる様な形で参加したのだが、一匹捕まえるだけでも相当な疲労。
「あれ? サナさん?」
ヨハンがいる場所に戻れば、ニコニコとしているサナとは対照的にむすっとしているのはモニカとエレナ。
「どうかしたの?」
「いえ、なんでもありませんわ」
「サナが一番最初に捕まえたんですって」
「へぇ」
ヨハンの力によるものだったとはいえ、運も実力だとばかりに言っているサナ。
「どうでもいいよあたしは」
「多いわねニーナ!?」
ホクホク顔のニーナは両手に縄で足を縛ったコットンラビットを四匹。
「早く食べようよ!」
「……そうね」
コットンラビットはただ焼くだけでも相当に美味しいという話。
「ヨハンさん?」
「なに?」
「どうせならより美味しい方が良いですよね?」
「え?」
不意の質問の意図がよくわからないのだが、可能であれば美味しいに越したことはない。誰に聞いても同じだろうと思うので小さく頷く。
「でしたら次は料理勝負ですわ!」
ビシッとサナに指を差すエレナ。
「え?」
思わずヨハンが声を漏らして見る視線の先にはカレンの姿。
(りょ、料理勝負って)
口をあんぐりと開けているカレン。
「そんなのダメに決まってるじゃない!」
エレナの提案に声を荒げたのはサナ。
「あら? 負けるのが怖いのかしら?」
「違うわよ! 言っておくけど、私料理は得意なんだから!」
「ではどうして? わたくしに遠慮など今さらでしょう?」
「もちろんよ。でもエレナさんじゃなくて、カレン先生がいるじゃないの!」
サナが指を差した先にはカレンがおり、釣られてエレナとモニカもカレンを見た。
「そんなのヨハンくん、カレン先生を婚約者にしているんだから先生のを美味しいって言うに決まってるじゃない!」
通常であれば婚約者の料理を美味しいということなど普通のこと。しかしヨハンに至っては違う。
(うん。だからサナ。そのまま料理勝負なんてしないようにお願い)
絶対にして欲しくなかった。
エレナやモニカにサナがどれだけ料理ができるのかということは詳しくは知らない。
以前エレナがクッキーをモニカと焼いた時のこと。王族らしい上品な味付けのエレナのクッキーに対して素朴だけども親しみを感じるモニカのクッキーを食べたことを思い出す。
そこからみても、二人は料理を苦手としてはいないということが見て取れた。
(たぶんサナも本当に得意なんだろうけど)
サナにしても同じで、先程二人で話している時のこと。家にいた頃のサナはよく母親の手伝いをしていたのだと。嬉しそうに料理のあれこれを話すことからしてもなんとなくわかる。
「ですのでその勝負はできません」
ハッキリと断言した。
「……確かにその通りですわね」
エレナは顎に手を送り、思案する。
(ヨハンさんだったら……――)
ヨハンであれば仮に自分の方が美味しいと思っていても、婚約者であるカレンに気を遣うかも知れない可能性があったことを失念していた。
「――……仕方ありませんわね」
小さく息を吐いて内心で同時にホッと安堵するヨハンとカレン。
「だから」
「でしたら」
同時に口を開くサナとエレナ。
「「目隠しして食べてもらわないと」いけませんわね」
二つの声が重なり、同時にニヤリと笑みを浮かべる。
「え!?」
二人の提案に思わず目を丸くさせるヨハンと口をあんぐりと開け呆けるカレン。その後ろではモニカがポンと手を叩いていた。ニーナは既に枯れ枝を集めて魔法で火を付け、コットンラビットの丸焼きを作り始め、涎を垂らしそうになりながら眺めている。
「ちょ、ちょっとそれはさすがに……――」
慌てて止めようとしたのだが、ギンッと睨みつけるサナとエレナ。
「どうして止められるのでしょうか?」
「カレン先生のを選べないかもしれないことが困るの?」
「――……い、いや、そういうわけじゃないんだけど…………」
カレンの調理したものであれば例え目隠しをしていようが当てられる自信は確実にあった。問題はそこではない。
むしろその逆。
「でしたらどうして止められるのでしょうか?」
「いや、あの、その……」
口籠りカレンを見るのだが、明らかにカレンも頭を悩ませている。
「じゃあ早くしないとニーナが全部焼いちゃうわよ?」
サナとエレナのコットンラビットを持ち出して火にかけようとしているニーナをモニカが指差した。
「「あっ!」」
慌ててニーナを止めにいくサナとエレナ。
「でしたら、調理時間は準備も併せて一時間ということで」
「望むところよ」
「しょうがないわね。私も付き合うわよ。ほらっ、いくわよニーナ」
「あっ、ちょっとお姉ちゃん!」
モニカがニーナをずるずると引っ張っていき、バチバチと睨み合いながら視線を交差させているサナとエレナ。
「え、えっとカレンさん?」
最後の希望はカレンがこれに参加しないこと。恐る恐るカレンを見る。
「だ、大丈夫よ! 言ったでしょ、コットンラビットは調理が簡単だって。わたしが参加しないとまた変な空気になっちゃうから」
「そうかもしれないですけど」
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