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閑話
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「ラーウェイ隊長、お待ちしてました!」
「ラノ村を調べて待てって待ちが長かったっす」
ラーウェイとナーシャが出会った日、ラノ村を調べるように言われた二人はラノ村で待っていた。
「報告を上げようにも何にもなさ過ぎて…本当に調べる必要ありましたか?」
結果から言うと調べる必要の全くない村である。
「特に何も無ければ報告はラノ村でとか言うからすっかり俺たち住民っすよ」
彼らのぼやきも無理はない。
完全な無駄骨なのだから。
「すまん!お前らに命令してたの、忘れてた!」
ラーウェイはラノ村を調べるように命令したのをすっかり忘れていた。
旅をしていてナーシャに何か隠しているような素振りが無かったこと、話を聞いても特に怪しい点が無かったことなどから『ラノ村に特別なことは無し』と結論づけてうっかりしていたのだ。
「だってあんな有能な治癒士がわざわざ行くって言うから何かあるのかって勘ぐっちまうのは仕方ないだろう?」
自分が悪い癖に拗ねて見せている。
「オッサンが口尖らせても可愛くないですよ」
「まだオッサンって年じゃない!」
「30はオッサンっす」
「28だよ!」
「ラノ村待機取り消しの伝令なり鳩なり飛ばし忘れてる時点でオッサンですね」
「村暮らしが板に付いてきた頃合いっす」
「あ、じゃあ私の代わりに――」
相変わらず顔が怖いと追い払われたラーウェイに変わって手伝ったこの二人のおかげでラノ村での行商は大成功。
無事完売で終わった。
「結局長らく村の野良仕事手伝って最後に干し肉売って…ラーウェイ隊長の魔物症治療の旅の護衛のはずだったよなぁ」
「ただ護衛するだけより時間食った気がするっす。ちゃんと手当て貰うっすよ」
「そうだな~」
干し肉完売後、村の人達に挨拶を済ませた二人は新しい命令のため朝早くラノ村を出発したのだった。
「ラノ村を調べて待てって待ちが長かったっす」
ラーウェイとナーシャが出会った日、ラノ村を調べるように言われた二人はラノ村で待っていた。
「報告を上げようにも何にもなさ過ぎて…本当に調べる必要ありましたか?」
結果から言うと調べる必要の全くない村である。
「特に何も無ければ報告はラノ村でとか言うからすっかり俺たち住民っすよ」
彼らのぼやきも無理はない。
完全な無駄骨なのだから。
「すまん!お前らに命令してたの、忘れてた!」
ラーウェイはラノ村を調べるように命令したのをすっかり忘れていた。
旅をしていてナーシャに何か隠しているような素振りが無かったこと、話を聞いても特に怪しい点が無かったことなどから『ラノ村に特別なことは無し』と結論づけてうっかりしていたのだ。
「だってあんな有能な治癒士がわざわざ行くって言うから何かあるのかって勘ぐっちまうのは仕方ないだろう?」
自分が悪い癖に拗ねて見せている。
「オッサンが口尖らせても可愛くないですよ」
「まだオッサンって年じゃない!」
「30はオッサンっす」
「28だよ!」
「ラノ村待機取り消しの伝令なり鳩なり飛ばし忘れてる時点でオッサンですね」
「村暮らしが板に付いてきた頃合いっす」
「あ、じゃあ私の代わりに――」
相変わらず顔が怖いと追い払われたラーウェイに変わって手伝ったこの二人のおかげでラノ村での行商は大成功。
無事完売で終わった。
「結局長らく村の野良仕事手伝って最後に干し肉売って…ラーウェイ隊長の魔物症治療の旅の護衛のはずだったよなぁ」
「ただ護衛するだけより時間食った気がするっす。ちゃんと手当て貰うっすよ」
「そうだな~」
干し肉完売後、村の人達に挨拶を済ませた二人は新しい命令のため朝早くラノ村を出発したのだった。
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