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レバンスからの話
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前日に売る物は完売したのですぐラノ村を立つと思っていた。
しかし朝食の席で大事な話があると言われ、食後のお茶を注文して飲んでいる。
レバンスはいつになく真剣な表情だ。
そして二人きり。
これはまさか…。
前回の旅では何度か口説かれた記憶がある。
今回はそれっぽいことはほのめかされたりはしたが決定的に口説かれる事はなかった。
(※レバンスは口説いてました)
しかし、ついに今回も求婚されるのか、何と答えるべきか…そう思うと旅を続けると言ったのは間違いだっただろうか、とまで考えが及ぶ。
「ナーシャ、ルーベン領まで来てくれる気持ちになってくれて本当に嬉しいが、だからこそ伝えなくちゃいけないことがあるんだ」
ルーベン領まで行く、がプロポーズを受けたことになっていたらどうしよう。
そんな事まで考えつつコクリと頷く。
「実は、近いうちにルーベンは独立する。正確には辺境領ルーベンとその隣のハルト領が一つの国になるんだ」
この話はナーシャは知っていた。
前回の時もそうだったからだ。
ラノ村の人達と「ここが国境近くの村になるね~」なんて呑気に話していた。
独立のニュースが入ってきた頃にはその宣言から季節が一つ移り変わっていたので、呑気に受け止めるのも仕方が無いだろう。
特に何も変わりなかった平和的な独立、といった記憶だ。
「…あれ?驚かない?」
つい無反応で聞いてしまったナーシャの態度に逆に驚いたように言われてハッとする。
前回初めて知ったときは「領が独立するなんてあるんだ」とひどく驚いたからだ。
「えっと…ごめんなさい、もう一度聞いていいですか?」
とっさに驚きすぎて聞き損ねたフリをする。
レバンスはあからさまにホッとした様子でもう一度同じ内容を告げてきた。
その間にどんなリアクションをすれば嘘くさくないか考え…浮かばなかった。
しかし考え込んだのが良かったらしい。
「信じがたいよね。でも本当なんだ。俺はルーベン領独立の為にあちこちの領主や都市の長に挨拶回りしてたんだ。最後の根回しってやつさ。反応が無いからバレてたのかと焦ったよ。一応戻るまで極秘任務なんだよ」
むしろレバンスがそんな大役を担っていたことに驚いた。
「なぜ、私に今この話を…?」
今まで大きな都市に行くと留守にしていた事情は分かった。
しかし、何故極秘任務なのにルーベンに着く前にこの話をしたのか分からない。
「そりゃ…近いうちに外国になる場所だから…この国に居れば君は貴族令嬢に戻れる。国が変わるなら残りたかったって思わせると申し訳ないからさ…。ラーウェイは任務達成後に説明すりゃいいって言ってたけど俺は後悔させたくなくて…」
レバンスの気遣いであり優しさだ。
しかし何故だろうか。
求婚の話が出てこないことを寂しく思ってしまっていた。
「…籍が必要になるから誰かと婚姻をーって話なのかとドキドキしてしまったわ」
何故だか分からない苛立ちで少しトゲのある物言いになる。
これでは結婚を催促しているみたいだ。
「! そんな無茶は言わないけどしてくれるなら喜んで」
「すぐそんな冗談言うんだから」
レバンスは本気だったのだがナーシャは心底冗談だと思った。
そしてその事に苛立っている。
(なんで私、苛立ってるのかしら…?)
そんなナーシャに言いにくそうにレバンスが言い足した。
「俺、今は平民だけど独立したら伯爵になるんだ…。ちなみにラーウェイは近衛隊隊長予定だ」
「そうなの…おめでとう」
そういえばラーウェイはどこだろう。
「そういえばラーウェイさんは朝ご飯食べないの?」
「だから俺と一緒になってくれたら伯爵夫人にはなれるんだけど…」
二人の声はほぼ同時だったため、ナーシャはレバンスの言葉を聞き損ねてしまった。
「ごめんなさい、もう一度言ってくれる?」
「あ…と、それでも一緒に来てくれるかって聞いたんだ。ラーウェイは荷物の整理をしてる。俺から伝えたくて二人にしてもらったんだ」
もちろん、と頷くナーシャに良かったと笑顔を返したレバンス。
ナーシャは何故かそのレバンスにも小さくモヤモヤしていた。
このあと、こっそり「ヘタレ」とラーウェイにレバンスが揶揄われ笑われたのは言うまでも無い。
しかし朝食の席で大事な話があると言われ、食後のお茶を注文して飲んでいる。
レバンスはいつになく真剣な表情だ。
そして二人きり。
これはまさか…。
前回の旅では何度か口説かれた記憶がある。
今回はそれっぽいことはほのめかされたりはしたが決定的に口説かれる事はなかった。
(※レバンスは口説いてました)
しかし、ついに今回も求婚されるのか、何と答えるべきか…そう思うと旅を続けると言ったのは間違いだっただろうか、とまで考えが及ぶ。
「ナーシャ、ルーベン領まで来てくれる気持ちになってくれて本当に嬉しいが、だからこそ伝えなくちゃいけないことがあるんだ」
ルーベン領まで行く、がプロポーズを受けたことになっていたらどうしよう。
そんな事まで考えつつコクリと頷く。
「実は、近いうちにルーベンは独立する。正確には辺境領ルーベンとその隣のハルト領が一つの国になるんだ」
この話はナーシャは知っていた。
前回の時もそうだったからだ。
ラノ村の人達と「ここが国境近くの村になるね~」なんて呑気に話していた。
独立のニュースが入ってきた頃にはその宣言から季節が一つ移り変わっていたので、呑気に受け止めるのも仕方が無いだろう。
特に何も変わりなかった平和的な独立、といった記憶だ。
「…あれ?驚かない?」
つい無反応で聞いてしまったナーシャの態度に逆に驚いたように言われてハッとする。
前回初めて知ったときは「領が独立するなんてあるんだ」とひどく驚いたからだ。
「えっと…ごめんなさい、もう一度聞いていいですか?」
とっさに驚きすぎて聞き損ねたフリをする。
レバンスはあからさまにホッとした様子でもう一度同じ内容を告げてきた。
その間にどんなリアクションをすれば嘘くさくないか考え…浮かばなかった。
しかし考え込んだのが良かったらしい。
「信じがたいよね。でも本当なんだ。俺はルーベン領独立の為にあちこちの領主や都市の長に挨拶回りしてたんだ。最後の根回しってやつさ。反応が無いからバレてたのかと焦ったよ。一応戻るまで極秘任務なんだよ」
むしろレバンスがそんな大役を担っていたことに驚いた。
「なぜ、私に今この話を…?」
今まで大きな都市に行くと留守にしていた事情は分かった。
しかし、何故極秘任務なのにルーベンに着く前にこの話をしたのか分からない。
「そりゃ…近いうちに外国になる場所だから…この国に居れば君は貴族令嬢に戻れる。国が変わるなら残りたかったって思わせると申し訳ないからさ…。ラーウェイは任務達成後に説明すりゃいいって言ってたけど俺は後悔させたくなくて…」
レバンスの気遣いであり優しさだ。
しかし何故だろうか。
求婚の話が出てこないことを寂しく思ってしまっていた。
「…籍が必要になるから誰かと婚姻をーって話なのかとドキドキしてしまったわ」
何故だか分からない苛立ちで少しトゲのある物言いになる。
これでは結婚を催促しているみたいだ。
「! そんな無茶は言わないけどしてくれるなら喜んで」
「すぐそんな冗談言うんだから」
レバンスは本気だったのだがナーシャは心底冗談だと思った。
そしてその事に苛立っている。
(なんで私、苛立ってるのかしら…?)
そんなナーシャに言いにくそうにレバンスが言い足した。
「俺、今は平民だけど独立したら伯爵になるんだ…。ちなみにラーウェイは近衛隊隊長予定だ」
「そうなの…おめでとう」
そういえばラーウェイはどこだろう。
「そういえばラーウェイさんは朝ご飯食べないの?」
「だから俺と一緒になってくれたら伯爵夫人にはなれるんだけど…」
二人の声はほぼ同時だったため、ナーシャはレバンスの言葉を聞き損ねてしまった。
「ごめんなさい、もう一度言ってくれる?」
「あ…と、それでも一緒に来てくれるかって聞いたんだ。ラーウェイは荷物の整理をしてる。俺から伝えたくて二人にしてもらったんだ」
もちろん、と頷くナーシャに良かったと笑顔を返したレバンス。
ナーシャは何故かそのレバンスにも小さくモヤモヤしていた。
このあと、こっそり「ヘタレ」とラーウェイにレバンスが揶揄われ笑われたのは言うまでも無い。
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