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裏切り
聖と栄の裏切り
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「どうでしょうか」
栄の大きな洋風の家に聖と見知らぬ男が顔を突き合わせていた。男の話に栄と聖は顔を見合わせて考える。その様子に男は内ポケットから茶封筒を取り出しガラス机に置いた。
「なんだ? これは」
「そろそろ失礼します。お時間を頂戴したのでお礼ですよ。良いお返事をお待ちしております」
男が栄組員に案内されて部屋から出ていくのを確認してから栄と聖は奪い会うように封筒を確認する。
「500万だぜ」
「これは俺のだ!」
「なんでだ!? わしのだ! わしの家を訪ねてきたのだからの!」
言い合う栄と聖のもとに男を送った組員が戻ってきて呆れた顔をした。
「親分・・・・・・どうするんですか」
「なにがや、山藤」
何がはないだろうと長年一緒にいる栄に自分の親分ながらあきれるとため息をついてしまう。
「あの男の誘い受けるんですか」
「「・・・」」
山藤の確認のような問いかけに栄も聖も答えなかった。
「風に~吹かれてなびく、飛んでいく~君の大切なあの子が~つかめ! 取り戻せ!Uhu-離れていく・・・・・・寂しい・・・・・・寒いかなしーいぃ」
「若? 何の歌ですか」
「ハゲの歌」
「ちょっ!? 若!」
黒木が尊の歌の内容に吹き出しかけ耐える横で隠岐と還田は爆笑していた。
「俺・・・・・・剥げたらどうしよう」
頭に手を乗せながら困った表情を浮かべる尊。隠岐は笑ったまま大丈夫だと不確定な安心を尊に与える。
「そうだといいんですけどね。で? 栄さんと聖さんはまだ」
尊がひどい歌を歌っていた場所は六本木神林組本部大会議室で幹部会で2人以外の幹部が勢ぞろいしていた。何故そんな歌を歌っていたかといえば遅刻中の片割れ栄の頭を見ればわかることであろう。
「っ! んっん・・・・・・連絡しているのですが」
笑いをこらえて湖出が尊に申し訳なさげに答える。尊は珍しいこともあるものだと空席をみるが議題進行に影響がないだろうと判断する。
「始めてしまいましょうか」
「はい、では本日最初の議題は」
「申し訳ありません! 遅れました!」
「・・・・・・」
湖出の司会進行の声を遮る大きな声とダン!という音が響く。尊はあまりの勢いと音に眉間に皺を寄せる。遅れてきたかと思えば邪魔するかのように音を鳴らし入る様は良いものではない。
「うるさいぞ・・・二朗、仁」
隠岐は我慢することなく2人に怒る。栄、聖は隠岐の声と目つきに、きゅっと肩を小さくして速足で席に座り置かれた資料を顔を隠すようにもった。
「湖出さん、続けてください」
尊の促しに湖出は2人にため息をついてから進行を初めから再開し直す。尊は手元の資料を確認しつつ遅れてきた2人が、いつもと何か違うように感じた。しかし、大したことないだろうと判断した。のちに尋ねておけばよかったと後悔することになるとは思っていなかった。
ーーー
「では、本日の幹部会は終了いたします。総長、お疲れ様でした」
湖出の言葉にひと声かけて尊が大会議室から出ていくのにほかの者たちも続く。残されたのは栄、聖、山藤、岸部の4人のみで自分たち以外が消えた大会議室に息をついた。栄と聖は落ち着かない心で幹部会に参加していたわけだが何事もなく終わってホッと一息ついた気分だ。
それは2人の後ろで控える山藤と岸部も同じ思い。
「ばれないもんだな」
「でも俺達は待っているだけでいいのか」
「堀がそういったんだから待つしかなかろう」
直接会ってこれからの計画を堀が提示した。堀は大国組の情報を自分が集め、ここというところで栄と聖の出番を設けると提案した。そしてその出番で活躍したほうが総長になればいいと栄と聖は考えた。そもそも誰が活躍したほうを決めるなど不明確さが残る。
しかし、頭の良くない栄と聖はよくわからないながらに頷いた。悲しくなるほどのあほさ加減。
「どうなるのかの」
「さての」
そしてこの会話が大会議室以外にも漏れていたことを4人は気が付いていなかった。
栄と聖に盗聴器を仕掛けた堀は馬鹿な奴らだと、にやりと笑う。
「さてと・・・・・・どっちにつこうかな。それともほかのところにするかな。関東最大暴力団組織神林組につくか、関西最大暴力団組織大国組につくか、はたまたほかの組につくか」
という堀の羨ましい悩みは急遽、答えがでることになる。
「栄組長、聖組長。あと少しで大国組について調べが付きそうです」
「おぉ!」
数日後、堀からの連絡に今まで以上にうれしそうな声を2人は上げた。鼻歌交じりに仲良く後部座席に納まる栄と聖は仲が良いといえた。びっしと決めたスーツに趣味が良いとは言えないきらめくネクタイが目立つ。
2人は大国組とことを起こす前に景気づけに豪華な食事でもどうかと堀に招待された。名前を聞けばなかなかのフランス料理の店で栄も聖はにべもなく了承して楽しみにしている。
「わざわざお越しくださりありがとうございます」
「いやぁ、わるいな」
「楽しみにしとるぞ」
店の前で堀が畏まったように2人を出迎えるために待っていた。その姿に栄も聖も当然だと胸を張り店に入る。運ばれてくる料理に満足していればいつの間にか食事は終了していた。
聖は満足していたが栄はどこか物足りなさげな表情。しかし、聖が机の下で足をけり上げ顔を普通にさせた。栄は聖にけられたことに腹を立てながら上に立つものが卑しくてはいけないと気持ちをしっかりさせる。
「これからの計画ですが」
「おぅ!」
「2人にはこれから行っていただきたいところがあります。そこでとても重要なことをしていただきます。とても大変なことですがいいですか」
「もちろんだ! 大変なことぐらい覚悟しておる」
「俺もだ」
栄と聖の答えに満足そうに頷いた堀は椅子から立ち上がった。栄も聖も移動するのかと立ち上がったが堀が指さすのを見て怪訝そうに自分たちの後ろを確認した。
「お前ら!?」
栄と聖の後ろには銃口を頭に突きつけられて捕まっている山藤、岸部。その光景の意味するところはに馬鹿な2人でもすぐに理解できた。
「裏切ったのか!?」
「裏切ったとは心外ですね? 俺はまだ仲間になるとは言っておりませんよ」
いけしゃあしゃあと笑顔でいう堀に反吐が出そうになるが栄も聖も下手に動くことはできない。子分が人質に取られている以上どうにもできない。
「紹介しますね。こちら大国組系曽我組組長曽我様です」
「よろしゅうな」
ニット帽を取り禿げ頭を見せながらふざけたように挨拶をした男こそ、堀のことを逆に調べ上げ利用した曽我である。曽我は堀の言葉をまるっと信用していなかった。盗聴器のこともすぐに気が付いていた。レベルの違いが表れた瞬間だ。
「素敵な場所に招待や」
曽我の言葉に今度こそ栄も聖も舌打ちした。
明るいオフィスの一角で2つの固まりがつるされていた。つるされた固まりを男たちが仕込みをするように叩けば悲鳴のようなうめき声が発せられる。
「ぐっ! うっ!」
「っ!」
額から流れる血が目まで降りてくるのが栄にはわかる。首から流れる血が胸まで降りてくるのが聖にはわかる。フランス料理を食べていた捕食者から一転して捌かれる側食料に栄も聖も変身していた。
つるされ拳や刃物で傷つけられている。気を失うことも許されない生き殺しのような状態だ。
「さてと、とりあえず神林尊を殺してはくれへんか」
「っ!? そんなことせん!」
息も絶え絶えの栄と聖からはっきり出た言葉は曽我に意外だという表情を浮かばせる。それは痛めつけていた曽我組員も同じ思いだ。2人の様子、行動からてっきり自分が助かるためなら親くらい売ると思っていた。
曽我は威嚇するような顔つきの栄と聖の顔を見比べると組員に聖を下ろすように指を振る。受け身を取ることもできず床に落ちた聖はうめき声を上げながら曽我を見上げた。
「提案や」
曽我の提案という言葉と共に聖の上から鈍い音と栄のうめき声にもならない音が聞こえた。聖がぱっと見上げれば口から血を流し意識をもうろうとさせている栄が目に入る。
「やめろ! 俺が変わる!」
聖は曽我の足に縋るように這いつくばる。聖はなんだかんだと昔からの付き合いの栄のことは仲間として認めていた。いや、腐れ縁という名の親友ですらあった。栄はもうろうとする意識の中、聞こえた聖の懇願する声に聖だけでも助かってほしいと願った。
「やから提案や? あれを助けたいんやったら神林尊をやれ」
しゃがみ込んだ曽我が差し出す銃を聖は凝視する。上から
「やめろ」
という声が何度もそしてどんどん大きくなりながら聖の耳をうつ。聖は2分かかって答えを出した。
尊は浮かない顔で総長室で書類仕事を片付けていた。
「若?」
「ん? ・・・・・・・なんでもない」
嫌な予感を感じていた尊のもとに木下が駆け込んできた。尊はどうしたのかと駆け寄ろうとしたが黒木がとめた。
「何があった」
「すいません! 聖組長が!」
「聖さんが」
嫌な予感が当たったかと尊の背筋を冷たいものが走る。
「酷い怪我で!」
尊は黒木の腕をかいくぐると総長室から飛び出した。エレベーターから飛び出すと入口で支えられながら立っているぼろぼろの聖の姿が目に入る。尊はすぐに聖に駆け寄り反対の肩を支えた。
「黒木! 緊急招集だ!」
自分の大切なものに手を出したことを後悔させてやるという気持ちのみが尊の心を占める。
「総長!?」
「おい! 医者だ! 吉城先生呼んで来い!」
「総長!」
「若! 若! しっかりしてください!」
栄の大きな洋風の家に聖と見知らぬ男が顔を突き合わせていた。男の話に栄と聖は顔を見合わせて考える。その様子に男は内ポケットから茶封筒を取り出しガラス机に置いた。
「なんだ? これは」
「そろそろ失礼します。お時間を頂戴したのでお礼ですよ。良いお返事をお待ちしております」
男が栄組員に案内されて部屋から出ていくのを確認してから栄と聖は奪い会うように封筒を確認する。
「500万だぜ」
「これは俺のだ!」
「なんでだ!? わしのだ! わしの家を訪ねてきたのだからの!」
言い合う栄と聖のもとに男を送った組員が戻ってきて呆れた顔をした。
「親分・・・・・・どうするんですか」
「なにがや、山藤」
何がはないだろうと長年一緒にいる栄に自分の親分ながらあきれるとため息をついてしまう。
「あの男の誘い受けるんですか」
「「・・・」」
山藤の確認のような問いかけに栄も聖も答えなかった。
「風に~吹かれてなびく、飛んでいく~君の大切なあの子が~つかめ! 取り戻せ!Uhu-離れていく・・・・・・寂しい・・・・・・寒いかなしーいぃ」
「若? 何の歌ですか」
「ハゲの歌」
「ちょっ!? 若!」
黒木が尊の歌の内容に吹き出しかけ耐える横で隠岐と還田は爆笑していた。
「俺・・・・・・剥げたらどうしよう」
頭に手を乗せながら困った表情を浮かべる尊。隠岐は笑ったまま大丈夫だと不確定な安心を尊に与える。
「そうだといいんですけどね。で? 栄さんと聖さんはまだ」
尊がひどい歌を歌っていた場所は六本木神林組本部大会議室で幹部会で2人以外の幹部が勢ぞろいしていた。何故そんな歌を歌っていたかといえば遅刻中の片割れ栄の頭を見ればわかることであろう。
「っ! んっん・・・・・・連絡しているのですが」
笑いをこらえて湖出が尊に申し訳なさげに答える。尊は珍しいこともあるものだと空席をみるが議題進行に影響がないだろうと判断する。
「始めてしまいましょうか」
「はい、では本日最初の議題は」
「申し訳ありません! 遅れました!」
「・・・・・・」
湖出の司会進行の声を遮る大きな声とダン!という音が響く。尊はあまりの勢いと音に眉間に皺を寄せる。遅れてきたかと思えば邪魔するかのように音を鳴らし入る様は良いものではない。
「うるさいぞ・・・二朗、仁」
隠岐は我慢することなく2人に怒る。栄、聖は隠岐の声と目つきに、きゅっと肩を小さくして速足で席に座り置かれた資料を顔を隠すようにもった。
「湖出さん、続けてください」
尊の促しに湖出は2人にため息をついてから進行を初めから再開し直す。尊は手元の資料を確認しつつ遅れてきた2人が、いつもと何か違うように感じた。しかし、大したことないだろうと判断した。のちに尋ねておけばよかったと後悔することになるとは思っていなかった。
ーーー
「では、本日の幹部会は終了いたします。総長、お疲れ様でした」
湖出の言葉にひと声かけて尊が大会議室から出ていくのにほかの者たちも続く。残されたのは栄、聖、山藤、岸部の4人のみで自分たち以外が消えた大会議室に息をついた。栄と聖は落ち着かない心で幹部会に参加していたわけだが何事もなく終わってホッと一息ついた気分だ。
それは2人の後ろで控える山藤と岸部も同じ思い。
「ばれないもんだな」
「でも俺達は待っているだけでいいのか」
「堀がそういったんだから待つしかなかろう」
直接会ってこれからの計画を堀が提示した。堀は大国組の情報を自分が集め、ここというところで栄と聖の出番を設けると提案した。そしてその出番で活躍したほうが総長になればいいと栄と聖は考えた。そもそも誰が活躍したほうを決めるなど不明確さが残る。
しかし、頭の良くない栄と聖はよくわからないながらに頷いた。悲しくなるほどのあほさ加減。
「どうなるのかの」
「さての」
そしてこの会話が大会議室以外にも漏れていたことを4人は気が付いていなかった。
栄と聖に盗聴器を仕掛けた堀は馬鹿な奴らだと、にやりと笑う。
「さてと・・・・・・どっちにつこうかな。それともほかのところにするかな。関東最大暴力団組織神林組につくか、関西最大暴力団組織大国組につくか、はたまたほかの組につくか」
という堀の羨ましい悩みは急遽、答えがでることになる。
「栄組長、聖組長。あと少しで大国組について調べが付きそうです」
「おぉ!」
数日後、堀からの連絡に今まで以上にうれしそうな声を2人は上げた。鼻歌交じりに仲良く後部座席に納まる栄と聖は仲が良いといえた。びっしと決めたスーツに趣味が良いとは言えないきらめくネクタイが目立つ。
2人は大国組とことを起こす前に景気づけに豪華な食事でもどうかと堀に招待された。名前を聞けばなかなかのフランス料理の店で栄も聖はにべもなく了承して楽しみにしている。
「わざわざお越しくださりありがとうございます」
「いやぁ、わるいな」
「楽しみにしとるぞ」
店の前で堀が畏まったように2人を出迎えるために待っていた。その姿に栄も聖も当然だと胸を張り店に入る。運ばれてくる料理に満足していればいつの間にか食事は終了していた。
聖は満足していたが栄はどこか物足りなさげな表情。しかし、聖が机の下で足をけり上げ顔を普通にさせた。栄は聖にけられたことに腹を立てながら上に立つものが卑しくてはいけないと気持ちをしっかりさせる。
「これからの計画ですが」
「おぅ!」
「2人にはこれから行っていただきたいところがあります。そこでとても重要なことをしていただきます。とても大変なことですがいいですか」
「もちろんだ! 大変なことぐらい覚悟しておる」
「俺もだ」
栄と聖の答えに満足そうに頷いた堀は椅子から立ち上がった。栄も聖も移動するのかと立ち上がったが堀が指さすのを見て怪訝そうに自分たちの後ろを確認した。
「お前ら!?」
栄と聖の後ろには銃口を頭に突きつけられて捕まっている山藤、岸部。その光景の意味するところはに馬鹿な2人でもすぐに理解できた。
「裏切ったのか!?」
「裏切ったとは心外ですね? 俺はまだ仲間になるとは言っておりませんよ」
いけしゃあしゃあと笑顔でいう堀に反吐が出そうになるが栄も聖も下手に動くことはできない。子分が人質に取られている以上どうにもできない。
「紹介しますね。こちら大国組系曽我組組長曽我様です」
「よろしゅうな」
ニット帽を取り禿げ頭を見せながらふざけたように挨拶をした男こそ、堀のことを逆に調べ上げ利用した曽我である。曽我は堀の言葉をまるっと信用していなかった。盗聴器のこともすぐに気が付いていた。レベルの違いが表れた瞬間だ。
「素敵な場所に招待や」
曽我の言葉に今度こそ栄も聖も舌打ちした。
明るいオフィスの一角で2つの固まりがつるされていた。つるされた固まりを男たちが仕込みをするように叩けば悲鳴のようなうめき声が発せられる。
「ぐっ! うっ!」
「っ!」
額から流れる血が目まで降りてくるのが栄にはわかる。首から流れる血が胸まで降りてくるのが聖にはわかる。フランス料理を食べていた捕食者から一転して捌かれる側食料に栄も聖も変身していた。
つるされ拳や刃物で傷つけられている。気を失うことも許されない生き殺しのような状態だ。
「さてと、とりあえず神林尊を殺してはくれへんか」
「っ!? そんなことせん!」
息も絶え絶えの栄と聖からはっきり出た言葉は曽我に意外だという表情を浮かばせる。それは痛めつけていた曽我組員も同じ思いだ。2人の様子、行動からてっきり自分が助かるためなら親くらい売ると思っていた。
曽我は威嚇するような顔つきの栄と聖の顔を見比べると組員に聖を下ろすように指を振る。受け身を取ることもできず床に落ちた聖はうめき声を上げながら曽我を見上げた。
「提案や」
曽我の提案という言葉と共に聖の上から鈍い音と栄のうめき声にもならない音が聞こえた。聖がぱっと見上げれば口から血を流し意識をもうろうとさせている栄が目に入る。
「やめろ! 俺が変わる!」
聖は曽我の足に縋るように這いつくばる。聖はなんだかんだと昔からの付き合いの栄のことは仲間として認めていた。いや、腐れ縁という名の親友ですらあった。栄はもうろうとする意識の中、聞こえた聖の懇願する声に聖だけでも助かってほしいと願った。
「やから提案や? あれを助けたいんやったら神林尊をやれ」
しゃがみ込んだ曽我が差し出す銃を聖は凝視する。上から
「やめろ」
という声が何度もそしてどんどん大きくなりながら聖の耳をうつ。聖は2分かかって答えを出した。
尊は浮かない顔で総長室で書類仕事を片付けていた。
「若?」
「ん? ・・・・・・・なんでもない」
嫌な予感を感じていた尊のもとに木下が駆け込んできた。尊はどうしたのかと駆け寄ろうとしたが黒木がとめた。
「何があった」
「すいません! 聖組長が!」
「聖さんが」
嫌な予感が当たったかと尊の背筋を冷たいものが走る。
「酷い怪我で!」
尊は黒木の腕をかいくぐると総長室から飛び出した。エレベーターから飛び出すと入口で支えられながら立っているぼろぼろの聖の姿が目に入る。尊はすぐに聖に駆け寄り反対の肩を支えた。
「黒木! 緊急招集だ!」
自分の大切なものに手を出したことを後悔させてやるという気持ちのみが尊の心を占める。
「総長!?」
「おい! 医者だ! 吉城先生呼んで来い!」
「総長!」
「若! 若! しっかりしてください!」
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