明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄

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最後の恋は神さまとでした

価値観の接点を探して/3

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 古い一軒家というデザインを売りにしていた物件だったが、リモコンを一押しでガラス窓も雨戸もきれいに閉まってゆく。孔明は縁側の上で起き上がって、天井へ何かを投げる仕草をすると、カチャッと金属が響くような音がした。彼の大きな手のひらの中には、車のキーがあった。

「車買っちゃった! 馬じゃなくて舟じゃなくて、車!」

 地上で生きたいた頃には見たこともない乗り物。

「ボクは早く走るのが好き!」

 そう言うと、パッと瞬間移動で消え去り、家の外から急発進する車の悲鳴が聞こえた。

    *

 パーティー会場のロータリーに、一台の車が猛スピードで入ってきて、急ブレーキでキキーッとタイヤ痕を石畳に残して止まった。

 正装した孔明が運転席から降りてきて、係の人に車のキーを投げ預け、他の招待客たちに紛れ、中へ入っていた。

 大きなシャンデリアの下に、様々な人々がすでに集まっていて、子供たちの姿もあちこちにあった。立食パーティで、給仕係も両脇の壁に多数控えている。

(今日は情報収集だから、お酒はほどほどに)

 人間の中では背丈が高い孔明は、聡明な瑠璃紺色の瞳を不自然にならない程度であちこちに向ける。

(ボクの背は二百三十センチある。生きていた時よりも伸びた。年齢も三十二歳になった。神界は法則が違うのかもしれない)

 脇に控えていた宮廷楽団の指揮者が両手を上げ、壮大な音楽が奏でられ、とうとうパーティが始まった。何かのお芝居でも見ているように、いきなり消えた照明に変わって、スポットライトが縦横無尽に動き出した。

「みなさん! 今宵もやってまいりました! 月に一度のお楽しみのパーティ! 司会はわたくし、ドコマデモ ツイテルです!」
「あははははっ!」

 子供たちの笑い声がどっと上がり、今も鳴っている楽器に強く混じった。

「え?」

 司会者は耳に手を添え、遠くの音を聞くように客席に神経を集中させる。

「お腹空かせてきたから、食べさせろですって? 長い話はあとにしろ?」

 スポットが一人当たっている黒いタキシードを着ていた男は、首を大きく縦に振って何度もうなずく。

「ごもっともでございます。私のお腹ももうそろそろ限界です。それでは、細かいことはあとにして、パーティーを心ゆくまでお楽しみください!」

 拍手があちこちから上がると、宮廷楽団の音楽が大きくなり、華麗にパーティーが始まった。

 とにかく、一人でこの世界にきてしまった孔明には知り合いがおらず、自分が生きていた間にあった宴とは違う、パーティーの人々の動きを最初に記憶してゆく。

 飛ぶことができる子供が、できない子たちの分の料理を取ってあげたり、瞬間移動を駆使して、突然現れる人々がいたが、ぶつかることもなく平和に楽しく時間は流れてゆく。

 仕事の関係上なのか、制服で参加している大人たちもいた。学校には制服というものは存在しないと聞いたが、国家機関では制服着用が義務づけられているという話は先日訪れた城で情報は入手済み。

 せんべいを常食しているほど、食べることが好きな孔明は、料理を口へ運びながら、大人たちをうかがっていた。すると、一人目を引く人がいた。

 人間なのだが、他の種族の人々がたくさん集まって、楽しそうに談笑している姿が見える。自分と同じように黒の長い髪を首元で縛り、瑠璃色のマントをつけて、白の上下に首元は桜色の細いリボンが色を添えていた。

「あの制服……。聖獣隊。国の特殊部隊」

 携帯義務のある剣と情報を管理するスコープは、パーティー会場ということで持ってはいなかったが、不穏分子を探し出して、いち早く対応する部隊。その男が人間ではなく、他の種族の人々と親しげに話している。

 政治と他の種族の価値観を、自分と同じ人間で見ている人物。孔明の興味がそそられないはずがなかった。

 タイミングよく歩いてきた給仕係のトレイからカクテルグラスを取って、男に近づいてゆく。同じ制服を着ている熊――アラスカクズリを手前で見つけて、春風を吹かせるように柔らかに微笑んで、好青年の雰囲気満点で話しかけた。

「あちらにいらっしゃる方はどなたですか?」

 孔明よりもさらに大きな背で鋭い瞳をしていたが、見た目とまったく違って、人がよさそうに視線を向け、すぐに答えてきた。

「あぁ、あの方は、明智 光秀さんですよ」

 見たこともなければ、やはり名前も聞いたことがない人物。特殊部隊に入るには、陛下との信頼関係は絶対だった。

「何か功績を挙げられたのですか?」
「いや~、地上で軍の指揮を取って、謀反むほんを起こしたって有名です」

 人間同士の争い事で、熊族にとっては別世界の話だった。隣に立っていた犬が本当に不思議そうな顔をする。

「どうですかね?」

 孔明と同じように戦場に立っていたとなると、ますます興味がそそられた。

「そうですか。何年前に亡くなられた方ですか?」
「四百年ほど前ですよ」
「ありがとうございます」
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