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心霊探偵はエレガントに〜karma〜
ダーツの軌跡/10
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懺悔まで秒読みに入った執事は、正直に頭を下げた。
「すまなかった」
すでに主人の手中に落ちていまっている執事。二度と毒を使わないように、神父は神へと導いてゆく――行き止まりへと誘い込む。
男ふたりで同じソファーにきちんと距離を保って座っていたが、不意にそれが崩れた。崇剛は涼介へと身を静かに乗り出して、さーっと衣擦れの音が体の奥深くに刻まれるように響いた。
「私に許してほしいのですか?」
主人は知っている、執事の勘が鋭いことを。ただ座っている状態で近づけば、逃げるのは当たり前だが、崇剛の中ではきちんと計算されていた。
涼介は酔っています。
ですから、いつもよりも感覚が鈍っているという可能性が78.98%――
意識がぼうっとしている涼介は、取り繕うような表面上の会話に、とりあえず返事を返す。
「まぁ、そうだな」
しかし、残りの21.02%が、執事の胸の奥底で警報を鳴らすのだった。
(ん、変だな? 気のせいか?)
考えている隙に、崇剛は両手でソファーを押し込み、優雅にその上をさーっという音をまたさせて横滑りをし、標的との距離をさらに縮めた。
「それでは、私と約束をしていただけますか?」
警戒心を持たれるような内容に一気に持っていった崇剛。いつもなら、執事は聞き返すだろう。しかし、罠は何重にも仕掛けられていて、策略家の中での勝算は増すばかりだった。
私のこちらの言葉にあなたがうなずけば……。
罠を発動させることができるという可能性が99.99%――
私が近づくと、あなたは冷静に返答ができないという可能性99.12%――
まるでパブロフの犬。条件反射で、涼介は崇剛から遠ざかろうと体をねじり、背筋を肘掛に沿うようにそらした。
「……や、約束?」
一気に縮められた距離に、心臓がバクバク言い始め、なぜ近づいたのか主人に涼介は問い詰めることができなくなってしまっていた。
追いかけるように主人も体をねじらせ、片膝をソファーの上へ乗せ、ロングブーツのもう片方の足は床に落としたまま、両手を涼介の腰の脇へ拘束するように置いた。
私の言葉にあなたがうなずくという可能性は67.78%――
少し低いです。
ですから、以下の行動で可能性を高くします。
勝利をほしがる策略家が本気で動いてきた。涼介の腰下にある黒革のソファーは、崇剛の体重をさらにかけられて、深く深く海底へ向かって沈むように押し込まれる。
シートが斜め前へと角度を落とし、涼介が崇剛のほうへ滑り落ちそうになる。それから逃れるために、肘掛を後ろ手でしっかりつかんだ。
じわりじわり忍び寄るBLというシチュエーションを前にして、涼介は落ち着きなく上下に見るを繰り返す、獣を思わせるように四つんばいになっている崇剛を。
(ど、どんな罠を仕掛ける気だ?)
主人の神経質な手は涼介の腰から、頬の両脇へと一気に持っていかれた。
「っ!」
崇剛が涼介をソファーの上で完全に押し倒している格好で動きはひとまず止まった。冷静な水色の瞳と純粋なベビーブルーの瞳は一直線に絡まり合う。
「…………」
「…………」
ガス灯の明かりが主人と執事――男ふたりの影をまるで服を脱いでいるように、妖しげにゆらゆらと背後の壁へ映し出す。
策略的な屋敷の主人によって人払いされた部屋。誰もこない。この先、どんな状況になっても。
私の言葉にあなたがうなずくという可能性は87.64%――
さらに可能性を上げましょう。
負けず嫌いな主人によって、冷酷非道な方法が実行される。崇剛は涼介を見下ろしたまま、顔を近づけてゆく。
「すまなかった」
すでに主人の手中に落ちていまっている執事。二度と毒を使わないように、神父は神へと導いてゆく――行き止まりへと誘い込む。
男ふたりで同じソファーにきちんと距離を保って座っていたが、不意にそれが崩れた。崇剛は涼介へと身を静かに乗り出して、さーっと衣擦れの音が体の奥深くに刻まれるように響いた。
「私に許してほしいのですか?」
主人は知っている、執事の勘が鋭いことを。ただ座っている状態で近づけば、逃げるのは当たり前だが、崇剛の中ではきちんと計算されていた。
涼介は酔っています。
ですから、いつもよりも感覚が鈍っているという可能性が78.98%――
意識がぼうっとしている涼介は、取り繕うような表面上の会話に、とりあえず返事を返す。
「まぁ、そうだな」
しかし、残りの21.02%が、執事の胸の奥底で警報を鳴らすのだった。
(ん、変だな? 気のせいか?)
考えている隙に、崇剛は両手でソファーを押し込み、優雅にその上をさーっという音をまたさせて横滑りをし、標的との距離をさらに縮めた。
「それでは、私と約束をしていただけますか?」
警戒心を持たれるような内容に一気に持っていった崇剛。いつもなら、執事は聞き返すだろう。しかし、罠は何重にも仕掛けられていて、策略家の中での勝算は増すばかりだった。
私のこちらの言葉にあなたがうなずけば……。
罠を発動させることができるという可能性が99.99%――
私が近づくと、あなたは冷静に返答ができないという可能性99.12%――
まるでパブロフの犬。条件反射で、涼介は崇剛から遠ざかろうと体をねじり、背筋を肘掛に沿うようにそらした。
「……や、約束?」
一気に縮められた距離に、心臓がバクバク言い始め、なぜ近づいたのか主人に涼介は問い詰めることができなくなってしまっていた。
追いかけるように主人も体をねじらせ、片膝をソファーの上へ乗せ、ロングブーツのもう片方の足は床に落としたまま、両手を涼介の腰の脇へ拘束するように置いた。
私の言葉にあなたがうなずくという可能性は67.78%――
少し低いです。
ですから、以下の行動で可能性を高くします。
勝利をほしがる策略家が本気で動いてきた。涼介の腰下にある黒革のソファーは、崇剛の体重をさらにかけられて、深く深く海底へ向かって沈むように押し込まれる。
シートが斜め前へと角度を落とし、涼介が崇剛のほうへ滑り落ちそうになる。それから逃れるために、肘掛を後ろ手でしっかりつかんだ。
じわりじわり忍び寄るBLというシチュエーションを前にして、涼介は落ち着きなく上下に見るを繰り返す、獣を思わせるように四つんばいになっている崇剛を。
(ど、どんな罠を仕掛ける気だ?)
主人の神経質な手は涼介の腰から、頬の両脇へと一気に持っていかれた。
「っ!」
崇剛が涼介をソファーの上で完全に押し倒している格好で動きはひとまず止まった。冷静な水色の瞳と純粋なベビーブルーの瞳は一直線に絡まり合う。
「…………」
「…………」
ガス灯の明かりが主人と執事――男ふたりの影をまるで服を脱いでいるように、妖しげにゆらゆらと背後の壁へ映し出す。
策略的な屋敷の主人によって人払いされた部屋。誰もこない。この先、どんな状況になっても。
私の言葉にあなたがうなずくという可能性は87.64%――
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負けず嫌いな主人によって、冷酷非道な方法が実行される。崇剛は涼介を見下ろしたまま、顔を近づけてゆく。
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