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心霊探偵はエレガントに〜karma〜
Karma-因果応報-/13
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「今世の話ではありません、今しているのは。前世の話です。あなたが原因となり、他の罪のない人たちまで巻き添えにしているのです。夜見二丁目の交差点では馬車同士の衝突事故が六回も起き、その度に品物が破損し、そちらの道を通ろうとしていた人たちに遅延が生じた。そちらだけでも、被害を被る人は数え切れないほどたくさんいるのです。己自身の言動によって、どれだけの人や物事にどれほどの影響を与えるのか考えたことはありますか? 大人のする言動ではありませんよ。今世でも、あなたの知らないところで、どなたかの恨みを買っているかもしれません」
未だ元の手のひらの中では、真っ赤な血が泉のように湧き出しては、ぽたりぽたりと床に滴り落ちている、幻覚を見ていた。
「ど、どういうことだ? 他の人間……。それも俺のせいなのか?」
聖霊師は気にせず、容疑者を次のゲームの盤上へ無理やり引っ張り上げた。
「涼子さんの一千万と千恵さんの五千万の保険金は、どちらの国の保険会社を使ったのですか?」
まだまだ発展途上国の花冠。電気が通っているのは役所だけ。ガス灯が自宅にある家は珍しかった。
花冠国では、数千万の保険金を払える保険会社はありません。
間に幾つかの会社を通していたのでしょう。
国立氏も気づいていませんでしたからね。
少しはわかる金の話になったので、元は何とか自分のターンでコマをひとつ進めた。
「そ、それは関係するんですか?」
犯罪者の心の中は、怒りで荒れ狂っていた。
(な、何でそんなことまで言わなくちゃいけないんだ! 勝手に落ちたり、病気になって死んだんだろ!)
圧勝という盤上を前にして、崇剛は優雅に足を組み替え、ワンゲーム中一回しかできないキャスリングを計算済みで、いきなり初手で使ってきた。
「えぇ、関係しますよ。あなたにとっての重要性は非常に高いです。お金を大切にしていましたよね?」
チェスのグラウンドマスターである聖霊師を前にして、容疑者はゲームのルールもわからないまま、見様見真似でポーンをひとつ前へ進ませた。
「シュトライツ王国です」
「そうですか」
崇剛はポーカフェイスのまま短く相づちを打ち、キングへ迫る勢いでコマを置いた。
「ですが、保険金は入ってこないかもしれませんね」
(邪神界側はあなたに対して、もう既に別の作戦を取っているかもしれません)
元は驚いて、ワンターン見逃した。
「ど、どういうことですか? 金が入ってこない?」
ターンがめぐってきた聖霊師は優雅に微笑みながら、元のクイーンをポーン軽く弾いた。
「シュトライツ王国の情勢は知っていますか?」
そう聞き返す、崇剛の脳裏には、国立を通して、元を逮捕した時の新聞を読む姿が鮮明に浮かんでいた。
今朝見てきた新聞の小さな記事――惑星の裏側で起きている国の出来事を思い出して、元は笑い話でも聞いたように、一気に緊張感がとけた。
「あ~、あれは……あははっ! ただの小競り合いでしょう」
「違うかもしれませんよ」
霊的に見ている崇剛には急に真剣な顔つきになって、首を横へ振った。
「まさか、千年以上も続いた王国が滅びるわけないでしょう。金も技術も持ってるし、世界の中心――」
「千年以上続いたから、滅びないとは言い切れませんよ」
崇剛は可能性の話をしていた。そうして、密かに、ラジュの反応を待っていたが、金髪天使はニコニコしているだけで、何も言わなかった。
喜べることではない。だから、崇剛の冷静な水色の瞳は一瞬閉じられ、再び開けられると、金第一主義の殺人犯を一気にチェックメイトした。
「シュトライツ王国は崩壊――します」
(事実として確定、100%です)
普通の人ではわからないし、理解もできない話。まだ起こっていない未来の出来事。
遠い空の下にある他国の民衆の暴動。今回が初めてのこと。元は当然甘く見ていた。
未だ元の手のひらの中では、真っ赤な血が泉のように湧き出しては、ぽたりぽたりと床に滴り落ちている、幻覚を見ていた。
「ど、どういうことだ? 他の人間……。それも俺のせいなのか?」
聖霊師は気にせず、容疑者を次のゲームの盤上へ無理やり引っ張り上げた。
「涼子さんの一千万と千恵さんの五千万の保険金は、どちらの国の保険会社を使ったのですか?」
まだまだ発展途上国の花冠。電気が通っているのは役所だけ。ガス灯が自宅にある家は珍しかった。
花冠国では、数千万の保険金を払える保険会社はありません。
間に幾つかの会社を通していたのでしょう。
国立氏も気づいていませんでしたからね。
少しはわかる金の話になったので、元は何とか自分のターンでコマをひとつ進めた。
「そ、それは関係するんですか?」
犯罪者の心の中は、怒りで荒れ狂っていた。
(な、何でそんなことまで言わなくちゃいけないんだ! 勝手に落ちたり、病気になって死んだんだろ!)
圧勝という盤上を前にして、崇剛は優雅に足を組み替え、ワンゲーム中一回しかできないキャスリングを計算済みで、いきなり初手で使ってきた。
「えぇ、関係しますよ。あなたにとっての重要性は非常に高いです。お金を大切にしていましたよね?」
チェスのグラウンドマスターである聖霊師を前にして、容疑者はゲームのルールもわからないまま、見様見真似でポーンをひとつ前へ進ませた。
「シュトライツ王国です」
「そうですか」
崇剛はポーカフェイスのまま短く相づちを打ち、キングへ迫る勢いでコマを置いた。
「ですが、保険金は入ってこないかもしれませんね」
(邪神界側はあなたに対して、もう既に別の作戦を取っているかもしれません)
元は驚いて、ワンターン見逃した。
「ど、どういうことですか? 金が入ってこない?」
ターンがめぐってきた聖霊師は優雅に微笑みながら、元のクイーンをポーン軽く弾いた。
「シュトライツ王国の情勢は知っていますか?」
そう聞き返す、崇剛の脳裏には、国立を通して、元を逮捕した時の新聞を読む姿が鮮明に浮かんでいた。
今朝見てきた新聞の小さな記事――惑星の裏側で起きている国の出来事を思い出して、元は笑い話でも聞いたように、一気に緊張感がとけた。
「あ~、あれは……あははっ! ただの小競り合いでしょう」
「違うかもしれませんよ」
霊的に見ている崇剛には急に真剣な顔つきになって、首を横へ振った。
「まさか、千年以上も続いた王国が滅びるわけないでしょう。金も技術も持ってるし、世界の中心――」
「千年以上続いたから、滅びないとは言い切れませんよ」
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喜べることではない。だから、崇剛の冷静な水色の瞳は一瞬閉じられ、再び開けられると、金第一主義の殺人犯を一気にチェックメイトした。
「シュトライツ王国は崩壊――します」
(事実として確定、100%です)
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