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心霊探偵はエレガントに〜karma〜
Time of judgement/20
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天使同士の決闘がひと段落したところで、ラジュのおどけが声が割って入ってきた。
「そこまでにしましょうか~? ダルレシアンのセリフみたいですよ~」
意見交換をしていた崇剛とダルレシアンに天使たちの視線が注がれた。
「力は加減はしてある。心配しないで」
「そうですか」
和解はできた。優雅に微笑んだ崇剛の隣で、魔導師は後ろ手にして、体でCの字を作るように、可愛らしく傾けた。
「ん~? また試しちゃった~」
策略だったと言われて、崇剛は怒るでもなく驚くでもなく、意味ありげに微笑んだ。
「最初にわざと説明せずに、私の反応を見たのですね?」
会話の順番がおかしかった。わざと罠に乗ってみせた。怒っている振りというカモフラージュをして。
罠の仕掛け合い――至福の時、策略家にとっては。
ダルレシアンは春風が吹いたようにふんわりと笑う。
「ふふっ、そう」
「あなたという人は、おかしな人ですね」
崇剛は手のひらを空を向けて、顔の位置と同じ高さまで持ち上げ、優雅に降参のポーズを取った。この男の中は全て数字でできている。人との距離感も感情も何もかもが明確。
「そうかも?」
悪戯少年みたいに、認めもせず否定もせず、ダルレシアンは言ってのけた。通常ならば種明かししない。崇剛との距離感という感情の数値がある一定にまで上がったから、逆に教えてしまったほうが関係は良好になると、ダルレシアンは踏んだのだ。
和んでいる人間ふたりの耳に、凛とした澄んだ女性的な声が注意を呼びかけた。
「おや? このままでは消滅しますよ~、ふたりとも~」
崇剛の細く神経質な右手が細身の白いズボンのポケットに当てられ、千里眼の持ち主は慌てることなく、迫ってきた数字の羅列を読み取り、
(51712……。十七時十七分十二秒。Stopの魔法をかけてから、あと五秒で、五分経ってしまう……)
崇剛が残り時間を告げようとしている隣で、ダルレシアンは癖で自分の爪をじっと見つめて、春風まじりの好青年の声を響かせた。
「あと五秒」
優雅な聖霊師は見抜いた――。ダルレシアンの癖が何を意味しているのか、可能性から導き出して、彼のエレガントな笑みはより一層深くなった。
「えぇ……二、一。召喚魔法が解けるまで、残り一分四十秒」
遊線が螺旋を描きながらも、芯のある優雅な声がカウントダウンを終えると、すべたが正常に動き出した。
ドガーンッ!
敵の軍勢に次々に打ち込まれる砲弾。魂が消滅しているように見えるが、ギリギリいっぱいの攻撃で倒れ、天使たちが手際よく大忙しで魂を浄化し始めた。
陣地へ一旦戻ってきた中心となる天使たち六人。
合気の達人であるカミエと宗教バカはすぐさま、敵の戦場真っ只中へ瞬間移動し、白い袴と修験者の服で、ふんだんに使われるそれぞれの技を繰り出す姿は、聖なるもので美しく動き続けていた。
それとは反対に、高みの見物と決め込んでいる、金髪天使はニコニコ微笑みながら、土偶と逢瀬を重ねている遺跡バカの名を呼んだ。
「クリュダ?」
声色は澄んではいたが、その裏にはブラックホールも真っ青な腹黒さが潜んでいた。
愛しの恋人――土偶から、クリュダは顔を上げて、優しさで満ちあふれた蒼色の瞳は、邪悪と言っても過言ではないサファイアブルーのそれに向けられ、
「はい、何でしょう?」
ラジュとクリュダの間に立っているシズキは、白いロングブーツをクロスさせながら、腕組みをしていた。コートと銀色の長い髪を風になびかせながら、これから何が起きるのか容易に想像ができた。
どうやって超不機嫌になってしまう顔で、スミレ色の瞳は左のラジュ、右のクリュダに向けるを繰り返し始める。
シズキの予想を裏切らず、ラジュの綺麗な唇からはこんな言葉が出てきた。
「実は、もうひとつとっておきの情報があるのです」
「どのようなものですか?」
「あの幻の化石――ガステガの全身が綺麗に残っているものが、敵の中央あたりの地面に埋まっているそうです~」
「本当ですかっ!?」
クリュダが目の色を変えている隣で、シズキは人差し指にしているアーマーリングの尖った先で、自分のあごをすうっとなぞる。
(貴様らの会話にバリエーションという言葉はないのか?)
「そこまでにしましょうか~? ダルレシアンのセリフみたいですよ~」
意見交換をしていた崇剛とダルレシアンに天使たちの視線が注がれた。
「力は加減はしてある。心配しないで」
「そうですか」
和解はできた。優雅に微笑んだ崇剛の隣で、魔導師は後ろ手にして、体でCの字を作るように、可愛らしく傾けた。
「ん~? また試しちゃった~」
策略だったと言われて、崇剛は怒るでもなく驚くでもなく、意味ありげに微笑んだ。
「最初にわざと説明せずに、私の反応を見たのですね?」
会話の順番がおかしかった。わざと罠に乗ってみせた。怒っている振りというカモフラージュをして。
罠の仕掛け合い――至福の時、策略家にとっては。
ダルレシアンは春風が吹いたようにふんわりと笑う。
「ふふっ、そう」
「あなたという人は、おかしな人ですね」
崇剛は手のひらを空を向けて、顔の位置と同じ高さまで持ち上げ、優雅に降参のポーズを取った。この男の中は全て数字でできている。人との距離感も感情も何もかもが明確。
「そうかも?」
悪戯少年みたいに、認めもせず否定もせず、ダルレシアンは言ってのけた。通常ならば種明かししない。崇剛との距離感という感情の数値がある一定にまで上がったから、逆に教えてしまったほうが関係は良好になると、ダルレシアンは踏んだのだ。
和んでいる人間ふたりの耳に、凛とした澄んだ女性的な声が注意を呼びかけた。
「おや? このままでは消滅しますよ~、ふたりとも~」
崇剛の細く神経質な右手が細身の白いズボンのポケットに当てられ、千里眼の持ち主は慌てることなく、迫ってきた数字の羅列を読み取り、
(51712……。十七時十七分十二秒。Stopの魔法をかけてから、あと五秒で、五分経ってしまう……)
崇剛が残り時間を告げようとしている隣で、ダルレシアンは癖で自分の爪をじっと見つめて、春風まじりの好青年の声を響かせた。
「あと五秒」
優雅な聖霊師は見抜いた――。ダルレシアンの癖が何を意味しているのか、可能性から導き出して、彼のエレガントな笑みはより一層深くなった。
「えぇ……二、一。召喚魔法が解けるまで、残り一分四十秒」
遊線が螺旋を描きながらも、芯のある優雅な声がカウントダウンを終えると、すべたが正常に動き出した。
ドガーンッ!
敵の軍勢に次々に打ち込まれる砲弾。魂が消滅しているように見えるが、ギリギリいっぱいの攻撃で倒れ、天使たちが手際よく大忙しで魂を浄化し始めた。
陣地へ一旦戻ってきた中心となる天使たち六人。
合気の達人であるカミエと宗教バカはすぐさま、敵の戦場真っ只中へ瞬間移動し、白い袴と修験者の服で、ふんだんに使われるそれぞれの技を繰り出す姿は、聖なるもので美しく動き続けていた。
それとは反対に、高みの見物と決め込んでいる、金髪天使はニコニコ微笑みながら、土偶と逢瀬を重ねている遺跡バカの名を呼んだ。
「クリュダ?」
声色は澄んではいたが、その裏にはブラックホールも真っ青な腹黒さが潜んでいた。
愛しの恋人――土偶から、クリュダは顔を上げて、優しさで満ちあふれた蒼色の瞳は、邪悪と言っても過言ではないサファイアブルーのそれに向けられ、
「はい、何でしょう?」
ラジュとクリュダの間に立っているシズキは、白いロングブーツをクロスさせながら、腕組みをしていた。コートと銀色の長い髪を風になびかせながら、これから何が起きるのか容易に想像ができた。
どうやって超不機嫌になってしまう顔で、スミレ色の瞳は左のラジュ、右のクリュダに向けるを繰り返し始める。
シズキの予想を裏切らず、ラジュの綺麗な唇からはこんな言葉が出てきた。
「実は、もうひとつとっておきの情報があるのです」
「どのようなものですか?」
「あの幻の化石――ガステガの全身が綺麗に残っているものが、敵の中央あたりの地面に埋まっているそうです~」
「本当ですかっ!?」
クリュダが目の色を変えている隣で、シズキは人差し指にしているアーマーリングの尖った先で、自分のあごをすうっとなぞる。
(貴様らの会話にバリエーションという言葉はないのか?)
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