君との空へ【BL要素あり・短編おまけ完結】

Motoki

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緋い記憶

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 痙攣する腕を伸ばし、彬に手を差し伸べる。こうまでしても、彬の足は地面に貼り付いたように、ピクリともしてくれなかった。

 そのくせ一方では冷静に、酷く動揺した運転手が救急車を呼ぶ声を聞いている。

 これ以上の地獄なんてない。だって、コポコポと血を吐き出しながら自分を呼ぶ親友に、この足は、動く事すらしなかったのだから。

 ――どうして、動いてやれなかったんだろう。駆け寄って、その手を取ってやれなかったんだろう。



 どうして、夕焼けよりも緋い視界に、顔を近付けてやれなかったんだろう。

 どうして、一番不安であろうあいつの傍に、ひざまず跪いてやれなかったんだろう。

 どうしてッ!



 ――『大丈夫だ』

 そう言って、やれなかったんだろう。

 親友、だったのに……!

 後悔は鎖となり、もう償えない罪として彬を縛り付ける。あの日からずっと、彬の手は虚無を掴んでいる。掴むべき手を、失ったから……。


 あの日から、サッカーはもうやらないと決めた。
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