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緋い記憶
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「ヘタクソ! 彬」
ボールを追いかけながら振り返った時任俊介が、ブンブンと腕を振る。
「ワリィ!」
アハハッと笑って応えた彬は、次の瞬間、凍りついた。
――『危ないッ!』
その言葉すら声に出せず、俊介の体は軽々と宙に舞った。一瞬にして、俊介が視界から消える。
「俊介ェ!」
叫んだ彬は、弾かれるようにして駆け出した。公園の入口で足を止め、急停車した車の先に視線を向ける。
目に入ったのは、緋い夕陽。そして、人形のようにグッタリと横たわる親友の姿。
「あっ……!」
彬は制服の胸の部分をギュッと掴んで、動けなくなった。
血塗れの顔が、こちらに向いている。虚ろな瞳は只、夕陽の輝きと、彬の姿をぼんやりと映していた。
まるで、地獄のようだと思う。もちろん地獄など見た事はないが、これ以上の地獄なんてある筈がなかった。
「あ……き……」
微かに動いた唇から、血と共に掠れた声が洩れ出る。
――俺を、呼んでる。
それでも彬の足は動いてくれず、そのまま立ち尽くした。
「……あ……あ…」
ボールを追いかけながら振り返った時任俊介が、ブンブンと腕を振る。
「ワリィ!」
アハハッと笑って応えた彬は、次の瞬間、凍りついた。
――『危ないッ!』
その言葉すら声に出せず、俊介の体は軽々と宙に舞った。一瞬にして、俊介が視界から消える。
「俊介ェ!」
叫んだ彬は、弾かれるようにして駆け出した。公園の入口で足を止め、急停車した車の先に視線を向ける。
目に入ったのは、緋い夕陽。そして、人形のようにグッタリと横たわる親友の姿。
「あっ……!」
彬は制服の胸の部分をギュッと掴んで、動けなくなった。
血塗れの顔が、こちらに向いている。虚ろな瞳は只、夕陽の輝きと、彬の姿をぼんやりと映していた。
まるで、地獄のようだと思う。もちろん地獄など見た事はないが、これ以上の地獄なんてある筈がなかった。
「あ……き……」
微かに動いた唇から、血と共に掠れた声が洩れ出る。
――俺を、呼んでる。
それでも彬の足は動いてくれず、そのまま立ち尽くした。
「……あ……あ…」
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