君との空へ【BL要素あり・短編おまけ完結】

Motoki

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緋い記憶

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 ゆっくりと隆哉の視線が下りてきて、男に注がれる。

「ショックっていうか、面倒くさいな……」

 それが本音。

 隆哉にとっては自分に関係ない人物から嫌われようが、ケンカを売られようが、なんの問題もなかった。好かれようとは思わないし、ケンカを買う気もない。殴りたいと言うのなら、殴らせてやるだけだ。

 しかし今回は、相手が悪い。なんとしてでも相手から本心を聞き出さなくてはならないし、ゆっくりと時間をかけている場合でもない。

 ――『面倒くさい』

 まさにピッタリとくる感情だったが、それすらも隆哉にとっては他人の思いのように、どこか遠くで感じる感覚でしかなかった。

「ねえ。苦しくないの? そんな血だらけで」

 止めどなく血の流れる男の額に指先で触れる。それで何が楽になる訳でもない。この男の苦痛を取り除くには、『方法』は一つしかないのだから。

「ハハ。苦しいに決まってんだろ。こうやってお前と話すだけでも、気が狂いそうなんだぜ。少しはお前にも解るだろう? この痛み」

「それでもここから、動かないワケ? みちなら俺が、示してやれるのに」
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