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白い影
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「あんたと、友達になった憶えはないけど。俺は只……」
「『時任の依憑を叶えるために』だろ」
隆哉の言葉を引き継いだ彬は、うんざりと肩を竦めてみせた。
「聞き飽きたよ、んな台詞。だからちゃんと言ったろ? 俺。『俊介の依憑は関係なく、一緒に帰んねぇ?』ってさ」
黒い硝子の瞳が、感情なく彬の顔を映す。
「お言葉だけど。何か用があるのは確かでしょ」
「なんでそー思うよ?」
フイッと彬から顔を逸らせた隆哉は、彬の脇をすり抜けるようにして歩き出した。
「だって、俺は寄る所があるって言ったんだよ。友達として只一緒に帰るだけって言うんなら、その寄る場所を訊いて、方向が一緒なら「じゃ、途中まで」とかって事になるでしょ、普通。でもあんたは場所も訊かず『途中まででも』って言ったじゃないか。あれは、俺に何か用があるからでしょ」
靴箱へと向かう隆哉の少し後ろについて歩きながら、彬はバツが悪そうに鼻の頭を掻いた。
「まぁ、当たってるよ。――でもなぁ、別に用事がある時だけ、お前に声かけるんじゃねぇからな。お前は友達じゃねぇって言うけど、俺はそうは思わねぇからな」
「『時任の依憑を叶えるために』だろ」
隆哉の言葉を引き継いだ彬は、うんざりと肩を竦めてみせた。
「聞き飽きたよ、んな台詞。だからちゃんと言ったろ? 俺。『俊介の依憑は関係なく、一緒に帰んねぇ?』ってさ」
黒い硝子の瞳が、感情なく彬の顔を映す。
「お言葉だけど。何か用があるのは確かでしょ」
「なんでそー思うよ?」
フイッと彬から顔を逸らせた隆哉は、彬の脇をすり抜けるようにして歩き出した。
「だって、俺は寄る所があるって言ったんだよ。友達として只一緒に帰るだけって言うんなら、その寄る場所を訊いて、方向が一緒なら「じゃ、途中まで」とかって事になるでしょ、普通。でもあんたは場所も訊かず『途中まででも』って言ったじゃないか。あれは、俺に何か用があるからでしょ」
靴箱へと向かう隆哉の少し後ろについて歩きながら、彬はバツが悪そうに鼻の頭を掻いた。
「まぁ、当たってるよ。――でもなぁ、別に用事がある時だけ、お前に声かけるんじゃねぇからな。お前は友達じゃねぇって言うけど、俺はそうは思わねぇからな」
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