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白い影
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秀行の呟きに、隆哉が頷いた。手は胸にあてたままで、目を閉じる。
「そう。彼女はね、それがないと君と友達になれないと思ってる。一緒に、遊んでもらえないって。――だから、君と仲良くなるヤツが気に入らない。憎くて憎くて、羨ましくて仕方がない。『なんで証しがないのに、友達になれるんだ。私の友達を取らないで』って。そう、思ってるんだ」
言いながら、隆哉の視線が彬へと向けられた。
「特に、あんたには強くね」
「その、『友達の証し』ってのがなんなのかは、判んねぇのかよ?」
彬の問いに、隆哉は握っていた手をゆっくりと開き、虚ろな視線でそれを見下ろした。暫くそうした後、小さく首を振る。
「判らない。もしかしたら、彼女自身もそれが何なのか、忘れてしまっているのかもしれない。只、とても気をつけてそれを握っていたよ。潰さないようにって」
「潰さないように?」
「うん。だから、ちゃんと思い出してあげてね、彼女の事。――『ひぃちゃん』」
「なっ……!」
隆哉の台詞に赤面した秀行に、ププッと彬が笑う。
「なんだよ、それぇ? その『ひぃちゃん』っての」
「そう。彼女はね、それがないと君と友達になれないと思ってる。一緒に、遊んでもらえないって。――だから、君と仲良くなるヤツが気に入らない。憎くて憎くて、羨ましくて仕方がない。『なんで証しがないのに、友達になれるんだ。私の友達を取らないで』って。そう、思ってるんだ」
言いながら、隆哉の視線が彬へと向けられた。
「特に、あんたには強くね」
「その、『友達の証し』ってのがなんなのかは、判んねぇのかよ?」
彬の問いに、隆哉は握っていた手をゆっくりと開き、虚ろな視線でそれを見下ろした。暫くそうした後、小さく首を振る。
「判らない。もしかしたら、彼女自身もそれが何なのか、忘れてしまっているのかもしれない。只、とても気をつけてそれを握っていたよ。潰さないようにって」
「潰さないように?」
「うん。だから、ちゃんと思い出してあげてね、彼女の事。――『ひぃちゃん』」
「なっ……!」
隆哉の台詞に赤面した秀行に、ププッと彬が笑う。
「なんだよ、それぇ? その『ひぃちゃん』っての」
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