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碧の癒し
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石段を上がりきると、最初に目に入ってきたのは、注連縄が巻かれた大きな御神木だった。
正面に立つ社殿よりも余程存在感がある。でんと堂々たる態度で、上がってきた者達を「よく来たな」と迎え入れる。
その御神木の前に立ち、幹を伝ってゆっくりと視線を上げていった彬は、その大きさに圧倒された。てっぺんを見る事が出来ず、枝についた葉が黒い影を落としている。しかし微かに揺れる枝葉の隙間からは、ちらちらと陽暮れのオレンジ色の光が洩れ出でていた。
瞬きも忘れ、呼吸すらも忘れて見上げる彬の耳に、微かな声が届く。何度も耳を掠めるその声を無視して、苛立ちの声音が混じり始めてやっと、彬は顔を廻らせた。
「なんだよ」
微かに顔を顰める隆哉を見て顔を逸らせた彬は、密かにほくそ笑んだ。ズリ落ちかけたカバンを小脇に抱え直し、足を踏み出す。
相沢の感情ある顔を見ると、なんだか楽しくなる。安心するのかもしれない。こいつも人間なのだと。ちゃんと、『今』を生きているのだと……。
例えそれが、『怒り』や『苛立ち』であったとしても。
正面に立つ社殿よりも余程存在感がある。でんと堂々たる態度で、上がってきた者達を「よく来たな」と迎え入れる。
その御神木の前に立ち、幹を伝ってゆっくりと視線を上げていった彬は、その大きさに圧倒された。てっぺんを見る事が出来ず、枝についた葉が黒い影を落としている。しかし微かに揺れる枝葉の隙間からは、ちらちらと陽暮れのオレンジ色の光が洩れ出でていた。
瞬きも忘れ、呼吸すらも忘れて見上げる彬の耳に、微かな声が届く。何度も耳を掠めるその声を無視して、苛立ちの声音が混じり始めてやっと、彬は顔を廻らせた。
「なんだよ」
微かに顔を顰める隆哉を見て顔を逸らせた彬は、密かにほくそ笑んだ。ズリ落ちかけたカバンを小脇に抱え直し、足を踏み出す。
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【参考資料】
「国盗り物語」 司馬遼太郎 新潮社
「地図と読む 現代語訳 信長公記」 太田 牛一 (著) 中川太古 (翻訳) KADOKAWA
東浦町観光協会ホームページ
Wikipedia
【表紙画像】
歌川豊宣, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で
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