君との空へ【BL要素あり・短編おまけ完結】

Motoki

文字の大きさ
193 / 215
蒼い約束

24

しおりを挟む
 新しい家々が、閑散と立ち並んでいる。空き地も多い。新興住宅地とでも言うのだろうか。紺色のアスファルトもそこに引かれた白い車線も、やけに真新しく見えた。

 ふと見ると、誰もいない道路の向こう側。

 イギリスにでもありそうな小洒落た街灯の下に、小さな三毛猫がチョコンと座っている。足を止めた彬に視線を向けると、「ミャー」と子猫特有の甘えた声で鳴いた。

「どーした? こんなトコで何してる?」

 問いに答えるように、「ミャー」と鳴く。肩を竦めて歩き出そうとした彬に、子猫はもう一度「ミャー」と鳴いた。

「もしかして。呼んでんのか、俺の事?」

 角度を変えた所為で、子猫の瞳が妖しく光る。「ミャーゥゥ」と肯定するように間延びした声で鳴くと、子猫はジッと彬を見つめた。

「なんだよ、なんだよ。俺を呼びつけるなんて、十年早ぇよ。お前に道訊いても、判んねぇだろうしよ」

 ガリガリと頭を掻いて、彬は子猫の方へと足を踏み出した。

 子猫の瞳が、傾き始めた陽の光を受けてもう一度光る。彬はその瞳に引き込まれるようにして、道路を横切った。



 それは、あまりに『唐突』だった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

余命僅かな大富豪を看取って、円満に未亡人になるはずでした

ぜんだ 夕里
恋愛
傾きかけた家を救うため、私が結んだのはあまりにも不謹慎な契約――余命いくばくもない大富豪の辺境伯様と結婚し、彼の最期を穏やかに看取ることで莫大な遺産を相続する、というものだった。 しかし、人の死を利用して富を得るなど不正義! そう考えた私が立てたのは、前代未聞の計画。 「そうだ、遺産が残らないくらい贅沢の限りを尽くしてもらえば、すべて丸く収まるじゃない!」

★【完結】棘のない薔薇(作品230327)

菊池昭仁
恋愛
聡と辛い別れをした遥はその傷が癒えぬまま、学生時代のサークル仲間、光一郎と寂しさから結婚してしまい、娘の紅葉が生まれてしあわせな日々を過ごしていた。そんな時、遙の会社の取引先の商社マン、冴島と出会い、遙は恋に落ちてしまう。花を売るイタリアンレストラン『ナポリの黄昏』のスタッフたちはそんな遥をやさしく見守る。都会を漂う男と女。傷つけ傷つけられて愛が加速してゆく。

裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する

克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。

後宮薬師は名を持たない

由香
キャラ文芸
後宮で怪異を診る薬師・玉玲は、母が禁薬により処刑された過去を持つ。 帝と皇子に迫る“鬼”の気配、母の遺した禁薬、鬼神の青年・玄曜との出会い。 救いと犠牲の狭間で、玉玲は母が選ばなかった選択を重ねていく。 後宮が燃え、名を失ってもなお―― 彼女は薬師として、人として、生きる道を選ぶ。

Husband's secret (夫の秘密)

設楽理沙
ライト文芸
果たして・・ 秘密などあったのだろうか! むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ  10秒~30秒?  何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。 ❦ イラストはAI生成画像 自作

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

失恋までが初恋です。

あんど もあ
ファンタジー
私の初恋はお兄様。お兄様は、私が五歳の時にご両親を亡くして我が家にやって来て私のお兄様になってくださった方。私は三歳年上の王子様のようなお兄様に一目ぼれでした。それから十年。お兄様にはルシンダ様と言う婚約者が、私にも婚約者らしき者がいますが、初恋は続行中ですの。 そんなマルティーナのお話。

処理中です...