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蒼い約束
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新しい家々が、閑散と立ち並んでいる。空き地も多い。新興住宅地とでも言うのだろうか。紺色のアスファルトもそこに引かれた白い車線も、やけに真新しく見えた。
ふと見ると、誰もいない道路の向こう側。
イギリスにでもありそうな小洒落た街灯の下に、小さな三毛猫がチョコンと座っている。足を止めた彬に視線を向けると、「ミャー」と子猫特有の甘えた声で鳴いた。
「どーした? こんなトコで何してる?」
問いに答えるように、「ミャー」と鳴く。肩を竦めて歩き出そうとした彬に、子猫はもう一度「ミャー」と鳴いた。
「もしかして。呼んでんのか、俺の事?」
角度を変えた所為で、子猫の瞳が妖しく光る。「ミャーゥゥ」と肯定するように間延びした声で鳴くと、子猫はジッと彬を見つめた。
「なんだよ、なんだよ。俺を呼びつけるなんて、十年早ぇよ。お前に道訊いても、判んねぇだろうしよ」
ガリガリと頭を掻いて、彬は子猫の方へと足を踏み出した。
子猫の瞳が、傾き始めた陽の光を受けてもう一度光る。彬はその瞳に引き込まれるようにして、道路を横切った。
それは、あまりに『唐突』だった。
ふと見ると、誰もいない道路の向こう側。
イギリスにでもありそうな小洒落た街灯の下に、小さな三毛猫がチョコンと座っている。足を止めた彬に視線を向けると、「ミャー」と子猫特有の甘えた声で鳴いた。
「どーした? こんなトコで何してる?」
問いに答えるように、「ミャー」と鳴く。肩を竦めて歩き出そうとした彬に、子猫はもう一度「ミャー」と鳴いた。
「もしかして。呼んでんのか、俺の事?」
角度を変えた所為で、子猫の瞳が妖しく光る。「ミャーゥゥ」と肯定するように間延びした声で鳴くと、子猫はジッと彬を見つめた。
「なんだよ、なんだよ。俺を呼びつけるなんて、十年早ぇよ。お前に道訊いても、判んねぇだろうしよ」
ガリガリと頭を掻いて、彬は子猫の方へと足を踏み出した。
子猫の瞳が、傾き始めた陽の光を受けてもう一度光る。彬はその瞳に引き込まれるようにして、道路を横切った。
それは、あまりに『唐突』だった。
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