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【転移53日目】 所持金7547億6023万ウェン 「せめて善良な殺人者でありたい」
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久々にゆっくり起きる。
先日からヒルダがリハビリを勧めてくるのだが妙に気が乗らない。
「では今度、褥リハビリを試してみましょう。」
耳元で妖艶に囁いて来る。
この女、何の躊躇いもなく色香を使って来るな。
褥リハビリとやらで介護されてみたかったので、素直に真面目な方のリハビリを開始することにする。
と言っても、腿や手首の付け根をピクピク動かすだけである。
正直、こんなもので身体が修復するとは思えないのだが、エリクサーよりは効き目がある事は何となく想像がつく。
コレットがニコニコしながら、俺の左手の握力を確かめてくれる。
《小遣いやるからたまには遊びに行って来いよ。》
前にそう言ったら凄く怒られたので、何も言わない。
「リン・コリンズの妻としての品位と格式」
これが最近のコレットの口癖だ。
公職に就いてしまった以上、彼女の矜持はあながち大袈裟でもない。
…折角、カネがあるんだからステルスしたかったよなあ。
==========================
日課の散歩。
神殿の周りを車椅子でキコキコ周るだけ。
地味な絵面に見えるかも知れないが、結構な重労働である。
最新式の無反動車椅子をフルチューンしてはいるのだが、左手の握力喪失と右手の腱鞘炎癖をカバーする事は到底不可能である。
頑張って一周した頃に、連邦からの早馬が到着していた。
「大使職辞任の件に関しては再考をお願いしたく存じます!」
挨拶もなしに第一声がそれである。
あのなあ。
再考もへったくれも、俺が辞めるって言ったら辞めるんだよ。
固定資産税払ってやったんだから、もう十分だろう。
「そして!
こちらが主席閣下並びに議会からの嘆願状で御座います!」
早馬氏は言うなり、分厚い冊子を俺の顔に押し付けて来る。
ホント、こいつらデリカシー無いよね。
どうせ嘆願状とやらの内容もロクでもないものなんだろう?
==========================
【嘆願状 要約】
1、300億ウェン分の復興債を起債して売り捌け。
2、内戦は収まったので自由都市の物流業者を再誘致しろ。
3、内戦時に自由都市事業者が被った被害に対する損害賠償を踏み倒せ。
4、外洋貿易をやってみたいので何とかしろ。
5、全ての国外業者に穀物の買取を拒絶されて困っているので解決しろ。
6、外貨が欲しいので工場を誘致しておけ。
7、冒険者ギルドが機能停止したままなので何とかしろ。
8、教団への債務を集計した所、連邦全体で400億ウェンに膨れているので解決しろ。
==========================
全部要求じゃねーーか!!!!!!
俺は連邦人でも何でもないっつーの!!!!!!!
「大使閣下、何とかならんですか?」
早馬は下馬もせずに上から俺の顔を覗き込んで来る。
無礼極まりない態度だが、悪気はなさそうである。
聞けばミュラーの甥にあたる人物らしく、眉の傲岸なラインが妙に似ている。
==========================
【リン・コリンズ回答】
1、300億ウェン分の復興債を発行して売り捌け。
どうせ誰も買わない。 コリンズ家から300億出してやるので、これで復興せよ。
2、内戦は収まったので自由都市の物流業者を再誘致しろ。
まずは外国人に対するマナー向上を図れ、詳しくは《国土論》を読め。
3、内戦時に自由都市事業者が被った被害に対する損害賠償を踏み倒せ。
コリンズ家が代位弁済しておくので、ポーズだけでも殊勝な態度を取れ。
4、外洋貿易をやってみたいので何とかしろ。
まずは海岸沿いの住民がこれまで海賊行為を働いていなかったかを調査しておけ。
5、全ての国外業者に穀物の買取を拒絶されて困っているので解決しろ。
余剰に関しては買い上げてやる。
酒造用原料に回し過ぎない様に。
6、外貨が欲しいので工場を誘致しておけ。
まずは工場労働者として通用する人材を揃えておくように。
7、冒険者ギルドが債務超過で機能停止したままなので何とかしろ。
債務はコリンズ家で負担するので、そこから先は連邦政府が自助努力せよ。
ギルド長にはケヴィン・ケルヒャーを推挙する。
8、教団への債務を集計した所、連邦全体で400億ウェンに膨れているので解決しろ。
(えっとゴメン。
この間、ゲオルグ様は100億だけって仰ってたんですけど?
隠れ債務って奴ですか? もうこれで最後ですよ?
これ以上の後出しは本当にやめて下さいね!?)
コリンズ家の名を出さないと約束出来るなら全額を供出する。
加えて、神聖教団からの以降の借り入れを禁止する。
9、国土論を読め!
==========================
「おお! 流石は大使閣下ですな!
叔父上の人選の賜物です!!」
…癪だが正しい感想だ。
あの老害コンビは、仕事の押し付け先を見極めるセンスが高い。
「大使閣下から他に要望ありますか!?」
『じゃあ、この辞任届を渡しておいて。』
「畏まりました!
それじゃあ、女を買ってから帰ります!」
そのまま砂塵を俺に吹き付けながら小ミュラーは去っていった。
内心、登楼することしか考えてなかったのだろう。
とうとう下馬はおろか、轡から親指一本抜かずじまいであった。
とてつもない野蛮人である。
…だからこそカネでカバー出来ない部分への利用価値が大きいのだが。
==========================
【所持金】
7135億7230万ウェン
↓
6815億7230万ウェン
↓
6517億7230万ウェン
↓
6462億7230万ウェン
↓
6449億1230万ウェン
↓
6439億3230万ウェン
↓
6039億3230万ウェン
※連邦領復興予算として300億ウェンを供出
※自由都市事業者被害者の会へ298億ウェンを代位弁済
※小麦11万トンを55億ウェンで買い上げ
※大麦17万トンを13億6000万ウェンで買い上げ
※連邦冒険者ギルドの債務9億8000万ウェンを代位弁済
※神聖教団からの債務400億ウェンを代位弁済
==========================
ふー。
派手に散財させられてしまった。
あんな連中と関わってたら幾らカネがあっても足りないぜ。
《1510億ウェンの配当が支払われました。》
==========================
【所持金】
6039億3230万ウェン
↓
7549億3230万ウェン
※1510億ウェンの配当を受け取り。
【試供品在庫】
エリクサー 780ℓ
↓
エリクサー 975ℓ
↓
エリクサー 900ℓ
※195ℓの試供品在庫を補充
※ポールソン営業部長に75ℓを支給
==========================
夕方になって、魔族の連中がやって来る。
身なりを見る限り、あまり良い暮らしは出来ていないようだ。
種族差に加えて貧富の格差がある為か、周辺住民の目線は冷ややかである。
もっとも、賢明な自由都市民は、魔族の安価な労働力が自分達を潤している事もよく知っている。
なので魔族が弁えている限りは、積極的に危害を加えて来ることはない。
自由都市に差別は存在しない。
彼らがホールが借りれなかったり債券が売れないのは、資本主義的な偶然に過ぎないのだ。
人類も魔族もみな等しく同じ街に住む仲間なのだ。
この自由都市に差別はなく、人間も魔族も法の下に平等である。
但し連邦人は除く。
「どうもー。」
「ここで合ってますよね?」
「いやー、夜勤の疲れが抜けなくて」
戦没者慰霊集会はそこそこの規模なのか、60名近い魔族が集まって来る。
へえ、色々な種族の連合国家と聞いた事はあるけど
結構多彩だな。
あそこにいる大柄なグループはオークという種族だろうか?
他にも猫の様な耳が生えている者も居た。
「あ、はじめまして。
神殿を管理されておられる方ですよね?」
『あ、はい。
コリンズと申します。
座ったままで失礼します。』
「ああ、いえいえ。
私も弟が戦争で足をやってしまって。
杖を手放せなくなったんです。」
『ああ、それは痛ましいことですね。
御快癒を願っております。』
「ははは。
膝の骨が変な砕け方をしてしまって
回復は無理でしょう。」
『…。』
==========================
【試供品在庫】
エリクサー 900ℓ
↓
エリクサー 880ℓ
※20ℓの試供品を新規市場開拓の目的で配布
==========================
外に出て来たコレットと魔族たちの慰霊集会を遠目から見学する。
特に人間のやっている事と大差ない。
死者の名前を読み上げ、生者が未来への決意を述べるだけである。
1人のゴブリンが最前列に並んでいた老人達に慰問の言葉を投げ掛けて行く。
席次から見て、老人たちは直近の戦没者遺族なのだろうか?
最後にそのゴブリンが皆に演説をして式典は終わった。
恐らく、周辺住民を刺激しない為の配慮であろう。
魔族たちは来た時同様に腰を屈めて、一言の私語もせずに去って行く。
時間にして2時間なかったと思う。
供物も演奏も無かったが、ただ悲痛な弔意と固い決意だけは伝わって来た。
「失礼… 貴方はもしかして…」
帰宅しようとした俺達はふと背後から声を掛けられる。
『はい、何か?』
見れば、さっき演説していたゴブリンである。
「やはりそうだ!
あの… 総合債券市場では失礼しました!」
『ああ! ロータリーの!』
「あの時は本当にご迷惑をお掛けしました!
聞けば私の所為で後続車両の方とトラブルになってしまったと!」
『ああ、いえいえ。
先方には謝罪を申し上げて、ちゃんと許して頂いております。』
「ほ、本当に何と申し上げて良いのやら…」
『いえいえ。
私も折角話しかけて下さったのに
ちゃんと応対出来ずに心苦しく思っていたのです。』
「あの時は!
戦時国債の購入のお礼を申し上げたかったのです!
募集期間中、誰からも相手にされずに…
精神的にかなり参っていたので。」
『思い出した。
確か元首の方でありましたね。
2度の欠礼をお許し下さい。』
「はい!
魔界の魔王職を務めております、ギーガーと申します。
この度は戦時国債の御購入、誠にありがとうございました!」
『私如きに御丁寧な挨拶痛み入ります。
この神殿を運営しているリン・コリンズと申します。
国債の件は、利息目当ての卑しい買い物に過ぎません。
魔王閣下に感謝される謂われはありませんよ。』
「…あの!
折角購入して頂いておきながら申し上げにくい事なのですが。」
『はい?』
「調達させて頂いた資金を上手く使えなさそうです。」
『ああ! 兵糧ですね?
そうか、ゲルグ氏の従兄弟というのは閣下の事でしたか。
失礼、頭の中で上手く噛み合わず。』
「ええ、この神殿をゲルグに提供して下さった方に是非とも御礼申し上げたかったのですが…
まさかコリンズ様だったとは。」
『兵糧、やはり買えませんでしたか?』
「はい。
購入にハードルがある事は重々承知していたですが…
まさか全ての商社から取引を断られてしまうとまでは想定しておらず。
…故国の臣民たちに何と言って詫びれば良いのか。」
『…魔族の方も、大麦や小麦を召し上がられるのですか?』
「はい?」
==========================
【所持金】
7549億3230万ウェン
↓
7549億0430万ウェン
↓
7548億1630万ウェン
↓
7547億6023万ウェン
※(株)大西洋ロジティクスに運送料として2800万ウェン支払
※コンドラチェフ陸送隊に運送料・傭車料として8800万ウェン支払
※(株)リバティック海運に傭船料として5607万ウェン支払(623万ウェン×9日)
==========================
「コリンズ様、最後に教えてくれませんか?」
『はい。』
「貴方は何故我々を助けてくれるのですか?」
『…上手く言語化出来ません。
ただ、貴方が斃れてしまった世界は
きっと生き苦しいものとなるのでしょう。』
「…どうすれば貴方に報いる事が出来ますか?」
『閣下はきっと善良で温厚な君主なのだと思います。
なので、閣下の治世が続けば、きっと世界は安定し
巡り巡って、私や私の家族・友人が恩恵を受けるのではないでしょうか。
すみません。
全然答えになってませんね。』
「いえ、肝に銘じます。」
『魔王閣下。
港まで同道したいのですが、この身体です。
ここで見送る無礼をお許し下さい。』
「いえ、コリンズ様には何から何まで…」
『閣下、御武運を。』
誰かの武運が叶う時、誰かの夫や息子が死ぬ。
祈らなくとも死ぬ。
カネを出しても死ぬ。
出された反対側の陣営ではもっと死ぬ。
俺は、せめて善良な殺人者でありたいし、弁えた殺人者であらねばならない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【名前】
リン・コリンズ
【職業】
エナジードリンク製造業
駐自由都市同盟 連邦大使 (辞任申請中)
連邦政府財政顧問
【称号】
ファウンダーズ・クラウン・エグゼクティブ・プラチナム・ダイアモンド・アンバサダー信徒
【ステータス】
《LV》 25
《HP》 (2/4)
《MP》 (4/4)
《腕力》 1
《速度》 2
《器用》 2
《魔力》 2
《知性》 3
《精神》 6
《幸運》 1
《経験》 2億0074万2418ポイント
次のレベルまで残り902万1646ポイント
【スキル】
「複利」
※日利25%
下9桁切上
【所持金】
所持金7547億6023万ウェン
※バベル銀行の10億ウェン預入証書保有
※国際産業道路98号線交通債100億ウェン分を保有
※第11次魔族領戦時国債200億ウェン分を保有
【試供品在庫】
エリクサー 880ℓ
先日からヒルダがリハビリを勧めてくるのだが妙に気が乗らない。
「では今度、褥リハビリを試してみましょう。」
耳元で妖艶に囁いて来る。
この女、何の躊躇いもなく色香を使って来るな。
褥リハビリとやらで介護されてみたかったので、素直に真面目な方のリハビリを開始することにする。
と言っても、腿や手首の付け根をピクピク動かすだけである。
正直、こんなもので身体が修復するとは思えないのだが、エリクサーよりは効き目がある事は何となく想像がつく。
コレットがニコニコしながら、俺の左手の握力を確かめてくれる。
《小遣いやるからたまには遊びに行って来いよ。》
前にそう言ったら凄く怒られたので、何も言わない。
「リン・コリンズの妻としての品位と格式」
これが最近のコレットの口癖だ。
公職に就いてしまった以上、彼女の矜持はあながち大袈裟でもない。
…折角、カネがあるんだからステルスしたかったよなあ。
==========================
日課の散歩。
神殿の周りを車椅子でキコキコ周るだけ。
地味な絵面に見えるかも知れないが、結構な重労働である。
最新式の無反動車椅子をフルチューンしてはいるのだが、左手の握力喪失と右手の腱鞘炎癖をカバーする事は到底不可能である。
頑張って一周した頃に、連邦からの早馬が到着していた。
「大使職辞任の件に関しては再考をお願いしたく存じます!」
挨拶もなしに第一声がそれである。
あのなあ。
再考もへったくれも、俺が辞めるって言ったら辞めるんだよ。
固定資産税払ってやったんだから、もう十分だろう。
「そして!
こちらが主席閣下並びに議会からの嘆願状で御座います!」
早馬氏は言うなり、分厚い冊子を俺の顔に押し付けて来る。
ホント、こいつらデリカシー無いよね。
どうせ嘆願状とやらの内容もロクでもないものなんだろう?
==========================
【嘆願状 要約】
1、300億ウェン分の復興債を起債して売り捌け。
2、内戦は収まったので自由都市の物流業者を再誘致しろ。
3、内戦時に自由都市事業者が被った被害に対する損害賠償を踏み倒せ。
4、外洋貿易をやってみたいので何とかしろ。
5、全ての国外業者に穀物の買取を拒絶されて困っているので解決しろ。
6、外貨が欲しいので工場を誘致しておけ。
7、冒険者ギルドが機能停止したままなので何とかしろ。
8、教団への債務を集計した所、連邦全体で400億ウェンに膨れているので解決しろ。
==========================
全部要求じゃねーーか!!!!!!
俺は連邦人でも何でもないっつーの!!!!!!!
「大使閣下、何とかならんですか?」
早馬は下馬もせずに上から俺の顔を覗き込んで来る。
無礼極まりない態度だが、悪気はなさそうである。
聞けばミュラーの甥にあたる人物らしく、眉の傲岸なラインが妙に似ている。
==========================
【リン・コリンズ回答】
1、300億ウェン分の復興債を発行して売り捌け。
どうせ誰も買わない。 コリンズ家から300億出してやるので、これで復興せよ。
2、内戦は収まったので自由都市の物流業者を再誘致しろ。
まずは外国人に対するマナー向上を図れ、詳しくは《国土論》を読め。
3、内戦時に自由都市事業者が被った被害に対する損害賠償を踏み倒せ。
コリンズ家が代位弁済しておくので、ポーズだけでも殊勝な態度を取れ。
4、外洋貿易をやってみたいので何とかしろ。
まずは海岸沿いの住民がこれまで海賊行為を働いていなかったかを調査しておけ。
5、全ての国外業者に穀物の買取を拒絶されて困っているので解決しろ。
余剰に関しては買い上げてやる。
酒造用原料に回し過ぎない様に。
6、外貨が欲しいので工場を誘致しておけ。
まずは工場労働者として通用する人材を揃えておくように。
7、冒険者ギルドが債務超過で機能停止したままなので何とかしろ。
債務はコリンズ家で負担するので、そこから先は連邦政府が自助努力せよ。
ギルド長にはケヴィン・ケルヒャーを推挙する。
8、教団への債務を集計した所、連邦全体で400億ウェンに膨れているので解決しろ。
(えっとゴメン。
この間、ゲオルグ様は100億だけって仰ってたんですけど?
隠れ債務って奴ですか? もうこれで最後ですよ?
これ以上の後出しは本当にやめて下さいね!?)
コリンズ家の名を出さないと約束出来るなら全額を供出する。
加えて、神聖教団からの以降の借り入れを禁止する。
9、国土論を読め!
==========================
「おお! 流石は大使閣下ですな!
叔父上の人選の賜物です!!」
…癪だが正しい感想だ。
あの老害コンビは、仕事の押し付け先を見極めるセンスが高い。
「大使閣下から他に要望ありますか!?」
『じゃあ、この辞任届を渡しておいて。』
「畏まりました!
それじゃあ、女を買ってから帰ります!」
そのまま砂塵を俺に吹き付けながら小ミュラーは去っていった。
内心、登楼することしか考えてなかったのだろう。
とうとう下馬はおろか、轡から親指一本抜かずじまいであった。
とてつもない野蛮人である。
…だからこそカネでカバー出来ない部分への利用価値が大きいのだが。
==========================
【所持金】
7135億7230万ウェン
↓
6815億7230万ウェン
↓
6517億7230万ウェン
↓
6462億7230万ウェン
↓
6449億1230万ウェン
↓
6439億3230万ウェン
↓
6039億3230万ウェン
※連邦領復興予算として300億ウェンを供出
※自由都市事業者被害者の会へ298億ウェンを代位弁済
※小麦11万トンを55億ウェンで買い上げ
※大麦17万トンを13億6000万ウェンで買い上げ
※連邦冒険者ギルドの債務9億8000万ウェンを代位弁済
※神聖教団からの債務400億ウェンを代位弁済
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ふー。
派手に散財させられてしまった。
あんな連中と関わってたら幾らカネがあっても足りないぜ。
《1510億ウェンの配当が支払われました。》
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【所持金】
6039億3230万ウェン
↓
7549億3230万ウェン
※1510億ウェンの配当を受け取り。
【試供品在庫】
エリクサー 780ℓ
↓
エリクサー 975ℓ
↓
エリクサー 900ℓ
※195ℓの試供品在庫を補充
※ポールソン営業部長に75ℓを支給
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夕方になって、魔族の連中がやって来る。
身なりを見る限り、あまり良い暮らしは出来ていないようだ。
種族差に加えて貧富の格差がある為か、周辺住民の目線は冷ややかである。
もっとも、賢明な自由都市民は、魔族の安価な労働力が自分達を潤している事もよく知っている。
なので魔族が弁えている限りは、積極的に危害を加えて来ることはない。
自由都市に差別は存在しない。
彼らがホールが借りれなかったり債券が売れないのは、資本主義的な偶然に過ぎないのだ。
人類も魔族もみな等しく同じ街に住む仲間なのだ。
この自由都市に差別はなく、人間も魔族も法の下に平等である。
但し連邦人は除く。
「どうもー。」
「ここで合ってますよね?」
「いやー、夜勤の疲れが抜けなくて」
戦没者慰霊集会はそこそこの規模なのか、60名近い魔族が集まって来る。
へえ、色々な種族の連合国家と聞いた事はあるけど
結構多彩だな。
あそこにいる大柄なグループはオークという種族だろうか?
他にも猫の様な耳が生えている者も居た。
「あ、はじめまして。
神殿を管理されておられる方ですよね?」
『あ、はい。
コリンズと申します。
座ったままで失礼します。』
「ああ、いえいえ。
私も弟が戦争で足をやってしまって。
杖を手放せなくなったんです。」
『ああ、それは痛ましいことですね。
御快癒を願っております。』
「ははは。
膝の骨が変な砕け方をしてしまって
回復は無理でしょう。」
『…。』
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【試供品在庫】
エリクサー 900ℓ
↓
エリクサー 880ℓ
※20ℓの試供品を新規市場開拓の目的で配布
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外に出て来たコレットと魔族たちの慰霊集会を遠目から見学する。
特に人間のやっている事と大差ない。
死者の名前を読み上げ、生者が未来への決意を述べるだけである。
1人のゴブリンが最前列に並んでいた老人達に慰問の言葉を投げ掛けて行く。
席次から見て、老人たちは直近の戦没者遺族なのだろうか?
最後にそのゴブリンが皆に演説をして式典は終わった。
恐らく、周辺住民を刺激しない為の配慮であろう。
魔族たちは来た時同様に腰を屈めて、一言の私語もせずに去って行く。
時間にして2時間なかったと思う。
供物も演奏も無かったが、ただ悲痛な弔意と固い決意だけは伝わって来た。
「失礼… 貴方はもしかして…」
帰宅しようとした俺達はふと背後から声を掛けられる。
『はい、何か?』
見れば、さっき演説していたゴブリンである。
「やはりそうだ!
あの… 総合債券市場では失礼しました!」
『ああ! ロータリーの!』
「あの時は本当にご迷惑をお掛けしました!
聞けば私の所為で後続車両の方とトラブルになってしまったと!」
『ああ、いえいえ。
先方には謝罪を申し上げて、ちゃんと許して頂いております。』
「ほ、本当に何と申し上げて良いのやら…」
『いえいえ。
私も折角話しかけて下さったのに
ちゃんと応対出来ずに心苦しく思っていたのです。』
「あの時は!
戦時国債の購入のお礼を申し上げたかったのです!
募集期間中、誰からも相手にされずに…
精神的にかなり参っていたので。」
『思い出した。
確か元首の方でありましたね。
2度の欠礼をお許し下さい。』
「はい!
魔界の魔王職を務めております、ギーガーと申します。
この度は戦時国債の御購入、誠にありがとうございました!」
『私如きに御丁寧な挨拶痛み入ります。
この神殿を運営しているリン・コリンズと申します。
国債の件は、利息目当ての卑しい買い物に過ぎません。
魔王閣下に感謝される謂われはありませんよ。』
「…あの!
折角購入して頂いておきながら申し上げにくい事なのですが。」
『はい?』
「調達させて頂いた資金を上手く使えなさそうです。」
『ああ! 兵糧ですね?
そうか、ゲルグ氏の従兄弟というのは閣下の事でしたか。
失礼、頭の中で上手く噛み合わず。』
「ええ、この神殿をゲルグに提供して下さった方に是非とも御礼申し上げたかったのですが…
まさかコリンズ様だったとは。」
『兵糧、やはり買えませんでしたか?』
「はい。
購入にハードルがある事は重々承知していたですが…
まさか全ての商社から取引を断られてしまうとまでは想定しておらず。
…故国の臣民たちに何と言って詫びれば良いのか。」
『…魔族の方も、大麦や小麦を召し上がられるのですか?』
「はい?」
==========================
【所持金】
7549億3230万ウェン
↓
7549億0430万ウェン
↓
7548億1630万ウェン
↓
7547億6023万ウェン
※(株)大西洋ロジティクスに運送料として2800万ウェン支払
※コンドラチェフ陸送隊に運送料・傭車料として8800万ウェン支払
※(株)リバティック海運に傭船料として5607万ウェン支払(623万ウェン×9日)
==========================
「コリンズ様、最後に教えてくれませんか?」
『はい。』
「貴方は何故我々を助けてくれるのですか?」
『…上手く言語化出来ません。
ただ、貴方が斃れてしまった世界は
きっと生き苦しいものとなるのでしょう。』
「…どうすれば貴方に報いる事が出来ますか?」
『閣下はきっと善良で温厚な君主なのだと思います。
なので、閣下の治世が続けば、きっと世界は安定し
巡り巡って、私や私の家族・友人が恩恵を受けるのではないでしょうか。
すみません。
全然答えになってませんね。』
「いえ、肝に銘じます。」
『魔王閣下。
港まで同道したいのですが、この身体です。
ここで見送る無礼をお許し下さい。』
「いえ、コリンズ様には何から何まで…」
『閣下、御武運を。』
誰かの武運が叶う時、誰かの夫や息子が死ぬ。
祈らなくとも死ぬ。
カネを出しても死ぬ。
出された反対側の陣営ではもっと死ぬ。
俺は、せめて善良な殺人者でありたいし、弁えた殺人者であらねばならない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【名前】
リン・コリンズ
【職業】
エナジードリンク製造業
駐自由都市同盟 連邦大使 (辞任申請中)
連邦政府財政顧問
【称号】
ファウンダーズ・クラウン・エグゼクティブ・プラチナム・ダイアモンド・アンバサダー信徒
【ステータス】
《LV》 25
《HP》 (2/4)
《MP》 (4/4)
《腕力》 1
《速度》 2
《器用》 2
《魔力》 2
《知性》 3
《精神》 6
《幸運》 1
《経験》 2億0074万2418ポイント
次のレベルまで残り902万1646ポイント
【スキル】
「複利」
※日利25%
下9桁切上
【所持金】
所持金7547億6023万ウェン
※バベル銀行の10億ウェン預入証書保有
※国際産業道路98号線交通債100億ウェン分を保有
※第11次魔族領戦時国債200億ウェン分を保有
【試供品在庫】
エリクサー 880ℓ
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愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。
生きていればいつかは幼馴染達とまた会える!
愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」
幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。
愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。
はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
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2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
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不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
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しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
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ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
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ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
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解決していく中で、魔王と勇者達の戦いに
巻き込まれ時にはカッコよく(モテる)、
時には面白く敵を倒して(笑える)いつの
間にか世界を救う話です。
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