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【転移114日目】 所持金3711京1901兆7250億9294万ウェン 「じゃあ反省院猛省居士で。」
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コリンズ家の朝は産婦人科医の健診から始まる。
人間種・コボルト種・エルフ種の3種族の方式で母体の安全チェックは行われる。
母娘は表面上笑顔だが相当の緊張関係に陥っている。
特に同時期に男子が生まれてしまう事を恐れている。
よくわからないタイミングで俺が帰還すれば、将来的に継承戦争に発展し兼ねない。
異世界は封建制度で運営されている所為か、妊娠中に性別を判別する技術に長けている。
==========================
【種族別男子出生確率予想】
『人間式予想』
ヒルダ 39%
コレット 51%
『コボルト式予想』
ヒルダ 72%
コレット 33%
『エルフ式予想』
ヒルダ 42%
コレット 53%
==========================
コレットは自分が女子を産み、母親が男子を産む事を極度に恐れている。
同様にヒルダもその事態を恐れている。
逆ならば全て丸く収まるのだが…
予断の許されない状況に入ってきた。
「旦那様に、もう少し頑張ってもらったら?」
エルデフリダの提案は極めてシンプル。
コレットが出産次第もう一度俺が頑張る、というもの。
「お2人共、充分若いでしょう?
イケますわよ。」
理には適っているのだが俺はもう帰りたい。
ようやく素材が揃って来たのである。
帰還に集中したいのだが…
まあ、子供を捨てて行くのはよくないよな。
それでは、あの女を憎む筋合いが無くなってしまう。
第一、俺の父さんは貧しい中でも必死で俺を育ててくれた。
なら生活に余裕のある俺が後事をほったらかしにして去ることなど、出来ないだろうな。
「ねえ、リン。
お腹触ってよ。」
『あ、はい。』
「嫌気さしてるでしょ?」
『あ、いえ。』
「男の人ってみんなそうだもんねぇ。
お仕事が楽しいもんねぇ。」
コレットはすっかり攻撃的になった。
理由は複合的だが、以下の通り。
・そもそも冒険者の娘なので攻撃的。
・母親の気質を受け継いだので攻撃的。
・接客業務から解放されたので攻撃的。
・軍属(将官待遇)になったので攻撃的。
・エルデフリダがアレコレ吹き込んでいるので攻撃的。
・母親と競合しているから攻撃的。
・俺が去ろうとしているから攻撃的。
まあ、温厚になる理由がないよな。
「リン、私のこと好き?」
『あ、はい。』
「本当は嫌いでしょう?」
『あ、いえ。』
「私とお母さん、どっちが好き?」
『コレットさんです!』
「うふふ、嘘つき。」
大体、こんな会話が朝の日課である。
ちなみにコレットが退出した後に、ヒルダからもこういう問答の様な尋問を受ける。
選択肢をミスると即座にDEAD ENDになりかねないので、結構神経をすり減らす。
==========================
ゲルから出て荒木と外でパンを齧る。
「遠市すげえなあ。」
『何が?』
「母娘丼なんて男の夢じゃん!
オマエの事、見直したよ。」
『あ、うん。
ありがとう。』
「ん?
何? 上手くいってないの?」
『う、うううう!
上手く行ってるよッ!!!』
「あ、うん。
オマエも色々苦労してるんだな。」
『そっちはどうなん?』
「どう、とは?」
『異性関係。
鉄道に理解のある彼女は見つかったのか?』
「ああ、そういうことな。
ドワーフと寝たよ。
っていうか結構モテた。
俺、ドワーフとは相性いいわ。
あ、言い忘れてたけど。
俺、人間やめたから。」
『そうなん!?』
「鉄道を鉱山に敷く時にさぁ。
ドワーフの族長のゲドって人が居るんだけど
その人と親子の契りを結んだんだよ。」
『おお、じゃあオマエも養子仲間か!?』
「ドワーフ民法的に俺は外に女作れるけどな。」
『オマエなんか仲間じゃないよ。』
「そういうトコだぞ、遠市。」
俺達は他愛もない会話をしながら、今後の事を話し合う。
特に2人で取り組みたい事柄は無かったのだが、級友の葬式を上げる事だけは一致した。
「興津がこっちに来たら…
死んでいった奴らの葬式するか。
明日だっけ?」
『うん、何もなければ明日自由都市入りするらしいよ。
俺、街中の神殿使えるからさ。
そこでクラスの連中の葬式しよう。
…随分死んだな。』
「ああ、死んだな。
オマエんちって宗派とかあるの?」
『父さんの実家が浄土宗だったって聞いてる。
ただお坊さんと喧嘩して戒名も何もない状態なんだってさ。
それで父さんはキリスト教に関心を持ったみたいだけど、別に信者とかじゃなかったと思う。』
「ちなみに俺は曹洞宗な。」
『あっそ。』
「そこを掘り下げろよ。
自分語りばっかりしやがって。」
『ゴメンゴメン。
何かエピソードあったら話せよ。』
「俺、中学の時に自分で戒名付けたぜ。」
『どうせ鉄道関連だろ?』
「何でわかった!?」
『この流れで分かんなければアホだろ。』
「鉄道院無限線路特急居士だ。
俺が先に死んだら墓碑銘にそう刻んでくれ!」
『えー、オマエの墓石とか俺が用意する訳?』
「その代わり、オマエが先に死んだら俺が墓を建ててやる。」
『荒木って意外にそういう所気にするよな。
じゃあ、《成金野郎》とでも彫っておいてくれ。』
「その自虐癖治せよ。
迷惑するのは周りなんだからさ。」
『じゃあ反省院猛省居士で。』
「相変わらず捻くれてるなあ。」
『他の奴らの戒名とかどうする?』
「時間余ったらいいいのを付けてやろうぜ。
大喜利禁止で。」
『大喜利するほど、彼らの事を知らないしなあ。』
「興津が何とかしてくれるだろう。
アイツ、細かいし。」
お互い与太話に飽きたので解散。
俺は魔王城(ゲル)に戻り、荒木は第3工区でのミニ鉄道作りを再開する。
==========================
特に俺がやる事はないので、ドナルドとゲルの中でゴロゴロして過ごす。
今の俺は周囲が何もさせてくれないし、俺自身も自分が動かない事がベターであると強く認識している。
魔王には魔王城に常駐する義務があるのだ。
『ドナルドさん。
帰らなくていいんですか?』
「私のおうちはここですよ♪」
余程、魔王城(ゲル)が気に入ったのか、ドナルドは実家に帰る気配がない。
経済ニュースを付近で仕入れてきては、俺に分かりやすく解説してくれる。
ゲルの周囲ではエルデフリダ様
がウロウロしているが、特に構ってやる気はないらしい。
フェルナンやカインも同様で、取り立て家族に構わずゲルに詰めていてくれる。
ポールはまだハーレムを大切にしているが、このゲルの隣なので結局はここにいる。
男5人は結構窮屈なのだが気は楽である。
この魔王城(ゲル)の良い所はリラックス出来るところである。
いい歳こいたオッサンがゴロゴロしながら過ごしている空間って、やっぱり気が抜けるんだよ。
だから陳情に来た人間も、割と落ち着いて話が出来る。
稀に女性陳情者が居て、それらはヒルダが応対しているようなのだが、誰も詳細を教えてくれないので、ノーコメントにしておく。
で。
今日の陳情者は帝国4諸侯からである。
4諸侯と言ってもザビアロフ侯爵以外は全員戦死した。
首長国側の奪還戦は激しく、侯爵も援軍無き籠城を強いられている。
落城も時間の問題であろう。
眼前の彼はザビアロフ侯爵からの伝令。
要は命乞いである。
「何とかなりませんか?」
使者からそう尋ねられるが…
いやあ、何とも…。
『そもそも、俺は帝国に縁が無いので…
コメントのしようがないんですよ。』
「そこを何とか!
世界を支配されておられる魔王様のお口添えを頂けませんでしょうか!」
?
今、コイツ変なことを言ったぞ?
『いや、別に支配はしておりませんが。』
「いえいえ、実態としてですよ!」
…実態ねぇ。
まあ、世界支配は大袈裟だけど、意見は概ね通るよな。
ヒルダとコレット以外で俺を責める者ももう居ないしな。
まさか、何気なく飛び込んだ宿屋がラスボスになるなんて想像もつかないじゃないか。
普通に売春宿に泊まってれば良かった…
変わった行動はするべきではないよなあ。
「そのぉ。
ぶっちゃけた話、主君はもう駄目だと思うのです。」
『ええ、まあ。
話聞いてる限り、地味に絶体絶命ですよね。』
「いえ、派手に絶体絶命です。
首長国さんもかなり怒ってるようですから。」
そりゃあ、いきなり攻め込まれたら怒るだろう。
「わ、私を魔王様の部下にして頂けませんか!」
『あ、いや。
貴方はザビアロフ侯爵の騎士でしょう?
大隊長まで務められたと伺っておりますし…
流石に、それは。』
「勿論!
勿論です!
騎士が主君を裏切るなんてあってはならないことです!」
『ええ。
一般論としてそうですよね。』
「で、でも王国の奴らだって裏切りまくってるじゃないですか!」
『え、ええ…
いや、王国は王国。 帝国は帝国でしょう。』
「…あいつら、自国の王に賞金を懸けて追いかけ回して。
非常識ですよ!」
『あ、それは思います。』
「でしょ!
じゃあ、私がこのまま魔王様にお仕えするのも!」
『いや、それはちょっと。』
「魔王様、聞いて下さい。」
『あ、はい。』
「私は十分戦いました!
弟2人も戦死しております。
こうやって使者の仕事も果たしております!
首長国側の警戒網を突破するのが如何に大変だったか!」
『ああ、確かに。』
「魔王様!
私だけでも何とかなりませんか?」
『あ、じゃあ。
政治局の人に貴方の亡命が受入可能か聞いてみます。』
「やったぜ!!」
帝国四諸侯ももう終わりだな。
首長国も一段、か。
じゃあ、ルイ陛下も近いうちにこっちに来られるな。
それにしても。
遂に世界の支配者、と来たか…
これ、あながち否定も出来ないんだよな。
世界で一番カネを持ってるのが俺だ。
金額がここまで膨れると、もう権力を越えて世界そのものだよな。
《1285京5757兆ウェンの配当が支払われました。》
ドッジャラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
ミスリル貨の処理は全てピット会長に任せている。
彼の組織力・実務力は相当なもので、流れ出るミスリルの大河を巧みに整頓・運搬していく。
数々のスキル遣いが、ありとあらゆる奇芸珍技を駆使してミスリルを捌く。
そしてヒルダの大隊もエナドリ回収の手際が慣れて来た。
ミスリルやエナドリがどこに行ってるのかもはや興味もないが、ステータス欄には俺の物として記録されているので、まだ誰からも奪われていないのだろう。
『コレット!
1000京ウェンあげるけど、いるか!?』
「いえ!
妻の悦びは夫に愛されることだけです!
それ以外は何もいりません!!
リンのお側にいる事だけが幸福なのです!」
…訓練されてるよなあ。
愛以外で何とか矛を収めてくれると助かるんだが…
===================
【名前】
リン・コリンズ
【職業】
魔王
神聖教団大主教
(株)エナドリ 創業オーナー
世界冒険者ギルド 永世名誉理事
【称号】
魔王
【ステータス】
《LV》 53
《HP》 (6/6)
《MP》 (6/6)
《腕力》 3
《速度》 3
《器用》 3
《魔力》 2
《知性》 8
《精神》 11
《幸運》 1
《経験》5京1019兆1542億9526万2900ポイント
次のレベルまで残り3524兆9829億0728万5395ポイント
【スキル】
「複利」
※日利53%
下12桁切上
【所持金】
所持金3711京1901兆7250億9294万ウェン
※バベル銀行の8兆8167億8740万ウェン預入証書保有
※国際産業道路98号線交通債100億ウェン分を保有
※第11次魔族領戦時国債200億ウェン分を保有
※第4次帝国インフラ債550億ウェン分を保有
※帝国総合プランテーション債230億ウェン分を保有
※自由都市海洋開拓債1000億ウェン分を保有
※第2次自由都市未来テック債1000億ウェン分を保有
※首長国臨時戦時国債1100億ウェン分を保有
※自由都市国庫短期証券4000億ウェン分を保有。
【配給薬品在庫】
エナドリ448649ℓ
人間種・コボルト種・エルフ種の3種族の方式で母体の安全チェックは行われる。
母娘は表面上笑顔だが相当の緊張関係に陥っている。
特に同時期に男子が生まれてしまう事を恐れている。
よくわからないタイミングで俺が帰還すれば、将来的に継承戦争に発展し兼ねない。
異世界は封建制度で運営されている所為か、妊娠中に性別を判別する技術に長けている。
==========================
【種族別男子出生確率予想】
『人間式予想』
ヒルダ 39%
コレット 51%
『コボルト式予想』
ヒルダ 72%
コレット 33%
『エルフ式予想』
ヒルダ 42%
コレット 53%
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コレットは自分が女子を産み、母親が男子を産む事を極度に恐れている。
同様にヒルダもその事態を恐れている。
逆ならば全て丸く収まるのだが…
予断の許されない状況に入ってきた。
「旦那様に、もう少し頑張ってもらったら?」
エルデフリダの提案は極めてシンプル。
コレットが出産次第もう一度俺が頑張る、というもの。
「お2人共、充分若いでしょう?
イケますわよ。」
理には適っているのだが俺はもう帰りたい。
ようやく素材が揃って来たのである。
帰還に集中したいのだが…
まあ、子供を捨てて行くのはよくないよな。
それでは、あの女を憎む筋合いが無くなってしまう。
第一、俺の父さんは貧しい中でも必死で俺を育ててくれた。
なら生活に余裕のある俺が後事をほったらかしにして去ることなど、出来ないだろうな。
「ねえ、リン。
お腹触ってよ。」
『あ、はい。』
「嫌気さしてるでしょ?」
『あ、いえ。』
「男の人ってみんなそうだもんねぇ。
お仕事が楽しいもんねぇ。」
コレットはすっかり攻撃的になった。
理由は複合的だが、以下の通り。
・そもそも冒険者の娘なので攻撃的。
・母親の気質を受け継いだので攻撃的。
・接客業務から解放されたので攻撃的。
・軍属(将官待遇)になったので攻撃的。
・エルデフリダがアレコレ吹き込んでいるので攻撃的。
・母親と競合しているから攻撃的。
・俺が去ろうとしているから攻撃的。
まあ、温厚になる理由がないよな。
「リン、私のこと好き?」
『あ、はい。』
「本当は嫌いでしょう?」
『あ、いえ。』
「私とお母さん、どっちが好き?」
『コレットさんです!』
「うふふ、嘘つき。」
大体、こんな会話が朝の日課である。
ちなみにコレットが退出した後に、ヒルダからもこういう問答の様な尋問を受ける。
選択肢をミスると即座にDEAD ENDになりかねないので、結構神経をすり減らす。
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ゲルから出て荒木と外でパンを齧る。
「遠市すげえなあ。」
『何が?』
「母娘丼なんて男の夢じゃん!
オマエの事、見直したよ。」
『あ、うん。
ありがとう。』
「ん?
何? 上手くいってないの?」
『う、うううう!
上手く行ってるよッ!!!』
「あ、うん。
オマエも色々苦労してるんだな。」
『そっちはどうなん?』
「どう、とは?」
『異性関係。
鉄道に理解のある彼女は見つかったのか?』
「ああ、そういうことな。
ドワーフと寝たよ。
っていうか結構モテた。
俺、ドワーフとは相性いいわ。
あ、言い忘れてたけど。
俺、人間やめたから。」
『そうなん!?』
「鉄道を鉱山に敷く時にさぁ。
ドワーフの族長のゲドって人が居るんだけど
その人と親子の契りを結んだんだよ。」
『おお、じゃあオマエも養子仲間か!?』
「ドワーフ民法的に俺は外に女作れるけどな。」
『オマエなんか仲間じゃないよ。』
「そういうトコだぞ、遠市。」
俺達は他愛もない会話をしながら、今後の事を話し合う。
特に2人で取り組みたい事柄は無かったのだが、級友の葬式を上げる事だけは一致した。
「興津がこっちに来たら…
死んでいった奴らの葬式するか。
明日だっけ?」
『うん、何もなければ明日自由都市入りするらしいよ。
俺、街中の神殿使えるからさ。
そこでクラスの連中の葬式しよう。
…随分死んだな。』
「ああ、死んだな。
オマエんちって宗派とかあるの?」
『父さんの実家が浄土宗だったって聞いてる。
ただお坊さんと喧嘩して戒名も何もない状態なんだってさ。
それで父さんはキリスト教に関心を持ったみたいだけど、別に信者とかじゃなかったと思う。』
「ちなみに俺は曹洞宗な。」
『あっそ。』
「そこを掘り下げろよ。
自分語りばっかりしやがって。」
『ゴメンゴメン。
何かエピソードあったら話せよ。』
「俺、中学の時に自分で戒名付けたぜ。」
『どうせ鉄道関連だろ?』
「何でわかった!?」
『この流れで分かんなければアホだろ。』
「鉄道院無限線路特急居士だ。
俺が先に死んだら墓碑銘にそう刻んでくれ!」
『えー、オマエの墓石とか俺が用意する訳?』
「その代わり、オマエが先に死んだら俺が墓を建ててやる。」
『荒木って意外にそういう所気にするよな。
じゃあ、《成金野郎》とでも彫っておいてくれ。』
「その自虐癖治せよ。
迷惑するのは周りなんだからさ。」
『じゃあ反省院猛省居士で。』
「相変わらず捻くれてるなあ。」
『他の奴らの戒名とかどうする?』
「時間余ったらいいいのを付けてやろうぜ。
大喜利禁止で。」
『大喜利するほど、彼らの事を知らないしなあ。』
「興津が何とかしてくれるだろう。
アイツ、細かいし。」
お互い与太話に飽きたので解散。
俺は魔王城(ゲル)に戻り、荒木は第3工区でのミニ鉄道作りを再開する。
==========================
特に俺がやる事はないので、ドナルドとゲルの中でゴロゴロして過ごす。
今の俺は周囲が何もさせてくれないし、俺自身も自分が動かない事がベターであると強く認識している。
魔王には魔王城に常駐する義務があるのだ。
『ドナルドさん。
帰らなくていいんですか?』
「私のおうちはここですよ♪」
余程、魔王城(ゲル)が気に入ったのか、ドナルドは実家に帰る気配がない。
経済ニュースを付近で仕入れてきては、俺に分かりやすく解説してくれる。
ゲルの周囲ではエルデフリダ様
がウロウロしているが、特に構ってやる気はないらしい。
フェルナンやカインも同様で、取り立て家族に構わずゲルに詰めていてくれる。
ポールはまだハーレムを大切にしているが、このゲルの隣なので結局はここにいる。
男5人は結構窮屈なのだが気は楽である。
この魔王城(ゲル)の良い所はリラックス出来るところである。
いい歳こいたオッサンがゴロゴロしながら過ごしている空間って、やっぱり気が抜けるんだよ。
だから陳情に来た人間も、割と落ち着いて話が出来る。
稀に女性陳情者が居て、それらはヒルダが応対しているようなのだが、誰も詳細を教えてくれないので、ノーコメントにしておく。
で。
今日の陳情者は帝国4諸侯からである。
4諸侯と言ってもザビアロフ侯爵以外は全員戦死した。
首長国側の奪還戦は激しく、侯爵も援軍無き籠城を強いられている。
落城も時間の問題であろう。
眼前の彼はザビアロフ侯爵からの伝令。
要は命乞いである。
「何とかなりませんか?」
使者からそう尋ねられるが…
いやあ、何とも…。
『そもそも、俺は帝国に縁が無いので…
コメントのしようがないんですよ。』
「そこを何とか!
世界を支配されておられる魔王様のお口添えを頂けませんでしょうか!」
?
今、コイツ変なことを言ったぞ?
『いや、別に支配はしておりませんが。』
「いえいえ、実態としてですよ!」
…実態ねぇ。
まあ、世界支配は大袈裟だけど、意見は概ね通るよな。
ヒルダとコレット以外で俺を責める者ももう居ないしな。
まさか、何気なく飛び込んだ宿屋がラスボスになるなんて想像もつかないじゃないか。
普通に売春宿に泊まってれば良かった…
変わった行動はするべきではないよなあ。
「そのぉ。
ぶっちゃけた話、主君はもう駄目だと思うのです。」
『ええ、まあ。
話聞いてる限り、地味に絶体絶命ですよね。』
「いえ、派手に絶体絶命です。
首長国さんもかなり怒ってるようですから。」
そりゃあ、いきなり攻め込まれたら怒るだろう。
「わ、私を魔王様の部下にして頂けませんか!」
『あ、いや。
貴方はザビアロフ侯爵の騎士でしょう?
大隊長まで務められたと伺っておりますし…
流石に、それは。』
「勿論!
勿論です!
騎士が主君を裏切るなんてあってはならないことです!」
『ええ。
一般論としてそうですよね。』
「で、でも王国の奴らだって裏切りまくってるじゃないですか!」
『え、ええ…
いや、王国は王国。 帝国は帝国でしょう。』
「…あいつら、自国の王に賞金を懸けて追いかけ回して。
非常識ですよ!」
『あ、それは思います。』
「でしょ!
じゃあ、私がこのまま魔王様にお仕えするのも!」
『いや、それはちょっと。』
「魔王様、聞いて下さい。」
『あ、はい。』
「私は十分戦いました!
弟2人も戦死しております。
こうやって使者の仕事も果たしております!
首長国側の警戒網を突破するのが如何に大変だったか!」
『ああ、確かに。』
「魔王様!
私だけでも何とかなりませんか?」
『あ、じゃあ。
政治局の人に貴方の亡命が受入可能か聞いてみます。』
「やったぜ!!」
帝国四諸侯ももう終わりだな。
首長国も一段、か。
じゃあ、ルイ陛下も近いうちにこっちに来られるな。
それにしても。
遂に世界の支配者、と来たか…
これ、あながち否定も出来ないんだよな。
世界で一番カネを持ってるのが俺だ。
金額がここまで膨れると、もう権力を越えて世界そのものだよな。
《1285京5757兆ウェンの配当が支払われました。》
ドッジャラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
ミスリル貨の処理は全てピット会長に任せている。
彼の組織力・実務力は相当なもので、流れ出るミスリルの大河を巧みに整頓・運搬していく。
数々のスキル遣いが、ありとあらゆる奇芸珍技を駆使してミスリルを捌く。
そしてヒルダの大隊もエナドリ回収の手際が慣れて来た。
ミスリルやエナドリがどこに行ってるのかもはや興味もないが、ステータス欄には俺の物として記録されているので、まだ誰からも奪われていないのだろう。
『コレット!
1000京ウェンあげるけど、いるか!?』
「いえ!
妻の悦びは夫に愛されることだけです!
それ以外は何もいりません!!
リンのお側にいる事だけが幸福なのです!」
…訓練されてるよなあ。
愛以外で何とか矛を収めてくれると助かるんだが…
===================
【名前】
リン・コリンズ
【職業】
魔王
神聖教団大主教
(株)エナドリ 創業オーナー
世界冒険者ギルド 永世名誉理事
【称号】
魔王
【ステータス】
《LV》 53
《HP》 (6/6)
《MP》 (6/6)
《腕力》 3
《速度》 3
《器用》 3
《魔力》 2
《知性》 8
《精神》 11
《幸運》 1
《経験》5京1019兆1542億9526万2900ポイント
次のレベルまで残り3524兆9829億0728万5395ポイント
【スキル】
「複利」
※日利53%
下12桁切上
【所持金】
所持金3711京1901兆7250億9294万ウェン
※バベル銀行の8兆8167億8740万ウェン預入証書保有
※国際産業道路98号線交通債100億ウェン分を保有
※第11次魔族領戦時国債200億ウェン分を保有
※第4次帝国インフラ債550億ウェン分を保有
※帝国総合プランテーション債230億ウェン分を保有
※自由都市海洋開拓債1000億ウェン分を保有
※第2次自由都市未来テック債1000億ウェン分を保有
※首長国臨時戦時国債1100億ウェン分を保有
※自由都市国庫短期証券4000億ウェン分を保有。
【配給薬品在庫】
エナドリ448649ℓ
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ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
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久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
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小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
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理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
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神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
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書道が『神級』に昇格!?女神の失敗で異世界転移して竜皇女と商売してたら勇者!聖女!魔王!「次々と現れるので対応してたら世界を救ってました」
銀塊 メウ
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書道が大好き(強制)なごくごく普通の
一般高校生真田蒼字、しかし実際は家の
関係で、幽霊や妖怪を倒す陰陽師的な仕事
を裏でしていた。ある日のこと学校を
出たら目の前は薄暗い檻の中なんじゃ
こりゃーと思っていると、女神(駄)が
現れ異世界に転移されていた。魔王を
倒してほしんですか?いえ違います。
失敗しちゃった。テヘ!ふざけんな!
さっさと元の世界に帰せ‼
これは運悪く異世界に飛ばされた青年が
仲間のリル、レイチェルと楽しくほのぼの
と商売をして暮らしているところで、
様々な事件に巻き込まれながらも、この
世界に来て手に入れたスキル『書道神級』
の力で無双し敵をバッタバッタと倒し
解決していく中で、魔王と勇者達の戦いに
巻き込まれ時にはカッコよく(モテる)、
時には面白く敵を倒して(笑える)いつの
間にか世界を救う話です。
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