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CHAPTER Ⅰ
第41話 合同部隊
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「あの、昨日はご迷惑を掛けてすみませんでした!」
次の日、オレは練兵場で訓練をしていると吻野の姿を見つけた。
おそらく昨日の任務報告の関係で北部支部に来たのだろう。
オレは昨日一晩考えて、次にもし会うことがあれば素直に謝ろうと決めていた。
まさかその翌日に会えるとは思ってなかったが、早々にけじめをつけることができると思い、吻野に声を掛けた。
「……」
吻野から反応はない、オレは頭を下げ続けた。
「もう、いいわよ」
「! ありがとう!」
「別にあなたがどう考えようが私はどうでもいいし」
(やっぱ……! 態度はデカいな!)
「でも、こうやって私に吹き飛ばされても謝りに来る人は珍しいわ、これからも頑張ってね」
「あ、うん」
オレは意外な言葉を掛けられ少し戸惑ってしまった。
やはり、この子はオレに対してネガティブな感情だけで攻撃をしたわけじゃないんだと確信した。
「それより、セイヤはどこ?」
(なん……だと!?)
「セ、セイヤはもうすぐ来ます。いつもあそこで訓練をするのでそこにいればすぐに会えると思いますけど……」
「そう」
そう言って、セイヤが来るであろう訓練場所の方に歩いていった。
(こ、これは? もしかしてだけど、もしかしてか……!)
「佐々木」
後ろから声を掛けられ振り替えるとアオイがいて、ニヤニヤと笑っていた。
「アオイ? どうした?」
「今のでお前も分かっただろ?」
「何がだよ」
「吻野さんがなんで北部支部に来てるかだよ」
「ああー、もしかしてそういうことか?」
「そうそう、そういうこと」
「ねえ、2人とも何の話をしてるの?」
オレたちのそばにはいつの間にかユウナも来ていて、オレとアオイの話を聞いて不思議そうにしていた。
「ユウナ、つまり吻野さんはな。セイヤにホノ字なんだよ」
(昭和か)
「ほのじ……? どういうこと?」
「ええ!? ユウナ、マジで言ってんの?」
「え、うん」
アオイがため息をつき、吻野を指差した。
そこにはもうセイヤが来ていて、2人で話を始めていた。
ちょっと2人だけの空間が出来ている。そういう風に見えた。
「え! まさか!」
ユウナも気づいたようだ。
「ああ、そういうことだ」
「え、でも、セイヤさんて新ツクバにそういう相手いたよね?」
「え? 知らねぇ。初耳なんだけど!」
「いや、噂で聞いただけなんだけど……!」
2人は楽しそうにキャッキャと話を始めた。
(これがガールズトークってやつか……オレには関係ないな)
オレは1人で訓練を始めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
吻野が北部支部にたまに来るようになり、1ヶ月が過ぎた。
もうすっかり暖かくなり、今は5月になったそうだ。
暦の読み方は100年前と変わっておらず、オレがユウナ達に初めて会ったのが1月だ。
もう4ヵ月以上この世界で過ごしていることになる。
週に一度の巡回討伐も変わらずにこなしているが、最近は現れるグールの数が多い。
一度に少なくとも400体前後は討伐している。
たまにそれ以上の数のグールが現れることもあったが、どこからともなく吻野が加勢に加わり、危なげなく任務をこなしていた。
そして今日も300体以上のC級グールを殲滅した後にさらに別の大群と出くわした。
そして例によって吻野が応援に現れていた。
「三重帝級土岩風嵐散弾!!」
ドドドドド!!!
「さすがモモさん!」
「とんでもねぇな!やっぱりモモさんは」
ユウナとアオイが驚嘆の声を上げた。
一撃で相当な数のグールをバラバラにしていた。
「まだ終わってないよ、ユウナ、アオイ。攻撃して」
「「了解!」」
もはやオレたちと吻野は連携すら取っており、その関係も少し砕けたものになってきていた。
そんなふうに毎日を過ごしているある日、セイヤが話があると御美苗班を含め、みんなを集めた。
「千城支部長から呼び出しを受けた」
オレたちは任務が終わり、都市に帰還したときだった。
「へえ、珍しいな」
御美苗が反応した。確かに千城はあまり隊員を呼び出したりはしないように感じる。いつもいきなり現れて勝手にこちらへ話し掛けてくる印象だ。
「そうだな。ここ最近のグールの数はかなり多い。その辺のついての話かも知れない」
御美苗がセイヤと話を始めた。
「そうかもな……だが、これ以上オレたちに何かできるかな?」
「まあ、支部長のところへ行ってみないと何とも言えない」
「まあ、そうだな。じゃあ行ってみるか」
オレたち結城班と御美苗班はそのまま千城のところへ向かった。
「よく来た! 任務はこなせているようだな!」
「はい。最近はグールの数が多いですが、何とかやってます」
御美苗が代表して返事を返した。
「うむ! だが御美苗が言う様にグールの数が多く、ここ1ヵ月で支部隊員から死傷者が多数出ている!」
オレたちも支部の宿舎で生活をしているので各支部で多数のグールによって死人が出ている話は知っていた。
そもそもグールとの戦闘任務にあたる討伐隊員は、毎月何人も死傷者を出している。
「ここ1ヶ月での死傷者の数は80人を越えている!今までの平均が毎月12人だから、一気におよそ7倍だ!」
「80人……そんなにか……」
御美苗も驚いているが、オレたちも決して無関係ではない。
危ない時に吻野が居なかったと考えると、いつオレたちが全滅してもおかしくはなかった。
「ああ! 都市としてもこの事態を重く捉えている! 元々グールの数の増加を受けて、部隊合同での任務を命じていたが、もうそれでも追い付かない状況だ! そして巡回討伐任務の危険度を大きく方向修正することにした!」
「方向修正と言いますと?」
「もはや、支部隊員の部隊2、3隊では戦力不足と言うことだ! よって、次回からは中央部隊を主力に据え、そのサポートとして支部部隊を編成することとなった! 中央、支部の合同部隊だ!」
「な、なるほど……中央のサポートですか……」
確かに今のままでは死人が増えて行くだけだろう。
中央のA級部隊が加われば大きく状況は改善する見込みがある。
だが、それで中央部隊の仕事が間に合うのか、中央と支部との間で軋轢は生まれないのかなどの疑問は残る。
「そして御美苗班、結城班がサポートする中央の人員だが!」
「はい」
「吻野モモS級隊員に決定した! 本人の希望もある!」
「なるほどー……」
(それは、納得だ)
オレたちと吻野は曲がりなりも何度か一緒に戦闘を行っているし、彼女はセイヤを気に入っている。
この人事にはみんな納得だった。
「だが!」
(だが?)
「B+の御美苗班とB-の結城班にS級隊員が加わると、やや過剰戦力だ! よって今回の配置によって手薄になる遠征討伐任務を行ってくれ!」
「な! さすがにそれは無茶です! オレたちはA級の群れとはまだ戦えません!」
「弱気な事を言うな! 吻野隊員がいるだろう! 彼女もサポートがいれば遠征を受け入れると常々言っていた! そして、御美苗班、結城班ならサポート役で構わないと言っている!」
(?)
「吻野隊員は今まで遠征任務を拒否していた! そしてサポート部隊を何度か付けたがトラブルがあって、都度解散してしまっていた! 今回の事態を受けて彼女も考えを改めたのだろう!」
(いや、たぶんセイヤと一緒にいたいからだな)
「そしてこれは命令だ!」
「……分かりました……」
御美苗が絞り出すように答えた。
「遠征は来週だ! 各自、準備を整えよ!!」
「「了解しました」」
新しい任務が始まる。
今度も生き残らなくては。
オレは強くそう思い、この先の妹弟との再会を考えていた。
次の日、オレは練兵場で訓練をしていると吻野の姿を見つけた。
おそらく昨日の任務報告の関係で北部支部に来たのだろう。
オレは昨日一晩考えて、次にもし会うことがあれば素直に謝ろうと決めていた。
まさかその翌日に会えるとは思ってなかったが、早々にけじめをつけることができると思い、吻野に声を掛けた。
「……」
吻野から反応はない、オレは頭を下げ続けた。
「もう、いいわよ」
「! ありがとう!」
「別にあなたがどう考えようが私はどうでもいいし」
(やっぱ……! 態度はデカいな!)
「でも、こうやって私に吹き飛ばされても謝りに来る人は珍しいわ、これからも頑張ってね」
「あ、うん」
オレは意外な言葉を掛けられ少し戸惑ってしまった。
やはり、この子はオレに対してネガティブな感情だけで攻撃をしたわけじゃないんだと確信した。
「それより、セイヤはどこ?」
(なん……だと!?)
「セ、セイヤはもうすぐ来ます。いつもあそこで訓練をするのでそこにいればすぐに会えると思いますけど……」
「そう」
そう言って、セイヤが来るであろう訓練場所の方に歩いていった。
(こ、これは? もしかしてだけど、もしかしてか……!)
「佐々木」
後ろから声を掛けられ振り替えるとアオイがいて、ニヤニヤと笑っていた。
「アオイ? どうした?」
「今のでお前も分かっただろ?」
「何がだよ」
「吻野さんがなんで北部支部に来てるかだよ」
「ああー、もしかしてそういうことか?」
「そうそう、そういうこと」
「ねえ、2人とも何の話をしてるの?」
オレたちのそばにはいつの間にかユウナも来ていて、オレとアオイの話を聞いて不思議そうにしていた。
「ユウナ、つまり吻野さんはな。セイヤにホノ字なんだよ」
(昭和か)
「ほのじ……? どういうこと?」
「ええ!? ユウナ、マジで言ってんの?」
「え、うん」
アオイがため息をつき、吻野を指差した。
そこにはもうセイヤが来ていて、2人で話を始めていた。
ちょっと2人だけの空間が出来ている。そういう風に見えた。
「え! まさか!」
ユウナも気づいたようだ。
「ああ、そういうことだ」
「え、でも、セイヤさんて新ツクバにそういう相手いたよね?」
「え? 知らねぇ。初耳なんだけど!」
「いや、噂で聞いただけなんだけど……!」
2人は楽しそうにキャッキャと話を始めた。
(これがガールズトークってやつか……オレには関係ないな)
オレは1人で訓練を始めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
吻野が北部支部にたまに来るようになり、1ヶ月が過ぎた。
もうすっかり暖かくなり、今は5月になったそうだ。
暦の読み方は100年前と変わっておらず、オレがユウナ達に初めて会ったのが1月だ。
もう4ヵ月以上この世界で過ごしていることになる。
週に一度の巡回討伐も変わらずにこなしているが、最近は現れるグールの数が多い。
一度に少なくとも400体前後は討伐している。
たまにそれ以上の数のグールが現れることもあったが、どこからともなく吻野が加勢に加わり、危なげなく任務をこなしていた。
そして今日も300体以上のC級グールを殲滅した後にさらに別の大群と出くわした。
そして例によって吻野が応援に現れていた。
「三重帝級土岩風嵐散弾!!」
ドドドドド!!!
「さすがモモさん!」
「とんでもねぇな!やっぱりモモさんは」
ユウナとアオイが驚嘆の声を上げた。
一撃で相当な数のグールをバラバラにしていた。
「まだ終わってないよ、ユウナ、アオイ。攻撃して」
「「了解!」」
もはやオレたちと吻野は連携すら取っており、その関係も少し砕けたものになってきていた。
そんなふうに毎日を過ごしているある日、セイヤが話があると御美苗班を含め、みんなを集めた。
「千城支部長から呼び出しを受けた」
オレたちは任務が終わり、都市に帰還したときだった。
「へえ、珍しいな」
御美苗が反応した。確かに千城はあまり隊員を呼び出したりはしないように感じる。いつもいきなり現れて勝手にこちらへ話し掛けてくる印象だ。
「そうだな。ここ最近のグールの数はかなり多い。その辺のついての話かも知れない」
御美苗がセイヤと話を始めた。
「そうかもな……だが、これ以上オレたちに何かできるかな?」
「まあ、支部長のところへ行ってみないと何とも言えない」
「まあ、そうだな。じゃあ行ってみるか」
オレたち結城班と御美苗班はそのまま千城のところへ向かった。
「よく来た! 任務はこなせているようだな!」
「はい。最近はグールの数が多いですが、何とかやってます」
御美苗が代表して返事を返した。
「うむ! だが御美苗が言う様にグールの数が多く、ここ1ヵ月で支部隊員から死傷者が多数出ている!」
オレたちも支部の宿舎で生活をしているので各支部で多数のグールによって死人が出ている話は知っていた。
そもそもグールとの戦闘任務にあたる討伐隊員は、毎月何人も死傷者を出している。
「ここ1ヶ月での死傷者の数は80人を越えている!今までの平均が毎月12人だから、一気におよそ7倍だ!」
「80人……そんなにか……」
御美苗も驚いているが、オレたちも決して無関係ではない。
危ない時に吻野が居なかったと考えると、いつオレたちが全滅してもおかしくはなかった。
「ああ! 都市としてもこの事態を重く捉えている! 元々グールの数の増加を受けて、部隊合同での任務を命じていたが、もうそれでも追い付かない状況だ! そして巡回討伐任務の危険度を大きく方向修正することにした!」
「方向修正と言いますと?」
「もはや、支部隊員の部隊2、3隊では戦力不足と言うことだ! よって、次回からは中央部隊を主力に据え、そのサポートとして支部部隊を編成することとなった! 中央、支部の合同部隊だ!」
「な、なるほど……中央のサポートですか……」
確かに今のままでは死人が増えて行くだけだろう。
中央のA級部隊が加われば大きく状況は改善する見込みがある。
だが、それで中央部隊の仕事が間に合うのか、中央と支部との間で軋轢は生まれないのかなどの疑問は残る。
「そして御美苗班、結城班がサポートする中央の人員だが!」
「はい」
「吻野モモS級隊員に決定した! 本人の希望もある!」
「なるほどー……」
(それは、納得だ)
オレたちと吻野は曲がりなりも何度か一緒に戦闘を行っているし、彼女はセイヤを気に入っている。
この人事にはみんな納得だった。
「だが!」
(だが?)
「B+の御美苗班とB-の結城班にS級隊員が加わると、やや過剰戦力だ! よって今回の配置によって手薄になる遠征討伐任務を行ってくれ!」
「な! さすがにそれは無茶です! オレたちはA級の群れとはまだ戦えません!」
「弱気な事を言うな! 吻野隊員がいるだろう! 彼女もサポートがいれば遠征を受け入れると常々言っていた! そして、御美苗班、結城班ならサポート役で構わないと言っている!」
(?)
「吻野隊員は今まで遠征任務を拒否していた! そしてサポート部隊を何度か付けたがトラブルがあって、都度解散してしまっていた! 今回の事態を受けて彼女も考えを改めたのだろう!」
(いや、たぶんセイヤと一緒にいたいからだな)
「そしてこれは命令だ!」
「……分かりました……」
御美苗が絞り出すように答えた。
「遠征は来週だ! 各自、準備を整えよ!!」
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
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