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好きだよ
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(俺も言ってもいいかな。きっと俺の貧困なボキャブラリーじゃ、とても伝えきれないけど)
「俺も……鳴海のこと好きだ。大好きだよ。俺の番も鳴海しかいないよ。こんなに人を好きになったことなんて、今までなかった」
あまりにありきたりの言葉しか出て来ず、蒼も泣きたくなった。
鳴海の顔が近づくと同時に、蒼は目を閉じた。ほんの数秒で鳴海のくちびるが離れ――蒼は名残惜しそうに、目でそれを辿る。もっとしたい、もっと深いキスをしたい、もっと、もっと……と、もどかしくなった。そんな風に思っているのは自分だけなのだろうかと心配にすらなる。
蒼が思っていることが如実に顔に現れていたのか、鳴海が苦笑した。
「末永、そんな顔しないで。俺、自分を止められる自信がないんだ」
(……よかった。鳴海も俺のこともっと欲しいって思ってくれてるんだ。嬉しい)
「止めなくていいよ! あ、あの、俺、ちゃんと鳴海と……したい。それで……俺のこと、ちゃんと番にして、ほしい」
「……いいの?」
目を丸くし、鳴海が問う。その開かれた目が蕩けんばかりの愛情に満ちているのを見て、蒼もまた蕩けそうになる。
喜びを隠し切れない蒼はにやけそうになるくちびるを噛み、そして大きく頷いた。
鳴海が蒼の頬に手を滑らせる。愛おしさを伝えてくるその指の中ほどが赤黒くなっているのに、蒼は気づいた。
「鳴海……ごめん、これ……」
それは蒼が噛みついた時の跡だった。
「大丈夫だから」
「でも、こんなに痛そうで……ほんとごめん……」
「申し訳ないと思ってくれてるなら、俺のお願い聞いてくれる?」
痛々しいその指を撫でる蒼の手を取り、鳴海が優しい眼差しで尋ねる。
「う、うん、何でも聞くから」
「俺のこと、凛って呼んで? 俺も蒼、って呼びたいから。竹内と名前で呼び合っているの見てて、羨ましいと思ってたんだ」
「え……そんなことでいいの?」
「うん」
「わ、分かった……。り、凛……」
恥ずかしさのあまり頬を赤く染め上げた蒼を、眩しそうに見つめる鳴海。
「蒼。蒼……」
そう言って鳴海は蒼に再びくちづけた。
「ん……」
しばらくくちびるを擦り合わせた後、蒼が小休止を求めて口を開いた瞬間にぬるりと鳴海の舌が入って来た。すぐさま蒼のそれが絡め取られる。
キスをすること自体、鳴海とが初めてな蒼――当然、こんな風に口の中を犯され翻弄されるようなくちづけももちろん初めてで。ただ舌や口内を舐められているだけだというのに、頭と身体が淫縦な痺れにまとわりつかれて気持ちよくなってしまう。うっとりと、でも懸命に鳴海のキスに応え続けていると、彼はそれを続けながら、先ほど自らが着せた蒼のパジャマのボタンを、一つずつ外していった。
鳴海が蒼のパジャマの前を寛げると、下ははいていなかったので白い裸身が露になる。オメガは肌の色が白くなる傾向にあると言われているが、蒼も例外ではなく、昔から黒く焼こうと思っていてもまったくと言っていいほど焼けなかった。鳴海も色白な方ではあるが、蒼は更に白い。滑らかでなだらかな胸元は、オメガの発情期ならではの色気をまとっている。抑制剤を服用していても、運命の番相手には伝わってしまうのだろうか。鳴海が生唾を飲み込む音が蒼の耳に聞こえた。
「本当に、俺のものにしちゃってもいい? このきれいな身体」
「こ、こんな身体でよければ……」
「こんな、なんて言わないで。本当にきれいだから。見ているだけでイッちゃいそう」
「あっ、あんまりマジマジと見るなよ……恥ずかしいから」
「そのお願いは聞けないかも」
ふふ、と声を上げて笑い、鳴海は蒼の胸の先端を舌先で転がす。
「んん……っ」
声が出そうになるのを、慌てて両手で押さえる蒼。
「どうして我慢するの?」
「だ、って……女の子みたい、で、恥ずかしいし……」
「昨日はずっと可愛い声上げてたけど?」
「あっ……れは……抑制剤飲んでなかったから、今みたいなこと考える余裕なかった……」
緊急抑制剤で発情がほとんど押さえられている今は、頭の中も正気を保てているので、その分羞恥心が一気に蒼の元に押し寄せている状態だ。昨日のことも思い出すだけで、もんどり打ちたくなるくらいに恥ずかしくてたまらない。
「じゃあ蒼は、これからずっと俺とするたびにずっと口を押さえてるつもり?」
「そ、そんなことは……」
鳴海のことを正視出来ずに、目を泳がせる蒼。鳴海はそんな彼の頬に手を添えた。
「お願いだから我慢しないで? 蒼の声聞きたいから。ね?」
首を傾げておねだりする鳴海は、いつもの姿とのギャップも激しく、また情事の時の色気も相まって、蒼にとってはとても眩しく、叫びだしたくなるほど可愛い姿に映った。
「っ、ひ、卑怯だっ。そんな風にお願いすれば俺が断れないだろうって、お、思ってるんだろ!?」
「卑怯って?」
「だ、だって……」
きっと鳴海には、どんなことを言われても逆らえなくなる――そんな予感で胸がきゅっと締めつけられる。結局、好きになった方が負けなのだ。
そう言いたかったのだが、
「昨日」
「……え?」
蒼の言葉を鳴海が遮る。
「昨日は……じっくりと抱けなかったから、今日は蒼の全部を俺の中に刻みつけたいだけなんだ」
その一言は蒼の心に深く刺さった。昨夜、あんな形で自分を抱かせてしまった罪悪感が、ここへ来て急に頭をもたげる。
「ごめん……」
鳴海は意気消沈する蒼の頬を更に撫でた。
「謝らないで。あの時は蒼の身体を他のやつに触らせたくなかったから、俺も焦っていたし」
「でも……、っあぁっ」
これ以上野暮なことを口にさせまいと、鳴海が蒼の胸への愛撫を再開した。先端を引っ掻くように甘噛みし、舌先で刺激する。口元を押さえようとする蒼の手を鳴海が捕まえ、そっと枕へと押しつけて拘束する。
自分は女の子ではないし胸に膨らみがあるわけでもないのに、何故そこに触れられただけでこんなにも感じてしまうのか。これもまたオメガであるが故の反応なのか、元々そういう素質があったのか――もはや蒼には分からない。けれど、鳴海が触れるところすべてから甘気が湧いてくるのは疑いようもなくて。
鳴海の舌がだんだんと下りると同時に、空いている手が蒼の下腹部に届く。そこは既に硬く崛起していた。
「や、だ……あまり触らないで……すぐイッちゃうよ……」
薬で抑制しているとはいえ、今の蒼は発情期の真っ只中なのだ。ましてや相手は契りこそ未だ交わしてはいないが運命の番である。どこもかしこも敏感になってしまっても仕方がない気がした――恥ずかしいことに代わりはないが。
「何度でもイッていいよ。俺以外の男としたいなんて思わなくなるくらい、沢山してあげる」
ね? と満面の笑みを蒼に向ける鳴海を、ほんの少しだけ怖いと思ってしまったことは、本人には言うべきではないと瞬時に判断した蒼だった。
「あ、は……ぁ、くっ、ん……」
鳴海の手によって一度達した後、今度は口と舌で愛撫され、絶えることのない快感に翻弄される蒼。
「り、りん……ちょ、と……待って……っ」
蒼の中心を愛おしそうに舐め上げてから、
「どうしたの? 痛い?」
鳴海が首を傾げる。
「そう……じゃなくて、俺も……する……」
「ん? 無理しなくていいよ?」
「無理じゃないよ! ……したいんだ、俺が。俺だって、凛を気持ちよくしたいよ」
蒼は身体を起こし、逆に鳴海を押し倒す。そして既に張り詰めている鳴海のジーンズの前立てを寛げた。
(え……マジか……)
恐る恐る下着をずらしてみると、自分とはあまりにも違いすぎる存在が目に入って来た。
先日読んだ書物の中に【アルファの性器は大きくなる傾向にあり、逆にオメガの性器は小さめなことが多い】と書かれていたのだが、まさかここまで違うとは。
鳴海の中心は硬く勃ち上がっていて、既に先走りを滴らせている。それはまさに蒼と鳴海の体格差を如実に表す大きさで。
(こんな大きいのが……昨日、俺の中に入ってたのか……)
昨夜の情事を思い出し急に恥ずかしくなると同時に、男として少し悔しい気持ちにもなった。
「蒼……? 本当に無理しなくて、いいから」
心配そうに蒼の顔色を伺う鳴海にちょっとした嫉妬心を覚えた蒼は、思わずかぶりつくように鳴海自身を咥内へと迎え入れた。
「っ、は……」
刹那、鳴海の眉宇が歪む。
先ほど鳴海がしてくれていたのを思い出し歯を立てないようにするが、何せ彼の屹立は蒼の口には大きすぎて自分の思うような奉仕が出来ない。自分のものは鳴海の口にすっぽりと収まってしまうサイズなのに対し、鳴海のそれは蒼の口には半分と少しくらいしか入らないのだ。
「んっ……ん……」
それでも懸命に時には嘔吐きながらも、ひたすら気持ちよくなってほしい一念で鳴海の中心を舐め、吸い上げる。ちらりと鳴海の顔を見ると、堪えるような表情をして蒼を見つめている。
「蒼……もういいよ……イキそうだから」
「ん、んん……」
イッていいよ、の意味を込めた頷きを繰り返しながら、蒼は口の中で鳴海の鈴口に舌を絡ませる。入りきらない部分は手で愛撫をする。
一心不乱に口と手を使い続けていると、
「あ、おい……っ、出……、っ」
鳴海が蒼の髪をくしゃりと握り、身体を震わせた。
「っ!」
突然、蒼の口内に飛沫が散った。それは喉の奥まで当たり、思わず嘔吐きそうになるが必死に耐えた。決して美味とは言えない味が口の中に広がる。蒼の目尻に涙が浮かんだ。
「ん……っ」
吐精は断続的に続き、蒼の口内に白濁が溜まっていく。そろそろ限界を感じ始めた頃、ようやく止まった。
蒼は口を閉じたまま鳴海自身を解放した。
「あ、蒼、早く出して!」
鳴海はそばにあったケースからティッシュを何枚か引き出すと、蒼に手渡した。しかし蒼はかぶりを振った。
「んー……ん、ん……」
すぐ後に、ごくりと喉を鳴らし、蒼はようやく口を開いた。
「……ふぁ~、苦しかった。やっぱアルファの精液は濃くて多いっていうのはマジだな」
ぽつりと蒼が言う。
「どうして飲んじゃったの? 不味かったよね? 大丈夫? 蒼」
若干慌て気味で蒼の背中を擦る鳴海に、蒼はくちびるを尖らせて言い放つ。
「だって、悔しかったから。俺ばっかり気持ちよくしてもらってるし、おまけに凛のは俺のよりずっとデカイし、何かちょっとムカついちゃって。絶対口でイカせて、出したのを飲んでやる、って思った」
逆恨みっぽかったかなぁ? と、首を傾げながら蒼が口元を拭った。そんな彼を、鳴海はたまらず抱きしめた。
「蒼……ますます俺を好きにさせてどうするの」
「俺の方が好きだよ」
「好きになったのは俺の方が先だよ」
「でも俺の方が気持ちが大きい」
小学生が張り合うように、お互いに自分の愛情の大きさを自慢し合うこと数十秒。最後には鳴海が、
「──はぁ……仕方がない」
と、息を吐いて蒼を押し倒す。
「今度は俺がどれだけ蒼のことが好きか、知ってもらうことにするね」
にっこりと笑ったその顔を見て、ほんの少しだけ、張り合ったことを後悔し始めた蒼だった。
「俺も……鳴海のこと好きだ。大好きだよ。俺の番も鳴海しかいないよ。こんなに人を好きになったことなんて、今までなかった」
あまりにありきたりの言葉しか出て来ず、蒼も泣きたくなった。
鳴海の顔が近づくと同時に、蒼は目を閉じた。ほんの数秒で鳴海のくちびるが離れ――蒼は名残惜しそうに、目でそれを辿る。もっとしたい、もっと深いキスをしたい、もっと、もっと……と、もどかしくなった。そんな風に思っているのは自分だけなのだろうかと心配にすらなる。
蒼が思っていることが如実に顔に現れていたのか、鳴海が苦笑した。
「末永、そんな顔しないで。俺、自分を止められる自信がないんだ」
(……よかった。鳴海も俺のこともっと欲しいって思ってくれてるんだ。嬉しい)
「止めなくていいよ! あ、あの、俺、ちゃんと鳴海と……したい。それで……俺のこと、ちゃんと番にして、ほしい」
「……いいの?」
目を丸くし、鳴海が問う。その開かれた目が蕩けんばかりの愛情に満ちているのを見て、蒼もまた蕩けそうになる。
喜びを隠し切れない蒼はにやけそうになるくちびるを噛み、そして大きく頷いた。
鳴海が蒼の頬に手を滑らせる。愛おしさを伝えてくるその指の中ほどが赤黒くなっているのに、蒼は気づいた。
「鳴海……ごめん、これ……」
それは蒼が噛みついた時の跡だった。
「大丈夫だから」
「でも、こんなに痛そうで……ほんとごめん……」
「申し訳ないと思ってくれてるなら、俺のお願い聞いてくれる?」
痛々しいその指を撫でる蒼の手を取り、鳴海が優しい眼差しで尋ねる。
「う、うん、何でも聞くから」
「俺のこと、凛って呼んで? 俺も蒼、って呼びたいから。竹内と名前で呼び合っているの見てて、羨ましいと思ってたんだ」
「え……そんなことでいいの?」
「うん」
「わ、分かった……。り、凛……」
恥ずかしさのあまり頬を赤く染め上げた蒼を、眩しそうに見つめる鳴海。
「蒼。蒼……」
そう言って鳴海は蒼に再びくちづけた。
「ん……」
しばらくくちびるを擦り合わせた後、蒼が小休止を求めて口を開いた瞬間にぬるりと鳴海の舌が入って来た。すぐさま蒼のそれが絡め取られる。
キスをすること自体、鳴海とが初めてな蒼――当然、こんな風に口の中を犯され翻弄されるようなくちづけももちろん初めてで。ただ舌や口内を舐められているだけだというのに、頭と身体が淫縦な痺れにまとわりつかれて気持ちよくなってしまう。うっとりと、でも懸命に鳴海のキスに応え続けていると、彼はそれを続けながら、先ほど自らが着せた蒼のパジャマのボタンを、一つずつ外していった。
鳴海が蒼のパジャマの前を寛げると、下ははいていなかったので白い裸身が露になる。オメガは肌の色が白くなる傾向にあると言われているが、蒼も例外ではなく、昔から黒く焼こうと思っていてもまったくと言っていいほど焼けなかった。鳴海も色白な方ではあるが、蒼は更に白い。滑らかでなだらかな胸元は、オメガの発情期ならではの色気をまとっている。抑制剤を服用していても、運命の番相手には伝わってしまうのだろうか。鳴海が生唾を飲み込む音が蒼の耳に聞こえた。
「本当に、俺のものにしちゃってもいい? このきれいな身体」
「こ、こんな身体でよければ……」
「こんな、なんて言わないで。本当にきれいだから。見ているだけでイッちゃいそう」
「あっ、あんまりマジマジと見るなよ……恥ずかしいから」
「そのお願いは聞けないかも」
ふふ、と声を上げて笑い、鳴海は蒼の胸の先端を舌先で転がす。
「んん……っ」
声が出そうになるのを、慌てて両手で押さえる蒼。
「どうして我慢するの?」
「だ、って……女の子みたい、で、恥ずかしいし……」
「昨日はずっと可愛い声上げてたけど?」
「あっ……れは……抑制剤飲んでなかったから、今みたいなこと考える余裕なかった……」
緊急抑制剤で発情がほとんど押さえられている今は、頭の中も正気を保てているので、その分羞恥心が一気に蒼の元に押し寄せている状態だ。昨日のことも思い出すだけで、もんどり打ちたくなるくらいに恥ずかしくてたまらない。
「じゃあ蒼は、これからずっと俺とするたびにずっと口を押さえてるつもり?」
「そ、そんなことは……」
鳴海のことを正視出来ずに、目を泳がせる蒼。鳴海はそんな彼の頬に手を添えた。
「お願いだから我慢しないで? 蒼の声聞きたいから。ね?」
首を傾げておねだりする鳴海は、いつもの姿とのギャップも激しく、また情事の時の色気も相まって、蒼にとってはとても眩しく、叫びだしたくなるほど可愛い姿に映った。
「っ、ひ、卑怯だっ。そんな風にお願いすれば俺が断れないだろうって、お、思ってるんだろ!?」
「卑怯って?」
「だ、だって……」
きっと鳴海には、どんなことを言われても逆らえなくなる――そんな予感で胸がきゅっと締めつけられる。結局、好きになった方が負けなのだ。
そう言いたかったのだが、
「昨日」
「……え?」
蒼の言葉を鳴海が遮る。
「昨日は……じっくりと抱けなかったから、今日は蒼の全部を俺の中に刻みつけたいだけなんだ」
その一言は蒼の心に深く刺さった。昨夜、あんな形で自分を抱かせてしまった罪悪感が、ここへ来て急に頭をもたげる。
「ごめん……」
鳴海は意気消沈する蒼の頬を更に撫でた。
「謝らないで。あの時は蒼の身体を他のやつに触らせたくなかったから、俺も焦っていたし」
「でも……、っあぁっ」
これ以上野暮なことを口にさせまいと、鳴海が蒼の胸への愛撫を再開した。先端を引っ掻くように甘噛みし、舌先で刺激する。口元を押さえようとする蒼の手を鳴海が捕まえ、そっと枕へと押しつけて拘束する。
自分は女の子ではないし胸に膨らみがあるわけでもないのに、何故そこに触れられただけでこんなにも感じてしまうのか。これもまたオメガであるが故の反応なのか、元々そういう素質があったのか――もはや蒼には分からない。けれど、鳴海が触れるところすべてから甘気が湧いてくるのは疑いようもなくて。
鳴海の舌がだんだんと下りると同時に、空いている手が蒼の下腹部に届く。そこは既に硬く崛起していた。
「や、だ……あまり触らないで……すぐイッちゃうよ……」
薬で抑制しているとはいえ、今の蒼は発情期の真っ只中なのだ。ましてや相手は契りこそ未だ交わしてはいないが運命の番である。どこもかしこも敏感になってしまっても仕方がない気がした――恥ずかしいことに代わりはないが。
「何度でもイッていいよ。俺以外の男としたいなんて思わなくなるくらい、沢山してあげる」
ね? と満面の笑みを蒼に向ける鳴海を、ほんの少しだけ怖いと思ってしまったことは、本人には言うべきではないと瞬時に判断した蒼だった。
「あ、は……ぁ、くっ、ん……」
鳴海の手によって一度達した後、今度は口と舌で愛撫され、絶えることのない快感に翻弄される蒼。
「り、りん……ちょ、と……待って……っ」
蒼の中心を愛おしそうに舐め上げてから、
「どうしたの? 痛い?」
鳴海が首を傾げる。
「そう……じゃなくて、俺も……する……」
「ん? 無理しなくていいよ?」
「無理じゃないよ! ……したいんだ、俺が。俺だって、凛を気持ちよくしたいよ」
蒼は身体を起こし、逆に鳴海を押し倒す。そして既に張り詰めている鳴海のジーンズの前立てを寛げた。
(え……マジか……)
恐る恐る下着をずらしてみると、自分とはあまりにも違いすぎる存在が目に入って来た。
先日読んだ書物の中に【アルファの性器は大きくなる傾向にあり、逆にオメガの性器は小さめなことが多い】と書かれていたのだが、まさかここまで違うとは。
鳴海の中心は硬く勃ち上がっていて、既に先走りを滴らせている。それはまさに蒼と鳴海の体格差を如実に表す大きさで。
(こんな大きいのが……昨日、俺の中に入ってたのか……)
昨夜の情事を思い出し急に恥ずかしくなると同時に、男として少し悔しい気持ちにもなった。
「蒼……? 本当に無理しなくて、いいから」
心配そうに蒼の顔色を伺う鳴海にちょっとした嫉妬心を覚えた蒼は、思わずかぶりつくように鳴海自身を咥内へと迎え入れた。
「っ、は……」
刹那、鳴海の眉宇が歪む。
先ほど鳴海がしてくれていたのを思い出し歯を立てないようにするが、何せ彼の屹立は蒼の口には大きすぎて自分の思うような奉仕が出来ない。自分のものは鳴海の口にすっぽりと収まってしまうサイズなのに対し、鳴海のそれは蒼の口には半分と少しくらいしか入らないのだ。
「んっ……ん……」
それでも懸命に時には嘔吐きながらも、ひたすら気持ちよくなってほしい一念で鳴海の中心を舐め、吸い上げる。ちらりと鳴海の顔を見ると、堪えるような表情をして蒼を見つめている。
「蒼……もういいよ……イキそうだから」
「ん、んん……」
イッていいよ、の意味を込めた頷きを繰り返しながら、蒼は口の中で鳴海の鈴口に舌を絡ませる。入りきらない部分は手で愛撫をする。
一心不乱に口と手を使い続けていると、
「あ、おい……っ、出……、っ」
鳴海が蒼の髪をくしゃりと握り、身体を震わせた。
「っ!」
突然、蒼の口内に飛沫が散った。それは喉の奥まで当たり、思わず嘔吐きそうになるが必死に耐えた。決して美味とは言えない味が口の中に広がる。蒼の目尻に涙が浮かんだ。
「ん……っ」
吐精は断続的に続き、蒼の口内に白濁が溜まっていく。そろそろ限界を感じ始めた頃、ようやく止まった。
蒼は口を閉じたまま鳴海自身を解放した。
「あ、蒼、早く出して!」
鳴海はそばにあったケースからティッシュを何枚か引き出すと、蒼に手渡した。しかし蒼はかぶりを振った。
「んー……ん、ん……」
すぐ後に、ごくりと喉を鳴らし、蒼はようやく口を開いた。
「……ふぁ~、苦しかった。やっぱアルファの精液は濃くて多いっていうのはマジだな」
ぽつりと蒼が言う。
「どうして飲んじゃったの? 不味かったよね? 大丈夫? 蒼」
若干慌て気味で蒼の背中を擦る鳴海に、蒼はくちびるを尖らせて言い放つ。
「だって、悔しかったから。俺ばっかり気持ちよくしてもらってるし、おまけに凛のは俺のよりずっとデカイし、何かちょっとムカついちゃって。絶対口でイカせて、出したのを飲んでやる、って思った」
逆恨みっぽかったかなぁ? と、首を傾げながら蒼が口元を拭った。そんな彼を、鳴海はたまらず抱きしめた。
「蒼……ますます俺を好きにさせてどうするの」
「俺の方が好きだよ」
「好きになったのは俺の方が先だよ」
「でも俺の方が気持ちが大きい」
小学生が張り合うように、お互いに自分の愛情の大きさを自慢し合うこと数十秒。最後には鳴海が、
「──はぁ……仕方がない」
と、息を吐いて蒼を押し倒す。
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