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限界離婚
新たな命
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鈴奈は二人目の出産をしていた。
帝王切開となった鈴奈は、手術衣に着替えてストレッチャーで乗せられていく。
手術室に着くと、麻酔をされて出産が始まった。
医師と看護師が、話をしながらお腹を切っているらしい。痛みも感覚もなく、ただ意識だけがある中、鈴はこんな時であるにも関わらずほっとしていた。
あんなに心配だった勇太の世話は、マンション一階の託児所にお願いできた。入院中は勇太を泊まらせてくれるらしい。何度か使っているその託児所の事を勇太はとても気に入っており、用事がなくても遊びに行きたいとよく言っている。同居はしていないが、祖父母や夫の従妹夫婦が近くに住んでおり、勇太の事を皆可愛がっている。
産後1か月間は、家事ヘルパーを頼んだ。勇太の幼稚園への送り迎えもヘルパーがしてくれる。
「オギャーオギャーオギャー」
子供が産まれた。体の感覚は無いが、意識ははっきりしている。
看護師が産まれたばかりの赤子を鈴奈が見えるように、近づけてくれる。
「元気な女の子ですよ。おめでとうございます。」
ああ、よかった。
本当によかった。
一時は、もう離婚するしかないと思っていたのに。
もう諦めていた事なのに。
鈴奈は、思わず涙ぐんだ。
二人目の子供は、優菜と名付けた。
家に帰えると、二人の子供の子育てが待っている。
だけど、今はもう不安がない。
「ピンポーン」
勇太はその音を聞き、自分で纏めていた荷物を背負って玄関へ向かった。
「あっ!来た!まま、行ってきます。」
この町では、個人識別システムが随所に設置されている。
適時、不審者がいないか自動で監視するそのシステムのおかげで、子供達の居場所はすぐにわかるし、不審な人物が町に紛れ込む心配がない。
手伝いに来てくれた高齢者専用住宅に住む竹田さんは言った。
「じゃあ、幼稚園まで行ってきますね。」
鈴奈は笑って見送りをする。
「はい。お願いします。いってらっしゃい。勇太。」
鈴奈は幸せを感じていた。
高齢者住宅で内縁の妻となって帰って来た京香と同居する義父広一。
認知症を患いながらも毎日笑っている義祖母の文。
マンションで夫婦と子供達で暮らす私達。
夫の従妹の麗奈夫婦は、よく勇太の世話をしてくれる。
今後の週末は、義祖母の文の所へ家族そろって訪れる予定だ。
帰って来た義母には、いろいろ思う所があるが、私達夫婦に頭を下げる義父と、すっかり怯え必死に謝り、容貌が変わってしまった義母に対する怒りは、もう湧いてこなかった。
「勇太。今度のお休みは、ひ祖母さんに会いに行くのよ。
御祖父ちゃんも御祖母ちゃんも一緒だからね。」
「うん。僕すごく楽しみ。
お爺ちゃんと遊ぶし、お祖母ちゃんにも優しくする。
麗奈ちゃんが言っていたよ。優しくしたら優しさが帰ってくるって。」
鈴奈は笑って頷いた。
「ふふふ。そうね。」
帰って来た義母はすっかり変わってしまい、いつもオドオドとしている。片足が無く、目も満足に見えないらしい。
(あんなに、自分に自信があったのに、本当人って変わるのね。)
青空を見上げながら鈴奈は笑った。
帝王切開となった鈴奈は、手術衣に着替えてストレッチャーで乗せられていく。
手術室に着くと、麻酔をされて出産が始まった。
医師と看護師が、話をしながらお腹を切っているらしい。痛みも感覚もなく、ただ意識だけがある中、鈴はこんな時であるにも関わらずほっとしていた。
あんなに心配だった勇太の世話は、マンション一階の託児所にお願いできた。入院中は勇太を泊まらせてくれるらしい。何度か使っているその託児所の事を勇太はとても気に入っており、用事がなくても遊びに行きたいとよく言っている。同居はしていないが、祖父母や夫の従妹夫婦が近くに住んでおり、勇太の事を皆可愛がっている。
産後1か月間は、家事ヘルパーを頼んだ。勇太の幼稚園への送り迎えもヘルパーがしてくれる。
「オギャーオギャーオギャー」
子供が産まれた。体の感覚は無いが、意識ははっきりしている。
看護師が産まれたばかりの赤子を鈴奈が見えるように、近づけてくれる。
「元気な女の子ですよ。おめでとうございます。」
ああ、よかった。
本当によかった。
一時は、もう離婚するしかないと思っていたのに。
もう諦めていた事なのに。
鈴奈は、思わず涙ぐんだ。
二人目の子供は、優菜と名付けた。
家に帰えると、二人の子供の子育てが待っている。
だけど、今はもう不安がない。
「ピンポーン」
勇太はその音を聞き、自分で纏めていた荷物を背負って玄関へ向かった。
「あっ!来た!まま、行ってきます。」
この町では、個人識別システムが随所に設置されている。
適時、不審者がいないか自動で監視するそのシステムのおかげで、子供達の居場所はすぐにわかるし、不審な人物が町に紛れ込む心配がない。
手伝いに来てくれた高齢者専用住宅に住む竹田さんは言った。
「じゃあ、幼稚園まで行ってきますね。」
鈴奈は笑って見送りをする。
「はい。お願いします。いってらっしゃい。勇太。」
鈴奈は幸せを感じていた。
高齢者住宅で内縁の妻となって帰って来た京香と同居する義父広一。
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マンションで夫婦と子供達で暮らす私達。
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今後の週末は、義祖母の文の所へ家族そろって訪れる予定だ。
帰って来た義母には、いろいろ思う所があるが、私達夫婦に頭を下げる義父と、すっかり怯え必死に謝り、容貌が変わってしまった義母に対する怒りは、もう湧いてこなかった。
「勇太。今度のお休みは、ひ祖母さんに会いに行くのよ。
御祖父ちゃんも御祖母ちゃんも一緒だからね。」
「うん。僕すごく楽しみ。
お爺ちゃんと遊ぶし、お祖母ちゃんにも優しくする。
麗奈ちゃんが言っていたよ。優しくしたら優しさが帰ってくるって。」
鈴奈は笑って頷いた。
「ふふふ。そうね。」
帰って来た義母はすっかり変わってしまい、いつもオドオドとしている。片足が無く、目も満足に見えないらしい。
(あんなに、自分に自信があったのに、本当人って変わるのね。)
青空を見上げながら鈴奈は笑った。
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