【完結】限界離婚

仲 奈華 (nakanaka)

文字の大きさ
40 / 55
限界離婚

エピローグ

しおりを挟む
文は明るい日差しで目を覚ました。


夢の中で、娘の鈴が呼んでいた気がする。



鈴は?



鈴はどこにいる?



文は目を開いて周囲を見渡した。




目の前に鈴の笑った顔がある。




よくみるとそれは小さな仏壇で、中央に笑っている鈴の写真が飾られていた。



(帰って来た。鈴が帰って来た。)



笑う鈴を見て安心した文は、起き上がった。



清潔なベッドに、歩きやすいように配置された家具は、長年文が使ってきた慣れ親しんだ家具だった。



長年愛用してきたコップ、古いがシンプルで使いやすい家電。清潔な室内。


家族の為に、文が買った古い達磨。



ふと文は違和感を持つが、気のせいだと娘の写真を見て笑った。




そこへ、ドアをノックして数人の人物が入って来た。



若い夫婦は、一人の子供と手を繋ぎ、赤子を抱いている。



後ろからゆっくり入ってくる壮年の夫婦は、一人は白髪で杖をついてゆっくり歩いてくる女性と、その女性を支える男性だった。


文は言った。


「いらっしゃい。だれだったかな。」


白髪の女性を支える男性が言った。


「息子の広一だよ。貴方の孫やひ孫もいる。調子はどうだい?」



息子だと名乗る男性は、確かに見覚えがある。入って来た人達の名前は思い浮かばないが、文の家族なのだろう。


よかった。こんないい家族がいてよかった。



文は満面の笑みで言った。


「いいよ。いいよ。ありがとう。私は幸せ者だよ。」



















そんな文を見て、みんなが笑う。


「御祖母さん凄い笑顔だね。」


「そうね。私も元気になりそう。」



子どもも笑い、大人も笑う。楽しく朗らかな空間に文は包まれていた。


ああ、よかった。よかった。本当に良かった。





ふと文は白髪の女性が、文の箪笥をジトリと値踏みするように見て、ニヤリと笑っている事に気が付いた。


そうだ。こういう時は、


「気を付けないとね。見られているよ。」


白髪の女性はビクリと怯えたように広一を見る。広一は、白髪の女性を見て微笑んでいた。


「ああ、大丈夫だよ。ずっと見ているからね。」










END
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。

設楽理沙
ライト文芸
2026.1.4 73話見直した際、瑛士の台詞《本音/懺悔》を加筆しました。😇 ☘ 累計ポイント/ 200万pt 超えました。ありがとうございます。 ―― 備忘録 ――    第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。  最高 57,392 pt      〃     24h/pt-1位ではじまり2位で終了。  最高 89,034 pt                    ◇ ◇ ◇ ◇ 紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる 素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。 隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が 始まる。 苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・ 消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように 大きな声で泣いた。 泣きながらも、よろけながらも、気がつけば 大地をしっかりと踏みしめていた。 そう、立ち止まってなんていられない。 ☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★ 2025.4.19☑~

妻への最後の手紙

中七七三
ライト文芸
生きることに疲れた夫が妻へ送った最後の手紙の話。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

25年目の真実

yuzu
ミステリー
結婚して25年。娘1人、夫婦2人の3人家族で幸せ……の筈だった。 明かされた真実に戸惑いながらも、愛を取り戻す夫婦の話。

【完】25年後、君と答え合わせ

こころ ゆい
ミステリー
※完結いたしました。初めてのコンテストで、完結まで辿り着けたこと。全ては読者の皆様のおかげです。本当に、本当に、ありがとうございました! 東山 花乃(ひがしやま かの)24歳。 花乃は、病気に侵され、小さい頃から目がほとんど見えていない。身体も一部麻痺している。 そんな彼女には異性の親友がいた。 手越 千春(てごし ちはる)29歳。 5歳の頃、院内で出会った男の子。成長して医師になり、今では花乃の担当医をしてくれている。 千春の祖父は、花乃の入院する大きな病院の医院長。千春は将来この病院を継ぐ跡取りだ。 花乃と出会った頃の千春は、妙に大人びた冷めた子供。人を信用しない性格。 交流を続けるなかで、花乃とは友人関係を築いていくが、まだどこか薄暗い部分を抱えたまま。 「ずっと友達ね」 無邪気に笑う花乃に、千春は言った。 「ずっと友達、なんてありえない」 「...じゃぁ、25年後、答え合わせをしましょう?」 「25年後?」 「そう。25年後、あなたと私がまだ友達か。答え合わせするの」 「いいけど...どうして25年後なの?」 「...それは秘密。25年後のお楽しみだよ」 そんな会話を出会った頃したことを、千春は覚えているだろうか。花乃は、過保護な千春や両親、友人たちに支えられながら、病気と向き合っていく。 しかしーー。 ある日、花乃は千春に関する不穏な噂を耳にする。 それをきっかけに、花乃は千春にまつわるある事実を知ることになっていくーー。 25年後、花乃と千春が出した答えとは? 🌱この物語はフィクションです。登場人物、建物、題材にされているもの、全て作者の考えた架空のものです。実際とは異なります。 🌱医療行為として、チグハグな部分があるかもしれません。ご了承頂けると幸いです。

処理中です...