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魔法学院生徒受入編
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しおりを挟む洞窟内には幸い他の生物はいないようだった。
洞窟の入り口で見た色の変わった岩肌と同じものを奥でも見つけたレオン達はその一部を魔法で掘削し鉱石を手に入れ、それを持ってクルザナシュに帰るのだった。
「レオン様、お待ちしたました」
クルザナシュの門を潜ると三人の帰りを待っていた商人のライルが出迎える。
ジムルが引くに荷車の中を見て、ライルは顔を輝かせた。
「おお! 見つけたのですね。では早速イチルガのところに持っていきましょう」
荷車の中から鉱石を一つ手に取り、ライルは喜んだ。
レオン達が鉱石を持って帰って来たのは鉱石を鑑定し、何の鉱石なのかを確認するためだった。
その鉱石の鑑定ができる人物の名前が、イチルガ・ハクメイである。
ハクメイは眼鏡をかけたまだ若い青年で、元々は他国の職人として働いていたらしいのだが、数年前にクエンティンと出会いこの国にやって来たのだそうだ。
クエンティンに命じられてクルザナシュに来てからは持っている技術をレオン達に提供してくれている。
街の中にある商人達の家が立ち並んだエリアをクルザナシュでは「商人通り」と呼んでいる。
平民の商人や職人達が店を構えるその通りには旅商人達の為の宿などもあり、それなりの賑わいを見せている。
その商人通りの一角にハクメイの家はあった。
二階建ての建物で、一階は丸々全てが店になっているその建物にレオンが足を運ぶと、店主のハクメイが出迎えてくれた。
「レオンさん! いらっしゃいませ」
レオンは店の中を見回して少し驚く、この店には以前一度来たことがあるが、その時はまだ出来たばかりで店の品揃えは良いとは言えないお粗末なものだった。
その時はまだクルザナシュ自体が出来たばかりで、往来する為の道も整備されておらず、街と街を行き来する人も少なかったために仕方がなかったのだろうが、久しぶりに入った店内は随分と変わり映えしていた。
店の左側には魔法の薬品がずらりと並び、反対の棚には魔道具の類が置かれている。
さらには、この街ではあまり需要のなさそうな剣や鎧にと言った非魔法使い向けの物まで揃っている。
差し詰め、クルザナシュの何でも屋といったところだろうか。
クルザナシュにある他の店では比較的食料品や衣服などの販売が主であるため、この店は異色といえる。
「おお、それが見つけた鉱石ですね! 早速拝見します」
事前に鉱石のことを聞かされていたハクメイはレオンから鉱石を受け取ると、虫眼鏡を手に持ち念入りに調べ始めた。
すぐに夢中になった様子のハクメイを見てレオン達は「少し時間がかかりそうだ」と思い、店の奥の椅子に座って待つことにした。
「では、私がお茶を淹れましょう。イチルガ、ちょっと奥を使わせてもらいますよ」
ライルが一言ハクメイに確認を取るが、よっぽど夢中になっているのかハクメイからの返事はなかった。
ハクメイが熱中するのはよくあることらしく、ライルは返事がないことを特に気にも留めず、奥に進んでいくと慣れた手つきでお茶を淹れて戻ってくる。
シュドラとジムルの二人はこういった人間の商店に慣れていないのかそわそわとした様子だったが、ライルが運んできたお茶を一口飲んで、ほっと一息ついている。
「それで、どうでした? 洞窟は」
ライルはお茶をレオンの目の前に差し出しながら聞く。
「うん、結構広いところだったよ。鉱床もかなりありそうだった」
レオンの返事を聞いてライルはさらに目を輝かせていた。
鉱山があり、そこから鉱物を取れればそれ自体が街の特産品となる。
さらには、それを精錬して加工し、道具を作ることもできる。
商人や職人にとって、まだ手付かずの鉱山というのは宝の山のような物なのだろう。
レオンはその後もライルのいくつかの質問に答えながらハクメイの鑑定が終わるのを待った。
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