3 / 6
3
しおりを挟む
私だって、まあそれなりに傷ついた。
魔力量が多いとわかったときも、花を咲かせる力があるとわかったときも、みんなに散々持ち上げられて。
王子の婚約者にまでなって。
なのに、能力が「ハズレ」だとわかった途端、梯子を外されて。みんなさーっと引いていった。笑っちゃうぐらいに、さーっと。
テオバルト本人は婚約解消を望んでいなかったようだけど……。
王に「婚約者を変えろ」と圧力をかけられてしまっては、逆らえなかったのだろう。
みなの期待を一身に背負う未来の王太子妃から、一転。
私は「フローレイン家のハズレ姫」と呼ばれるようになった。
婚約解消のとき、テオバルトには強がって笑顔を見せたけれど、本当はつらくてつらくて仕方なくて。
それからしばらくは、
「期待外れ」
「殿下もとんだハズレを引かされたものだ」
「早いうちにわかってよかったよ」
「魔力量だけ高くても能力がこれじゃあねえ」
なーんて陰口が聞こえてくるたびに泣きたくなった。
家族は庇ってくれたけど、お父様もお母様も、本当は私のことを「ハズレ」だと思ってるんじゃないかって、怖くなった。
転機が訪れたのは、ハズレ姫の烙印を押されてから半年ほどが経ったころ。
フローレイン家を訪れたある人が、私に向かってこんなことを言ったのだ。
「実用性はなくても、芸にぐらいは使えるんじゃないですか」
後になって思えば、ただの嫌みだ。はんっと鼻で笑っていた気もする。
けれどそのときの私には、「あなたの能力にも使い道はありますよ」と言われたように思えた。
だって、芸だよ。芸って、人を楽しませるためのものだ。
なんの役にも立たないと思ってた力で誰かを喜ばせることができるのだとしたら――それはとても嬉しいこと!
その言葉を聞いた私は、使用人の制止を振り切って家を飛び出し、町におりた。
泣いている女の子。喧嘩をした子供たち。一人俯く大人。
色々な人の前でぽんっと花畑を出したり、一凛の花を手渡したりした。
そうすると、みんな驚いたあとに笑顔になってくれて。
ああ、私の力も誰かの役に立てるんだ、喜んでもらえるんだって知ることができた。
それ以降、私は自分の魔法を誰かを喜ばせるために使うようになった。
そうすると私を罵倒する人はだんだんと減っていき、いつしか、社交の場で魔法を披露して欲しいと頼まれるようにもなっていった。
私が魔法を使うと、みんなが笑顔になる。それが、とても嬉しかった。
魔力量が多いとわかったときも、花を咲かせる力があるとわかったときも、みんなに散々持ち上げられて。
王子の婚約者にまでなって。
なのに、能力が「ハズレ」だとわかった途端、梯子を外されて。みんなさーっと引いていった。笑っちゃうぐらいに、さーっと。
テオバルト本人は婚約解消を望んでいなかったようだけど……。
王に「婚約者を変えろ」と圧力をかけられてしまっては、逆らえなかったのだろう。
みなの期待を一身に背負う未来の王太子妃から、一転。
私は「フローレイン家のハズレ姫」と呼ばれるようになった。
婚約解消のとき、テオバルトには強がって笑顔を見せたけれど、本当はつらくてつらくて仕方なくて。
それからしばらくは、
「期待外れ」
「殿下もとんだハズレを引かされたものだ」
「早いうちにわかってよかったよ」
「魔力量だけ高くても能力がこれじゃあねえ」
なーんて陰口が聞こえてくるたびに泣きたくなった。
家族は庇ってくれたけど、お父様もお母様も、本当は私のことを「ハズレ」だと思ってるんじゃないかって、怖くなった。
転機が訪れたのは、ハズレ姫の烙印を押されてから半年ほどが経ったころ。
フローレイン家を訪れたある人が、私に向かってこんなことを言ったのだ。
「実用性はなくても、芸にぐらいは使えるんじゃないですか」
後になって思えば、ただの嫌みだ。はんっと鼻で笑っていた気もする。
けれどそのときの私には、「あなたの能力にも使い道はありますよ」と言われたように思えた。
だって、芸だよ。芸って、人を楽しませるためのものだ。
なんの役にも立たないと思ってた力で誰かを喜ばせることができるのだとしたら――それはとても嬉しいこと!
その言葉を聞いた私は、使用人の制止を振り切って家を飛び出し、町におりた。
泣いている女の子。喧嘩をした子供たち。一人俯く大人。
色々な人の前でぽんっと花畑を出したり、一凛の花を手渡したりした。
そうすると、みんな驚いたあとに笑顔になってくれて。
ああ、私の力も誰かの役に立てるんだ、喜んでもらえるんだって知ることができた。
それ以降、私は自分の魔法を誰かを喜ばせるために使うようになった。
そうすると私を罵倒する人はだんだんと減っていき、いつしか、社交の場で魔法を披露して欲しいと頼まれるようにもなっていった。
私が魔法を使うと、みんなが笑顔になる。それが、とても嬉しかった。
63
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完結】義妹と婚約者どちらを取るのですか?
里音
恋愛
私はどこにでもいる中堅の伯爵令嬢アリシア・モンマルタン。どこにでもあるような隣の領地の同じく伯爵家、といってもうちよりも少し格が上のトリスタン・ドクトールと幼い頃に婚約していた。
ドクトール伯爵は2年前に奥様を亡くし、連れ子と共に後妻がいる。
その連れ子はトリスタンの1つ下になるアマンダ。
トリスタンはなかなかの美貌でアマンダはトリスタンに執着している。そしてそれを隠そうともしない。
学園に入り1年は何も問題がなかったが、今年アマンダが学園に入学してきて事態は一変した。
【完結】好きでもない私とは婚約解消してください
里音
恋愛
騎士団にいる彼はとても一途で誠実な人物だ。初恋で恋人だった幼なじみが家のために他家へ嫁いで行ってもまだ彼女を思い新たな恋人を作ることをしないと有名だ。私も憧れていた1人だった。
そんな彼との婚約が成立した。それは彼の行動で私が傷を負ったからだ。傷は残らないのに責任感からの婚約ではあるが、彼はプロポーズをしてくれた。その瞬間憧れが好きになっていた。
婚約して6ヶ月、接点のほとんどない2人だが少しずつ距離も縮まり幸せな日々を送っていた。と思っていたのに、彼の元恋人が離婚をして帰ってくる話を聞いて彼が私との婚約を「最悪だ」と後悔しているのを聞いてしまった。
【完結】ハーレム構成員とその婚約者
里音
恋愛
わたくしには見目麗しい人気者の婚約者がいます。
彼は婚約者のわたくしに素っ気ない態度です。
そんな彼が途中編入の令嬢を生徒会としてお世話することになりました。
異例の事でその彼女のお世話をしている生徒会は彼女の美貌もあいまって見るからに彼女のハーレム構成員のようだと噂されています。
わたくしの婚約者様も彼女に惹かれているのかもしれません。最近お二人で行動する事も多いのですから。
婚約者が彼女のハーレム構成員だと言われたり、彼は彼女に夢中だと噂されたり、2人っきりなのを遠くから見て嫉妬はするし傷つきはします。でもわたくしは彼が大好きなのです。彼をこんな醜い感情で煩わせたくありません。
なのでわたくしはいつものように笑顔で「お会いできて嬉しいです。」と伝えています。
周りには憐れな、ハーレム構成員の婚約者だと思われていようとも。
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
話の一コマを切り取るような形にしたかったのですが、終わりがモヤモヤと…力不足です。
コメントは賛否両論受け付けますがメンタル弱いのでお返事はできないかもしれません。
『恋心を凍らせる薬を飲みました』 - 残りの学園生活、どうぞご自由にお遊びください、婚約者様
恋せよ恋
恋愛
愛されることを諦めた。だから、私は心を凍らせた。
不誠実な婚約者・ユリアンの冷遇に耐えかねたヤスミンは、
伝説の魔女の元を訪れ、恋心を消し去る「氷の薬」を飲む。
感情を捨て、完璧な「人形」となった彼女を前に、
ユリアンは初めて己の罪と執着に狂い始める。
「お願いだ、前のように僕を愛して泣いてくれ!」
足元に跪き、涙を流して乞う男に、ヤスミンは冷酷に微笑む。
「愛?……あいにく、そのような無駄な感情は捨てましたわ」
一度凍りついた心は、二度と溶けない。
後悔にのたうち回る男と、心を凍らせた冷徹な公爵夫人の、
終わりのない贖罪の記録。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました
音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。
____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。
だから私は決めている。
この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。
彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。
……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。
婚約破棄されたので、もうあなたを想うのはやめます
藤原遊
恋愛
王城の舞踏会で、公爵令息から一方的に婚約破棄を告げられた令嬢。
彼の仕事を支えるため領地運営を担ってきたが、婚約者でなくなった以上、その役目を続ける理由はない。
去った先で彼女の能力を正当に評価したのは、軍事を握る王弟辺境伯だった。
想うことをやめた先で、彼女は“対等に必要とされる場所”を手に入れる。
早く婚約解消してください!
鳴哉
恋愛
自己評価の低い子爵令嬢 と
その婚約者の侯爵令息 の話
短いので、サクッと読んでもらえると思います。
読みやすいように、6話に分けました。
毎日1回、予約投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる