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この国の第一王子テオバルト・ヘクセレイは、12歳のとき、アメリ・フローレインとの婚約を解消した。
その原因が彼女の能力が「ハズレ」だったからであることは、貴族のみならず平民までもが知っている。
多くの人々がアメリを否定する言葉を吐き、彼女の心を踏みつけた。
そのことにひどく憤りながらも、最も彼女を傷つけたであろう人間が、僕……婚約解消をした張本人、テオバルトだ。
魔力量で選ばれた婚約相手だったけれど、10歳の僕はすぐにアメリのことを好きになった。
ふわふわとした桃色の髪に、緑の瞳。
伯爵家のお嬢さんなのに、ちょっとお転婆で。よく笑って。
「検査用の水晶を壊したって本当?」
「はい」
「……見てみたいな。やってみせてくれる?」
「わかりました!」
こんなやりとりの後、城で保管されていた水晶を勝手に持ち出して壊したのもいい思い出だ。
ちなみに僕は「本当にできるんだ!」と大盛り上がりした。
とてつもない魔力で水晶を破壊するという行為は、男児が好きなやつだったのだ。
……そのあとは、貴重なものをわざと壊してはいけないと二人一緒に怒られている。
彼女の能力が花を咲かせることだとわかったときも、僕はアメリらしい力だと嬉しくなった。
僕はこのまま、元気で明るいアメリと共に歩むことができると信じていたし、それを望んでいた。
けど――。
「テオバルト。アメリ嬢との婚約は解消する」
「……え?」
アメリが咲かせる花になんの力もないとわかった途端、父でもある王はこんなことを言い出した。
この国は、魔法至上主義。そんな能力が王族に引き継がれてしまっては困る、ということだろう。
当然、僕は抵抗したけれど、12歳の王子が王の決定を覆せるわけもなく。
僕は悲しみで引き裂かれそうになりながらも、アメリに婚約解消を告げた。
けれど、本当に彼女の手を放すつもりはなかった。
いつか、僕が自分の意思で婚約者を決められるようになったとき。
「絶対に、アメリを迎えに行く」
そう誓っていた。
あれから3年。
最初は「ハズレ姫」と言われて沈んでいた彼女も、今では笑顔を見せるようになっている。
人々を喜ばせるために力を使うようになったアメリは、フローレイン領のみなに慕われ、「花咲き姫」なんて呼ばれているようだ。
彼女が咲かせる花には、香りも効能もない。
逆を言えば、病気や体質の関係で花をそばにおくことが難しい人にも悪い影響が出ないということにもなる。
アメリはフローレイン領の様々な施設をまわり、多くの人々に笑顔を届けていた。
ハズレと呼ばれた伯爵令嬢が、その力で人々に活気を与えている。
多くの人に蔑まれたというのに、その心は優しいままだった。
アメリ・フローレインに関するそんな噂は、フローレイン領を超えて国中に広まっている。
僕が定期的に彼女を王都に呼び出し、貴族たちの前で魔法を披露してもらっているため、貴族たちの間でも肯定的な意見が出始めている。
中には、この会にはアメリも参加するのかと、わざわざ確認してくる人もいるぐらいだ。
彼女の魔法を見るのがよほど楽しみなのだろう。
王が自ら「アメリ嬢も呼ぶように」と言い出すことも増えてきて、僕は内心「ほらアメリは素晴らしいだろう」と勝ち誇っている。
その原因が彼女の能力が「ハズレ」だったからであることは、貴族のみならず平民までもが知っている。
多くの人々がアメリを否定する言葉を吐き、彼女の心を踏みつけた。
そのことにひどく憤りながらも、最も彼女を傷つけたであろう人間が、僕……婚約解消をした張本人、テオバルトだ。
魔力量で選ばれた婚約相手だったけれど、10歳の僕はすぐにアメリのことを好きになった。
ふわふわとした桃色の髪に、緑の瞳。
伯爵家のお嬢さんなのに、ちょっとお転婆で。よく笑って。
「検査用の水晶を壊したって本当?」
「はい」
「……見てみたいな。やってみせてくれる?」
「わかりました!」
こんなやりとりの後、城で保管されていた水晶を勝手に持ち出して壊したのもいい思い出だ。
ちなみに僕は「本当にできるんだ!」と大盛り上がりした。
とてつもない魔力で水晶を破壊するという行為は、男児が好きなやつだったのだ。
……そのあとは、貴重なものをわざと壊してはいけないと二人一緒に怒られている。
彼女の能力が花を咲かせることだとわかったときも、僕はアメリらしい力だと嬉しくなった。
僕はこのまま、元気で明るいアメリと共に歩むことができると信じていたし、それを望んでいた。
けど――。
「テオバルト。アメリ嬢との婚約は解消する」
「……え?」
アメリが咲かせる花になんの力もないとわかった途端、父でもある王はこんなことを言い出した。
この国は、魔法至上主義。そんな能力が王族に引き継がれてしまっては困る、ということだろう。
当然、僕は抵抗したけれど、12歳の王子が王の決定を覆せるわけもなく。
僕は悲しみで引き裂かれそうになりながらも、アメリに婚約解消を告げた。
けれど、本当に彼女の手を放すつもりはなかった。
いつか、僕が自分の意思で婚約者を決められるようになったとき。
「絶対に、アメリを迎えに行く」
そう誓っていた。
あれから3年。
最初は「ハズレ姫」と言われて沈んでいた彼女も、今では笑顔を見せるようになっている。
人々を喜ばせるために力を使うようになったアメリは、フローレイン領のみなに慕われ、「花咲き姫」なんて呼ばれているようだ。
彼女が咲かせる花には、香りも効能もない。
逆を言えば、病気や体質の関係で花をそばにおくことが難しい人にも悪い影響が出ないということにもなる。
アメリはフローレイン領の様々な施設をまわり、多くの人々に笑顔を届けていた。
ハズレと呼ばれた伯爵令嬢が、その力で人々に活気を与えている。
多くの人に蔑まれたというのに、その心は優しいままだった。
アメリ・フローレインに関するそんな噂は、フローレイン領を超えて国中に広まっている。
僕が定期的に彼女を王都に呼び出し、貴族たちの前で魔法を披露してもらっているため、貴族たちの間でも肯定的な意見が出始めている。
中には、この会にはアメリも参加するのかと、わざわざ確認してくる人もいるぐらいだ。
彼女の魔法を見るのがよほど楽しみなのだろう。
王が自ら「アメリ嬢も呼ぶように」と言い出すことも増えてきて、僕は内心「ほらアメリは素晴らしいだろう」と勝ち誇っている。
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