【完結】アイドルは親友への片思いを卒業し、イケメン俳優に溺愛され本当の笑顔になる <TOMARIGIシリーズ>

はなたろう

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♯1

25. スキャンダルの相手と対談

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「片倉さん、お願いします!」


スタッフに呼ばれスタジオに向かう。


「本日はよろしくお願いいたします」

「片倉さん。お会いできて嬉しいわ。対談のオファーを受けてくださりありがとうございます」


艶やかなビロードのロングドレスに身を包み、にこやかに微笑んだ。


スチール撮影では、カメラマンの指示を受け、肩を並べてソファに座った。玲奈さんから、微かに上品な香水の匂いが漂ってくる。彼女の長い髪が、ふとオレの頬にかすった。


「次はもう少し距離を詰めて、自然な感じでお願いします。目線はこっちで!」


まるで、恋人のように寄り添う。


「いいね!二人で自由に動いてみてください!」


カメラマンの声が響くと、玲奈さんが優しくオレの肩に手を添え、少しだけ身体を傾けた。まるでオレをリードするように、自然と顔が近づく。


「翔が愛した人に、会いたかったのよ」


シャッター音にかき消されるほどの小さな声で、オレの耳元に囁いた。


「え?」

「ほら、目線はあっち」


オレは、一瞬息を止めた。周囲にはスタッフがいる。この状況で、彼女が桐生さんの話をすることに驚き、そして警戒した。


「キレイな目ね、翔が言っていたとおりだわ」


玲奈さんの細い指先が、オレの頬に触れた。カシャッ!とシャッター音が響く。

その言葉に、オレの心に渦巻いていた嫉妬と不安が再熱する。彼女は桐生さんの何なんだ?なぜ、そんなに親しげに、彼のことを語れる?

「翔とは、古くからの友人でね、よき理解者なのよ」

「理解者?」

「私も女性しか愛せないのよ」


思わず声を上げそうになるのを、グッとこらえ、アイドルスマイルをキープする。


「そんな大事なことを、なぜオレに?」

「翔はあなたに話さなかったでしょう?誤解されて、2人の仲が悪くなったら、夢見が悪いじゃない」


なんと返事をすればいいか分からなかった。


「アイドルと俳優の同性愛なんて、うわさが出たら大変だもの、ねぇ」

「え、じゃあスクープは……」

「翔が仕組んだのよ」

「そんな」

「愛されてるわね」


玲奈さんは、オレの肩を軽く叩いた。


「翔のことよろしくね。彼、意外と寂しがり屋だから」

「はい!オッケーです!」


こうして、無事に撮影が終わった。

どうしよう。桐生さんに会いたくてたまらない。オレは胸が張り裂けそうだった。
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