先輩アイドルに溺愛されて、恋もステージもプロデュースされる件 <TOMARIGIシリーズ>

はなたろう

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ステージ 1 〈高校編〉

5. リハーサルでの嫉妬

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夏の太陽がまだ高く照りつける中、野外ライブのリハーサルは汗と熱気に包まれていた。


「次の曲、構成を確認するから全員出て」


ライブ監督の音声が響く。

このライブには大勢の候補生が参加する。いいポジションをもらって、目立つことができれば、デビューへの道が開けるかもしれない。そのため、みんなの目はいつになく真剣だ。


メインステージの前方にTOMARIGIの3人が出る。その少し斜め後方、バックダンサーとしては、まずまずの立ち位置に、オレとカイリは立っていた。


曲がかかり、スポットライトが蒼真先輩を照らす。いつか、自分もこのライトの下にいたい。誰もがそう思っているんだろう。


「ツバサ、行くぞ!」


隣のカイリが視線だけで熱い合図を送る。オレは、強く頷いた。

2人シンメで、息がぴったり合う振り付けを見せる。カイリとは、同期入所で同じ年。誰よりも理解しあえる。


「はい、おっけーー!」


ライブ監督の声が響いた。


「よっしゃ!」


カイリの笑顔に思わずオレも笑う。終わった瞬間、二人で軽く抱き合い、息を整える。


そのときだ、マイク越しに蒼真先輩の声が響いた。


「今の曲、立ち位置を変更してもう1回。カイリは端でサポートに回れ。ツバサは俺の後ろに来て」


その光景を見ていた蒼真先輩の眉が、わずかに吊り上がっていた。


会場がシンと静まり返る。唐突な指示に、カイリは目を丸くする。


「え、なんで?」


オレも戸惑う。さっきのパフォーマンスに、不備はなかったはずなのに。

だが、蒼真先輩の視線は真剣で逸らせない。一介の候補生が、意見を言えるような場所でもなかった。仕方なくカイリは端へと移動する。


「ごめん……」


心の中でつぶやくオレに、カイリは小さくうつむくだけ。少し胸が痛む。


すぐに曲がかかり、気持ちを切り替えることにする。音楽に合わせてステップを踏む。蒼真先輩のすぐ後ろ、その距離感に心が熱くなる。視線が絡み合うたび、胸の奥で小さな炎が燃え上がるようだった。


「いい動きだ、ツバサ」


曲が終わると、蒼真先輩は手をさりげなく肩に触れる。その距離に、心臓が跳ねる。カイリと離れたことの寂しさと、先輩に触れられた高揚感が入り混じる。


遠目にカイリは端で悔しそうな視線を感じた。



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