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5話 絶対に断れないパターン
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カイツールに到着したら、商隊の積み荷の積み降ろしを手伝ったりなんなりしていると、辺りはもう夕暮れが近くなっている。
早いところ今日の宿を確保したいが、アンドリューさんと今回の護衛依頼の報酬について話しておきたいのだ。
アンドリューさんならまだ噴水広場近くであれこれしている、と商人の方々から聞いたので噴水広場へ向かう。
すると、アイリスとアンドリューさんが何やら話し込んでいるのが見えた。
横から割って入るようでアイリスには悪いが、こっちも冒険者としての仕事もあって、報酬についての相談と確認は大事なのだ。
アンドリューさんに声を掛けようと近付いたら、
「――ですから、冒険者になろうと思っているんです」
「ふむ、冒険者か。まぁ確かに、誰でもなれると言えば、その通りだがなぁ……」
ん?
アイリス、冒険者になるつもりなのか?
まぁそれはいい、こっちの用を済ませよう。
「アンドリューさん、少しいいですか?」
「おぉ、リオ。ちょうどいいところに来たな」
「いいところ?」
アンドリューさんも俺に何か用があったのか。
同じく報酬のことを考えていたのだろうかと思っていたら、
「お前さん、このお嬢さんを鍛えてやってくれないか?」
「へ?」
なんか違うことを頼まれた。
このお嬢さん――アイリスを鍛えてやってくれないかって?
「あぁすまん、説明が足りなかったな。彼女は冒険者になりたいそうだから、そこそこ実力のある黒鉄級のお前さんに指南役を頼みたいんだ」
いやいやいや、そう言う問題じゃなくて。
「ちょ、ちょっと待ってください?俺は確かに商隊の護衛依頼を完遂したので、今回の報酬についてどうするかを聞きたくてですね?」
「なんだその事か。報酬は三万レアルの小切手を明日に手渡しの契約だったが、現金で欲しいのか?」
「小切手で問題ないですし、明日の手渡しですね、分かりました。……で、俺が彼女を、アイリスを鍛えろってどういうことです?」
いきなりそんなこと言われても困るんだが。
「あの、それに関しては私から」
そこに、アイリスが小さく挙手した。
「私は爵位を剥奪されてしまい追放、両親も謂れの無い罪で捕まってしまったので、もう王都に戻ることは出来ません」
親まで冤罪を吹っ掛けられたのかよ、婚約破棄した第一王子は何やってんだ、ご乱心か?
「ですから、これからは違う身の振り方をしなければならず……幸い、剣の腕には自信があるので、いっそのことイチから冒険者を目指すのもいいのではないか、と考えてアンドリューさんに相談をしていたところでした」
「……で、アンドリューさんとしては、現役冒険者の俺に彼女のことを任せたい、と。そう言うことですか」
公爵令嬢として剣を嗜んでいた、と言うことらしいが、実際に戦ったことはほとんどない、と言ったところか。
「うむ、そう言うことだ。やってくれるか?」
えぇー……ハッキリ言ってめんどくさい。
めんどくさいのも理由のひとつだが、これからの身の振り方を考えないとならないのは俺も同じだ。
そんな余裕の無い時に、素人の指南役なんて出来ると思えない。
二人には悪いが、ここは断らせてもらおう。
「すいません、俺も今後の自分のことについて考えないとならないので」
よし、なんとか角が立たない断り方が出来……
「まぁ、ちょっと待て」
トン、とアンドリューさんは俺の肩に手を置いた。
「こんな美しく聡明なお嬢さんからの頼みを断るってのは、男として思うところがあると、オレは思うんだがな」
「はぁ……それはまぁ、そうですが」
「そうだろうそうだろう。なら、やってくれるか?」
「いや、ですから、俺にも自分の」
「まぁ、ちょっと待て」
気持ち、さっきより強く肩に手を置かれた。
……あれ?もしかして俺、も う 逃 げ ら れ な い ?
「青銅や赤銅の冒険者じゃ、実力や経験に不安があるだろう。その点、黒鉄級のお前さんなら安心して任せられる」
「………………はぁ、分かりましたよ。彼女を拾ったのは俺ですから、俺が面倒を見るのは自然な流れではあるか」
渋々引き受けると言う体を見せつつ、
「いいですけど、これは"冒険者の依頼“として受けさせてもらいますよ。報酬、上乗せしてくれますよね?」
頼まれたからには出来る限りのことはするが、タダでは転がされないぞ、最低でも報酬の上乗せくらいはしてもらわないと釣り合いが取れない。
「もちろんだ。では、任せたぞ!」
言質は取った。
取った、が……
「よろしくお願いします、リオさん!」
アイリスを――全くの素人をいっぱしの冒険者に仕立てろって、かなり無理難題じゃないか?
「……あぁ、こちらこそ」
あちこち巡りながらの旅になるかと思いきや、早速面倒事を押し付けられてしまったぞ……いや、そこできちんと断らない俺も悪いと言えば悪いが。
「それならアンドリューさん、商隊はいつ頃カイツールを出発するんですか?」
アンドリューさんからの依頼と言う形で承ったため、今しばらく商隊と行動ともにするということなるから、報酬はギルドを通したものではない、個人的な謝礼金になる。
カイツールで別れるにしろ、また次の目的地まで同行するのかは未定だが、報酬の受け取りに関してはハッキリさせておきたい。
「うむ、一週間後の早朝にここを出るつもりだな。それまでには報酬は用意しておこう」
一週間か……短いが、なんとかアイリスを新米冒険者くらいには出来るかなぁ?
早いところ今日の宿を確保したいが、アンドリューさんと今回の護衛依頼の報酬について話しておきたいのだ。
アンドリューさんならまだ噴水広場近くであれこれしている、と商人の方々から聞いたので噴水広場へ向かう。
すると、アイリスとアンドリューさんが何やら話し込んでいるのが見えた。
横から割って入るようでアイリスには悪いが、こっちも冒険者としての仕事もあって、報酬についての相談と確認は大事なのだ。
アンドリューさんに声を掛けようと近付いたら、
「――ですから、冒険者になろうと思っているんです」
「ふむ、冒険者か。まぁ確かに、誰でもなれると言えば、その通りだがなぁ……」
ん?
アイリス、冒険者になるつもりなのか?
まぁそれはいい、こっちの用を済ませよう。
「アンドリューさん、少しいいですか?」
「おぉ、リオ。ちょうどいいところに来たな」
「いいところ?」
アンドリューさんも俺に何か用があったのか。
同じく報酬のことを考えていたのだろうかと思っていたら、
「お前さん、このお嬢さんを鍛えてやってくれないか?」
「へ?」
なんか違うことを頼まれた。
このお嬢さん――アイリスを鍛えてやってくれないかって?
「あぁすまん、説明が足りなかったな。彼女は冒険者になりたいそうだから、そこそこ実力のある黒鉄級のお前さんに指南役を頼みたいんだ」
いやいやいや、そう言う問題じゃなくて。
「ちょ、ちょっと待ってください?俺は確かに商隊の護衛依頼を完遂したので、今回の報酬についてどうするかを聞きたくてですね?」
「なんだその事か。報酬は三万レアルの小切手を明日に手渡しの契約だったが、現金で欲しいのか?」
「小切手で問題ないですし、明日の手渡しですね、分かりました。……で、俺が彼女を、アイリスを鍛えろってどういうことです?」
いきなりそんなこと言われても困るんだが。
「あの、それに関しては私から」
そこに、アイリスが小さく挙手した。
「私は爵位を剥奪されてしまい追放、両親も謂れの無い罪で捕まってしまったので、もう王都に戻ることは出来ません」
親まで冤罪を吹っ掛けられたのかよ、婚約破棄した第一王子は何やってんだ、ご乱心か?
「ですから、これからは違う身の振り方をしなければならず……幸い、剣の腕には自信があるので、いっそのことイチから冒険者を目指すのもいいのではないか、と考えてアンドリューさんに相談をしていたところでした」
「……で、アンドリューさんとしては、現役冒険者の俺に彼女のことを任せたい、と。そう言うことですか」
公爵令嬢として剣を嗜んでいた、と言うことらしいが、実際に戦ったことはほとんどない、と言ったところか。
「うむ、そう言うことだ。やってくれるか?」
えぇー……ハッキリ言ってめんどくさい。
めんどくさいのも理由のひとつだが、これからの身の振り方を考えないとならないのは俺も同じだ。
そんな余裕の無い時に、素人の指南役なんて出来ると思えない。
二人には悪いが、ここは断らせてもらおう。
「すいません、俺も今後の自分のことについて考えないとならないので」
よし、なんとか角が立たない断り方が出来……
「まぁ、ちょっと待て」
トン、とアンドリューさんは俺の肩に手を置いた。
「こんな美しく聡明なお嬢さんからの頼みを断るってのは、男として思うところがあると、オレは思うんだがな」
「はぁ……それはまぁ、そうですが」
「そうだろうそうだろう。なら、やってくれるか?」
「いや、ですから、俺にも自分の」
「まぁ、ちょっと待て」
気持ち、さっきより強く肩に手を置かれた。
……あれ?もしかして俺、も う 逃 げ ら れ な い ?
「青銅や赤銅の冒険者じゃ、実力や経験に不安があるだろう。その点、黒鉄級のお前さんなら安心して任せられる」
「………………はぁ、分かりましたよ。彼女を拾ったのは俺ですから、俺が面倒を見るのは自然な流れではあるか」
渋々引き受けると言う体を見せつつ、
「いいですけど、これは"冒険者の依頼“として受けさせてもらいますよ。報酬、上乗せしてくれますよね?」
頼まれたからには出来る限りのことはするが、タダでは転がされないぞ、最低でも報酬の上乗せくらいはしてもらわないと釣り合いが取れない。
「もちろんだ。では、任せたぞ!」
言質は取った。
取った、が……
「よろしくお願いします、リオさん!」
アイリスを――全くの素人をいっぱしの冒険者に仕立てろって、かなり無理難題じゃないか?
「……あぁ、こちらこそ」
あちこち巡りながらの旅になるかと思いきや、早速面倒事を押し付けられてしまったぞ……いや、そこできちんと断らない俺も悪いと言えば悪いが。
「それならアンドリューさん、商隊はいつ頃カイツールを出発するんですか?」
アンドリューさんからの依頼と言う形で承ったため、今しばらく商隊と行動ともにするということなるから、報酬はギルドを通したものではない、個人的な謝礼金になる。
カイツールで別れるにしろ、また次の目的地まで同行するのかは未定だが、報酬の受け取りに関してはハッキリさせておきたい。
「うむ、一週間後の早朝にここを出るつもりだな。それまでには報酬は用意しておこう」
一週間か……短いが、なんとかアイリスを新米冒険者くらいには出来るかなぁ?
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