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8話 スキル【ホワイトナイト】
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「もう一件は、こちらの彼女の新規登録だ」
一歩引いて、アイリスを受付嬢の前に立たせる。
「新規登録ですね。ではこちらの申請書に、必要事項をご記入ください」
いくら帯剣しているとは言え、こんな見るからに良い所のお嬢さんが、冒険者になりたいと言うのだ、普通なら何事だと思って何かしら訊ねるところだろうが、この受付嬢は何を言うでもなく用件に対して淡々と応じてくれる。こう言う時に余計な詮索をしないのは助かる。
受付嬢は引き出しから、申請書を取り出し、ペンをアイリスに手渡す。
アイリスはこくりと頷き、さらさらとペンを滑らせて申請書と必要事項に自分の名前や年齢を書き込んでいく。綺麗な筆記体だな、さすがは元公爵令嬢。
「記入しました」
すぐさま書き終えたアイリスは、申請書とペンを受付嬢に返す。
「恐れ入ります。続いて、こちらの水晶玉に手をかざしてください。あなた様の持つスキルを鑑定致します」
続けて受付嬢がカウンターに乗せたのは、無色透明の水晶玉。
「リオさん。スキル、と言うのは?」
アイリスはそれが何か分からないので、素直に俺に訊いてきた。
「人間が生まれ持っている才能みたいなものだ。どんな技術や魔法が得意なのかとか、一部の能力を特化させるとか、まぁ人によって色々ある。ま、とりあえず鑑定してもらおうか」
百聞は一見に如かずだ。
緊張した面持ちで、アイリスは鑑定の水晶玉に右手を翳す。
キン、と水晶玉が淡く輝き、それを受付嬢の鑑定魔法が読み取る。
「……鑑定完了しました。あなた様のスキルは、【ホワイトナイト】です」
【ホワイトナイト】か。
"ホワイト“は光属性の象徴色で、"ナイト“は剣術に特化した者の象徴。
即ち、『光属性の剣技を得意とするスキル』と言うわけだ。
基本は火、水、風、土、雷、氷の六属性なのだが、残る光と闇はの二属性はスキルとしては珍しい部類に当たる。
アイリスにいきなり属性云々を言われてもサッパリだろうし、ひとまずは最後まで話を聞いてもらおう。
続けて受付嬢は鑑定魔法の魔力帯を発生させたまま維持、制御し、それを手元に注ぎ込んでいく。
ややあって。
「お待たせしました。こちら、アイリス様の
ギルドカードになります。お受け取りくださいませ」
「あ、ありがとうございます」
アイリスが受け取ったカードの色は、鈍青色――冒険者としては最下級の、青銅級だ。
人によっては、元兵士として戦闘訓練を受けている者などは最初から赤銅級だったり、戦闘訓練などを受けずとも非常に高い魔法適性などがあれば、いきなり銀級と言う者も過去にはいたらしい。
「ギルドカードは、身分証としてだけでなく、ギルドに依頼を受注する際にも必要になります。紛失することの無いよう、大切に携行してください」
無くすと再発行に時間がかかる――即ち依頼を受けられない上に手数料まで払わされるからな。
「以上で冒険者登録は完了です」
型式張ったお辞儀をする受付嬢。
「ありがとうございます」
アイリスも同じく礼儀正しくお辞儀を返す。
一旦酒場を後にした後は、商業区のバザーへ繰り出す。
「よし、次は物資の買い込みだな」
「冒険者に必要な買い物って、どんなものですか?」
「主に薬品や包帯、砥石、携帯食料などの消耗品だな。遠出する場合には、野営具なんかも必要になるが、ひとまずは基本的な消耗品から買い揃えようか」
流通都市と言うだけあって、バザーの規模は広く、露店商の数も多い。
そちらもじっくり見て回りたいところだが、今日はアイリスの冒険者支度と、冒険者デビューを優先だ。
それよりも気になるのが、アイリスが帯剣しているレイピアだ。
控えめな装飾とは言え、公爵令嬢の私物だ。儀礼用のものかもしれない。
儀礼剣は見た目を重きに置いているため、刃抜きしていると聞いたことがあるからだ。
もちろん簡単に壊れるような代物では無いだろうが、実戦的な武器で無いのでは困る。
「アイリス、そのレイピアは儀礼用か?」
「いえ、刃抜きされていない真剣ですよ。さすがにお飾りの剣では戦えませんし」
真剣だったか、ならいいんだ。
「そうか。冒険者用のきちんとした武器も買う必要があるかと思ったが、ひとまずはそれでいいか」
武器に関する心配は無し。
それなら必要な消耗品と、それらを持ち運ぶためのポーチを買い揃えたら、酒場に戻るとしよう。
一通りの買い物を終えて、再び酒場に戻って来た。
先程と同じ、ピンク髪の受付嬢が応対してくれるので、先程発行したばかりのギルドカードを提示して。
「青銅級の受注可能な依頼はこちらになります」
依頼状の束を受け取り、吟味する。
青銅級で受けられる依頼は、薬草や特産品の採集、スライムやゴブリンなどの小型の魔物の間引きが主であり、大型の魔物の討伐依頼などはまだ受けられない。
本来なら、採集系の依頼からじっくり始めたいところだが、一週間でアイリスを鍛えてほしいと言うアンドリューさんの依頼もあるので、いきなり実戦だが、小型の魔物の間引きをやらせてみるか。
行き先は、カイツール近辺の森だ。
「スライム十匹の討伐依頼でいいか?」
「分かりました」
アイリスの同意を得て、スライム十匹の討伐依頼を受注する。
依頼状を受付嬢に渡し、依頼状の半券と前払金を受け取る。
「スライム十匹の討伐依頼、二名様で受注致しました。ご武運をお祈りしています」
ぺこりと一礼する受付嬢。
無表情と言うか無愛想だが、仕事をしっかりこなしてくれる分には、こちらとしても文句は無い。
「よし、行くか」
「はい、よろしくお願いします」
依頼状の半券と前払金を懐に収め、酒場を出る。
さて、アイリスの冒険者デビューだ。気持ちよく達成させてやらないとな。
一歩引いて、アイリスを受付嬢の前に立たせる。
「新規登録ですね。ではこちらの申請書に、必要事項をご記入ください」
いくら帯剣しているとは言え、こんな見るからに良い所のお嬢さんが、冒険者になりたいと言うのだ、普通なら何事だと思って何かしら訊ねるところだろうが、この受付嬢は何を言うでもなく用件に対して淡々と応じてくれる。こう言う時に余計な詮索をしないのは助かる。
受付嬢は引き出しから、申請書を取り出し、ペンをアイリスに手渡す。
アイリスはこくりと頷き、さらさらとペンを滑らせて申請書と必要事項に自分の名前や年齢を書き込んでいく。綺麗な筆記体だな、さすがは元公爵令嬢。
「記入しました」
すぐさま書き終えたアイリスは、申請書とペンを受付嬢に返す。
「恐れ入ります。続いて、こちらの水晶玉に手をかざしてください。あなた様の持つスキルを鑑定致します」
続けて受付嬢がカウンターに乗せたのは、無色透明の水晶玉。
「リオさん。スキル、と言うのは?」
アイリスはそれが何か分からないので、素直に俺に訊いてきた。
「人間が生まれ持っている才能みたいなものだ。どんな技術や魔法が得意なのかとか、一部の能力を特化させるとか、まぁ人によって色々ある。ま、とりあえず鑑定してもらおうか」
百聞は一見に如かずだ。
緊張した面持ちで、アイリスは鑑定の水晶玉に右手を翳す。
キン、と水晶玉が淡く輝き、それを受付嬢の鑑定魔法が読み取る。
「……鑑定完了しました。あなた様のスキルは、【ホワイトナイト】です」
【ホワイトナイト】か。
"ホワイト“は光属性の象徴色で、"ナイト“は剣術に特化した者の象徴。
即ち、『光属性の剣技を得意とするスキル』と言うわけだ。
基本は火、水、風、土、雷、氷の六属性なのだが、残る光と闇はの二属性はスキルとしては珍しい部類に当たる。
アイリスにいきなり属性云々を言われてもサッパリだろうし、ひとまずは最後まで話を聞いてもらおう。
続けて受付嬢は鑑定魔法の魔力帯を発生させたまま維持、制御し、それを手元に注ぎ込んでいく。
ややあって。
「お待たせしました。こちら、アイリス様の
ギルドカードになります。お受け取りくださいませ」
「あ、ありがとうございます」
アイリスが受け取ったカードの色は、鈍青色――冒険者としては最下級の、青銅級だ。
人によっては、元兵士として戦闘訓練を受けている者などは最初から赤銅級だったり、戦闘訓練などを受けずとも非常に高い魔法適性などがあれば、いきなり銀級と言う者も過去にはいたらしい。
「ギルドカードは、身分証としてだけでなく、ギルドに依頼を受注する際にも必要になります。紛失することの無いよう、大切に携行してください」
無くすと再発行に時間がかかる――即ち依頼を受けられない上に手数料まで払わされるからな。
「以上で冒険者登録は完了です」
型式張ったお辞儀をする受付嬢。
「ありがとうございます」
アイリスも同じく礼儀正しくお辞儀を返す。
一旦酒場を後にした後は、商業区のバザーへ繰り出す。
「よし、次は物資の買い込みだな」
「冒険者に必要な買い物って、どんなものですか?」
「主に薬品や包帯、砥石、携帯食料などの消耗品だな。遠出する場合には、野営具なんかも必要になるが、ひとまずは基本的な消耗品から買い揃えようか」
流通都市と言うだけあって、バザーの規模は広く、露店商の数も多い。
そちらもじっくり見て回りたいところだが、今日はアイリスの冒険者支度と、冒険者デビューを優先だ。
それよりも気になるのが、アイリスが帯剣しているレイピアだ。
控えめな装飾とは言え、公爵令嬢の私物だ。儀礼用のものかもしれない。
儀礼剣は見た目を重きに置いているため、刃抜きしていると聞いたことがあるからだ。
もちろん簡単に壊れるような代物では無いだろうが、実戦的な武器で無いのでは困る。
「アイリス、そのレイピアは儀礼用か?」
「いえ、刃抜きされていない真剣ですよ。さすがにお飾りの剣では戦えませんし」
真剣だったか、ならいいんだ。
「そうか。冒険者用のきちんとした武器も買う必要があるかと思ったが、ひとまずはそれでいいか」
武器に関する心配は無し。
それなら必要な消耗品と、それらを持ち運ぶためのポーチを買い揃えたら、酒場に戻るとしよう。
一通りの買い物を終えて、再び酒場に戻って来た。
先程と同じ、ピンク髪の受付嬢が応対してくれるので、先程発行したばかりのギルドカードを提示して。
「青銅級の受注可能な依頼はこちらになります」
依頼状の束を受け取り、吟味する。
青銅級で受けられる依頼は、薬草や特産品の採集、スライムやゴブリンなどの小型の魔物の間引きが主であり、大型の魔物の討伐依頼などはまだ受けられない。
本来なら、採集系の依頼からじっくり始めたいところだが、一週間でアイリスを鍛えてほしいと言うアンドリューさんの依頼もあるので、いきなり実戦だが、小型の魔物の間引きをやらせてみるか。
行き先は、カイツール近辺の森だ。
「スライム十匹の討伐依頼でいいか?」
「分かりました」
アイリスの同意を得て、スライム十匹の討伐依頼を受注する。
依頼状を受付嬢に渡し、依頼状の半券と前払金を受け取る。
「スライム十匹の討伐依頼、二名様で受注致しました。ご武運をお祈りしています」
ぺこりと一礼する受付嬢。
無表情と言うか無愛想だが、仕事をしっかりこなしてくれる分には、こちらとしても文句は無い。
「よし、行くか」
「はい、よろしくお願いします」
依頼状の半券と前払金を懐に収め、酒場を出る。
さて、アイリスの冒険者デビューだ。気持ちよく達成させてやらないとな。
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