タイム連打ってなんだよ(困惑)

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)

文字の大きさ
7 / 40

7話 カイツールの冒険者ギルド

しおりを挟む
 自発的に目が覚めたので、上体を起こした。

「ん、くぅぁぁぁぁぁ……っと」

 久々に熟睡出来たな。
 旅の途中は不寝番をしていたり、眠っている時も何かあればすぐに戦闘態勢を整えられるようにと、神経を昂らせていたのもあって浅い眠りの時が多かったのだ。

 カーテンを開けて朝日を浴びる。
 今日もいい天気だ。

 今日は……そうそう、アイリスが冒険者になりたいから、冒険者登録をするんだったな。
 俺もしばらくカイツールに滞在することになるし、所属を登録をしておかなければ。

 一度そのギルドに登録しておけば、依頼の都合からよその町のギルドの世話になった時でも、どこのギルドから依頼を受けたものかハッキリ分かるので、万が一冒険者と依頼主との間で問題が起きてしまった場合でも、ギルドの方から便宜を図ってくれる。
 もしも依頼主の方が依頼内容を反故にするようなことがあったり、あるいはその逆のことが起きても、ギルドが仲介した上で、反故にされた側の人間は守られるのだ。
 所属登録の際の手数料も不要なので、しておかなければむしろ損しかしない。
 ギルドに所属登録していない冒険者は、その町のギルドが発注する依頼を受けられないし、場合によっては"密猟者“として見なされる恐れがある。
 後ろ暗いことに覚えがないなら、ちゃんと堂々としておけ言うことだ。

 さて、目も覚めてきたところで顔を洗って……アイリスはまだ寝ているかもしれないな、起こしに行くか。
 旅荷物をまとめて、さて部屋を出ようとしたところで、ドアがノックされた。

「ん?どなた?」

「おはようございますリオさん、アイリスです」

 どうやらアイリスの方が早かったらしい。
 ドアを開ける。

「おはよう、昨夜はよく眠れたか?」

「はい、朝までぐっすりでした」

 起き抜けから生気に満ちた顔をしているアイリス。旅で疲れていたのは彼女も同じだ、床についたらすぐに熟睡したのだろう。

「それはよかった。朝食を済ませたら、冒険者ギルドの方に行こうか」

「今日はよろしくお願いします」

「あぁ、こちらこそだ」

 互いに朝の挨拶を交わしたら、宿の食堂へ向かう。



 朝食後は部屋を引き払って、その足で冒険者ギルドの出張機関へ直行だ。

 ちなみに、昨日のアンドリューさんとの契約で、アイリスの分の宿代やらは何やらは俺が払うことになっているので、その分の費用は前払金と合わせて先にもらっている。
 寛容で金払いも人柄もいい、お金のやり取りをする上でこれほど気持ちよく成立出来る人はそういない。……その分、ちょっとだけ無茶を押し付ける人でもあるようだが。

 案内板を見て……中心部辺りに、出張機関を兼ねた酒場があるようだな。

 しかし……そこまで歩くだけのことなのに、道行く人は俺の隣一歩後ろ辺りに続いているアイリスに一目向ける、あるいは振り返る。
 顔立ちも良く、均整の取れた身体付き、身形もしっかりしているともなれば、紛うことなき美少女だ。
 お互い知らない仲で擦れ違ったら、俺だって一目見たくなるくらいだ。
 横目で見る限り、アイリスは周囲の視線を気にしている様子は無い。元々は貴族だったから、そう言った視線には慣れているのかもしれないな。

 一際大きい建物に、冒険者ギルド共通の紋章旗。ここが冒険者ギルドの出張機関の酒場のようだ。



 入ってみれば、朝早くから冒険者達の喧騒と、テーブルに並べられた料理の香辛料や酒の匂いが混ざりあった、酒場特有の空気。

「ここが、冒険者ギルド……」

 アイリスは物珍しげに、視線を左右させる。

「どこの町のギルドも、こんな感じだな」

 規模の大小は、場所によってまちまちだが、大体は酒場と併設して作られている。
 依頼を達成して帰ってきた冒険者が、報酬で懐が温まったのをいいことに、その場ですぐ散財させるため、と聞いたことがある。
 まぁ確かに、帰ってきてすぐに美味しい料理を用意してもらえると言うのは、抗い難い誘惑で、財布の紐を緩めやすいものだからな。
 とは言え今日の俺達の目的は食事ではなく、冒険者登録だ。

 ギルドカウンターにいるのは、なんだか眠そうな顔をした、ウェーブのかかった桃色の髪をした女の子。



 受付嬢にしては随分若いな。

「冒険者ギルド・カイツール支部へようこそ。ご用件をどうぞ」

 眉の毛先ひとつ動かさない無表情で、淡々と挨拶する受付嬢。

「用件は二つある。まずは、冒険者の所属登録を頼みたい」

 まずは俺の用件からだ。

「かしこまりました。ギルドカードの提示をお願い致します」

 声色ひとつも変わらない。まるで訓練された兵士のようだな。
 言う通りに、俺のギルドカード――黒鉄級を示す暗い鈍色のそれを差し出す。
 ギルドカードを受け取った受付嬢は、頭の周りに魔方陣を形成し、ギルドカードを読み取っていく。

 受付嬢の必須技能である、鑑定魔法だ。
 ギルドカードの内容は正しいものか、あるいはカード自体が偽造のものではないかを確認したり、魔物から剥ぎ取った魔石や素材の状態などを判別するために使われる。

「ご確認致しました。当ギルドへの所属登録で間違いないでしょうか」

「あぁ、そうだ」

「かしこまりました。少々お待ちください」

 用件内容を再確認してから、受付嬢は俺のギルドカードの情報を、手早く名簿帳に書き込んでいく。

「登録完了しました。ギルドカードをお返しします」

「どうも」

 差し出されたギルドカードを懐にしまう。

 さて、次はアイリスの冒険者登録だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

異世界帰還者の気苦労無双録~チートスキルまで手に入れたのに幼馴染のお世話でダンジョン攻略が捗らない~

虎柄トラ
ファンタジー
 下校帰りに不慮の事故に遭い命を落とした桜川凪は、女神から開口一番に異世界転生しないかと勧誘を受ける。  意味が分からず凪が聞き返すと、女神は涙ながらに異世界の現状について語り出す。  女神が管理する世界ではいま魔族と人類とで戦争をしているが、このままだと人類が負けて世界は滅亡してしまう。  敗色濃厚なその理由は、魔族側には魔王がいるのに対して、人類側には勇者がいないからだという。  剣と魔法が存在するファンタジー世界は大好物だが、そんな物騒な世界で勇者になんてなりたくない凪は断るが、女神は聞き入れようとしない。  一歩も引かない女神に対して凪は、「魔王を倒せたら、俺を元の身体で元いた世界に帰還転生させろ」と交換条件を提示する。  快諾した女神と契約を交わし転生した凪は、見事に魔王を打ち倒して元の世界に帰還するが――。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

異世界から元の世界に派遣された僕は他の勇者たちとは別にのんびり暮らします【DNAの改修者ー外伝】

kujibiki
ファンタジー
異世界で第二の人生の大往生を迎えた僕は再びあの場所へ飛ばされていた。 ※これは『DNAの改修者』のアフターストーリーとなります。 『DNAの改修者』を読まなくても大丈夫だとは思いますが、気になる方はご覧ください。 ※表紙は生成AIで作ってみたイメージです。(シャルルが難しい…)

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...