タイム連打ってなんだよ(困惑)

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)

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13話 知られたくない物?

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 拠点に戻ってくる頃には、アイリスも物資を運んでいた冒険者達も十分に休めており、そろそろ出発しようとかと言う時だった。

「リオさん、大丈夫ですか?」

 拠点に入るなり、アイリスが駆け寄って俺の身を案じてくれた。優しい娘だ。

「大丈夫だ、なんとか撃退出来た」

 怪我もないぞ、と大きく頷いてみせるとアイリスは「よかったです……」と胸を撫で下ろした。そんなに心配してたのか、すまんな。

「そっちのあんた達も、無事で何よりだ」

 追われていた冒険者達にも目を向けて、声をかける。

「いやいや、こちらこそ。助かったよ、ありがとう」

 リーダーらしい男が苦笑しつつ礼を返す。

「ところで、どうしてヴェイルワイバーンに追われていたんだ?」

 奴の気が余程立っていたのもあるだろうが、そうだとしても下手に刺激でもしない限りは、あんな風に追われたりはしないはずだが、と理由を訊いてみたら。

「……食糧だよ。あれを狙われてな」

 リーダーが指した方向には、テント内の簡易ベッドの上に置かれた、布に覆われた大きな包み。

「あぁ、やっぱり食糧だったのか」

「そうそう。……さて、早いところ街にまで運んでしまおうか」

 リーダーはパンッと手を鳴らし、もう二人も呼応して、一人は臨戦態勢を、もう一人は大きな包みを運び始める。

「なら、俺達も同行しよう。ちょうど、こっちの依頼も済んでるんでな」

 アイリスのスライム十匹の討伐依頼は既に仮達成、あとはギルドに素材を提出するだけだ。
 護衛が必要なら一人でも多い方がいいと思ったのだが、

「あ、いや、あんたはさっき飛竜とやり合ったところだろう?もう少し休んだ方がいい」

 ん?今、なんか慌てたように見えたが。

「ここまで来れば、あとはもう俺達だけで大丈夫だ」

 もう二人もなんだか様子がよそよそしい。
 何かワケアリのようだが……いや、彼らにも何か事情があるのだろう。
 他の冒険者の依頼に横から口出しするのはマナー違反だからな。
 それに、俺がヴェイルワイバーンの撃退で疲れているのも事実だ。スライム十匹討伐の依頼も、別に急いでないしな。

「そうか?なら、お言葉に甘えさせてもらうが」

「あぁ。……そうだ、せめてもの礼だ」

 リーダーはポーチから回復薬の小瓶を手渡してきたので、遠慮なく受け取ることにした。

「じゃぁ、俺達は後からゆっくり追うよ。達者でな」

「そっちもな。ありがとう」

 拠点を後にしていく彼らを見送ってから、簡易ベッドに座って、もらった回復薬を飲む。
 くーっ、疲れた身体に染み入る一杯だ。

「…………」

 すると、アイリスは何故か拠点の出入口をずっと見つめている。

「アイリス、どうした?」

 俺の呼び声にハッとなったアイリスは、すぐにテントの中に戻ってくる。

「い、いえ、その……、…………」

 少し躊躇うような素振りを見せてから。

「さっきの冒険者の方達……何か怪しいような気がして」

 何か怪しい、か。
 どことなくそわそわしていたようには見えたが。

「他人に話しにくい事情があるんだろう。下手に深入りすると、とばっちりを受けるかもしれないぞ」

 もし彼らが何か面倒事を抱えていたら、こっちにまで責任を被せてくる可能性もある。
 なので、俺達はあくまでもヴェイルワイバーンに襲われていた彼らを助けただけで、ほぼ無関係と言うことにしておきたい。

「俺達は人助けをしただけ。それでいいだろう?」

「……はい」

 俺が言いたいことは理解出来るが、どうも腑に落ちないと言う顔をするアイリス。気持ちは分かるけどな。

「でも、そう思うことは大事なことだ」

「え?」

 俺の言葉に、アイリスは意外そうに目を見開く。

「何かおかしいぞと思って、そこで一度立ち止まれるって言うのは、案外難しいことなんだよ。特に、途中まで順調に上手くいってる時ほど、そう言う"疑うこと“を忘れがちになる」 

 物事に対して"疑うこと“の重要さは、失敗したと言う自覚が出来るまで分からないものだ。
 魔物と戦っている時も、追い詰めたと思って油断していると、思わぬ逆襲をされたことが何度もあった。

「だから、少しでも何かおかしいと思ったら、そこで足を止めて考えることが出来る、その感性を忘れるなよってことだ」

 こんな風に誰かに何かを語るのは、柄じゃないんだが。
 俺の話を黙って聞いていたアイリスは。

「ありがとうございます、リオさん。そう言う風に言ってもらえて、何だか気が楽になりました」

 彼女の清々しい微笑み。
 思わずドキッとしてしまった。

「さ、て。もう少ししたら、俺達もカイツールに帰ろうか」

「ふふ、そうですね」

 予想外なことは起きたものの、アイリスの冒険者デビューは無事に成功で終わりそうだ。



 一休みを終えたら、寄り道せずにまっすぐカイツールへ帰還した。
 時間帯は昼過ぎ頃。少し遅めの昼食になりそうだが、報酬を受け取ったら酒場の方で食事にするか。

 そう思いながら酒場に入ろうとするが、何やら騒がしい。

「どうしたんでしょうか?」

 アイリスも騒がしさを耳にして目を丸くする。

「さぁ、冒険者同士で喧嘩でもしてるんじゃないか?」

 気にすることじゃない、と戸を開けて酒場に入る。

 すると、ギルドカウンターの前にさっきの冒険者三人組と、今朝も見たピンク髪の受付嬢が、何やら揉めているのが見えた。

「いや、だからこれは俺達の私物で……」

「危険物の可能性もあります。中を改めさせてください」

「そんな危険なものじゃないって」

「では中身を見せてください。問題ないものかを確認致します」

 何やら、あの大きな包みを見られたくない彼らと、中身を改めさせろと言う受付嬢とで、押し問答をしているが……
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