タイム連打ってなんだよ(困惑)

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)

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15話 卵泥棒の幇助の疑い

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 けど、とギルドマスターは顎先に指を添えて考え込む。

「もう採取してしまったから、今から巣に返してきなさいとは言えないね。うーん……」

 しばし考え込んでから。

「よし、ではこうしましょう。この卵は、ギルドの方で言い値で買い取らせていただきます。ただし、あなた達三人には三日間の謹慎を命じます」

「「「えっ」」」

 つまりギルドマスターは「採取してしまったものは仕方無いので、卵はこちらで買い取らせてもらうが、その代わりに謹慎処分を受けてもらう」と言いたいわけだ。
 この場合の"謹慎“とは、依頼を受けることが出来なくなると言うものだ。
 謹慎期間中はギルドカードの方にも、「この冒険者は現在謹慎中」と言う情報を書き込まれてしまうので、黙って依頼を受けようにも、ギルドカードを確認をした時点でそこで止められてしまうのだ。

「規則を破っている以上、お咎め無しと言うわけにはいかないの。それは、分かってもらえるかな?」

 しかし、このギルドマスターも話し上手だ。
 規則は規則として遵守しつつも、違反者側の不満を募らせにくい言い回し。卵を言い値で買い取ると言うのも、上手い矛先の逸らし方だ。

「その、……は、はい」

 ……違反行為に対する優しいお咎めを受けた反応、と言うにはどこか不自然に頷くリーダー。

「ヴェイルワイバーンの個体数や卵の数を比較しても、恐らく生態系に問題はないと思うけど、それでも無許可での採取。今回は三日間の謹慎として処分するけど、今後はもっと重い罰則になるかもしれないから。興味を持つのはいいことだけど、冒険者と言う力を持つ者として、分別ある行動を心掛けるように」

 ギルドマスターの毅然とした言葉に、黙って頷く三人。

 卵の買い取りと、ギルドカードに"謹慎中“の書き込みを終えて、すごすごと去っていく三人を見送ってから、ギルドマスターは俺とアイリスに向き直る。

「ところであなた達二人は、ここでは見ない顔だけど、最近カイツール入りした冒険者かな?」

 っと、初対面だから挨拶しておかなきゃな。

「初めまして、つい先ほどこの町のギルドに登録しました、リオと申します。階級は黒鉄級です」

 お辞儀。

「あの、アイリスと申します。こちらの彼と同じく、つい先ほどに登録しました。階級は、えぇと……青銅級です」

 続けてアイリスもお辞儀する。

「はーい、リオくんと、アイリスさんね。私は冒険者ギルド・カイツール支部のギルドマスターの『リーゼ』です。以後、お見知り置きを」

 双方の自己紹介を終えたところで、

「それで、二、三訊きたいことがあるのだけど、時間は大丈夫?」

「訊きたいこと?構いませんが」

 何だろうか。

「さっきの三人組とは知り合い?エトナちゃん……こちらの受付嬢は、面識があるように見えたようだけど」

 リーゼマスターに水を向けられて、エトナと言うピンク髪の受付嬢が会釈する。

「知り合いと言うか。ついさっき、スライム十匹の討伐依頼を受けていた途中で、ヴェイルワイバーンに襲われていたところに出くわしたので、アイリスと彼らを逃がすために、俺が撃退しました」

「撃退?リオくん、黒鉄級でしょう?まさか、一人でヴェイルワイバーンを撃退したの?」

 目を丸くするリーゼマスター。
 まぁ、普通は意外に思うだろうな。

「はい、なんとか」

「それはまぁ……大変だったんだね」

 ご苦労様、と労いの言葉をかけてくれるリーゼマスター。どういたしまして。

「それで、彼ら三人がヴェイルワイバーンの卵を運んでいたところを助けたんだね?」

「はい。……って言っても、その時は飛竜の卵を運んでいたなんて知らなくて、彼らも「これは食糧品だ」としか言わなかったので」

 あ、そうなると俺とアイリスは、違反行為の片棒を担いでいたことになるのか?

「つまり、あなた達二人はただ巻き込まれただけで、卵泥棒の片棒を担ぐつもりは無かったわけだね」

 卵泥棒て。いやまぁ、ヴェイルワイバーンからすればまさにその通りだが。

「こちらのお二方は、あくまでも自衛を行っただけのようです」

 エトナの方も、俺達二人が、彼ら三人の違反行為の幇助を行ったわけではないと言う。

「まぁ、結果的にヴェイルワイバーンに襲われたから、自衛を行ったと言えばその通りだが」

 自衛を行った結果、違反行為の幇助に繋がってしまったのは、少々思うところはあるが。

「あの、この場合の私達はどうなるのですか?」

 アイリスも、違反行為の幇助に片足突っ込んでしまったことに気付いたらしい。
 するとリーゼマスターは。

「ん?どうもしないけど?」

 あっけらかんとそう言いきった。

「あなた達二人は、あくまで自衛を行っただけなんだから、違反でもなんでもないよ」

 結果的にどうなったかと言うよりも、それぞれの立場に基づいた上での判断だろう。
 もしも俺とアイリスが彼ら三人と一緒にカイツールに帰還していたら、同罪と見なされたかもしれない。……あの時、休憩で少し時間を置いて正解だったようだな。

「え、いや、でも……」

 アイリスはアイリスで、違反行為を幇助したことに責任を感じているのだろう。アンドリューさんが言っていたように、彼女の御家が品行方正かつ清廉潔白な貴族と言われているだけある。

「アイリス、俺達はただ自衛を行っただけ。とりあえず、それでいいんだよ」

「か、軽すぎませんか?」

「面倒事はな、「ま、いっか」ぐらいで済ませるのがちょうどいいこともあるんだ」

 下手な考え休むに似たりとも言う。
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