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37話 パジャマパーティー
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夕食と入浴の後、リオが一人部屋の方に戻ってから。
アイリス、エトナ、リーゼ、シャオメイの女性四人は、(リーゼ曰くの)パシャマパーティーに興じていた。
パーティーと言ってもお菓子などの食べ物はなく、飲み物も紅茶くらいのものなので、ただの夜のお茶会と言う方が近いだろうが。
「シャオメイさんって、異国の方というのは聞いていましたけど、生まれ育った国はどんな場所でしたか?」
アイリスが、この場においては新参者であるシャオメイに質問する。
「えぇとですネ、私の祖国はこの大陸カラずっと東ノ方にある内陸国デシて。国領地が広い分、地方によっテ料理の種類や系統モ大きく変わるんですヨ」
「それ、私も気になってたの。この間、チャーハンとサンラータンをいただいたけど、食文化がとても豊かな国よね」
リーゼも続いて、シャオメイの祖国の食文化に感心している。
「ハイ、中でも代表的な料理ハ、外国でも人気があって、ソノ専門店とかもあるソウです」
話を聞く分には、食文化に比例するように大きく文明的な大国であるように聞こえる。
アイリスとリーゼが話しかけたことで、エトナもそっと挙手する。
「ところでシャオメイさんは、どうしてこの大陸に来たんですか?」
エトナはそう言いつつも、料理の修行か何かだろうと思い込んでおり、奇しくもアイリスとリーゼも同じことを考えていた。
が、
「あァ……ソレは、その……」
対するシャオメイはなんだかばつの悪そうな苦笑を浮かべる。
少しだけ間を置いてから。
「私、実ハ雑技……曲芸、と言う方が分かりやすいですネ、その家の生マレで。小さい頃カラ、曲芸師としての修行ヲしていたんですケド、他ノ兄弟達と比べると、全然ダメだったんですよネ。12歳になっテモ全然ダメだったので、……家カラ追い出されチャイました」
「「「えっ」」」
まさかの生い立ちであった。
「でもですネ、私、曲芸の才能ジャなくて、料理の才能はあったみたいデ。最初は、色んなお店に雇われテお手伝いをして、ナンとか生活出来てたんですケド……」
しかも受難はまだ続くらしい。
「国の体制が変わっテ、急進的な独裁政権になってしまいマシて、規制や取り締まりモかなりキツくなったんデス」
――おまけに外交も軍事力をチラつかせての強硬的なものになって、「汚い首は斬ってやる」とか危ないことを普通に公言してます、とぼやくシャオメイ。
「まァ、そんな経緯とかがあっテ、故郷から逃ゲルように三年くらい船の厨房役の真似事ヲして、コノ大陸に流れ着いた、というわけですネ」
なかなか波乱万丈でシタ、と頷くシャオメイに、三人は言葉を失う。
「………………シャオメイさん、紅茶のおかわりをどうぞ」
アイリスは真顔のままで、シャオメイのカップに紅茶のおかわりを注ぐ。
「エ?ハイ、ありがとうございマス」
続いてエトナも、
「シャオメイさん、困ったことや辛いことがあったら、いつでも相談してくださいね」
「お、オキニナサラズ、です」
そしてリーゼも、
「大丈夫だよ、シャオメイさん。私達はいつだってあなたの味方だから。あなたは、あなたの人生を生きたいように生きたらいいんだから」
「そ、そんな大袈裟ですヨ……」
急に親身になって接する三人に、シャオメイは苦笑するが、経緯の内容が笑っていいものでは無かった。
そんな風に女性四人が紅茶会をしているとは露しらず、俺は一人部屋の窓からぼんやりと夜空を眺めていた。
明日はこの街の冒険者ギルドに所属登録をして、必要なら買い出し、問題なければすぐに行って帰ってこれる軽めの依頼を受けて、現地の環境調査。
とは言ってもそれが必要なのは俺とアイリスくらいで、リーゼさんは白銀級だ、受けるとしてもかなり大きな依頼になるだろう。
それほどの依頼ともなれば、日中の内に行って帰れるかは分からない。ニ、三日帰ってこれない場合もあるだろう。
俺もそろそろアイリスの新人教育だけじゃなくて、黒鉄級相応の依頼も受けなければならない。
ならない、と言うわけでは無いんだが、アンドリューさんの商隊の専属冒険者として、多少の"箔“と言うものは必要と思ってのことだ。
それにアイリスも、家族や御家の関係者に対して、自身の生存を知らせるために冒険者として名を上げる必要があるだろう。
彼女の冒険者としての才能はある。
それは、珍しい光属性である【ホワイトナイト】のスキルを見れば分かることだ。
その気になればすぐに俺を飛び越してしまうかもしれない。
競っているわけはないし、もしアイリスの階級が俺より上回っても、急に上から偉そうになったりはしないだろう、と言うのは分かるが、彼女が頑張っているのなら俺もそれに負けていられない。
そのためにも、今日はぐっすり寝て明日に備えよう、と欠伸をひとつかまして、窓をしめようとして、
「ん?」
ふと、夜空の違和感に気付いた。
見上げた先にあるのは、三日月。それ自体に何もおかしなところはないのだが。
昨夜の不寝番で見た月は、まだ半月くらいだったはずだ。
そこまで意識して見ていたわけではないが、それにしては月が欠けるのが早すぎるような……俺の気のせいか?
考えても分からないものは分からないので、窓を閉めて灯りを消し、さっさとベッドに入って寝ることにした。
アイリス、エトナ、リーゼ、シャオメイの女性四人は、(リーゼ曰くの)パシャマパーティーに興じていた。
パーティーと言ってもお菓子などの食べ物はなく、飲み物も紅茶くらいのものなので、ただの夜のお茶会と言う方が近いだろうが。
「シャオメイさんって、異国の方というのは聞いていましたけど、生まれ育った国はどんな場所でしたか?」
アイリスが、この場においては新参者であるシャオメイに質問する。
「えぇとですネ、私の祖国はこの大陸カラずっと東ノ方にある内陸国デシて。国領地が広い分、地方によっテ料理の種類や系統モ大きく変わるんですヨ」
「それ、私も気になってたの。この間、チャーハンとサンラータンをいただいたけど、食文化がとても豊かな国よね」
リーゼも続いて、シャオメイの祖国の食文化に感心している。
「ハイ、中でも代表的な料理ハ、外国でも人気があって、ソノ専門店とかもあるソウです」
話を聞く分には、食文化に比例するように大きく文明的な大国であるように聞こえる。
アイリスとリーゼが話しかけたことで、エトナもそっと挙手する。
「ところでシャオメイさんは、どうしてこの大陸に来たんですか?」
エトナはそう言いつつも、料理の修行か何かだろうと思い込んでおり、奇しくもアイリスとリーゼも同じことを考えていた。
が、
「あァ……ソレは、その……」
対するシャオメイはなんだかばつの悪そうな苦笑を浮かべる。
少しだけ間を置いてから。
「私、実ハ雑技……曲芸、と言う方が分かりやすいですネ、その家の生マレで。小さい頃カラ、曲芸師としての修行ヲしていたんですケド、他ノ兄弟達と比べると、全然ダメだったんですよネ。12歳になっテモ全然ダメだったので、……家カラ追い出されチャイました」
「「「えっ」」」
まさかの生い立ちであった。
「でもですネ、私、曲芸の才能ジャなくて、料理の才能はあったみたいデ。最初は、色んなお店に雇われテお手伝いをして、ナンとか生活出来てたんですケド……」
しかも受難はまだ続くらしい。
「国の体制が変わっテ、急進的な独裁政権になってしまいマシて、規制や取り締まりモかなりキツくなったんデス」
――おまけに外交も軍事力をチラつかせての強硬的なものになって、「汚い首は斬ってやる」とか危ないことを普通に公言してます、とぼやくシャオメイ。
「まァ、そんな経緯とかがあっテ、故郷から逃ゲルように三年くらい船の厨房役の真似事ヲして、コノ大陸に流れ着いた、というわけですネ」
なかなか波乱万丈でシタ、と頷くシャオメイに、三人は言葉を失う。
「………………シャオメイさん、紅茶のおかわりをどうぞ」
アイリスは真顔のままで、シャオメイのカップに紅茶のおかわりを注ぐ。
「エ?ハイ、ありがとうございマス」
続いてエトナも、
「シャオメイさん、困ったことや辛いことがあったら、いつでも相談してくださいね」
「お、オキニナサラズ、です」
そしてリーゼも、
「大丈夫だよ、シャオメイさん。私達はいつだってあなたの味方だから。あなたは、あなたの人生を生きたいように生きたらいいんだから」
「そ、そんな大袈裟ですヨ……」
急に親身になって接する三人に、シャオメイは苦笑するが、経緯の内容が笑っていいものでは無かった。
そんな風に女性四人が紅茶会をしているとは露しらず、俺は一人部屋の窓からぼんやりと夜空を眺めていた。
明日はこの街の冒険者ギルドに所属登録をして、必要なら買い出し、問題なければすぐに行って帰ってこれる軽めの依頼を受けて、現地の環境調査。
とは言ってもそれが必要なのは俺とアイリスくらいで、リーゼさんは白銀級だ、受けるとしてもかなり大きな依頼になるだろう。
それほどの依頼ともなれば、日中の内に行って帰れるかは分からない。ニ、三日帰ってこれない場合もあるだろう。
俺もそろそろアイリスの新人教育だけじゃなくて、黒鉄級相応の依頼も受けなければならない。
ならない、と言うわけでは無いんだが、アンドリューさんの商隊の専属冒険者として、多少の"箔“と言うものは必要と思ってのことだ。
それにアイリスも、家族や御家の関係者に対して、自身の生存を知らせるために冒険者として名を上げる必要があるだろう。
彼女の冒険者としての才能はある。
それは、珍しい光属性である【ホワイトナイト】のスキルを見れば分かることだ。
その気になればすぐに俺を飛び越してしまうかもしれない。
競っているわけはないし、もしアイリスの階級が俺より上回っても、急に上から偉そうになったりはしないだろう、と言うのは分かるが、彼女が頑張っているのなら俺もそれに負けていられない。
そのためにも、今日はぐっすり寝て明日に備えよう、と欠伸をひとつかまして、窓をしめようとして、
「ん?」
ふと、夜空の違和感に気付いた。
見上げた先にあるのは、三日月。それ自体に何もおかしなところはないのだが。
昨夜の不寝番で見た月は、まだ半月くらいだったはずだ。
そこまで意識して見ていたわけではないが、それにしては月が欠けるのが早すぎるような……俺の気のせいか?
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