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第二十節「心よ強く在れ 事実を乗り越え 麗龍招参」
~泣き崩れ請いて望む特訓相手~
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ショッピングモールから勇の家までの距離は殆ど無いと言っていい程に近い。
直線距離で言えば僅か1km程しか離れていない。
だが、その僅か1kmの距離で……こんなトラブルに見舞われるなど、誰しもが思いもよらぬところであろう。
二人が買い物を済ませ、横断歩道を渡り大通りを越えた時……不意に一人の人影が猛ダッシュで彼等に向かって飛び込んで来た。
突然の出来事に勇が警戒し、茶奈を守る様に彼女の前に立ち身構える。
ドゴォ!!
その人影が物凄い勢いで勇へとタックルを仕掛けてきた。
だが、命力による強化によって強靭な肉体を有している勇の体は地面を踏ん張り、当然の如く微動だにしない。
それどころか……突撃してきた人物の肩を取り、その力を篭めてその体を抑える。
「ウゥウ……!!」
「うっ!?」
うめき声にも近いその声を聞いた途端、勇の顔が強張った。
「ウォォォォ……!!」
「なっ!?」
焦る勇……その人物の体が力強く持ち上がり、その頭を上げた。
「―――……ォォオオああああ藤咲ィイイイ!!」
「ちょ、え、池上!?」
そう唸るその人物……池上光一であった。
だがその顔は酷く……まるで泣く寸前の様に歪み涙が滲んでいた。
「やっどォ!! 会えだァ!! ふじさぎぃいいい!!」
「お、おい、何なんだ池上!?」
ドン引きの茶奈に目も暮れず、遂に泣きべそを掻く様に鼻づまりの声をまき散らす池上は唯ひたすらに勇の名を呼び、その腕を彼の腰へと回して抱き込んでいた。
「お、おい辞めろ!! なんだってんだ!?」
「アアアアアア!!」
池上と和解した事を聞いていなかった茶奈は彼が何故こうも勇へと必死にしがみついているのかわかる訳も無く。
声一つ出せず、唖然とその状況を見守る事しか出来なかった。
「いいから落ち着け池上!! 何なんだよ……」
「フグッ……わ、わがったぁ……ズズッ」
落ち着いたのだろうか……そっと彼を抱き込む腕を緩め……ゆっくり地に足を付けて立ち上がる。
そんな様子の池上を見た勇は深く息を吐き出し……彼の肩を掴む手をゆっくり離した。
「これァ奇跡だ……頼むぅ、お前の力を貸してくれェ……」
「いいからまずどうしたいのか言えって」
「あのな……俺もうすぐな、日本ランカー2位とやり合う事に成ったんだわ……」
「マジかよ……」
突然の話に勇も驚きを隠せない様子を見せる。
「でな……相手が相当なハードパンチャーでよぉ……それを想定したスパー相手居ないか探してたんだけどよ……見つからねぇんだ!! 目ぼしいやつは皆試合が控えててよォ……」
「そりゃ残念だったな」
「だからッ!! 藤咲ィ!!」
「ダメだ、諦めろ」
「言う前から拒否るんじゃねぇ!! 俺は諦めねェ!! 藤咲ィーーー!!頼むスパーの相手してくれッ!! 頼むよぉ~~~!!!」
途端勇の肩を取り、彼の体を揺すり訴える池上……そんな必死の彼を前に、さすがの勇も困り果てて顔をしかめていた。
もしここで拒否し続ければ、彼はこのまま自宅まで着いてきそうな勢いだからだ。
家の場所がバレれば連日張り込まれてもおかしくない……変な事はされないだろうが、これからの生活に支障が出る可能性が無きにしも非ず。
勇は軽く振り向き、心配そうに無言で見つめる茶奈を確認すると……彼女をこれ以上心配させる訳にもいかないと思い、軽く溜息をついた。
「わかった、わかったよ……やるよ。 けど、俺が力になれるかわからないぞ? それと……」
「ほ、本当かっ!?」
「それと、俺の詮索はするな。 何があってもな。 したら俺は帰る」
「わかった!! 余計な詮索はしねぇ!! 俺ァ特訓になるなら何でもいい!!」
勇の返答に大喜びし跳ねて喜びを露わにする池上……そんな彼を前に茶奈がぼそっと勇に声を掛けた。
「ゆ、勇さん……大丈夫なんですか?」
そんな言葉に勇も軽い笑みを作り……小声で返す。
「あぁ、こいつは問題無いよ……言ってなかったけど、和解したんだ」
「そうなんですね……でもそういう事じゃなくて、休む事……」
「あ、まぁ、命力使うつもりはないし、平気さ」
勇がそう促すと……茶奈はどこか腑に落ちない表情を浮かべるも、静かに頷き彼の意思に従う事にした。
こうして二人は池上に誘われるまま、彼の所属するボクシングジムへと足を運ぶ事になったのであった。
直線距離で言えば僅か1km程しか離れていない。
だが、その僅か1kmの距離で……こんなトラブルに見舞われるなど、誰しもが思いもよらぬところであろう。
二人が買い物を済ませ、横断歩道を渡り大通りを越えた時……不意に一人の人影が猛ダッシュで彼等に向かって飛び込んで来た。
突然の出来事に勇が警戒し、茶奈を守る様に彼女の前に立ち身構える。
ドゴォ!!
その人影が物凄い勢いで勇へとタックルを仕掛けてきた。
だが、命力による強化によって強靭な肉体を有している勇の体は地面を踏ん張り、当然の如く微動だにしない。
それどころか……突撃してきた人物の肩を取り、その力を篭めてその体を抑える。
「ウゥウ……!!」
「うっ!?」
うめき声にも近いその声を聞いた途端、勇の顔が強張った。
「ウォォォォ……!!」
「なっ!?」
焦る勇……その人物の体が力強く持ち上がり、その頭を上げた。
「―――……ォォオオああああ藤咲ィイイイ!!」
「ちょ、え、池上!?」
そう唸るその人物……池上光一であった。
だがその顔は酷く……まるで泣く寸前の様に歪み涙が滲んでいた。
「やっどォ!! 会えだァ!! ふじさぎぃいいい!!」
「お、おい、何なんだ池上!?」
ドン引きの茶奈に目も暮れず、遂に泣きべそを掻く様に鼻づまりの声をまき散らす池上は唯ひたすらに勇の名を呼び、その腕を彼の腰へと回して抱き込んでいた。
「お、おい辞めろ!! なんだってんだ!?」
「アアアアアア!!」
池上と和解した事を聞いていなかった茶奈は彼が何故こうも勇へと必死にしがみついているのかわかる訳も無く。
声一つ出せず、唖然とその状況を見守る事しか出来なかった。
「いいから落ち着け池上!! 何なんだよ……」
「フグッ……わ、わがったぁ……ズズッ」
落ち着いたのだろうか……そっと彼を抱き込む腕を緩め……ゆっくり地に足を付けて立ち上がる。
そんな様子の池上を見た勇は深く息を吐き出し……彼の肩を掴む手をゆっくり離した。
「これァ奇跡だ……頼むぅ、お前の力を貸してくれェ……」
「いいからまずどうしたいのか言えって」
「あのな……俺もうすぐな、日本ランカー2位とやり合う事に成ったんだわ……」
「マジかよ……」
突然の話に勇も驚きを隠せない様子を見せる。
「でな……相手が相当なハードパンチャーでよぉ……それを想定したスパー相手居ないか探してたんだけどよ……見つからねぇんだ!! 目ぼしいやつは皆試合が控えててよォ……」
「そりゃ残念だったな」
「だからッ!! 藤咲ィ!!」
「ダメだ、諦めろ」
「言う前から拒否るんじゃねぇ!! 俺は諦めねェ!! 藤咲ィーーー!!頼むスパーの相手してくれッ!! 頼むよぉ~~~!!!」
途端勇の肩を取り、彼の体を揺すり訴える池上……そんな必死の彼を前に、さすがの勇も困り果てて顔をしかめていた。
もしここで拒否し続ければ、彼はこのまま自宅まで着いてきそうな勢いだからだ。
家の場所がバレれば連日張り込まれてもおかしくない……変な事はされないだろうが、これからの生活に支障が出る可能性が無きにしも非ず。
勇は軽く振り向き、心配そうに無言で見つめる茶奈を確認すると……彼女をこれ以上心配させる訳にもいかないと思い、軽く溜息をついた。
「わかった、わかったよ……やるよ。 けど、俺が力になれるかわからないぞ? それと……」
「ほ、本当かっ!?」
「それと、俺の詮索はするな。 何があってもな。 したら俺は帰る」
「わかった!! 余計な詮索はしねぇ!! 俺ァ特訓になるなら何でもいい!!」
勇の返答に大喜びし跳ねて喜びを露わにする池上……そんな彼を前に茶奈がぼそっと勇に声を掛けた。
「ゆ、勇さん……大丈夫なんですか?」
そんな言葉に勇も軽い笑みを作り……小声で返す。
「あぁ、こいつは問題無いよ……言ってなかったけど、和解したんだ」
「そうなんですね……でもそういう事じゃなくて、休む事……」
「あ、まぁ、命力使うつもりはないし、平気さ」
勇がそう促すと……茶奈はどこか腑に落ちない表情を浮かべるも、静かに頷き彼の意思に従う事にした。
こうして二人は池上に誘われるまま、彼の所属するボクシングジムへと足を運ぶ事になったのであった。
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