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第二十一節「器に乗せた想い 甦る巨島 その空に命を貫きて」
~追いかけて、残光~
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「この世界の人々はなかなか興味深いね、元の世界とは価値観が全く違うからさ」
そう語るのはギオ。
彼は到来したあの日から数日……何を考えたのか、本部に居座っていた。
当初は勇と茶奈に固執していると思われていたが、意外と彼も潔い様で……彼等がギオに興味を持っていない事を理解すると、一切追いかける事は無くなった。
剣聖に対しても同様だった様で、一度分かり合ってしまえば人だろうが魔者であろうが関係なくフレンドリーに接する事が出来るのが彼の強みだとかなんとか。
「流浪の民である僕としては安心して寝られる場所があるのは嬉しい事だよ」
ねぐらとして使っているのか何なのか……彼が住み込む事を許可した訳では無いが、勝手に棟内に有る部屋を使い、浴場等を使用し、置かれていた作業着等を勝手に拝借し使っている様だった。
ある時、夜間に全裸で棟内を徘徊している所を笠本に見つかった事があったが、彼は恥ずかしがること無く『ソレ』を見せたまま爽やかな笑顔を浮かべてたらしい。
笠本の反応はといえば……「興味深く見つめられていただけさ」と彼は供述していたが真偽は定かではない。
「皆が興味を持った視線で僕の事を見てくるんだ。 なかなか新鮮だったよ」
勇達が反省文と格闘していた頃、彼は東京の街へと繰り出していた。
道行く人々が振り返り、羨望の眼差しを向ける。
彼の甘いマスクは『こちら側』の人々には際立って見えるが故に、多くの人々……主に女性が彼に対して声を掛けて来た様だ。
彼が帰ってきた時、元々作業着だった服装はポップな服装へと変わっていた。
『あちら側』では、視線は向けられる事はあっても「他所者には関わらない」という姿勢を通され、ここまで求められる事は無かった様で。
『こちら側』での人々の反応は彼にとっては嬉しかった様だ。
「何もかもが珍しい物さ、文化も、建物も、食べるモノさえもね」
現代に転移してからというものの、様々な国に立ち寄った事があると言っていた。
幸い言葉には事欠かなかった為、立ち寄った国々で現地の人々の好意に甘え、多くの文化に触れてきたらしい。
そこで食べる物はいずれも独特な味を持つ食べ物ばかり……時には腹を下す事もあったが。
『あちら側』では基本的には保存食ばかり……味と言えば淡泊なモノばかりであったという。
特に興味を引いたのは、本部の食堂で出された納豆だったという事だ。
この国にやって来て納豆に初めて出会った時、一体何の冗談かと目を疑ったらしいが……いざ食べてみた時の味の濃厚さが見た目のギャップによって引き立ち、彼の驚きを誘った様だった。
「車っていう乗り物はいいね、傍を通られる分には怖いが、乗ると面白い物だ」
彼がやってきてから五日後……何があったのかわからないが、彼が車に乗って街から帰って来た。
一体どこから車を調達したのか、一体どうやって運転方法を覚えたのか……それは深くは語られなかったが、車載されていた書類に書かれていた車の所有者は全くの別人。
彼は盗んだものではなく戴いた物だと言い張っていたが、免許を持っていない以上彼が車を保有する事は相応しくないという事で、政府を通して元の所有者である女性実業家へと返却された。
次は免許も持ってくると意気込んでいたが、免許を取るにはお金や時間、文化を理解出来る言語理解能力が必要だと説明すると、この世界の複雑さを知った彼は肩を落として落胆していた。
勇達に出会う前から今に至るまで……彼は『こちら側』の人の文化に触れてきた。
これらはいずれも、長く生き続けてきた彼の退屈を紛らわせるには十分過ぎるインパクトがあったのだろう。
彼は後にこう言い残した。
「人の発展というモノがこういう事なのであれば、僕はその先を見届けてみたい」と。
不死者が見る人の在り方……それは世界を忘れた者に未来を魅せたのだ。
ギオが本部にやってからはや一週間……。
一人の「女」が悠々と事務棟の廊下を歩く。
その者、妙に着飾り、「いつも」は見せない様な腰付きで一歩一歩足を踏み出していく。
「瀬玲さん、その恰好は一体……?」
彼女と対面した笠本がつい声を漏らす……その「女」とは瀬玲当人であった。
「ンフフ~ちょっとねぇ」
そんなご機嫌な様子を見せる彼女、目的は当然……。
彼女が妙に履き慣れたハイヒールで音を立てながら階段を上っていき、居住スペースが並ぶ三階へと足を踏み出す。
そして廊下を歩き……立ち止まった先はギオの部屋。
「ギ~オくぅ~ん、遊びにいこぉ~!!」
甘える様な声を上げ、彼の名を呼ぶ瀬玲……その顔はメイクをばっちりキメた完全なる「デートモード」。
恐らくこんな日の為に日々練習を重ねてきたのだろう、そのメイクは熟練者にも劣らない腕前で彩られたモノであった。
瀬玲がギオが出て来るのを扉の前でじっと待ち続ける。
そわそわしながら待つ彼女の姿はいつもとは違う、普通の恋する女の子そのもの。
時には戦いを忘れ、戯れる事も大切だろう……彼女のその行動を否定する者は誰も居ない。
背後に居る笠本以外は。
「瀬玲さん、ギオさんは先日夜にここを発ちましたよ。 もう戻ってこないそうです」
その途端、一足のハイヒールが窓から空の彼方へと残光を引きながら飛び去っていったのだった。
そう語るのはギオ。
彼は到来したあの日から数日……何を考えたのか、本部に居座っていた。
当初は勇と茶奈に固執していると思われていたが、意外と彼も潔い様で……彼等がギオに興味を持っていない事を理解すると、一切追いかける事は無くなった。
剣聖に対しても同様だった様で、一度分かり合ってしまえば人だろうが魔者であろうが関係なくフレンドリーに接する事が出来るのが彼の強みだとかなんとか。
「流浪の民である僕としては安心して寝られる場所があるのは嬉しい事だよ」
ねぐらとして使っているのか何なのか……彼が住み込む事を許可した訳では無いが、勝手に棟内に有る部屋を使い、浴場等を使用し、置かれていた作業着等を勝手に拝借し使っている様だった。
ある時、夜間に全裸で棟内を徘徊している所を笠本に見つかった事があったが、彼は恥ずかしがること無く『ソレ』を見せたまま爽やかな笑顔を浮かべてたらしい。
笠本の反応はといえば……「興味深く見つめられていただけさ」と彼は供述していたが真偽は定かではない。
「皆が興味を持った視線で僕の事を見てくるんだ。 なかなか新鮮だったよ」
勇達が反省文と格闘していた頃、彼は東京の街へと繰り出していた。
道行く人々が振り返り、羨望の眼差しを向ける。
彼の甘いマスクは『こちら側』の人々には際立って見えるが故に、多くの人々……主に女性が彼に対して声を掛けて来た様だ。
彼が帰ってきた時、元々作業着だった服装はポップな服装へと変わっていた。
『あちら側』では、視線は向けられる事はあっても「他所者には関わらない」という姿勢を通され、ここまで求められる事は無かった様で。
『こちら側』での人々の反応は彼にとっては嬉しかった様だ。
「何もかもが珍しい物さ、文化も、建物も、食べるモノさえもね」
現代に転移してからというものの、様々な国に立ち寄った事があると言っていた。
幸い言葉には事欠かなかった為、立ち寄った国々で現地の人々の好意に甘え、多くの文化に触れてきたらしい。
そこで食べる物はいずれも独特な味を持つ食べ物ばかり……時には腹を下す事もあったが。
『あちら側』では基本的には保存食ばかり……味と言えば淡泊なモノばかりであったという。
特に興味を引いたのは、本部の食堂で出された納豆だったという事だ。
この国にやって来て納豆に初めて出会った時、一体何の冗談かと目を疑ったらしいが……いざ食べてみた時の味の濃厚さが見た目のギャップによって引き立ち、彼の驚きを誘った様だった。
「車っていう乗り物はいいね、傍を通られる分には怖いが、乗ると面白い物だ」
彼がやってきてから五日後……何があったのかわからないが、彼が車に乗って街から帰って来た。
一体どこから車を調達したのか、一体どうやって運転方法を覚えたのか……それは深くは語られなかったが、車載されていた書類に書かれていた車の所有者は全くの別人。
彼は盗んだものではなく戴いた物だと言い張っていたが、免許を持っていない以上彼が車を保有する事は相応しくないという事で、政府を通して元の所有者である女性実業家へと返却された。
次は免許も持ってくると意気込んでいたが、免許を取るにはお金や時間、文化を理解出来る言語理解能力が必要だと説明すると、この世界の複雑さを知った彼は肩を落として落胆していた。
勇達に出会う前から今に至るまで……彼は『こちら側』の人の文化に触れてきた。
これらはいずれも、長く生き続けてきた彼の退屈を紛らわせるには十分過ぎるインパクトがあったのだろう。
彼は後にこう言い残した。
「人の発展というモノがこういう事なのであれば、僕はその先を見届けてみたい」と。
不死者が見る人の在り方……それは世界を忘れた者に未来を魅せたのだ。
ギオが本部にやってからはや一週間……。
一人の「女」が悠々と事務棟の廊下を歩く。
その者、妙に着飾り、「いつも」は見せない様な腰付きで一歩一歩足を踏み出していく。
「瀬玲さん、その恰好は一体……?」
彼女と対面した笠本がつい声を漏らす……その「女」とは瀬玲当人であった。
「ンフフ~ちょっとねぇ」
そんなご機嫌な様子を見せる彼女、目的は当然……。
彼女が妙に履き慣れたハイヒールで音を立てながら階段を上っていき、居住スペースが並ぶ三階へと足を踏み出す。
そして廊下を歩き……立ち止まった先はギオの部屋。
「ギ~オくぅ~ん、遊びにいこぉ~!!」
甘える様な声を上げ、彼の名を呼ぶ瀬玲……その顔はメイクをばっちりキメた完全なる「デートモード」。
恐らくこんな日の為に日々練習を重ねてきたのだろう、そのメイクは熟練者にも劣らない腕前で彩られたモノであった。
瀬玲がギオが出て来るのを扉の前でじっと待ち続ける。
そわそわしながら待つ彼女の姿はいつもとは違う、普通の恋する女の子そのもの。
時には戦いを忘れ、戯れる事も大切だろう……彼女のその行動を否定する者は誰も居ない。
背後に居る笠本以外は。
「瀬玲さん、ギオさんは先日夜にここを発ちましたよ。 もう戻ってこないそうです」
その途端、一足のハイヒールが窓から空の彼方へと残光を引きながら飛び去っていったのだった。
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