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第二十一節「器に乗せた想い 甦る巨島 その空に命を貫きて」
~生命賭して、刹那~
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ガガガガガガガッ!!
「うおおおおおおおッ!?」
「アアアーーーーーーッ!?」
凄まじい轟音と共に放たれたその銃弾の嵐は二人が展開した盾に当たる度に強力な衝撃を与える。
その威力は、二人の顔が歪む程……相当な威力である事を物語っていた。
巨大な物体が銃弾を放ちながら着地し、なお絶えず銃弾を放ち続ける。
するとその巨大な物体……ロボットの頂に立つカラクラ族が高らかに声を上げた。
「カカカッ!! これが、これが、古代人の残せし、遺産の力!! 素晴らし、かろう!?」
まるで歓喜の声にも似た叫び声が響き渡り、自身の搭乗する物体を称賛する。
「彼奴は……智将グルウ!!」
茶奈の盾の裏でジョゾウが身構えながら叫ぶと……それに反応したグルウがピクリと眉間を震わせ、ジョゾウへとギラリと睨み付けた。
「人間、に翼を折られた、愚かの者……フハッ!! 滑稽だぞ!!」
鼻で笑う様にジョゾウをこき下ろすグルウ。
ジョゾウはその言葉に「ぐぬぬ」としか言えず、ただひたすら耐える。
なお猛攻は続き、茶奈や剣聖の顔からは既に余裕が感じられなかった。
「刮目せよ!! これが、魔剣【ウカンデス】、の力よ!! 噂に名高い、ソードマスター、すら手も足も、出ぬ!! ハハハハ!! これも滑稽ィ!!」
「ヤロォ……好き勝手……言いやがってェ……!!」
だが実際に、剣聖は防御で手一杯だ。
厳密に言えば、攻撃する事は可能ではあった。
だが、彼の背後に居るのは心輝達や彼等を乗せて帰る為の輸送機。
もし防御を辞めて攻撃に転じれば勝利する可能性もあるが……それは逆に彼等の命を奪いかねない事態ともなる。
さすがの剣聖も、慣れ親しんだ者達を見捨てる事は出来なかったのだ。
茶奈も同様であった。
彼女の攻撃力であればウカンデスを粉砕する事など造作も無いだろう。
だが、そうする為には後ろに居る民間人や勇達を犠牲にしなければならない。
彼女にそんな事など出来る訳は無いのだ。
ただひたすらに耐える事を強制され、二人の強者が二本の脚で必死に体を支えながら力を放出し続ける様を多くの者達がただ眺めるのみ。
その時、瀬玲が盾の外側から光の矢を放つ。
巨大な光の矢が大きく迂回する様に旋回し、ウカンデスの背後へ向けて閃光を走らせた。
だが、ウカンデスへ当たろうとしたその途端……光の矢は無情にも弾け飛び、光を霧散させて消え失せた。
「なっ!?」
「ハハ!! 馬鹿め!! そんな攻撃、など対策は、既に施されて、おるわ!!」
強力な攻撃力と防御性能を誇るウカンデスを前に、攻撃手段を失っていく。
彼を倒せるはずであろう剣聖と茶奈は防御に回り、遠距離攻撃が出来る瀬玲の攻撃は無効化され、他の者達は近接すれば残った腕からの攻撃が待つ……八方塞がりも言える状況に誰しもが閉口し別の策を練る。
だが一向に状況は好転するどころか悪化の一途を辿っていた。
茶奈の顔から滲む汗……彼女の体力の限界が迫っている事を物語る。
―――どうすればいい?
どうしたらいい?
何か方法は……!!―――
勇が思考を巡らせ考える。
自分が出来る事、自分にしか出来ない事、自分がやらねばならぬ事。
短い時間で多くの思考が張り巡られ、多重に張り巡らされた蜘蛛の糸が如き結論の筋が幾多にも分かれ、そして消えていく。
可能性の糸が一つ、また一つと姿を消し、無数にあったはずのそれはあっという間にその殆どが消えていった。
そして……残る可能性が唯一つ……勇の脳裏に残り、彼の意思を纏め上げていた。
―――けど……それをやれば俺は……―――
だがその可能性は、勇にとって最もリスクの高い方法だった。
彼は思考する。
己の命と、仲間や人々の命を天秤に掛け、どちらが重いのかという事を。
普通の人間であれば、尻込みもしよう。
己の命を投げ出すなど、普通の人間であればなかなか思う事は無い。
だが勇は違った。
彼の生きてきた道は人の命が繋いできた道。
彼自身もそれをよく理解しているからこそ……決められるのだ。
己の命は軽くないからこそ……天秤に掛ける価値が有るのだと。
「茶奈、俺が合図したら俺の居る側だけ盾を解除してくれないか?」
「えっ?」
突然の勇の頼み……彼の意図が伝わった訳では無いが、彼の事を信じる茶奈は真剣な眼差しを前に静かに頷いた。
「ありがとう……」
そっと彼女へ礼を述べると……途端勇は一歩下がり翠星剣の切っ先をグルウに向ける様に構え、そっと狙いを付けた。
遠距離での攻撃は察知されて防がれる。
近距離ではあの攻撃の中を掻い潜るのは厳しい。
ならば、容易に掻い潜り、視認されぬ様に攻撃すればいい……ただそれだけ。
勇が己の力を最大まで高めていく。
自身が持つ命力、翠星剣に残る命力の全てを振り絞り、その全てを己の身体へと帰依させ、その力が主に脚部へと集中する様に流れると……彼の細く強靭な脚が見る見る内にメキメキと音を立てながら太くなっていった。
ただ、己の力を、自身の身体の強化のみに充て……剣を握る腕にも力が僅かに籠る。
全身の筋肉、骨、血管を命力により強化する……物理法則すら無視し、有機物の限界を越え強化されたその全身は、今までに無い程に彼の体の力強さをありありと見せつけていた。
「如何な、事が有ろうと、ウカンデス、には勝てぬ、のだ!! カカカッ!!」
グルウがなお余裕を見せつけるかの様にその姿を晒し、その場に居る者達へと煽る様に声を張り上げている。
だがそんな事も構う事無く……勇が己の身体へと更に力を充満させていく。
「アイツ……何するつもりだ……!!」
その様子を遠巻きに見る剣聖。
勇の身体に溜まっていく命力の様子が気に成り、攻撃を防ぎながらもその様子を伺う。
「まさか……あの野郎……!?」
剣聖の口から漏れた声……だが彼がそう察した時、既に勇の行動は始まっていた。
「茶奈、頼む」
そこからの一連の行動は全て、刹那の間の出来事―――
茶奈の命力の盾が解除された瞬間……勇の脚が凄まじい唸りを上げ、力の限り大地を叩く。
途端、彼の体が宙を舞い、グルウへと向けて一直線に飛び出した。
その時はまるで世界の時間が止まったかの様に全ての物体が静止していた。
勇の極限にまで引き上げられた動体視力が、相対的な加速度を生み出した物質さえも速度を止めたかの様に感じさせていたのだ。
意識外の移動のそのずっと先……
勇の体は最早音速すら軽く超え、視認する事など出来ようもない。
だがその体が圧倒的加速を行い、空気の壁へとぶつかれば彼自身の体への負担も想像を絶する程の力となる。
全身が軋みを上げ、肉体を構築する筋繊維をブチブチと引き裂き、全身のあらゆる部位へとその衝撃を一挙に伝えていくのだ。
普通の人間であれば粉々に吹き飛んでしまうであろう程の衝撃を一身に受け、なおも加速し続ける彼には躊躇いすら無かった。
ただ、目の前に居る敵を砕く為に。
誰も気付けすらしない速度で一直線にグルウへと向けて突き抜ける。
光の銃弾ですら止まるその世界で、彼を止める者は誰一人としていない。
声にもならない、力強い想いの叫びが脳裏に木霊する。
そして切っ先がグルウへと届き、その胸を貫いた。
その衝撃、その速度はその事すら気付かせず……グルウの体が翠星剣に貫かれ勇と共に舞う。
余りの衝撃に、耐えられるはずもないグルウの体は途端に弾け、宙に四散した……。
―――その時、その場に居た戦士達が勇の行った事に初めて気が付く。
しかしその時既に勇の体は勢いを抑える事も出来ず……凄まじい速度を維持したまま、外縁の暴風渦巻く嵐の中へと姿を消したのだった……。
「うおおおおおおおッ!?」
「アアアーーーーーーッ!?」
凄まじい轟音と共に放たれたその銃弾の嵐は二人が展開した盾に当たる度に強力な衝撃を与える。
その威力は、二人の顔が歪む程……相当な威力である事を物語っていた。
巨大な物体が銃弾を放ちながら着地し、なお絶えず銃弾を放ち続ける。
するとその巨大な物体……ロボットの頂に立つカラクラ族が高らかに声を上げた。
「カカカッ!! これが、これが、古代人の残せし、遺産の力!! 素晴らし、かろう!?」
まるで歓喜の声にも似た叫び声が響き渡り、自身の搭乗する物体を称賛する。
「彼奴は……智将グルウ!!」
茶奈の盾の裏でジョゾウが身構えながら叫ぶと……それに反応したグルウがピクリと眉間を震わせ、ジョゾウへとギラリと睨み付けた。
「人間、に翼を折られた、愚かの者……フハッ!! 滑稽だぞ!!」
鼻で笑う様にジョゾウをこき下ろすグルウ。
ジョゾウはその言葉に「ぐぬぬ」としか言えず、ただひたすら耐える。
なお猛攻は続き、茶奈や剣聖の顔からは既に余裕が感じられなかった。
「刮目せよ!! これが、魔剣【ウカンデス】、の力よ!! 噂に名高い、ソードマスター、すら手も足も、出ぬ!! ハハハハ!! これも滑稽ィ!!」
「ヤロォ……好き勝手……言いやがってェ……!!」
だが実際に、剣聖は防御で手一杯だ。
厳密に言えば、攻撃する事は可能ではあった。
だが、彼の背後に居るのは心輝達や彼等を乗せて帰る為の輸送機。
もし防御を辞めて攻撃に転じれば勝利する可能性もあるが……それは逆に彼等の命を奪いかねない事態ともなる。
さすがの剣聖も、慣れ親しんだ者達を見捨てる事は出来なかったのだ。
茶奈も同様であった。
彼女の攻撃力であればウカンデスを粉砕する事など造作も無いだろう。
だが、そうする為には後ろに居る民間人や勇達を犠牲にしなければならない。
彼女にそんな事など出来る訳は無いのだ。
ただひたすらに耐える事を強制され、二人の強者が二本の脚で必死に体を支えながら力を放出し続ける様を多くの者達がただ眺めるのみ。
その時、瀬玲が盾の外側から光の矢を放つ。
巨大な光の矢が大きく迂回する様に旋回し、ウカンデスの背後へ向けて閃光を走らせた。
だが、ウカンデスへ当たろうとしたその途端……光の矢は無情にも弾け飛び、光を霧散させて消え失せた。
「なっ!?」
「ハハ!! 馬鹿め!! そんな攻撃、など対策は、既に施されて、おるわ!!」
強力な攻撃力と防御性能を誇るウカンデスを前に、攻撃手段を失っていく。
彼を倒せるはずであろう剣聖と茶奈は防御に回り、遠距離攻撃が出来る瀬玲の攻撃は無効化され、他の者達は近接すれば残った腕からの攻撃が待つ……八方塞がりも言える状況に誰しもが閉口し別の策を練る。
だが一向に状況は好転するどころか悪化の一途を辿っていた。
茶奈の顔から滲む汗……彼女の体力の限界が迫っている事を物語る。
―――どうすればいい?
どうしたらいい?
何か方法は……!!―――
勇が思考を巡らせ考える。
自分が出来る事、自分にしか出来ない事、自分がやらねばならぬ事。
短い時間で多くの思考が張り巡られ、多重に張り巡らされた蜘蛛の糸が如き結論の筋が幾多にも分かれ、そして消えていく。
可能性の糸が一つ、また一つと姿を消し、無数にあったはずのそれはあっという間にその殆どが消えていった。
そして……残る可能性が唯一つ……勇の脳裏に残り、彼の意思を纏め上げていた。
―――けど……それをやれば俺は……―――
だがその可能性は、勇にとって最もリスクの高い方法だった。
彼は思考する。
己の命と、仲間や人々の命を天秤に掛け、どちらが重いのかという事を。
普通の人間であれば、尻込みもしよう。
己の命を投げ出すなど、普通の人間であればなかなか思う事は無い。
だが勇は違った。
彼の生きてきた道は人の命が繋いできた道。
彼自身もそれをよく理解しているからこそ……決められるのだ。
己の命は軽くないからこそ……天秤に掛ける価値が有るのだと。
「茶奈、俺が合図したら俺の居る側だけ盾を解除してくれないか?」
「えっ?」
突然の勇の頼み……彼の意図が伝わった訳では無いが、彼の事を信じる茶奈は真剣な眼差しを前に静かに頷いた。
「ありがとう……」
そっと彼女へ礼を述べると……途端勇は一歩下がり翠星剣の切っ先をグルウに向ける様に構え、そっと狙いを付けた。
遠距離での攻撃は察知されて防がれる。
近距離ではあの攻撃の中を掻い潜るのは厳しい。
ならば、容易に掻い潜り、視認されぬ様に攻撃すればいい……ただそれだけ。
勇が己の力を最大まで高めていく。
自身が持つ命力、翠星剣に残る命力の全てを振り絞り、その全てを己の身体へと帰依させ、その力が主に脚部へと集中する様に流れると……彼の細く強靭な脚が見る見る内にメキメキと音を立てながら太くなっていった。
ただ、己の力を、自身の身体の強化のみに充て……剣を握る腕にも力が僅かに籠る。
全身の筋肉、骨、血管を命力により強化する……物理法則すら無視し、有機物の限界を越え強化されたその全身は、今までに無い程に彼の体の力強さをありありと見せつけていた。
「如何な、事が有ろうと、ウカンデス、には勝てぬ、のだ!! カカカッ!!」
グルウがなお余裕を見せつけるかの様にその姿を晒し、その場に居る者達へと煽る様に声を張り上げている。
だがそんな事も構う事無く……勇が己の身体へと更に力を充満させていく。
「アイツ……何するつもりだ……!!」
その様子を遠巻きに見る剣聖。
勇の身体に溜まっていく命力の様子が気に成り、攻撃を防ぎながらもその様子を伺う。
「まさか……あの野郎……!?」
剣聖の口から漏れた声……だが彼がそう察した時、既に勇の行動は始まっていた。
「茶奈、頼む」
そこからの一連の行動は全て、刹那の間の出来事―――
茶奈の命力の盾が解除された瞬間……勇の脚が凄まじい唸りを上げ、力の限り大地を叩く。
途端、彼の体が宙を舞い、グルウへと向けて一直線に飛び出した。
その時はまるで世界の時間が止まったかの様に全ての物体が静止していた。
勇の極限にまで引き上げられた動体視力が、相対的な加速度を生み出した物質さえも速度を止めたかの様に感じさせていたのだ。
意識外の移動のそのずっと先……
勇の体は最早音速すら軽く超え、視認する事など出来ようもない。
だがその体が圧倒的加速を行い、空気の壁へとぶつかれば彼自身の体への負担も想像を絶する程の力となる。
全身が軋みを上げ、肉体を構築する筋繊維をブチブチと引き裂き、全身のあらゆる部位へとその衝撃を一挙に伝えていくのだ。
普通の人間であれば粉々に吹き飛んでしまうであろう程の衝撃を一身に受け、なおも加速し続ける彼には躊躇いすら無かった。
ただ、目の前に居る敵を砕く為に。
誰も気付けすらしない速度で一直線にグルウへと向けて突き抜ける。
光の銃弾ですら止まるその世界で、彼を止める者は誰一人としていない。
声にもならない、力強い想いの叫びが脳裏に木霊する。
そして切っ先がグルウへと届き、その胸を貫いた。
その衝撃、その速度はその事すら気付かせず……グルウの体が翠星剣に貫かれ勇と共に舞う。
余りの衝撃に、耐えられるはずもないグルウの体は途端に弾け、宙に四散した……。
―――その時、その場に居た戦士達が勇の行った事に初めて気が付く。
しかしその時既に勇の体は勢いを抑える事も出来ず……凄まじい速度を維持したまま、外縁の暴風渦巻く嵐の中へと姿を消したのだった……。
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