742 / 1,197
第二十七節「空白の年月 無念重ねて なお想い途切れず」
~製造師の誤算~
しおりを挟む
事件が起きてからおおよそ三週間後。
勇達は再び魔特隊としての活動を再開し、海外遠征を控えていた。
戦いの傷がまだ残っているズーダーや、気落ちしたマヴォ、魔特隊ではないイシュライトを連れて行く訳にもいかず……赴くのは勇、茶奈、心輝、瀬玲の四人。
だが勇の胸中には一抹の不安が宿っていた。
未だ光の剣が使えない事……それが不安材料だったから。
時々、それらしい力を放出する事は出来た。
しかし、いずれも光が出るだけで攻撃的な力にはならず。
しかも安定しない……つまり、攻撃手段には成り得ない。
それに対して身体能力はデュゼローと戦った時同様、不安定ではあるが強靭さは失われていなかった様だ。
不満を持つ民衆へのデモンストレーションを兼ねてグラウンドで茶奈との組手を行った際も、フルクラスタを纏った彼女を凌駕する身体能力を見せつけた。
だがそれだけだ。
攻撃も通らないのである。
その身体能力で彼女を殴っても、命力特有の物理不干渉性能が働き、全てを無効化される。
それは魔者が持つ特有の命力障壁を突破する事が出来ないのと同意義でもあった。
勇の体に対する謎は、ますます深まるばかり。
それが不安となって彼の信念をも不安定化させる。
戦う事の出来ないジレンマ。
けれど人よりも何倍も秀でた身体。
そのあべこべな状態に、彼は困惑の色を隠せない。
それを解決する為に……彼は遠征を志願したのである。
遠征前、最後の打ち合わせで仲間達が福留の下へ集まり、出向先での作戦を確認する。
全ての打ち合わせが完了し、残すは出向のみとなったその時……勇の下にカプロが姿を現した。
彼の手には一本の布にくるまれた何かが掴まれており、それが何であるかは容易に想像出来るものだ。
「勇さん、今回の作戦でコイツを使って欲しいッス」
「ん……これは?」
そっと差し出されたのは、一本の魔剣。
かつて彼が使っていた翠星剣と酷似したその魔剣。
鍔の部分だけが異なり、命力珠の換装ユニットをオミットした完全固定式の長剣である。
代わりに幾つもの小さな命力珠がちりばめられ、個々に光を放っていた。
「これって……翠星剣?」
そのデザイン性に通ずるものを感じ、思わず勇の口から懐かしむ様な声色が漏れる。
だがカプロはそっと首を横に振り、ニッコリとした笑顔を見せた。
「コイツは形容するなら【勇星剣】ってトコッスね、今の勇さんでも使えるように独立的な機構にしておいたッス。 これならきっと戦えるッスよ」
「カプロ……ありがとう!!」
光の剣が使えないなら、代替品を用意すればいい……それがカプロの出した答えだった。
彼の好意を受け、勇の顔に思わず笑顔が漏れる。
それ程までに彼にとっては悩みの一つだったのだろう。
こうして、勇達は出立した。
多くの民衆が不満の声を上げて彼等の前に立ち塞がる中……彼等は専用車両の中から彼等の行為を目の当たりにしつつ、気にしない様にと心に言い聞かせながら訪れる時を待ち続けるのだった。
◇◇◇
オーストラリア西部の荒野に勇達の姿があった。
相対するのはいずれも高い凶暴性を持った、身長が三メートル程もある大型の魔者達。
全身に太い棘の様な緑の鱗を持つ、非常に筋肉質な体付きのトドの様な姿。
つい最近、転移してきたばかりで事情も知らぬ者達だ。
だが彼等は決して人間と共存する事を望んではいなかった。
自分達こそが最も優れた種であると言って聞かず、無差別に人の住む街を襲撃し始めたのである。
勇達の必死の説得も耳を貸さず、巨体に任せた攻撃は彼等を翻弄する。
「こいつらあッ!?」
雑兵一匹一匹が洗練された戦闘能力を有し、負ける様な相手ではないもののタフな体が勇達の焦りを買う。
油断していた心輝が思わず声を漏らし、己の認識を改めざるを得ない状況に歯を食いしばらせた。
だがさしもの勇達……『あちら側』でも突出する程に秀でたデュゼローやギューゼルを倒した彼等の能力はその程度で怯む事は無かった。
光の槍とも言える矢弾が魔者達を貫き、その動きを止める。
タフであっても動きは鈍い……瀬玲の弓型魔剣【カッデレータ】の真価が十二分に発揮されていた。
そこに空かさず心輝が腕甲型魔剣【グワイヴ】の力を利用して滑空からの追撃を重ねて次々と魔者達を打ち倒していく。
茶奈と言えば、もはや単騎での戦闘で十分だった。
フルクラスタを纏って戦場を駆け巡り、拳の一振りで何人もの魔者達が宙を舞う。
三人は【東京事変】での戦いで大きな成長を遂げたと言っても過言ではない。
肉体的にでは無く精神的に、である。
命力は心の持ち方で大きくその力を変える。
だからこそ、彼等はそれに相乗して上がった力を十二分に発揮し敵を屠っていった。
だが、勇はそこで攻めあぐねいていた。
カプロから貰った勇星剣を信用していない訳ではない。
でもどこか不安が拭えずにいたのだ。
本当にこれを使っていいのか、と。
―――
――
―
その頃、魔特隊本部、カプロの工房。
カプロは職員達と共に工房内の設備の整頓に追われていた。
【東京事変】の折に工房をも破壊されたためである。
勇星剣を造る事が出来たとはいえ、工房の機能としてはまだまだ不十分。
万全にせねば、この後に起きる不測の事態に対応する事は出来ないかもしれないのだから。
そんな中、カプロはふと新しく譲り受けたノートパソコンの画面を覗き、何を思ったのか自分の造った魔剣のデータを鼻歌交じりに見返し始める。
そこに映るのは最初に本気で造った翠星剣を始め、クゥファーライデ、イルリスエーヴェといった魔剣の数々の姿があった。
懐かしむ様に眺め、そして最後に映る勇星剣の姿をまじまじと見つめて悦に浸る。
彼はちょっとしたナルシストの気がある所為か、自分の仕事にちょっとした自信を覗かせる事が多い。
だがそんな時、彼のまぶたがピクリと動き、その目を見開かせた。
「あ……ヤべぇッス……これじゃ……」
途端その顔は真剣な面持ちへと変わり、傍に置いてあったスマートフォンへと手を伸ばす。
そして手早く操作すると……おもむろに耳へと充てた。
その画面に映るのは「福留氏」という文字。
「もしもし、福留さんッスか?」
『えぇ、はい、なんでしょう?』
「急ぎ、勇さんに撤収する様伝えて欲しいッス……勇星剣は……!!」
『え……ですがもう彼は……!! ああッ!?』
電話の先で福留の聞き慣れぬ叫び声が上がり、場の深刻性を体現する。
その瞬間、カプロは項垂れ……地に膝を突くのだった。
「勇さん……すまねッス……申し訳ねぇッス……!!」
予見したのが……自信家の彼にとって最も屈辱的な結果だという事に他ならなかったのだから。
―
――
―――
勇達は再び魔特隊としての活動を再開し、海外遠征を控えていた。
戦いの傷がまだ残っているズーダーや、気落ちしたマヴォ、魔特隊ではないイシュライトを連れて行く訳にもいかず……赴くのは勇、茶奈、心輝、瀬玲の四人。
だが勇の胸中には一抹の不安が宿っていた。
未だ光の剣が使えない事……それが不安材料だったから。
時々、それらしい力を放出する事は出来た。
しかし、いずれも光が出るだけで攻撃的な力にはならず。
しかも安定しない……つまり、攻撃手段には成り得ない。
それに対して身体能力はデュゼローと戦った時同様、不安定ではあるが強靭さは失われていなかった様だ。
不満を持つ民衆へのデモンストレーションを兼ねてグラウンドで茶奈との組手を行った際も、フルクラスタを纏った彼女を凌駕する身体能力を見せつけた。
だがそれだけだ。
攻撃も通らないのである。
その身体能力で彼女を殴っても、命力特有の物理不干渉性能が働き、全てを無効化される。
それは魔者が持つ特有の命力障壁を突破する事が出来ないのと同意義でもあった。
勇の体に対する謎は、ますます深まるばかり。
それが不安となって彼の信念をも不安定化させる。
戦う事の出来ないジレンマ。
けれど人よりも何倍も秀でた身体。
そのあべこべな状態に、彼は困惑の色を隠せない。
それを解決する為に……彼は遠征を志願したのである。
遠征前、最後の打ち合わせで仲間達が福留の下へ集まり、出向先での作戦を確認する。
全ての打ち合わせが完了し、残すは出向のみとなったその時……勇の下にカプロが姿を現した。
彼の手には一本の布にくるまれた何かが掴まれており、それが何であるかは容易に想像出来るものだ。
「勇さん、今回の作戦でコイツを使って欲しいッス」
「ん……これは?」
そっと差し出されたのは、一本の魔剣。
かつて彼が使っていた翠星剣と酷似したその魔剣。
鍔の部分だけが異なり、命力珠の換装ユニットをオミットした完全固定式の長剣である。
代わりに幾つもの小さな命力珠がちりばめられ、個々に光を放っていた。
「これって……翠星剣?」
そのデザイン性に通ずるものを感じ、思わず勇の口から懐かしむ様な声色が漏れる。
だがカプロはそっと首を横に振り、ニッコリとした笑顔を見せた。
「コイツは形容するなら【勇星剣】ってトコッスね、今の勇さんでも使えるように独立的な機構にしておいたッス。 これならきっと戦えるッスよ」
「カプロ……ありがとう!!」
光の剣が使えないなら、代替品を用意すればいい……それがカプロの出した答えだった。
彼の好意を受け、勇の顔に思わず笑顔が漏れる。
それ程までに彼にとっては悩みの一つだったのだろう。
こうして、勇達は出立した。
多くの民衆が不満の声を上げて彼等の前に立ち塞がる中……彼等は専用車両の中から彼等の行為を目の当たりにしつつ、気にしない様にと心に言い聞かせながら訪れる時を待ち続けるのだった。
◇◇◇
オーストラリア西部の荒野に勇達の姿があった。
相対するのはいずれも高い凶暴性を持った、身長が三メートル程もある大型の魔者達。
全身に太い棘の様な緑の鱗を持つ、非常に筋肉質な体付きのトドの様な姿。
つい最近、転移してきたばかりで事情も知らぬ者達だ。
だが彼等は決して人間と共存する事を望んではいなかった。
自分達こそが最も優れた種であると言って聞かず、無差別に人の住む街を襲撃し始めたのである。
勇達の必死の説得も耳を貸さず、巨体に任せた攻撃は彼等を翻弄する。
「こいつらあッ!?」
雑兵一匹一匹が洗練された戦闘能力を有し、負ける様な相手ではないもののタフな体が勇達の焦りを買う。
油断していた心輝が思わず声を漏らし、己の認識を改めざるを得ない状況に歯を食いしばらせた。
だがさしもの勇達……『あちら側』でも突出する程に秀でたデュゼローやギューゼルを倒した彼等の能力はその程度で怯む事は無かった。
光の槍とも言える矢弾が魔者達を貫き、その動きを止める。
タフであっても動きは鈍い……瀬玲の弓型魔剣【カッデレータ】の真価が十二分に発揮されていた。
そこに空かさず心輝が腕甲型魔剣【グワイヴ】の力を利用して滑空からの追撃を重ねて次々と魔者達を打ち倒していく。
茶奈と言えば、もはや単騎での戦闘で十分だった。
フルクラスタを纏って戦場を駆け巡り、拳の一振りで何人もの魔者達が宙を舞う。
三人は【東京事変】での戦いで大きな成長を遂げたと言っても過言ではない。
肉体的にでは無く精神的に、である。
命力は心の持ち方で大きくその力を変える。
だからこそ、彼等はそれに相乗して上がった力を十二分に発揮し敵を屠っていった。
だが、勇はそこで攻めあぐねいていた。
カプロから貰った勇星剣を信用していない訳ではない。
でもどこか不安が拭えずにいたのだ。
本当にこれを使っていいのか、と。
―――
――
―
その頃、魔特隊本部、カプロの工房。
カプロは職員達と共に工房内の設備の整頓に追われていた。
【東京事変】の折に工房をも破壊されたためである。
勇星剣を造る事が出来たとはいえ、工房の機能としてはまだまだ不十分。
万全にせねば、この後に起きる不測の事態に対応する事は出来ないかもしれないのだから。
そんな中、カプロはふと新しく譲り受けたノートパソコンの画面を覗き、何を思ったのか自分の造った魔剣のデータを鼻歌交じりに見返し始める。
そこに映るのは最初に本気で造った翠星剣を始め、クゥファーライデ、イルリスエーヴェといった魔剣の数々の姿があった。
懐かしむ様に眺め、そして最後に映る勇星剣の姿をまじまじと見つめて悦に浸る。
彼はちょっとしたナルシストの気がある所為か、自分の仕事にちょっとした自信を覗かせる事が多い。
だがそんな時、彼のまぶたがピクリと動き、その目を見開かせた。
「あ……ヤべぇッス……これじゃ……」
途端その顔は真剣な面持ちへと変わり、傍に置いてあったスマートフォンへと手を伸ばす。
そして手早く操作すると……おもむろに耳へと充てた。
その画面に映るのは「福留氏」という文字。
「もしもし、福留さんッスか?」
『えぇ、はい、なんでしょう?』
「急ぎ、勇さんに撤収する様伝えて欲しいッス……勇星剣は……!!」
『え……ですがもう彼は……!! ああッ!?』
電話の先で福留の聞き慣れぬ叫び声が上がり、場の深刻性を体現する。
その瞬間、カプロは項垂れ……地に膝を突くのだった。
「勇さん……すまねッス……申し訳ねぇッス……!!」
予見したのが……自信家の彼にとって最も屈辱的な結果だという事に他ならなかったのだから。
―
――
―――
0
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?
あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】全60話 完結しました。読者の皆様ありがとうございます!
世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。
「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。
・神話級ドラゴン
⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺)
・深淵の邪神
⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決)
・次元の裂け目
⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い)
「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」
本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……?
「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー!
【免責事項】
この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
うちの冷蔵庫がダンジョンになった
空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞
ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。
そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる