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第三十三節「二つ世の理 相対せし二人の意思 正しき風となれ」
~滑走と乱撃 極限の殴り合い~
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二人が地上へと向けて落下していく。
勇は蹴られた衝撃で、心輝は自身の加速によって。
しかし攻撃を受けた後でも勇には余裕があった。
心輝の連撃は少なからず余地を与えていた。
その間に天力を防御に回す事ができ、勇は辛うじて蹴り落としによるダメージを防ぐ事が出来ていたのだ。
きりもみ落下しながらも、勇はその身を上手く使う事で空気抵抗を利用して体勢を整える。
心輝が後を追い、地上が迫りくる中で……状況を判断し、冷静に、かつ確実に。
どちらの到達も見立てはほぼ同タイミング。
一歩間違えれば地上激突と攻撃の挟み撃ち……大ダメージは免れないだろう。
間も無く訪れるその瞬間を、勇はただ……凌ぐ事に集中するのみ。
心輝が背後で拳を構え、力を込めて引き絞る。
地上が迫り来るその中で。
その一瞬で、勇はただ単に……空を滑る。
厳密に言えば、跳ねただけだった。
大地へ到達直前、全身がほんの数センチ浮く程度に大地を叩く。
それ程まで自身の真心を捉えた精密な一撃。
それだけではなく、同時に大地を蹴り上げていた。
真横に跳ねる様に。
この力が全身を揺り起こし、その身を捻らせる。
その瞬間、心輝はただただその目を疑った。
勇が本当の意味で……空を滑る様に地上スレスレを滑走していたのだから。
光の軌道を弧に描きながら。
勇の昂りはその身から天力を溢れさせる。
一つ一つの挙動に残光を残す程に強く激しく。
それが軌道を描き、彼を空へと舞わせたのだ。
まるで氷滑走選手の彩る演技の如く……しなやかな動きを魅せながら。
だがそれも、全てはその後に続く反撃に繋げる為のもの。
彼の生み出した滑走して魅せる程の推進力はそのまま彼の突撃力へと置き換わる。
大地が弾け、轟音を撒き散らす。
勇が勢いのままに蹴り上げ、心輝へと向けて飛び出したのだ。
心輝も負けてはいられない。
不発に終わった突き降ろしも、追撃に備えて力を蓄えながらの事。
迫りくる勇に対し、左足を動力として一気に踏み出していた。
「シィーーーーーーンッッッ!!!!」
「ユゥーーーーーーァアアアッ!!!!」
二人の拳が引き絞られ、想いのままに撃ち放たれる。
その時生まれたのは……拳撃の嵐。
互いに幾度となく拳を振り抜き、それを紙一重で躱す。
一撃一撃が首ごと頭を持っていかんばかりの轟音を掻き鳴らしながら。
拳が降り抜かれる度に、光の波動が一直線に貫き飛ぶ。
威力を乗せた波動はありとあらゆる方向へと撃ち放たれ、進路上に存在する木々を撃ち貫き激しく粉砕する。
木片を、草を、花弁を。
無数に舞い散らせながら、二人の殴り合いはなお続く。
木々を砕き、草根を散らした跡から地表が覗き、煽られて土煙が舞い上がる。
それすらをも消し飛ばし、撃ち抜かれ続ける二人の拳が周辺を削り取り続けた。
それが緑豊かな地域を、あっという間に一面茶色い肌で覆う荒れ地へと変貌させてしまったのである。
激しい殴り合いはいつまでも続くかの様にも見えた。
それも間も無く均衡を崩す。
時は力を疲弊させ、動きを衰えさせるもの。
その衰えが著しかったのは他でもない心輝。
魔剣の片割れを失い、加速力も半減し。
持久力すらも大幅に低下した今……そうなるのは必然だった。
心輝の右腕に炎が宿るも色は既に赤へと戻り、速度も乏しい。
その隙を逃さぬ勇ではなかった。
心輝から拳が振り抜かれようとした時……勇はただ純粋に、反撃の拳を打ち抜く。
光の一閃、そう形容出来る程の鋭く素早い一撃。
心輝の拳目掛けて放たれた一撃は―――振り抜かれる前に、備えた魔剣を打ち砕いたのだった。
その時、心輝は何を思っていたのだろうか。
もう武器は無い?
もう力は残っていない?
もうダメだ?
否。
どうしたら反撃出来るか……ただそれだけだった。
既にその時、何も無いはずの心輝の左腕は行動を終えていた。
行っていたのは己の腰部、備えられた小さな皮製ホルダーからとある物を取り出す事。
まるで戦闘動作の一部であったかの様に……それは自然に行われていたのだ。
左拳に握るそれは……簡易魔剣【殴る者】。
心輝が初めて手にした魔剣である。
これはもしもの時の為に仕舞ってあった、緊急用の武装。
それすらをも彼は無意識と言えるレベルで取り出し、力にしようとしたのだ。
そんな武器など今更何の役にも立たないだろう。
でもそんな事など関係無かった。
ただただ必死だったのだ。
勇にただ一撃を加える事が出来れば。
逆転の糸口になれば。
一矢報いる事が出来れば。
そんな想いが彼を本能的に揺り動かす。
右腕を打ち抜かれた事による反動を利用し、自身を捻らせて。
その運動を回転力へと変換し……心輝は力の赴くままに、左拳を打ち上げた。
それは勇の流星撃にも近い、全ての力が純粋に噛み合った一撃へと昇華させる。
炎と、命力の光と、己の肉体が……威力を格段に跳ね上げる。
一直線に勇の顔面へと向かいながら。
しかし現実は……心輝に微笑む事はなかった。
ミシリ……
その時、衝撃が走ったのは……心輝の顔面だった。
心輝の打ち上げを繰り出した腕と交差する様に、勇が拳を突き降ろしていたのである。
それはクロスカウンター……相手の力を最大限に利用した反撃の手段。
勇の拳が心輝の顔面に打ち込まれ、拍子に鼻血が血飛沫の様に隙間から飛び散る。
その一撃は彼の意識を刈り取れる程に強烈だった。
もしそれで終われば。
もしそれで諦めれば。
どれだけ楽だっただろうか。
こうしなければ。
考え直せば。
痛い目を見なくて済んだだろうか。
心輝の脳裏でそんな想いが走馬灯の様に流れていく。
でもその先に見えるのは決まって、想い人の顔だ。
そんな中で意識が遠のく。
浮かぶ顔がぼんやり歪んでいく。
受け入れよう。
動くのを辞めよう。
そんな弱音が、心に響く。
でもその度に、心が叫ぶ。
諦めるなと。
前に出ろと。
だから彼は……心の中で手を伸ばす。
想い人の面影を消さない様に。
ただその腕に抱く為に。
「―――う お ああああああああ!!!!!」
その時、打ち付けられた勇の拳を押し退ける様に心輝は頭を突き出した。
その攻撃すらをも基軸とさせ、左足の蹴り上げの助力へと変質させたのだ。
渾身の爆炎と共に。
無我夢中で放たれし一撃。
心輝の想いが、意地が……その足に全て篭められる。
その先に見える未来が彼の希望なのだから。
勇は蹴られた衝撃で、心輝は自身の加速によって。
しかし攻撃を受けた後でも勇には余裕があった。
心輝の連撃は少なからず余地を与えていた。
その間に天力を防御に回す事ができ、勇は辛うじて蹴り落としによるダメージを防ぐ事が出来ていたのだ。
きりもみ落下しながらも、勇はその身を上手く使う事で空気抵抗を利用して体勢を整える。
心輝が後を追い、地上が迫りくる中で……状況を判断し、冷静に、かつ確実に。
どちらの到達も見立てはほぼ同タイミング。
一歩間違えれば地上激突と攻撃の挟み撃ち……大ダメージは免れないだろう。
間も無く訪れるその瞬間を、勇はただ……凌ぐ事に集中するのみ。
心輝が背後で拳を構え、力を込めて引き絞る。
地上が迫り来るその中で。
その一瞬で、勇はただ単に……空を滑る。
厳密に言えば、跳ねただけだった。
大地へ到達直前、全身がほんの数センチ浮く程度に大地を叩く。
それ程まで自身の真心を捉えた精密な一撃。
それだけではなく、同時に大地を蹴り上げていた。
真横に跳ねる様に。
この力が全身を揺り起こし、その身を捻らせる。
その瞬間、心輝はただただその目を疑った。
勇が本当の意味で……空を滑る様に地上スレスレを滑走していたのだから。
光の軌道を弧に描きながら。
勇の昂りはその身から天力を溢れさせる。
一つ一つの挙動に残光を残す程に強く激しく。
それが軌道を描き、彼を空へと舞わせたのだ。
まるで氷滑走選手の彩る演技の如く……しなやかな動きを魅せながら。
だがそれも、全てはその後に続く反撃に繋げる為のもの。
彼の生み出した滑走して魅せる程の推進力はそのまま彼の突撃力へと置き換わる。
大地が弾け、轟音を撒き散らす。
勇が勢いのままに蹴り上げ、心輝へと向けて飛び出したのだ。
心輝も負けてはいられない。
不発に終わった突き降ろしも、追撃に備えて力を蓄えながらの事。
迫りくる勇に対し、左足を動力として一気に踏み出していた。
「シィーーーーーーンッッッ!!!!」
「ユゥーーーーーーァアアアッ!!!!」
二人の拳が引き絞られ、想いのままに撃ち放たれる。
その時生まれたのは……拳撃の嵐。
互いに幾度となく拳を振り抜き、それを紙一重で躱す。
一撃一撃が首ごと頭を持っていかんばかりの轟音を掻き鳴らしながら。
拳が降り抜かれる度に、光の波動が一直線に貫き飛ぶ。
威力を乗せた波動はありとあらゆる方向へと撃ち放たれ、進路上に存在する木々を撃ち貫き激しく粉砕する。
木片を、草を、花弁を。
無数に舞い散らせながら、二人の殴り合いはなお続く。
木々を砕き、草根を散らした跡から地表が覗き、煽られて土煙が舞い上がる。
それすらをも消し飛ばし、撃ち抜かれ続ける二人の拳が周辺を削り取り続けた。
それが緑豊かな地域を、あっという間に一面茶色い肌で覆う荒れ地へと変貌させてしまったのである。
激しい殴り合いはいつまでも続くかの様にも見えた。
それも間も無く均衡を崩す。
時は力を疲弊させ、動きを衰えさせるもの。
その衰えが著しかったのは他でもない心輝。
魔剣の片割れを失い、加速力も半減し。
持久力すらも大幅に低下した今……そうなるのは必然だった。
心輝の右腕に炎が宿るも色は既に赤へと戻り、速度も乏しい。
その隙を逃さぬ勇ではなかった。
心輝から拳が振り抜かれようとした時……勇はただ純粋に、反撃の拳を打ち抜く。
光の一閃、そう形容出来る程の鋭く素早い一撃。
心輝の拳目掛けて放たれた一撃は―――振り抜かれる前に、備えた魔剣を打ち砕いたのだった。
その時、心輝は何を思っていたのだろうか。
もう武器は無い?
もう力は残っていない?
もうダメだ?
否。
どうしたら反撃出来るか……ただそれだけだった。
既にその時、何も無いはずの心輝の左腕は行動を終えていた。
行っていたのは己の腰部、備えられた小さな皮製ホルダーからとある物を取り出す事。
まるで戦闘動作の一部であったかの様に……それは自然に行われていたのだ。
左拳に握るそれは……簡易魔剣【殴る者】。
心輝が初めて手にした魔剣である。
これはもしもの時の為に仕舞ってあった、緊急用の武装。
それすらをも彼は無意識と言えるレベルで取り出し、力にしようとしたのだ。
そんな武器など今更何の役にも立たないだろう。
でもそんな事など関係無かった。
ただただ必死だったのだ。
勇にただ一撃を加える事が出来れば。
逆転の糸口になれば。
一矢報いる事が出来れば。
そんな想いが彼を本能的に揺り動かす。
右腕を打ち抜かれた事による反動を利用し、自身を捻らせて。
その運動を回転力へと変換し……心輝は力の赴くままに、左拳を打ち上げた。
それは勇の流星撃にも近い、全ての力が純粋に噛み合った一撃へと昇華させる。
炎と、命力の光と、己の肉体が……威力を格段に跳ね上げる。
一直線に勇の顔面へと向かいながら。
しかし現実は……心輝に微笑む事はなかった。
ミシリ……
その時、衝撃が走ったのは……心輝の顔面だった。
心輝の打ち上げを繰り出した腕と交差する様に、勇が拳を突き降ろしていたのである。
それはクロスカウンター……相手の力を最大限に利用した反撃の手段。
勇の拳が心輝の顔面に打ち込まれ、拍子に鼻血が血飛沫の様に隙間から飛び散る。
その一撃は彼の意識を刈り取れる程に強烈だった。
もしそれで終われば。
もしそれで諦めれば。
どれだけ楽だっただろうか。
こうしなければ。
考え直せば。
痛い目を見なくて済んだだろうか。
心輝の脳裏でそんな想いが走馬灯の様に流れていく。
でもその先に見えるのは決まって、想い人の顔だ。
そんな中で意識が遠のく。
浮かぶ顔がぼんやり歪んでいく。
受け入れよう。
動くのを辞めよう。
そんな弱音が、心に響く。
でもその度に、心が叫ぶ。
諦めるなと。
前に出ろと。
だから彼は……心の中で手を伸ばす。
想い人の面影を消さない様に。
ただその腕に抱く為に。
「―――う お ああああああああ!!!!!」
その時、打ち付けられた勇の拳を押し退ける様に心輝は頭を突き出した。
その攻撃すらをも基軸とさせ、左足の蹴り上げの助力へと変質させたのだ。
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