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第十節「狂騒鳥曲 死と願い 少女が為の青空」
~訪れしはかの因縁の者よ~
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さすがの自衛隊は行動が何もかも早かった。
連絡してからものの十数分で搬送トラックが到着して。
中から現れた隊員がテキパキと動き、あっという間に数個の黒テントが完成だ。
恐らくジョゾウ達の寝泊り用だけではなく、中継基地としても使うつもりなのだろう。
中も広々としており、割り当てられたジョゾウ達の喜び跳ねる姿がそこに。
「【寝木】は無かろうか?」
「ば、『バッテラ』? しめ鯖の事ですか……?」
ほんの少し要求に難もあった様だが。
準備ついでにと、勇も近場にあるホームセンターへ走っては簡単な物資をチョイス。
おまけにいつものコンビニで、昼食と〝皆が大好きなアレ〟を購入して戻る。
そして始まったのは、作戦会議開始前のちょっとした休憩タイムで。
ジョゾウらが二ℓボトル【コケッコーラ】を揃って担ぎ飲みする姿は実に壮観だった。
もちろん、その消費の勢いも言わずもがな。
という訳で。
勇が一緒に買ってきたのはただのコンビニの惣菜と弁当。
それでもジョゾウ達はウッキウキと食べて見せていたもので。
お昼時ともあって、あっという間にぺろりと平らげたという。
お陰で皆とても満足そう。
やはり食文化自慢な日本の弁当は凄かった。
「馳走になりもうした。 美味なる食事の数々、ご厚意痛み入りまする」
「ん、なんかデジャブ感じるなー」
そんな反応を前に、勇が思わず頭を悩ませる。
どこか見た事が有る様な無い様な、と。
でもすぐさま数日前のアージとの一件を思い出し、「あ、これだ」と思わず手を叩いていて。
そう、あの一件から実はまだ半月しか経っていない。
比較的最近の事ともあって、勇にとってはタイムリーな話なのだ。
しかしそうも考えれば凄い事だろう。
この短期間でこんなに沢山の理解者と出会えた事になるのだから。
ここまで徳が続くと後でどんな返しが待っているやら、逆に何か怖くなりそう。
もっとも、今の勇とちゃなは何も考えていない様だが。
ジョゾウ達との憩いの歓談で夢中なもので。
楽観ここに極まれりである。
するとそんな時―――
「話の最中申し訳ないが、邪魔をさせて頂く」
歓談に湧く勇達の背後、テントの入口から大きな人影が一人現れる。
現れたのは迷彩服を纏った大柄の男で。
肩幅がとても広く、ぱっと見ではまるでゴリラか。
広く角張った顎と剃られて丸い頭が影となり、まさにその姿を彷彿とさせるかのよう。
しかしそんな荒々しい姿にも拘らず、どこか落ち着きもあって恐れを与えない。
だからか、勇達もその姿が現れた時は「あ、どうも」と軽く会釈を返してしまうくらいだ。
「まさかまた君達と会う事になるとは思わなかったな」
「え? すいません、どこかでお会いしましたっけ?」
「いや、きっと君達には面識は無いだろうから知らなくて当然だ」
ただどうやらこの男、勇達の事を知っているらしい。
それもただ噂を耳にしたなどではなく、実際に会っていると言わんばかりの雰囲気で。
いや、確かに実際に会っている。
勇達がただ気付いていないだけなのだ。
この男が間違い無く勇達と大きく絡んでいたという事に。
「自分は陸上自衛隊三等陸佐、杉浦であります! 本作戦における指揮官として任命されました! 魔剣使い藤咲勇殿に助力を注ぐよう仰せつかっております!」
そんな男・杉浦が見事な敬礼を見せつける。
階級に恥じない、鋭く自信に満ち溢れた動きを以て。
その間も無く両手を腰裏に回しては、背筋を伸ばして姿勢を正し。
なおその厳つい身体を崩す事無く勇達をそっと見下ろしていて。
「――――君達が初めてフェノーダラ王国へ訪れたあの時、私もあの場に居たのだ。 現場指揮官としてね」
「あっ!! もしかしてあの時の!」
しかしこうして杉浦自身から真相を聴かされ、ようやく勇達も気付く事となる。
そう、この杉浦こそがフェノーダラ初訪問の日に勇達を止めようとした指揮官当人。
あろう事か発砲許可まで出した張本人だったのだ。
「あの時は実に申し訳ない事をした。 事情を知らなかったとはいえ、発砲を許可してしまった事は今でも後悔している」
「あぁ~……まぁいいですよ、大事は無かったんですし」
とはいえ、あの時から戦いが本格化して忙しくなり過ぎたもので。
お陰で勇は今の今まですっかり忘れていたらしい。
戦う勢いの余り、曖昧な記憶は棚からすっぽりと抜け落ちてしまっていたのだろう。
そもそも、あの時は剣聖の見せた命力盾の方がずっと衝撃的だった訳だけれども。
「いずれにせよ、これから協力してもらう訳ですから。 なので、よろしくお願いします」
「ああ、どうかよろしく頼む」
そんな事もあって勇は全く気にしていない模様。
どうやら杉浦の気負い過ぎだった様だ。
もっとも、杉浦としては忘れるつもりも無い様だが。
「では早速作戦を立てたい。 敵がいつ襲い来るかもわからないならば早めに事を進めなければならん」
「そうであるな。 では腹ごしらえも済んだ所で備えを始めましょうぞ」
そんな戒めが今は意気込みにも変わるだろう。
元々の気質もあり、その顔は真剣そのもので。
おまけに三佐ともなれば、経験と知識も卓越している地位だからこそ頼もしいと言えよう。
そんな杉浦が一歩引いて勇達を誘う中、皆が揃ってテントの外へ。
そうして行く皆の足取りは、これから巻き起こるであろう戦いへと向けた意気込みで溢れていた。
連絡してからものの十数分で搬送トラックが到着して。
中から現れた隊員がテキパキと動き、あっという間に数個の黒テントが完成だ。
恐らくジョゾウ達の寝泊り用だけではなく、中継基地としても使うつもりなのだろう。
中も広々としており、割り当てられたジョゾウ達の喜び跳ねる姿がそこに。
「【寝木】は無かろうか?」
「ば、『バッテラ』? しめ鯖の事ですか……?」
ほんの少し要求に難もあった様だが。
準備ついでにと、勇も近場にあるホームセンターへ走っては簡単な物資をチョイス。
おまけにいつものコンビニで、昼食と〝皆が大好きなアレ〟を購入して戻る。
そして始まったのは、作戦会議開始前のちょっとした休憩タイムで。
ジョゾウらが二ℓボトル【コケッコーラ】を揃って担ぎ飲みする姿は実に壮観だった。
もちろん、その消費の勢いも言わずもがな。
という訳で。
勇が一緒に買ってきたのはただのコンビニの惣菜と弁当。
それでもジョゾウ達はウッキウキと食べて見せていたもので。
お昼時ともあって、あっという間にぺろりと平らげたという。
お陰で皆とても満足そう。
やはり食文化自慢な日本の弁当は凄かった。
「馳走になりもうした。 美味なる食事の数々、ご厚意痛み入りまする」
「ん、なんかデジャブ感じるなー」
そんな反応を前に、勇が思わず頭を悩ませる。
どこか見た事が有る様な無い様な、と。
でもすぐさま数日前のアージとの一件を思い出し、「あ、これだ」と思わず手を叩いていて。
そう、あの一件から実はまだ半月しか経っていない。
比較的最近の事ともあって、勇にとってはタイムリーな話なのだ。
しかしそうも考えれば凄い事だろう。
この短期間でこんなに沢山の理解者と出会えた事になるのだから。
ここまで徳が続くと後でどんな返しが待っているやら、逆に何か怖くなりそう。
もっとも、今の勇とちゃなは何も考えていない様だが。
ジョゾウ達との憩いの歓談で夢中なもので。
楽観ここに極まれりである。
するとそんな時―――
「話の最中申し訳ないが、邪魔をさせて頂く」
歓談に湧く勇達の背後、テントの入口から大きな人影が一人現れる。
現れたのは迷彩服を纏った大柄の男で。
肩幅がとても広く、ぱっと見ではまるでゴリラか。
広く角張った顎と剃られて丸い頭が影となり、まさにその姿を彷彿とさせるかのよう。
しかしそんな荒々しい姿にも拘らず、どこか落ち着きもあって恐れを与えない。
だからか、勇達もその姿が現れた時は「あ、どうも」と軽く会釈を返してしまうくらいだ。
「まさかまた君達と会う事になるとは思わなかったな」
「え? すいません、どこかでお会いしましたっけ?」
「いや、きっと君達には面識は無いだろうから知らなくて当然だ」
ただどうやらこの男、勇達の事を知っているらしい。
それもただ噂を耳にしたなどではなく、実際に会っていると言わんばかりの雰囲気で。
いや、確かに実際に会っている。
勇達がただ気付いていないだけなのだ。
この男が間違い無く勇達と大きく絡んでいたという事に。
「自分は陸上自衛隊三等陸佐、杉浦であります! 本作戦における指揮官として任命されました! 魔剣使い藤咲勇殿に助力を注ぐよう仰せつかっております!」
そんな男・杉浦が見事な敬礼を見せつける。
階級に恥じない、鋭く自信に満ち溢れた動きを以て。
その間も無く両手を腰裏に回しては、背筋を伸ばして姿勢を正し。
なおその厳つい身体を崩す事無く勇達をそっと見下ろしていて。
「――――君達が初めてフェノーダラ王国へ訪れたあの時、私もあの場に居たのだ。 現場指揮官としてね」
「あっ!! もしかしてあの時の!」
しかしこうして杉浦自身から真相を聴かされ、ようやく勇達も気付く事となる。
そう、この杉浦こそがフェノーダラ初訪問の日に勇達を止めようとした指揮官当人。
あろう事か発砲許可まで出した張本人だったのだ。
「あの時は実に申し訳ない事をした。 事情を知らなかったとはいえ、発砲を許可してしまった事は今でも後悔している」
「あぁ~……まぁいいですよ、大事は無かったんですし」
とはいえ、あの時から戦いが本格化して忙しくなり過ぎたもので。
お陰で勇は今の今まですっかり忘れていたらしい。
戦う勢いの余り、曖昧な記憶は棚からすっぽりと抜け落ちてしまっていたのだろう。
そもそも、あの時は剣聖の見せた命力盾の方がずっと衝撃的だった訳だけれども。
「いずれにせよ、これから協力してもらう訳ですから。 なので、よろしくお願いします」
「ああ、どうかよろしく頼む」
そんな事もあって勇は全く気にしていない模様。
どうやら杉浦の気負い過ぎだった様だ。
もっとも、杉浦としては忘れるつもりも無い様だが。
「では早速作戦を立てたい。 敵がいつ襲い来るかもわからないならば早めに事を進めなければならん」
「そうであるな。 では腹ごしらえも済んだ所で備えを始めましょうぞ」
そんな戒めが今は意気込みにも変わるだろう。
元々の気質もあり、その顔は真剣そのもので。
おまけに三佐ともなれば、経験と知識も卓越している地位だからこそ頼もしいと言えよう。
そんな杉浦が一歩引いて勇達を誘う中、皆が揃ってテントの外へ。
そうして行く皆の足取りは、これから巻き起こるであろう戦いへと向けた意気込みで溢れていた。
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