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ー番外編ーヴィオレット*隣国編*
①
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あの一件からスペンサー侯爵家とは縁を切る事にして、お祖父様とお祖母様と一緒に平民となった。
私達が今いる場所は隣国、ウィルトリア領の外れにあるモーラナ町という所だ。
ウィルトリア領とは叔父様が家督を継がれたウィルトリア公爵家の領地である。
何故か私には内緒でお祖父様達4人がウィルトリア領内に住む事を話し合いで決めていた。
元貴族は問題に巻き込まれやすい為、ニーチェお祖母様達が私達を心配してなるべく近くへ置こうとしていたみたい。
(有り難いけど・・・姪が平民になって自分の領地に住んでいるなんて叔父様や御家族の方々は大丈夫なのかな。
ユーロお祖父様はむしろ家に住まわせたがってる。と言ってたけど本当なのかな?
従兄弟とかも納得してるのかな・・・)
若干不安になりながらあまり記憶に残っていない、お母様が生きていた頃にお会いしていた公爵家の方々の顔を思い出していた・・・
そしてモーラナ町の住宅街の外れに屋敷はあった。
いつもより何故か浮かれているお祖父様はどうだ。といわんばかりの目で私の反応を伺っている・・・「あの人、ヴィオレットと暮らす家は立派な物でなくては・・・と言って凄い吟味していたのよ。ふふふ。」とお祖母様は笑っていた・・・
私は目の前にある大きすぎる屋敷を呆然と眺めたいた・・・
屋敷内に入ってみると、広過ぎる屋敷に多過ぎる客室・・・庭園には多くの花が整えられて綺麗に咲き誇っていた。
そして庭先でお茶が出来るように、可愛らしいテーブルと椅子。
お祖父様が言うには金持ちだった元商家の家を買い取り少し整えただけらしい・・・
私は苦い顔をしながら、これのどこが身分返上した平民の住む家なの・・・それにこの家を買い取って住める状態にするのにいくらしたのだろうと遠い目をしながら思っていた。
(明らかに箱入りお嬢様の家だよね・・・これ。まぁ、実際世間知らずのお嬢様だったけど・・)
私達はとりあえず、お茶をしながら今後の事を話し合った・・・
お祖父様とお祖母様はもう歳だし、曾孫まで育てられる金はあるから、しばらくはゆっくり隠居生活を楽しむらしい・・・。使用人達も家族のような者達だから仕事以外は自由を与えられている。
私はどうするのか聞かれた。
「明日はこの町の雰囲気を見て、私に何が出来るのか調べてみようと思ってるの・・・
あとは平民の常識も知らなくてはいけないだろうし・・・やる事は沢山ありそうだわ!」
「あと町に馴染める服も必要だろうし・・・髪もこの際だから切ってしまおうかしら・・・」
お母様譲りのブロンドの髪を手にとり、どうかな?と私は笑って皆の顔を見た・・・
シ━━━━━━━━━━━━ン・・・・・・
その場にいた全員が呆然とした表情で固まり動かなくなった・・・暫く沈黙が続き・・・
「そ、そんな事は許しませんわッッッ!!!」
お嬢様ッッッ!!!と叫ぶような声をあげながらケイトが私の断髪を必死に止めようとした。
その声に意識を取り戻した面々は それぞれ青ざめたり、慌てふためいたりしていた・・・
「ヴィオレットッッッ!!!
いいですか!私達は貴族ではもうありません!ですが貴女が女である事には変わりないのです。髪を切るのなんて許しませんよ!!!」
私の中では背中の中心ぐらいまでの長さはちょっと鬱陶しいから肩ぐらいまで切りたいな・・という軽い気持ちだったのだが、お祖母様達にとっては私が女を辞める宣言にでも聞こえたのだろうか・・・
(平民だったら肩ぐらいの長さはおかしくない筈なのにな・・・)
そこからお祖母様から「平民になろうとも淑女としての姿勢を崩す事はなりません!いいですか女というのは・・・」と長いなが━━━い御言葉を貰う事になった。
私はお祖母様の前では二度と髪を切るとは口にしないと心に決めた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
私の名前はヴィオレットか・・・。
慣れていないから、スペンサー家の名前を出さないように気をつけなきゃな。と思いながら鏡の前に立った。
そこには、ブロンドで長いストレートの髪の毛で菫色の瞳を持った、8割の人間が美しいと言うであろう女が映っていた・・・
(・・・・でも明らかに貴族風な女だ・・・。
このままじゃ、町に行っても馴染めずに身代金目当てに浚われるだけだ。)
私は侍女のイブを呼び相談をする事にした。
「あのね私、これから平民として生きていくじゃない?だからもう少しそれらしく見えるようにしたいのだけど・・・何か良い方法はあるかしら?」
「お嬢様・・・・・・お嬢様が平民になったとはいえ、町の者達とは明らかに立場も生き方も違います。・・・姿を馴染ませるのは不可能です!!!」
「見てください!!この白くて美しい肌を!傷みを知らない滑らかで輝かしい髪を!・・・良いですか!どれ程、服や髪型で平民に寄せても姿や体の動きや姿勢で元貴族である事は明白です!ちぐはぐ過ぎて逆におかしいです!!」
「うっ・・・そ、そうよね・・・ごめんなさい・・・」
容赦のないイブの言葉が私の心を抉る・・・
(平民に姿を寄せたい・・・なんて安易で傲慢な考えだったよね・・・)
「それに良いですか、お嬢様・・・考えて下さい。あの旦那様達が愛するお嬢様に護衛も付けずに外出を許すとでも?」
「・・・あ・・・・・・」
(だよね━━━━。
考えればわかる事じゃん!
私の周りって皆、過保護だから一人で出歩くなんて許してもらえないし、護衛付きの人間なんて怪し過ぎだよ。)
私は一気に意気消沈していき、貴族でなくなったのに、平民にも馴染めなさそうな私に一体何が出来るんだろう・・・と思った。
するとイブが、
「お嬢様なら大丈夫ですよ。そのままで・・・知ってもらうきっかけさえあれば、何とかなります!」と励ましてくれた。
「ありがとう・・・イブ、
そうよね。焦っても仕方ないのだから私らしく頑張るわ!」
私達はそれから、予定を話し合っていった。
私達が今いる場所は隣国、ウィルトリア領の外れにあるモーラナ町という所だ。
ウィルトリア領とは叔父様が家督を継がれたウィルトリア公爵家の領地である。
何故か私には内緒でお祖父様達4人がウィルトリア領内に住む事を話し合いで決めていた。
元貴族は問題に巻き込まれやすい為、ニーチェお祖母様達が私達を心配してなるべく近くへ置こうとしていたみたい。
(有り難いけど・・・姪が平民になって自分の領地に住んでいるなんて叔父様や御家族の方々は大丈夫なのかな。
ユーロお祖父様はむしろ家に住まわせたがってる。と言ってたけど本当なのかな?
従兄弟とかも納得してるのかな・・・)
若干不安になりながらあまり記憶に残っていない、お母様が生きていた頃にお会いしていた公爵家の方々の顔を思い出していた・・・
そしてモーラナ町の住宅街の外れに屋敷はあった。
いつもより何故か浮かれているお祖父様はどうだ。といわんばかりの目で私の反応を伺っている・・・「あの人、ヴィオレットと暮らす家は立派な物でなくては・・・と言って凄い吟味していたのよ。ふふふ。」とお祖母様は笑っていた・・・
私は目の前にある大きすぎる屋敷を呆然と眺めたいた・・・
屋敷内に入ってみると、広過ぎる屋敷に多過ぎる客室・・・庭園には多くの花が整えられて綺麗に咲き誇っていた。
そして庭先でお茶が出来るように、可愛らしいテーブルと椅子。
お祖父様が言うには金持ちだった元商家の家を買い取り少し整えただけらしい・・・
私は苦い顔をしながら、これのどこが身分返上した平民の住む家なの・・・それにこの家を買い取って住める状態にするのにいくらしたのだろうと遠い目をしながら思っていた。
(明らかに箱入りお嬢様の家だよね・・・これ。まぁ、実際世間知らずのお嬢様だったけど・・)
私達はとりあえず、お茶をしながら今後の事を話し合った・・・
お祖父様とお祖母様はもう歳だし、曾孫まで育てられる金はあるから、しばらくはゆっくり隠居生活を楽しむらしい・・・。使用人達も家族のような者達だから仕事以外は自由を与えられている。
私はどうするのか聞かれた。
「明日はこの町の雰囲気を見て、私に何が出来るのか調べてみようと思ってるの・・・
あとは平民の常識も知らなくてはいけないだろうし・・・やる事は沢山ありそうだわ!」
「あと町に馴染める服も必要だろうし・・・髪もこの際だから切ってしまおうかしら・・・」
お母様譲りのブロンドの髪を手にとり、どうかな?と私は笑って皆の顔を見た・・・
シ━━━━━━━━━━━━ン・・・・・・
その場にいた全員が呆然とした表情で固まり動かなくなった・・・暫く沈黙が続き・・・
「そ、そんな事は許しませんわッッッ!!!」
お嬢様ッッッ!!!と叫ぶような声をあげながらケイトが私の断髪を必死に止めようとした。
その声に意識を取り戻した面々は それぞれ青ざめたり、慌てふためいたりしていた・・・
「ヴィオレットッッッ!!!
いいですか!私達は貴族ではもうありません!ですが貴女が女である事には変わりないのです。髪を切るのなんて許しませんよ!!!」
私の中では背中の中心ぐらいまでの長さはちょっと鬱陶しいから肩ぐらいまで切りたいな・・という軽い気持ちだったのだが、お祖母様達にとっては私が女を辞める宣言にでも聞こえたのだろうか・・・
(平民だったら肩ぐらいの長さはおかしくない筈なのにな・・・)
そこからお祖母様から「平民になろうとも淑女としての姿勢を崩す事はなりません!いいですか女というのは・・・」と長いなが━━━い御言葉を貰う事になった。
私はお祖母様の前では二度と髪を切るとは口にしないと心に決めた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
私の名前はヴィオレットか・・・。
慣れていないから、スペンサー家の名前を出さないように気をつけなきゃな。と思いながら鏡の前に立った。
そこには、ブロンドで長いストレートの髪の毛で菫色の瞳を持った、8割の人間が美しいと言うであろう女が映っていた・・・
(・・・・でも明らかに貴族風な女だ・・・。
このままじゃ、町に行っても馴染めずに身代金目当てに浚われるだけだ。)
私は侍女のイブを呼び相談をする事にした。
「あのね私、これから平民として生きていくじゃない?だからもう少しそれらしく見えるようにしたいのだけど・・・何か良い方法はあるかしら?」
「お嬢様・・・・・・お嬢様が平民になったとはいえ、町の者達とは明らかに立場も生き方も違います。・・・姿を馴染ませるのは不可能です!!!」
「見てください!!この白くて美しい肌を!傷みを知らない滑らかで輝かしい髪を!・・・良いですか!どれ程、服や髪型で平民に寄せても姿や体の動きや姿勢で元貴族である事は明白です!ちぐはぐ過ぎて逆におかしいです!!」
「うっ・・・そ、そうよね・・・ごめんなさい・・・」
容赦のないイブの言葉が私の心を抉る・・・
(平民に姿を寄せたい・・・なんて安易で傲慢な考えだったよね・・・)
「それに良いですか、お嬢様・・・考えて下さい。あの旦那様達が愛するお嬢様に護衛も付けずに外出を許すとでも?」
「・・・あ・・・・・・」
(だよね━━━━。
考えればわかる事じゃん!
私の周りって皆、過保護だから一人で出歩くなんて許してもらえないし、護衛付きの人間なんて怪し過ぎだよ。)
私は一気に意気消沈していき、貴族でなくなったのに、平民にも馴染めなさそうな私に一体何が出来るんだろう・・・と思った。
するとイブが、
「お嬢様なら大丈夫ですよ。そのままで・・・知ってもらうきっかけさえあれば、何とかなります!」と励ましてくれた。
「ありがとう・・・イブ、
そうよね。焦っても仕方ないのだから私らしく頑張るわ!」
私達はそれから、予定を話し合っていった。
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