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ー番外編ーヴィオレット*隣国編*
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10歳以上の子供達は6人、その内2人はレイとサンの弟子となっていったので4人の子供達が町でお金を稼ぐ事になった。
因みにルイスとロベルトは剣の腕をメキメキと上げていき、レイとサンに連れられて森に狩りに行くようになり、仕留めた獲物を売って貯金するようになっていった・・・
そして後の4人は・・・
まず10歳のマルロ、もの作り希望だ。
どんな物が作りたいのか確認した所、恥ずかしそうに「本を作ってみたい・・・」と言っていた。詳しく内容を聞いてみると、昔から孤児院の本を見ている内に文字を書くことは出来ないものの、文字を読む事は出来るようになっていき孤児院にある本を読むのが趣味だったという。そのせいか、最近では自分でも本の内容を考えるようになっていた・・・
自分で本を書いて売るのはかなりリスクのある商売だと最初に説明をした。
だがマルロの意思は変わらず、「どうせやってみるのなら好きな事をしてみたい。」と言うのでそのまま様子をみてみる事にした。
私はペンと紙を初期投資するから短編で物語をいくつか書いて貸し本屋をやってみたらどうかと言ってみた。本屋とは違って貸す訳だから代金は安くなるし、もしかしたら返って来ない可能性も考えなくてはいけないと伝え、他にも何かに売れる製品を一緒に売るのも有りだ。とアドバイスした・・・
次に12歳のニーナとキースの双子で2人で店をやりたいそうだ。そしてニーナが孤児院の繕い物をこなしていた為裁縫が得意らしく服を作りたいと希望していた。
私はニーナには侍女長のケイトを紹介し、服の縫製について学ばせる事にはした。
そして形になるまではしばらく無地のハンカチや小物などに刺繍をして商品にするのはどうか?とアドバイスした。
キースはニーナの仕事を手伝いたいと言っていた。だが私が他に好きな物や事はないのか?聞いた所、草花が好きだったらしい・・・
草花が好きで服屋の手伝い・・・私は頭を悩ませた。別々に仕事をしても良いのではと聞いてはみたがそれは絶対に嫌だと言われてしまったのでそれならばと、ニーナが使う服の生地をキースが作ってみたらどうか?とアドバイスした。草花の汁で染めて生地を作る・・・幸いここは広い草原で草は沢山あるし、必要なら花を育ててもいいと院長様は言ってくださり、その日からキースの布を染める研究が始まった。
最後に13歳のココ、お菓子作り希望だ。
普段から孤児院の食事の手伝いをしている為、料理が好きなようだ。
私は食べ物を仕事にするのは大変で衛生管理や賞味期限がある事を伝えた。
その上でお菓子を売りたいと思うのであれば焼き菓子が日持ちもするし種類も豊富な為、オススメだと伝えた。
そしてココは孤児院で働いてる、院長様の娘のエミリさんと私と孤児院にやって来るようになったイブと3人で商品の研究をするようになった・・・
こうして、それぞれやれる事をこなして、何週間も経っていった・・・
その間お祖父様達やユーロお祖父様達や公爵家にも、手紙を出して報告をしていた。
そして院長様やエミリさん、更には怪しいと言われていた孤児院の裏の小屋で暮らしている夫婦のロディックさんやステラさんとも打ち解けていき、仲良くさせてもらっている。
だがやっぱり一人だけ・・・手負いの獣と言われるだけあるのか、セディルさんと呼ばれる男性(やっぱりロディックさんとステラさんの息子だった)とはあれから1度も話をしていない・・・
殺気は無くなったし、睨まれている訳でもない。だが何故だか訝しげな視線で見張られてる気がしており、たまに振り返ってセディルさんを見つめてみるが、その時は決して目は合わず、会話もする事はない・・・
最初美しい男性と思ったし、銀髪も珍しい・・・両親のロディックさんは茶髪で少し平凡ではあったが優しそうな雰囲気で話しかけやすい方だった。そして銀髪のステラさんは今まで出会った誰よりも美しい、儚げ美人でセディルさんにもその面影があった。
私は容姿や言動から元貴族なのではないか。そう考えている・・・
(まぁ、私もかなり素性を隠してるし、人の事は言えないから問題ないんだけどね・・・
だけど、この視線が気になる・・何なの一体。)
何か言いたげな様子のセディルさんは気になったが、本人から近づいて来るまで待つことにした・・・
(警戒心の高い動物に対処するならそれが正しい対応だもんね・・・)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ある日いつも通り、子供達の様子を見ていたらココが「バターが無い!!!」と困って居たので一緒に買い出しに出かける事になった。
エミリは別の仕事でこの日は孤児院から出掛けられず、イブも今日は屋敷でやる事があった為にこの場にいなかった・・・
その為私がついていく事になった。
とりあえずは護衛さえいれば問題はないと思い、側にいたサンとレイに声をかけようとしたら、何とセディルさんが「俺が着いていく」と突然声をかけてきた・・・
(え、え??何でいきなり?)
サンは「それを許す事は出来ません。」と私の意見を聞く事なく答えた。
(いや、間違っていないよ?護衛だから!側から離れちゃダメだもんね・・・でも、もう少し私を敬っても良くない?!)
だが断られたのにも関わらずセディルさんは2人と隅でコソコソと密談して何かを頼み込んでいた・・・
「・・・助かる。」
「貴方の為ではありません。」
話が終わったのか、サンは不思議そうな私の元へやって来て「この者の実力はわかっておりますので、本日はこのセディルさんがお嬢様の護衛に付きます。」と言い、微笑んだ。
(はぁぁぁぁぁあああああッッッ?!)
全然納得していない私は「何で?理由は?」と問いただそうとしていたが、サンに押しきられる形で屋敷から追い出された、私とココとセディルさん。
仕方ないので私達3人で買い出しに出かける事にした。
欲しい食材はバターだ。最近ココはパウンドケーキを作る練習をずっとしているから材料の減りも大分早い・・・
何故パウンドケーキにこだわっているかと言うと、何を商品にするか悩んでいる様子だったので、私が知る一番簡単な焼き菓子を紹介してみたのだ。それがパウンドケーキ・・・
材料は小麦粉・バター・卵・砂糖。これがまずプレーンのパウンドケーキの材料、後は混ぜ合わせた生地を型に入れて焼くだけ・・・
アレンジにはナッツを入れたり、ドライフルーツを入れたり、大人用にブランデーを入れたりと様々だ。
エミリさんやケイトからの評判も上々で商品はパウンドケーキに決まったみたいだ。
私がそんな事を考えながら歩いていると、ココが不安そうに私の手を握ってきた。
「な、何か今日は騎士様多いんだね?」
「・・・え?・・・・・・」
その言葉に驚いて辺りを見回してみると、通りには隊服と呼ばれる制服を着ている方々が剣を腰にさげて歩いていた。
「本当ね・・・」
(どういう事なのだろう・・・
こんな小さな町に騎士達がこんなにも居るなんて、何か事件なのかしら?)
不安になりながら現在の護衛であるセディルさんに、視線を向けて見たら、何故か少し強ばった顔をして雰囲気がピリついていた。
(そう言えば、セディルさんは元騎士かもしれないって言ってたよね・・・もしそれが本当なら・・・)
騎士団を退団するなど怪我か、よっぽどの理由があるか、それか・・・クビだ。
怪我は見た感じしてなさそうだし、この異様な雰囲気から察するに恐らくは良い思い出ではないのだろう。
「ココ、セディルさん・・・今日は人通りが多いみたいなので急いで帰りましょう。」
ココはよっぽど騎士の集団が怖いらしく、「うん。バター買ったらすぐ帰る!」と言い、頷いていたが、セディルさんは私の声が届いているのかわからず、かなり重症のようだった。
(これは本当に早く帰るべきだな・・・)
正直護衛の役にはたっていないセディルさんの手と怯えているココの手を私は引いて足早に商店へとむかった。
「いらっしゃい!ココちゃん!ヴィオラちゃん!」
最近買い物をよくする私達に商店の奥さんが声をかけてくれた。
「こんにちは・・・バター下さい♪」
欲しい物が手に入るとわかってようやく笑顔が戻ったココ。
奥さんが「はいよ。」と言ってバターを包んでくれた。
「今日って何かあったんですか?
町に騎士様が多すぎると思うんですけど・・」
「私もそう思うよ。・・・何かね、この辺りに出没していた盗賊を討伐してきた帰りらしいよ・・・。だけど何か態度があまり良くないって話だから気を付けるんだよ・・・」
「はい。ありがとうございます。」
買い物を終え店を出ようとしたら、ココがあ!っと言い奥さんへ手に持っていた袋を渡した。
最近パウンドケーキをよく作る為、出かける時は宣伝も兼ねて配っているのだ。
「これ試作品のパウンドケーキです。
今度露店を開くのでよかったら来て下さい!」
奥さんは目をパチパチさせながら、袋をあけた。バターと甘い匂いがふわっと漂ってきた。奥さんは甘くて良い匂いがするね。と言いながら口にした・・・
「何だい!これッッッ!!!」
しっとりしてて美味しいッッッ!そう言いながら側にいた旦那さんや他の奥さん達にも食べさせていた。
奥さん達はパウンドケーキを凄く気に入ってくれた様子で露店はいつからなんだ?開店したら必ず買いに行く!と言ってくれた。
「評判良さそうで良かったわね?」
「うん!これなら露店に出しても大丈夫そう」
私達は奥さん達に見送られながら上機嫌で店を後にした・・・
ココが大切そうにバターを抱えているのを横目にセディルさんの様子を伺った・・・
店の中に居るときは落ち着いた顔をしていたのだが、外に出て騎士達の姿が目に入るとまた表情が強張り、雰囲気がスッと鋭い物へと変わっていった・・・
(女性が嫌いなのはわかってたけど、この様子だと騎士様も嫌いというか、恨んでいるみたいだね・・・)
私は行きと同様足を止める事なくココとセディルさんの手を掴んで急いで帰り道を歩いていた
「・・・セディルバルト?」
男性の声が背後から聞こえた。
私達には関係ないと思い、足を止めなかった。それなのに「セディルバルトか!?」「何でこんなところにッッ!!!」「おい!待てよッッッ!」と数名の騎士様が私達の行く手を阻むように立ち塞がった・・・
因みにルイスとロベルトは剣の腕をメキメキと上げていき、レイとサンに連れられて森に狩りに行くようになり、仕留めた獲物を売って貯金するようになっていった・・・
そして後の4人は・・・
まず10歳のマルロ、もの作り希望だ。
どんな物が作りたいのか確認した所、恥ずかしそうに「本を作ってみたい・・・」と言っていた。詳しく内容を聞いてみると、昔から孤児院の本を見ている内に文字を書くことは出来ないものの、文字を読む事は出来るようになっていき孤児院にある本を読むのが趣味だったという。そのせいか、最近では自分でも本の内容を考えるようになっていた・・・
自分で本を書いて売るのはかなりリスクのある商売だと最初に説明をした。
だがマルロの意思は変わらず、「どうせやってみるのなら好きな事をしてみたい。」と言うのでそのまま様子をみてみる事にした。
私はペンと紙を初期投資するから短編で物語をいくつか書いて貸し本屋をやってみたらどうかと言ってみた。本屋とは違って貸す訳だから代金は安くなるし、もしかしたら返って来ない可能性も考えなくてはいけないと伝え、他にも何かに売れる製品を一緒に売るのも有りだ。とアドバイスした・・・
次に12歳のニーナとキースの双子で2人で店をやりたいそうだ。そしてニーナが孤児院の繕い物をこなしていた為裁縫が得意らしく服を作りたいと希望していた。
私はニーナには侍女長のケイトを紹介し、服の縫製について学ばせる事にはした。
そして形になるまではしばらく無地のハンカチや小物などに刺繍をして商品にするのはどうか?とアドバイスした。
キースはニーナの仕事を手伝いたいと言っていた。だが私が他に好きな物や事はないのか?聞いた所、草花が好きだったらしい・・・
草花が好きで服屋の手伝い・・・私は頭を悩ませた。別々に仕事をしても良いのではと聞いてはみたがそれは絶対に嫌だと言われてしまったのでそれならばと、ニーナが使う服の生地をキースが作ってみたらどうか?とアドバイスした。草花の汁で染めて生地を作る・・・幸いここは広い草原で草は沢山あるし、必要なら花を育ててもいいと院長様は言ってくださり、その日からキースの布を染める研究が始まった。
最後に13歳のココ、お菓子作り希望だ。
普段から孤児院の食事の手伝いをしている為、料理が好きなようだ。
私は食べ物を仕事にするのは大変で衛生管理や賞味期限がある事を伝えた。
その上でお菓子を売りたいと思うのであれば焼き菓子が日持ちもするし種類も豊富な為、オススメだと伝えた。
そしてココは孤児院で働いてる、院長様の娘のエミリさんと私と孤児院にやって来るようになったイブと3人で商品の研究をするようになった・・・
こうして、それぞれやれる事をこなして、何週間も経っていった・・・
その間お祖父様達やユーロお祖父様達や公爵家にも、手紙を出して報告をしていた。
そして院長様やエミリさん、更には怪しいと言われていた孤児院の裏の小屋で暮らしている夫婦のロディックさんやステラさんとも打ち解けていき、仲良くさせてもらっている。
だがやっぱり一人だけ・・・手負いの獣と言われるだけあるのか、セディルさんと呼ばれる男性(やっぱりロディックさんとステラさんの息子だった)とはあれから1度も話をしていない・・・
殺気は無くなったし、睨まれている訳でもない。だが何故だか訝しげな視線で見張られてる気がしており、たまに振り返ってセディルさんを見つめてみるが、その時は決して目は合わず、会話もする事はない・・・
最初美しい男性と思ったし、銀髪も珍しい・・・両親のロディックさんは茶髪で少し平凡ではあったが優しそうな雰囲気で話しかけやすい方だった。そして銀髪のステラさんは今まで出会った誰よりも美しい、儚げ美人でセディルさんにもその面影があった。
私は容姿や言動から元貴族なのではないか。そう考えている・・・
(まぁ、私もかなり素性を隠してるし、人の事は言えないから問題ないんだけどね・・・
だけど、この視線が気になる・・何なの一体。)
何か言いたげな様子のセディルさんは気になったが、本人から近づいて来るまで待つことにした・・・
(警戒心の高い動物に対処するならそれが正しい対応だもんね・・・)
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ある日いつも通り、子供達の様子を見ていたらココが「バターが無い!!!」と困って居たので一緒に買い出しに出かける事になった。
エミリは別の仕事でこの日は孤児院から出掛けられず、イブも今日は屋敷でやる事があった為にこの場にいなかった・・・
その為私がついていく事になった。
とりあえずは護衛さえいれば問題はないと思い、側にいたサンとレイに声をかけようとしたら、何とセディルさんが「俺が着いていく」と突然声をかけてきた・・・
(え、え??何でいきなり?)
サンは「それを許す事は出来ません。」と私の意見を聞く事なく答えた。
(いや、間違っていないよ?護衛だから!側から離れちゃダメだもんね・・・でも、もう少し私を敬っても良くない?!)
だが断られたのにも関わらずセディルさんは2人と隅でコソコソと密談して何かを頼み込んでいた・・・
「・・・助かる。」
「貴方の為ではありません。」
話が終わったのか、サンは不思議そうな私の元へやって来て「この者の実力はわかっておりますので、本日はこのセディルさんがお嬢様の護衛に付きます。」と言い、微笑んだ。
(はぁぁぁぁぁあああああッッッ?!)
全然納得していない私は「何で?理由は?」と問いただそうとしていたが、サンに押しきられる形で屋敷から追い出された、私とココとセディルさん。
仕方ないので私達3人で買い出しに出かける事にした。
欲しい食材はバターだ。最近ココはパウンドケーキを作る練習をずっとしているから材料の減りも大分早い・・・
何故パウンドケーキにこだわっているかと言うと、何を商品にするか悩んでいる様子だったので、私が知る一番簡単な焼き菓子を紹介してみたのだ。それがパウンドケーキ・・・
材料は小麦粉・バター・卵・砂糖。これがまずプレーンのパウンドケーキの材料、後は混ぜ合わせた生地を型に入れて焼くだけ・・・
アレンジにはナッツを入れたり、ドライフルーツを入れたり、大人用にブランデーを入れたりと様々だ。
エミリさんやケイトからの評判も上々で商品はパウンドケーキに決まったみたいだ。
私がそんな事を考えながら歩いていると、ココが不安そうに私の手を握ってきた。
「な、何か今日は騎士様多いんだね?」
「・・・え?・・・・・・」
その言葉に驚いて辺りを見回してみると、通りには隊服と呼ばれる制服を着ている方々が剣を腰にさげて歩いていた。
「本当ね・・・」
(どういう事なのだろう・・・
こんな小さな町に騎士達がこんなにも居るなんて、何か事件なのかしら?)
不安になりながら現在の護衛であるセディルさんに、視線を向けて見たら、何故か少し強ばった顔をして雰囲気がピリついていた。
(そう言えば、セディルさんは元騎士かもしれないって言ってたよね・・・もしそれが本当なら・・・)
騎士団を退団するなど怪我か、よっぽどの理由があるか、それか・・・クビだ。
怪我は見た感じしてなさそうだし、この異様な雰囲気から察するに恐らくは良い思い出ではないのだろう。
「ココ、セディルさん・・・今日は人通りが多いみたいなので急いで帰りましょう。」
ココはよっぽど騎士の集団が怖いらしく、「うん。バター買ったらすぐ帰る!」と言い、頷いていたが、セディルさんは私の声が届いているのかわからず、かなり重症のようだった。
(これは本当に早く帰るべきだな・・・)
正直護衛の役にはたっていないセディルさんの手と怯えているココの手を私は引いて足早に商店へとむかった。
「いらっしゃい!ココちゃん!ヴィオラちゃん!」
最近買い物をよくする私達に商店の奥さんが声をかけてくれた。
「こんにちは・・・バター下さい♪」
欲しい物が手に入るとわかってようやく笑顔が戻ったココ。
奥さんが「はいよ。」と言ってバターを包んでくれた。
「今日って何かあったんですか?
町に騎士様が多すぎると思うんですけど・・」
「私もそう思うよ。・・・何かね、この辺りに出没していた盗賊を討伐してきた帰りらしいよ・・・。だけど何か態度があまり良くないって話だから気を付けるんだよ・・・」
「はい。ありがとうございます。」
買い物を終え店を出ようとしたら、ココがあ!っと言い奥さんへ手に持っていた袋を渡した。
最近パウンドケーキをよく作る為、出かける時は宣伝も兼ねて配っているのだ。
「これ試作品のパウンドケーキです。
今度露店を開くのでよかったら来て下さい!」
奥さんは目をパチパチさせながら、袋をあけた。バターと甘い匂いがふわっと漂ってきた。奥さんは甘くて良い匂いがするね。と言いながら口にした・・・
「何だい!これッッッ!!!」
しっとりしてて美味しいッッッ!そう言いながら側にいた旦那さんや他の奥さん達にも食べさせていた。
奥さん達はパウンドケーキを凄く気に入ってくれた様子で露店はいつからなんだ?開店したら必ず買いに行く!と言ってくれた。
「評判良さそうで良かったわね?」
「うん!これなら露店に出しても大丈夫そう」
私達は奥さん達に見送られながら上機嫌で店を後にした・・・
ココが大切そうにバターを抱えているのを横目にセディルさんの様子を伺った・・・
店の中に居るときは落ち着いた顔をしていたのだが、外に出て騎士達の姿が目に入るとまた表情が強張り、雰囲気がスッと鋭い物へと変わっていった・・・
(女性が嫌いなのはわかってたけど、この様子だと騎士様も嫌いというか、恨んでいるみたいだね・・・)
私は行きと同様足を止める事なくココとセディルさんの手を掴んで急いで帰り道を歩いていた
「・・・セディルバルト?」
男性の声が背後から聞こえた。
私達には関係ないと思い、足を止めなかった。それなのに「セディルバルトか!?」「何でこんなところにッッ!!!」「おい!待てよッッッ!」と数名の騎士様が私達の行く手を阻むように立ち塞がった・・・
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