双子の妹に全てを奪われた令嬢は訳あり公爵様と幸せになる

甘糖むい

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「私を探しているんだってね、例の呪い師は私だよ」

そういって現れたフードを深くかぶったままの老婆に、リュークは言葉を返せなかった。
驚きすぎて言葉を失ったと言ってもいいかもしれない。
それほど、リュークは探してもなお見つからないでいた謎の人物が突然現れたことに驚きと、ずっと監視されていたような不気味さを感じて生唾を飲み込んだ。

「貴方は一体?」

訪ねてからリュークはそう言えば名乗られたなと思い至った。
名乗ったと言っても魔女には数多の誓約があるのか、自分を探し人だと言っただけで名前はおろか、顔すら確認できていない事を思い出してリュークは自分が随分と慌てている事に気が付いた。

普段、驚かせたり人を操る側であるリュークにとって想像もつかない相手はクロディクスだけで十分であったが、そうも言っていられない。
頭の中で一羽のカラスを思い浮かべ、さては噂になるような事を仕出かしたのかとやらかしているようならうるさい嘴をひん曲げてやろうと思いつつ、リュークは両眼だけが覗ける小さな窓から訪ね人をみやった。

「こっちから来てやったというのに随分な挨拶だこと」

そういった魔女は曲がった腰のまま目だけを上げてリュークを見据えた。
暗い夜の中でなお不気味に光る紫色の瞳はガーネットにも、アメジストにも見える虹彩を放っていた。

「噂がどういった事かわかりませんので、詳しくお話を伺えますか?」

魔力があると確信できるその瞳にリュークは人を喰ったように動くカラスの嘴をひん曲げる事を誓ってにこやかに対応するように頬を無理矢理釣り上げた。

「シャルルの呪いを知りたいんじゃないのかい」

リュークの問いは一蹴されて代わりに爆弾のような言葉が投下された。

「ここから先は俺が任されよう」
リュークの肩に突然音もなく舞い降りたカラスがリュークの耳元でささやいた。
乗られた肩をリュークが降ると音もなくカラスはひとりの男の姿に姿を変えた。

「奥で詳しくお聞かせ願えますか、レディ」

その言葉を聞いてリュークはすっと、笑顔を消すと重く閉じられた門を開く男にその場を任せる事にした。
リュークと老婆のやり取りを聞いていたカラスの存在を随分前から知っていたリュークは察しが良かった。
たとえ今すぐにカラスの嘴をどうにかしたいと思っていたとしても、自分の身の方が可愛いリュークは天秤にかける間もなく、後者を選択した。
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