【完結】王妃を廃した、その後は……

かずきりり

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 最初から、きちんと返事をすれば良いものを。解雇するよう言っておくか。
 イライラしながらホセはメイドの後を着いて行くのだが、メイドはホセの方に何度も視線を向けては、震えているようだ。
 自分の行く末が気になるだけだろうとホセは結論づけたが、案内される方向がおかしい。
 人気もなく、日の当たらない奥の方へと案内され……古い屋根裏に続く階段へと登って行くメイド。

(なんだ……?)

 疑問に思ったが、女一人に自分をどうこう出来るわけでもなし。
 更に言うならば、ここはパウラの実家で侯爵家だ。
 変な事にはならないだろうと思うが、少し気を引き締め、ホセも階段を登る。

「……こちらです」

 案内された場所は、紛れもない屋根裏部屋だ。

「……は?」

 ホセの声など聞こえないかのように、メイドは用を終えたとばかりに、逃げるように立ち去って行く。
 侯爵家のメイドともあろう者が悪ふざけか? 俺を誰だか分かっていないのか?
 くだらない事に付き合わされたと、ホセは怒りを露わに屋根裏部屋から出て行こうとしたが、視線の隅に真新しい沢山の書物が見えた。

「物置ではないのか……?」

 薄汚れた部屋ではあるものの、机の上にはペン等もあり、人の生活感が残る。
 ホセは書物を手に取って見れば、それは王太子妃教育に使われている、自国と周辺諸国の歴史書。そして……その隙間から見えたのは、ラウラの文字で描かれた、出されていないホセに当てた手紙だ。

 ――!?

 どういう事だ……!? 一体何がどうなっている!?
 メイドに案内された屋根裏部屋は、まさしくラウラの部屋だろう。
 ホセは混乱する頭のまま、屋根裏部屋から出て侯爵夫人の元へ……パウラの部屋へと急いだ。

「ナバーロ侯爵夫人!」

 バタンと音を立てて大声を出して入って来たホセは、そのままナバーロ侯爵夫人に掴みかからん勢いで近づいた。

「ラウラの部屋が屋根裏部屋とは、一体どういう事だ!?」
「……あ……」

 侯爵夫人は顔を真っ青に染め上げて、言葉を詰まらせた。

「説明しろ」
「……っ」

 威圧感を出したホセが厳しめに追及するも、侯爵夫人は言葉が出ないのか、口を小さく動かしはするものの身体を震わせて涙目になるだけだ。
 埒が明かないと判断したホセは、パウラへと向き直った。

「……どういう事だ?」

 侯爵夫人とは違い、優しく問いかけるが、パウラはビクリと身体を揺らした。

「それは……姉が嫁いでから部屋を交換したのです!」
「交換……?」

 狼狽えながらも答えるパウラだが、ホセは疑惑の目を向けた。
 そんなのは、あり得ないからだ。
 嫁いだとしても、里帰りする部屋を残すのが貴族だ。
 残せないのは、余裕がなく部屋数も少なく、邸の維持すら難しいのかと思われてしまう為だ。
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