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反対派
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スピルスが送ってくれている。
そういえば、一人で歩くなと言われていたっけ。
アレクシスへの手紙の件は、そういう意味でも失敗したなぁ……。
「あの……この王宮の出口は何処ですか?」
見ると娘がひとり、廊下に立っていた。
肩までの赤い髪と赤い瞳。
あまり華美ではない、王宮ではあまり見かけない衣服。
「えっと……迷ったの?」
娘はコクリと頷いた。
10代半ば~後半くらいだろうか?
「私、この王宮で働きたかったんです。でも不採用でした。やっぱり平民の、しかも田舎娘では無理ですよね……」
「平民なのにアタックしちゃったんだ……逆にすごいなぁ……」
スピルスが顔を引きつらせている。
王宮で働く侍女たちはそれなりの家柄の貴族の子女が多い。
スピルスからしても彼女は無謀に思えたのだろう。
「ま、でも王都で働ければそれで十分です。諦めずに勤め先を探していきます」
娘は笑顔を浮かべながらハキハキと言い放つ。
この子、元気だなぁ……。
「スピルス……」
「わかってる。この子を送るんでしょ?」
「サンキュ」
「長いつき合いですから」
娘の名前はライラ。
ラスティル王国でも、地方の田舎に住んでいたそうだ。
田舎で生涯を終えるより、都会で生活してみたい。
そう思って王都に出てきたらしい。
「前世でもそういう若い子結構いたけどね」
「地元から離れられないまま生を終えた俺としてはちょっと羨ましいなと思うぜ?」
俺たちの会話にライラは頭にハテナマークを浮かべている。
そりゃそうだ。
転生者でもなきゃ前世だのなんだのという会話は意味不明だ。
「賢者様と司祭様は王都の生まれなのですか?」
「うん、そうだよ」
「俺はしばらく療養してたから、王都生まれでもあんまり王都のことを知らねぇんだけどな」
「そうなんですか……」
俺、司祭じゃねぇんだけど……司祭に見えるよな。
まぁ、そんなこんなで年の近いライラと色々話しているうちに、王宮の門まで来た。
「ありがとうございました。賢者様、司祭様」
「あーっと、俺はヴァニタス。こっちはスピルス」
「ヴァニタス様とスピルス様ですね。もしまた何処かであったら、色々お話しましょう。それから……」
ライラは俺の顔を見てふわりと微笑んだ。
「ヴァニタス様に憂鬱な顔は似合いませんよ。大丈夫です。絶対に脱出できない迷宮の中のような状況であっても、進み続ければ必ず出口は見えてきますから」
「…………ありがとう」
「では、私はこれで。この後王都の屋敷の門を片っ端から叩いてみます」
ライラは笑顔を浮かべて俺たちに手を振りながら去って行った。
すごくパワフルで、でも好感が持てる女の子だった。
「ヴァニタスはああいう女の子が好きなんですか?」
スピルスがジト目で俺を見る。
「いや、好感が持てるなとは思うけど、恋愛とかそういうのとは別の話だから」
スピルス時々嫉妬深いよな。
それだけ愛されてるってことなんだけど。
「魔王様、ライラです。王宮に潜入し、ヴァニタス・アッシュフィールドと接触しました。悪印象は持たれていないと思います。この後、アッシュフィールドの離れ屋敷に向かいます。アッシュフィールドの離れ屋敷の侍女はマチルダ・オーウェル1人です。ヴァニタス・アッシュフィールドの張った結界さえ突破すれば、侍女として採用してくれる可能性は高いと思います」
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