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反対派
01
しおりを挟む「姉の手紙……ですか?」
「受け取ってくれ。本物だ」
「そこは疑っていませんよ。しかし、結界というのは厄介ですねぇ」
「どういう意味だ?」
「結界を張る……善悪をジャッジする貴方によっては、会いたい人にも会えない、家族にすら会えなくなる可能性があるなんて」
「…………」
「これを国民が知ったらどう思うか。王家に反感を持つ者も現れるかもしれません」
先日のアレクシスとのやり取りだ。
アレクシスは王宮の廊下で、あえて声を張り上げてそう告げた。
以降、『“ラスティルの大結界”展開計画』は暗礁に乗り上げている。
アレクシスに同調して、計画に反対する者たちが現れたのだ。
曰く「個人の善悪の判断で国に入れなくなったり追い出されたりするのは独裁と変わらないのではないか」と。
結界を張る……ジャッジする人物が俺だというのも、『“ラスティルの大結界”展開計画』への批判を高めている。
『アッシュフィールドの悪魔憑き』の噂がここになって蒸し返された。
結界を張り、善悪をジャッジをする男が『悪魔憑き』と噂されるような人物では、ラスティル王国も長くは続かない……と。
「アレクシス宰相は噂を流す為に、あえて廊下でヴァニタスと言い争いをしたのかもしれませんね」
「…………油断した」
「そうですね。貴方には警戒心が足りないと思います」
スピルスにズバッと言われて机に突っ伏す。
そうだ、確かに俺は警戒心が足りなかった。
それに、自体を楽観視していた。
いくらアレクシスが宰相という立場でも、一人じゃ何もできないと高を括っていたのかもしれない。
「まぁ、長期戦のつもりでいきましょう」
「…………そうだな」
俺は魔法師団で魔晶石作りを手伝っていた。
魔晶石は魔力があれば誰でも作れる。
魔晶石を割ることで、簡単に魔力を回復できるのだ。
ただ、使い捨てなので量がいる。
魔法師団となると特に量がいる。
でも、魔晶石作りまで手が回らない。
白羽の矢が立ったのが俺だった。
そうだ、机に突っ伏している暇などない。
俺は起き上がると、魔晶石作りを再開した。
「今度アレクシス宰相と会う時は私を連れて行ってください」
「…………そんなに俺が頼りないかよ」
そりゃ、ここまで事態を悪化させたのは俺だけれども。
「心配しているんですよ。恋人が誰かに敵視されていて、嬉しい筈がありません」
ポンポンとスピルスに頭を撫でられて、顔が熱くなる。
「お前……ずりぃよ、それ……」
「恋人と二人きりなのです。むしろこの程度のスキンシップで抑えられている自分を褒めたいくらいです」
すかさず、ソルティードがスピルスに体当たりをした。
「ぬいぐるみに体当たりされても痛くも痒くもありませんよ」
それでもソルティードは猫パンチ、猫キックをスピルスに繰り出している。
何と言うか……殺伐とした外の世界が嘘のように平和な世界だ。
かといって、このままで良いわけないよな。
何とか対策を考えないといけない。
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