思い付き短編集

神谷 絵馬

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お役目、果たしましたが?4

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「土偶かぁ...ジルフォード、よく笑わずにいられるな。
私なら、笑いを堪えるだけで辛いと思う。」

「うーん、自分にとっては当たり前の光景過ぎて、笑いとかは特に出ませんね。
あー、でも、土偶が玉座に座って王冠被ってるのを初めて見たときは流石に吹き出しました。
ついくしゃみをしちゃった...っていうフリをしましたけど。」

「う、想像しちゃった。」

「ここであれば大丈夫じゃし、堪えずに笑えば良いのじゃ!」

土偶が王冠!しかも玉座に座ってて、多分豪華な衣装はそのままなんでしょ?
無理、本当に見たとしたら爆笑する自信しかない。
ハァー、笑いすぎてお腹が痛い。

「笑いすぎて、お腹痛い...。」

「流石に、土偶に見えておるというのが事実なことには驚いたがのう?それも、両親もとはの?
しかし、ワシらのことがちゃんと人として見えておるのならば大丈夫じゃろ。

さてさて、聖域に建てたそなたらの家へと案内するでの?」

「「はい。」」

還俗したからと安易にここを出てしまえば、王命だとかで理不尽なことを言われてイラッとさせられるだけ...。
聖女に対しても自分が上でなければならないとか考えているなんて、お子様かってーの!
面倒な王様だよ...本当に。

と言うことで、私は神の愛し子でもあるので、このまま聖域に住むことになってます。
もしも私が聖域に住まないなら、神様も聖域を捨てるとか言うんだもん!
もう、ここに住むしかなくない?

「ホホホ!
ワシらが用意したのは、ここじゃ!」

うん、教皇様?
ここって、神様の住まうとされる家のお隣ですよね?

「神がの?アンジェリカがジルフォードと共に住むのは、ここにしないと嫌だと駄々を捏ね繰り回されてのぉ?
まぁ、ここならばワシや大神官クラスでなければ確実に入れぬし、煩わしいことにもならんじゃろ。
それに、聖女であるからというよく分からない理由で、アンジェリカは神殿に留め置かれていたのだぞ?
その間、愛し子であるアンジェリカとはずーっと離れておったのだ。
これからはずっと側にいたいんじゃろ。

家を建てたのは神だけでなくワシと大神官も一緒じゃったし、大丈夫な筈じゃぞ?」

「アンジェリカ、ジルフォードも安心してほしい。
君達の家の裏にある少し小さい家に、アンジェリカの母であるナターリア巫女とルイーゼ巫女、それから、姉であるシフォーニア巫女とリーアンナ巫女とアイーダ巫女が住みますからね?」

うん、ちゃんと受け入れますが...神様?我が儘を言ったら駄目でしょう?
嬉しいですけど、ここに入れる人は限られてるんだから、家を建てるのとか大変なんだよ?

《だってー、アンジェリカやジルフォードと、早くのーんびり過ごしたかったんだもん!
アンジェリカとジルフォードの子供にも早く会いたいんだもん!》

「可愛い!」

モッフモフの真っ白な狛犬が現れて、顔をプイッとしてるの...可愛い。
どこからどう見ても拗ねてるよね。

「神様、拗ねないでください。
拗ねてる神様は、狛犬にしか見えません。」

《ん?ジルフォード、大丈夫。
僕が顕現してるときの姿は、大体狛犬だよ?》

「...そうなのですか?
では、僕の目がおかしいのではないのですか?」

あー、ジルは人間が土偶に見えてるから、その影響だと思ったのかな?
いつも、狛犬の姿でジルの膝を枕にして寝てるよねー...無防備にもヘソ天にしてさ?

《うん、人型とか取るのって、力をめっちゃ使うから大変なんだ。
この姿なら、全然力を使わないから楽なんだよー。

あ、そう言えば、ジルフォードの目がおかしいのは、多分僕のせいかも?しれないの。》

「?...どういうことでしょうか?」

《アンジェリカの母親が、産まれたのが女だったってことでアンジェリカの父親に手酷く捨てられてしまってね?
元々の家族からも、嫁ぎ先の旦那からも酷い扱いを受けていたから...出産後はもうボロボロの身体でね?
この身体ではアンジェリカを育てていくことが出来ないと悟ったアンジェリカの母親が、泣く泣くアンジェリカを神殿に置いて行ったときにね?
その...父親に怒ってだったんだけど、
『アンジェリカ以外の人間は、ただの土偶にも劣るのに!』
って、怒っちゃったからかもしれないのー。ゴメンね?》

「あー、そういうことですか...こちらとしては別に構いません。
アンジェリカを愛するが故のことなのでしょう?

それに、アンジェリカ以外の人が土偶に見えているとしても、困ったことは殆どありませんでしたから。」

《うん。そっかー、ジルフォードは優しいね。ありがとう。》

「??」





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