思い付き短編集

神谷 絵馬

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本編書いてる

ヒロインとして生まれたらしいですが、貴族になんてなるもんですか!!1

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3歳になった日、突然、前世の記憶を思い出した。
ここは、前世の妹が好んでしていた乙女ゲームの世界に似ている...否、世界観が同じだと思う。
国の名前も同じだったし、攻略対象者に関しては会ったことないから分からないけど、王族の方々の名前も同じだった。
町中に飾られている絵姿も、妹が興奮しながら見せてきたスチルとやらにソックリだったんだよねー。

そして、私の髪の色も名前も、ヒロインのものと同じ。
顔は、鏡を見たこと無いから分からないんだけどね。
乙女ゲームのヒロインは、伯爵家のメイドをしていた母が伯爵家の子息に無理矢理襲われて出来た子供という設定だったはず。
女将さんと話していたのを盗み聞きしたところ、母は無理矢理襲われた後ボロボロの体のまま直ぐに逃げ出して、馬車を乗り継いで他領に逃げ込み、優しい女将さんに拾われてこの宿屋で住み込みで働き始めたらしい。
妊娠が分かってからは、宗教上、堕胎することは殺人であると教えられていることもあり、体に無理がないように働きながらヒロインである私を生んだ。

そんな経緯で生まれた私を疎んでいるのではと思うが、母は私を可愛がってくれている。
ただ、私を外に出してしまえばあの伯爵家に見つかるかもしれないからと、私は病弱な娘として部屋から出ずに過ごしているらしい。
まぁ、幼いうちは病弱でなくとも頻繁に熱とか出すもんね。

「あら、ユーリ?
もう起きていたの?
お熱は下がったかしら?」

「あぃ!」

「うん、大丈夫みたいだね。
じゃあ、今日はお誕生日会をしようね!」

「あーぃ!」

母にはおでこを触られて、女将さんには首筋を触られて、熱の有無を確認された。
なんだか元気だし、もう下がっている筈だと期待して2人を見ていたら、私の服を着替えさせて、ベッドから出してくれた。
わーい!待ちに待った誕生日会だぁ!

「あらあら、興奮したらまたお熱が出るかもしれないわ。」

「もしも出てしまったら、また明日にすれば良いさ!
さ、朝ごはんを食べに行こうか!」

いつも優しい女将さんは、豪快に笑いながら私の頭を撫でてくる。
病み上がりだからか少しふらつくからと、母と女将さんとに挟まれた状態で、手を繋いで軽く支えてもらいながら従業員用の食堂に行く。

「あ、おはよう!
もう起きても大丈夫なの?」

「あぃ!」

「もう少ししたら運べるから、そろそろ手伝ってちょうだい!
あら、もうお熱は下がったの?
うんうん、これなら大丈夫そうね、良かったわ!」

母と一緒に給仕人として働いているミムザさんと、料理人のアマンダさん。
2人とも3人の子をもつ母親で、よくお下がりとかくれるの。
子供達は私とも沢山遊んでくれるし、文字とか計算とか色々なことを教えてくれる。
良いことをすると沢山褒めてくれて、悪いことをするとちゃんと叱ってくれて、体調を崩すと凄く心配してくれる優しい人達。

ミムザさんは、3年くらい前に旦那さんと死別していてシングルマザーらしい。
ミリーとシリーという8歳の女の子の双子と、マムンドという4歳の男の子なんだけど、いつも私の抱っこで揉めてる。
私ももう3歳だから抱っこは厳しいと思うんだけど、ミリーとシリーはともかく...マムンドも何故か抱っこ出来てしまうんだよねー...謎。
ミリーとシリー曰く、まだまだ若いミムザさんをお客さんが狙ってるらしいんだけど、スルッと交わしてるらしくて取り敢えず問題は起きてないらしい。
マムンド的には、新しいお父さんが出来ることに関してはお母さんを守ってくれるのなら良いけど...自分達がどうなるのかが不安らしい。
そりゃあそうだよね......私も不安だもん。





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