運命の番マッチングシステムで出会ったのは、蒼い眼の英語講師でした

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「あなたはどのように生きたいと思いますか？そして、出来ればファーストネームを教えて頂けませんか？名前を呼びたいのです」

「僕は番が見つかるかわからないことも、番った人に運命が見つかって捨てられるのも怖いと思っていて、大学で勉強しようと考えていました。自分独りでも生きていけるようにと思っての事です。うちは、婚約とか小さい頃から人生を決められているような家庭ではありませんでした」
「そうですか。私の母もあなたと同じく、そのように考えていたようです。オメガは生きにくい部分がまだあると私も思います」

「名前は、先生、僕どうしたら良いんですか？」
「ファーストネームを教えても良いよ？でもルーカスさんは、それを悪用したり、今後断られてもストーカー行為はしないと宣誓していることをお忘れなく」
「はい。確かに。あなたにご迷惑をかけることはしません」

「でしたら。僕は悠希といいます」
「悠希。素敵な名前だ。私のミドルネームは光輝です。キ、の音が同じですね」
「そうなんですね。ルーカスさん。そうだ、趣味とか、好きな食べ物は？」
「音楽と水泳が好きです。和食が大好きです」
「そうですか。僕は音楽やゲーム、和食が好きですが、ハンバーグとかシチューとかの洋食も好きです。何でも美味しいと思います」

「素敵ですね。私は、あの日教室であなたを一瞬見ただけでわかりました。とてもかわいくて信じられないほど良い香りでした。抑制剤が効かないなんて初めてでした。そしてお話すればするほど好きになっています。悠希さんは私の運命の人です。私達は今後、お付き合いにすすめませんか？どうかお願いします」

「はい。僕もルーカスさんと会ったとき発情するほどの相手の良さにびっくりしました。お互いを知って、結婚したり番になれるか考えていきましょう。でもお互いの人生設計はどちらか一方を優先するのではなく、互いの着地点をはかったほうが良いと思います。だから全部僕に合わせなくて良いんです」
「悠希さん。素晴らしいです。そうですね、互いのことをもっと知って考えましょう。ありがとう」

「では、二人はお付き合いにすすむね？互いの情報は交換出来ます。お付き合いはいつでも止められます。ここでまた会うのも外で会うのも自由。わかったかな？」

「「はい」」

　携帯電話の番号やメッセージアプリの連絡先を交換した。これでいつでも連絡が出来ると二人はわくわくしていた。
　医師から見ても、相性ピッタリでお似合いのカップルだった。ほぼ運命の番という相性確率から見てもうまくいくだろうと予測していた。

「悠希さん。お互いさん付けも敬語もはやめましょう。本当は敬語が苦手なんです。とても頑張って話しています」
「ふふふ。そうでしたか。わかりました。いえ。わかったよ、ルーカス」
「ありがとう。悠希」

　毎日メッセージを送り合い、週末にはデートを重ねた。悠希は家族にルーカスを紹介し、番婚をするつもりであることを告げた。
　家族は悠希に運命の番との出会いが訪れたことをことのほか喜んで二人を応援している。

「悠希のご家族に認めていただいて嬉しいよ」
「ルーカスはとても素敵で真摯に僕に向き合ってくれるから、反対されるわけないよ」
「でも、外国に連れていってしまうんだよ？」
「うん。それだって今は電話したり出来るからね」

　悠希はオンライン会議アプリでルーカスの両親に紹介され、以降時々ルーカスの母と連絡を取り合っている。

　ルーカスの母は家族を大切にしながら仕事を両立していた。海外留学してそのまま外国で生きているという強い生き方や考え方に悠希はとても憧れた。自分も結婚して、アメリカの大学に行ってみたいと思うようになった。

　三月末の高校卒業とルーカスの日本でのティーチングアシスタント終了を機に二人でアメリカでの結婚と番契約をすると決めた。

「今度の週末は、日本の祖父母に会ってから温泉旅行に行こうね」
「ありがとう。お会いするのは初めてだね。先日お電話させて頂いた時、とても優しいおばあ様で安心した」
「うん。祖父母も楽しみにしているから」

　ルーカスの実家に近い病院あてに、英語での紹介状作成を依頼した時、担当医も喜んで請け負った。
　日本にいるのもあと少し。温泉旅行や神社仏閣の参拝など、日本的なことを沢山している。